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<第二巻:温厚無慈悲な奴隷商人>
第三話:奴隷商人は鬼教師に乱入される
しおりを挟む俺は、裏庭を走る奴隷たちを見ていた。なぜって? ライラが奴隷たちと一緒に走っているからだ。
たゆん、たゆんとおっぱいを揺らして走るマリレーネとほぼ互角。おっぱいの大きさではマリレーネの圧勝だ。しかし、体力は互角だったのは意外だった。
さらに、腕立て伏せと腹筋に参加したライラは、他の奴隷を抑えて堂々一位の回数をこなした。
「先生、初日からそんなに張り切ると、筋肉痛で動けなくなるぞ」
「ご心配無用ですわ……カラダって、虐めると気持ちいいわね」
それ、あなたが言うと違う意味に聞こるからね。
やる気満々のようで高いヒールのブーツは靴に履き替えている。ブーツで走ってマリレーネに勝てるわけないからな。
どういうわけか、運動経験はあるようで走る姿も訓練されたかのようなフォームをしていた。
その後、運動の時間が終わってから、奴隷たちにライラを紹介した。
最初、奴隷たちは嫌そうな顔をしていたが、ライラがピシャリと叱ったので従順になる。
「あなたたち、よく聞きなさい! 私の言うことを聞けないってことは、私の雇い主のニート様に逆らうのと同じことよ! お怒りになってもニート様は慈悲深い方だから、お前たちを苦しませずに殺すでしょうが、私はそんな甘くはないですよ! いいわねっ!」
ビシッと鞭が地面を叩くと、砂埃が奴隷たちを襲う。コホコホと咳き込む奴隷。
たった一撃の鞭で効果てきめんだった。ひさびさの、全員土下座!
あの……俺は、殺したりしませんけど。
その後、ライラのスパルタ式躾と礼儀作法のレッスンが始まり、屋敷中にライラの罵声と鞭の音が響き渡った。
これは、かなりの荒療治になったぞ。大丈夫かな?
エルフ奴隷を含め、なんとかこなしていたのは意外だが。体力作りで、心も強くなったってことだろう。
◆
夕食は、ライラと二人で食堂で食べることになった。
親父が出ていってから食事は一人で食べていたので、話し相手がいるってうれしいもんだな。
少々変態っぽいが、ライラさんはフェロモン全開の美人だ。そんな美女と一緒に食事は楽しい。
「ところで、ライラ……」
「ライラ先生と呼んでください。みんなの前です」
「あ、すまん。ライラ先生。ところで、少々厳しすぎるんじゃないのかな?」
「そんなことはありませんわ。厳しくされて根を上げた奴隷がいましたか?」
俺は、後ろに控えていたパオリーアたち三人を見る。全員、特に嫌そうな顔はしていなかった。
本当に、平気なのだろうか。
「パオリーア。どうなんだ?」
「ライラ先生の指導は、厳しいですが的確ですし、私たちのことを思って指導されていますので、大丈夫です」
ずいぶんと評価が高いな。さすが、公爵令嬢たちの指導もしていたマナー講師だ。
「この三人には、先に伝えていましたの。奴隷たちの前で一番厳しくするからってね」
「はい、ライラ先生からウチらが黙って従えば、他の奴隷たちは黙って従うから我慢してくれってお願いされました」
「なるほど、さすが先生だ。策士ですね」
「これが仕事ですから」
謙遜するライラ先生。仕事は優秀のようだ。それなら、安心だな。
「今後、指導方法はライラ先生に任せる」
「ありがとうございます。あの、この肉はおいしいですね、何の肉ですの?」
「ああ、これは牛の肉だ。精力と力を付けるために、少量でも毎日摂るようにしている」
ライラは、俺の方を見ると頬を赤らめて頷いていた。な、なにその頷きは! 絶対勘違いしてるやつ!
「では、俺は風呂に入るとする。ライラは俺の後に入れ」
俺はそう言うと、ライラを食堂に残し、風呂場に向かった。
風呂に入る順番は、俺の次がパオリーアたち三人だったが、奴隷ではないライラは俺の次に入ることにした。ライラの次が専属奴隷たち。その後、他奴隷が部屋ごとに数日おきに入るという決まりだ。
屋敷の湯船は大人四人が足を伸ばして入れるほどの広さがある。しかも、この地域は火山が近くにあるため温泉掛け流しだ。
「ふぅ。それにしても、色っぽい先生が来たもんだな。もっとおばちゃんかと思っていたのにな」
俺は、キリッとした美しいライラの顔と豊かな胸、そしてハイレグが食い込んだ尻を思い出していた。
ムクムクと息子が起き上がるのを感じる。男は数分に一度はエッチな妄想をするって言うけど、たしかにそうだな。
いいお尻してたなぁ。あのくびれた腰を掴んで後ろからパコパコしてみたいものだ……。
しばらく、妄想タイムを楽しんでいると、誰かが来る気配。
湯煙の中で人の足音が聞こえる。パオリーアが背中でも流しに来たのかな?
「おまたせしました。旦那様……」
顔を真っ赤にして、横を向いたままのライラが立っている。しかも、すっぽんぽん……。
えぇ~~!
「ど、どうしたんですか、ライラ先生!」
「なっ、どうしたとは、なんですかっ! 旦那様が、俺の後に入れって言ったではないか! だ、だから私はうれし……恥ずかしいけど来ましたの」
後でって、俺が出てからって意味だったんだが……
「後でってそう言う意味では……。あの、おっぱい丸見えですけど……」
「み、見ないでっ、いや見てください……」
「だ、大丈夫です。湯気ではっきりと見えないので、見えてないです」
「そうなのか! こうやって持ち上げて見せればどうだ? 見えるか?」
大きな乳房を両手で持ち上げると、なぜか前かがみになって近づいて来る。
「ちょっと、待って! 先生、何をしてるんですか!」
「わ、私の躾は旦那様に……ああんっ、恥ずかしぃ……たまらん」
「いやいやいや、それはまずいでしょう。仮にもライラ先生は客人扱いです!」
「ならばっ! 客人のくせに、はしたない私に折檻を!」
あのー、何を言っておられますかね?
「ライラ……こっちに来なくていい。一緒に風呂に入るとは言ってないぞ」
俺は、命令口調となった。
「わ、わかりました。ここで私を視姦するってことでしゅね……」
浴槽の縁に腰掛けると、おずおずと足を開き始める。うわわわっ!
至近距離で、ライラの股間が露わになっていく。
手で大事なところを隠しているが、おっぱいと下の毛はバッチリ見えちゃってる。
「あんっ、旦那様の視線が熱い……み、見ないで……アソコ開いて見せるりゅから……」
言ってる事と、やっている事があべこべで、俺はパニック寸前だった。見て欲しいのか、見て欲しくないのかどっちだ?
その時、足音がパタパタと聞こえて来る。
「あー、いたいた。ライラ先生。ダメですよ、今はまだ旦那様の時間です。お風呂を邪魔してはいけません」
突然、風呂場に現れたマリレーネたちは、ライラ先生の脇から手を入れると抱き上げるようにした。
「な、なにをするっ! お前たち。わ、私の決死の覚悟を無駄にするのかっ!」
「いいから、いいから……順番は守ってくださいね、先生」
パオリーアと、マリレーネに引きずられるようにして風呂場から連れ出されるライラ。
「やめろ、離せ! 私も旦那様に折檻してもらわなければ……」
徐々に声が遠くなって行く。
やっと、追い出されたようだな。なんとも可哀想に。
しかし、ちょっと惜しかった気がする。
できれば、あのまま見ていても俺はかまわなかった……いや、いかんいかん。
俺は、半分起きかけていた自分の息子を確認すると、今夜はアーヴィアの部屋に行こうと心に決めた。
◆
その頃、ライラは奴隷たちに自室へ連れ戻されていた。
「お、お前たち。なぜ邪魔をするの……私は旦那様に来るようにと命じられたのよ! このおっぱいをじっくりと見ていただくつもりでしたのに……」
「はいはい、そのおっぱいじゃ、旦那様は満足されませんよ。せめて、リーア姉さんくらいないとね」
ハッとして慌てて自分の胸を見るライラ。
「そ、そうなのか? 私のおっぱいでは旦那様は満足されないのか……」
「なに、愕然としてんだよ、先生。先生のおっぱいも大きい方だから、大丈夫、大丈夫。それに、旦那様は、お尻もお好きだからね」
マリレーネが自分の尻をペチンと叩きながら言った。
「おしりぃ~! そ、それは、あれか。お尻の穴に入れるのがお好きなのか?」
「うーん、ウチは経験ないけど……アーヴィアが、そのへん詳しいんじゃないですかね?」
ライラは、慌ててアーヴィアに近寄ると肩を激しく揺する。
「お、教えてくれ。お前、お尻でどんなことをされたのだ、聞かせてくれ!」
アーヴィアの頭が壊れたおもちゃのようにガクガク揺れる。
「先生、先生……あーちゃんが死んじゃうよ。そんなに揺すったらダメだよ」
「あっ、す、すまない。つい羨ましくって……いや、興味があっただけだ。決してお尻の穴に興味があるわけじゃなくて、そのなんだ……やっぱりいいものなのか?」
「知らない……。お尻の穴は、痛いからキライ!」
「痛いのかっ! そんなうらやましいこと、私は耐えられるだろうか……」
「先生が、折檻を受けるんじゃないから、そんなのあるわけないじゃん」
横から、マリレーネがライラへ向かって言った。
「なぜだ、なぜ私にはしてもらえないのだ! 不公平ではないかっ!」
「旦那様は、お尻がお好きだよ。だって、毎日ウチらのお尻を触るから、先生もあるかもよ」
「ぬあっ! 毎日だと! 毎日触ってもらえるのか。わ、私のお尻もか?」
パオリーアとマリレーネが、呆れたのかライラを無理やりベッドに座らせる。
「ライラ先生。落ち着いて……私たちは旦那様が触りたいと思えば差し出すだけです。触ってくださいなんて言えないわ」
「そうそう、ウチも今夜こそ旦那様がウチの部屋に来てくれるんじゃないかって、毎日期待しながら寝てるんだからね」
「あの……私は、待ってない……。どうせ、来ないし……」
マリレーネが、「アーヴィアの部屋が一番多いんじゃねえか」とツッコミを入れる。
ライラは、三人が話すのをフムフムと頷きながら聞くと、言った。
「わ、私の部屋にも来てくれるか? でも、わ、私はまだ旦那様の奴隷ではないわけ……」
「「「まだ?」」」
「あっ、ちがう。今のは忘れてくれ! あっ、そろそろ、お風呂に入れるかしら。すっかり、肌が冷たくなってしまったわ」
「わりぃ、裸のままだったね。ウチらも一緒に入っていい? 旦那様に愛される方法でも語ろうぜ!」
「あわわわ! 本当かっ! それなら、ぜひとも私と一緒に風呂に入ってくれ」
「はい、いいですよ」
「ウチもいいよ!」
「うん……私も一緒に入ります」
この日、他の奴隷たちが風呂に入れないくらい、長風呂になってしまったらしい。
◆
その頃、アーヴィアの部屋の前で俺はドアをノックしていた。
「おかしいな、返事がないぞ……あーちゃん、起きてる?」
俺は、アーヴィアの部屋のドアを開けて中を覗き込んだ。
あれ? まだ部屋に戻ってないのか……トイレかな……
しばらく待っていたが、帰って来ない。
「明日は奴隷商会の会合だったな。早めに寝るとするか……」
そう呟くと、自室に戻り一人寂しく寝たのだった。
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