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好奇心は猫をも殺す 慎太郎side
商店街でお買い物
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「おじさんの、いやその、ウチのジジイがすんませんでした」
商店街に繰り出してるところ、隣にいた碓氷峠くんと話をしていた。べつに学園長に対して怒ってはないし、魔術オタクとしては魔法の学校なんて嘘でもワクワクするし嬉しい。それに喋るネコも好きだ、お爺ちゃんだけど可愛いし、学園長だけど。
「大丈夫だ、お前みたいなのを律儀って言うんかな。それより、早いとこ買い物を済ませないと。おじさんきっと待ってるぞ」
「……うん」
「早く帰って来ればきっとおじさん喜んでくれるな。俺一人じゃ道わからんくて買い物できなかった……ありがとう」
「……可愛いな」
気が狂ったか。それとも謝ってくれたのに感謝してしまった俺が悪いのか、動転してしまった碓氷峠くんの背中をそっとさすった。
さて碓氷峠くんの様子も見ておきたいけど買い物もしなくては、もらったメモに書いているのはこの通り
・教科書
優しい魔法使いになるために
魔法入門
飛行術のいろは
優しい薬草
偉大なる魔法の軌跡 上
魔法薬の基本
・魔法道具
魔ヶ峰ローブ
大中小の魔法釜と混ぜ棒
箒
杖
こんなにたくさん買えるのだろうか、買ったとしても持てるのだろうか。教科書も相当だけど、何より心配なのは大中小の釜だ。金属製のものをそう簡単に持てるのだろうか。
「本は俺も持つから、あと魔法道具についてアテがある」
やっぱり碓氷峠くんは優しい。友達がいないもんで、もしこんなに優しい人が友達にいたら、そんな感じだったんかなって思う。俺はそんなに優しい人じゃないから少し羨ましい。商店街の本屋に向かう時もずっと隣でここは食堂さんだとか、薬草屋さんだとか色々教えてもらった。
「で、ここが魔法屋さんだな。ここは魔ヶ峰で使う教科書や魔法道具全部が売ってるぞ」
「魔法屋さん? 本と道具が一緒に売ってるのって珍しいな」
「そうか? ペンや紙が一緒に売ってる本屋と同じようなもんだろ。あまいいや、とにかく行こう。全部買ったら重いだろうけど俺が魔法使うから余裕だ」
軽い感じで流される。本屋に教科書が売っているのはこの際珍しいで済むけど、魔法使うからって軽い感じに言うのは落ち着かない。カッコいいな、魔法ってどんな感じに使うんだろう、いっぱい魔術書を読んできたけどモノホンは見たことがない。
「そんなキラキラした目で見られても……」
あ、バレてたみたいだ。魔法って杖を使うのも魔法陣も、詠唱だっていっぱいあるからどんな感じなのかぎ気になっちゃって。憧れのそれを今ここで見れると言うのなら是非ともして欲しいんだ。
「大丈夫だ、お前も近いうち使えるようになるし」
「な、どう言う意味だよそれ」
なんでもないとか言ってんじゃあない。ものすごく気になるんだけど、魔法ってそんなノリでバンバカ使っていいものなのか? そもそもにわか知識だけの素人以下な俺が使えるものでもないだろうに。手を引かれて本屋に入るが緊張して仕方がない。魔法の本が売ってる本屋ってどんなんだろう……
「いらっしゃい! あら、猫太ちゃんじゃないの。今日はお友達とお買い物?」
出迎えてくれたのはものすごい美人。明るい茶色のショートカットと高身長が特徴的で、目もキリってしてて、声も低いボーイッシュな……いや違う、この人男だ。しかもメイク落として男の人の服を着ればメチャクチャカッコよくなりそうなイケメンさんだ。なんでこんなカッコしてるの? あ、お母さんに人の趣味についてあれこれ聞くなって言わせてたんだった……
「大丈夫よ、私は鎹霧雨《かすがいきりあ》、ここの店主。それにしても貴方素直で可愛い子だわ、猫田ちゃんみたいなひねくれ屋さんにはもったいない友達ね!」
「……このメモに書いてるやつ全部下さい」
ひょっとして鎹さんが苦手なのか、少し遠慮気味だ。メモを取り上げられて碓氷峠くん経由で鎹さんに渡る。はいはい一年生セットねと言われて席を開けた、一年生セットってなんだろう。そういえばここ魔法学校の近くだし、生徒さんがいるかもしれない……碓氷峠くんも?
「その、俺は明日入学予定」
「あ、明日?」
「明日4月1日だろ、入学式だ」
新一年生の入学式……少し気分が重いな。結局小学校の卒業式には出なかったし、中学もあんまり行こうとは思えない。……楽しい学校生活なんてどこにもないんだろうな、でも碓氷峠くんは行こうとしてる。すごく真面目だ。その後も俺のせいで弾まない会話を続けていたら、ようやく鎹さんが帰ってきた。
「お待たせ~! 教科書と、魔法道具一式お待ちどうさま! 魔法の杖はデザインいっぱいあって迷うわよ~」
そう言いながら沢山の杖を並べられた。持ち手のデザインはもちろん長さも十人十色(大体15㎝から35㎝ぐらいまで)、ツヤがあるやつないやつ、太さもそれぞれ特徴がある。先が丸いのもシュッとした鋭利なのもいっぱいあって……って俺が決めていいのか?
「うん。お前に選んで欲しい」
「というより貴方が選ばなきゃダメよね~」
なぜなのかは知らないが圧力を感じる。……色々言われる前に決めよう、でもここまで種類が多いと何が一番なのか考えてしまう。
商店街に繰り出してるところ、隣にいた碓氷峠くんと話をしていた。べつに学園長に対して怒ってはないし、魔術オタクとしては魔法の学校なんて嘘でもワクワクするし嬉しい。それに喋るネコも好きだ、お爺ちゃんだけど可愛いし、学園長だけど。
「大丈夫だ、お前みたいなのを律儀って言うんかな。それより、早いとこ買い物を済ませないと。おじさんきっと待ってるぞ」
「……うん」
「早く帰って来ればきっとおじさん喜んでくれるな。俺一人じゃ道わからんくて買い物できなかった……ありがとう」
「……可愛いな」
気が狂ったか。それとも謝ってくれたのに感謝してしまった俺が悪いのか、動転してしまった碓氷峠くんの背中をそっとさすった。
さて碓氷峠くんの様子も見ておきたいけど買い物もしなくては、もらったメモに書いているのはこの通り
・教科書
優しい魔法使いになるために
魔法入門
飛行術のいろは
優しい薬草
偉大なる魔法の軌跡 上
魔法薬の基本
・魔法道具
魔ヶ峰ローブ
大中小の魔法釜と混ぜ棒
箒
杖
こんなにたくさん買えるのだろうか、買ったとしても持てるのだろうか。教科書も相当だけど、何より心配なのは大中小の釜だ。金属製のものをそう簡単に持てるのだろうか。
「本は俺も持つから、あと魔法道具についてアテがある」
やっぱり碓氷峠くんは優しい。友達がいないもんで、もしこんなに優しい人が友達にいたら、そんな感じだったんかなって思う。俺はそんなに優しい人じゃないから少し羨ましい。商店街の本屋に向かう時もずっと隣でここは食堂さんだとか、薬草屋さんだとか色々教えてもらった。
「で、ここが魔法屋さんだな。ここは魔ヶ峰で使う教科書や魔法道具全部が売ってるぞ」
「魔法屋さん? 本と道具が一緒に売ってるのって珍しいな」
「そうか? ペンや紙が一緒に売ってる本屋と同じようなもんだろ。あまいいや、とにかく行こう。全部買ったら重いだろうけど俺が魔法使うから余裕だ」
軽い感じで流される。本屋に教科書が売っているのはこの際珍しいで済むけど、魔法使うからって軽い感じに言うのは落ち着かない。カッコいいな、魔法ってどんな感じに使うんだろう、いっぱい魔術書を読んできたけどモノホンは見たことがない。
「そんなキラキラした目で見られても……」
あ、バレてたみたいだ。魔法って杖を使うのも魔法陣も、詠唱だっていっぱいあるからどんな感じなのかぎ気になっちゃって。憧れのそれを今ここで見れると言うのなら是非ともして欲しいんだ。
「大丈夫だ、お前も近いうち使えるようになるし」
「な、どう言う意味だよそれ」
なんでもないとか言ってんじゃあない。ものすごく気になるんだけど、魔法ってそんなノリでバンバカ使っていいものなのか? そもそもにわか知識だけの素人以下な俺が使えるものでもないだろうに。手を引かれて本屋に入るが緊張して仕方がない。魔法の本が売ってる本屋ってどんなんだろう……
「いらっしゃい! あら、猫太ちゃんじゃないの。今日はお友達とお買い物?」
出迎えてくれたのはものすごい美人。明るい茶色のショートカットと高身長が特徴的で、目もキリってしてて、声も低いボーイッシュな……いや違う、この人男だ。しかもメイク落として男の人の服を着ればメチャクチャカッコよくなりそうなイケメンさんだ。なんでこんなカッコしてるの? あ、お母さんに人の趣味についてあれこれ聞くなって言わせてたんだった……
「大丈夫よ、私は鎹霧雨《かすがいきりあ》、ここの店主。それにしても貴方素直で可愛い子だわ、猫田ちゃんみたいなひねくれ屋さんにはもったいない友達ね!」
「……このメモに書いてるやつ全部下さい」
ひょっとして鎹さんが苦手なのか、少し遠慮気味だ。メモを取り上げられて碓氷峠くん経由で鎹さんに渡る。はいはい一年生セットねと言われて席を開けた、一年生セットってなんだろう。そういえばここ魔法学校の近くだし、生徒さんがいるかもしれない……碓氷峠くんも?
「その、俺は明日入学予定」
「あ、明日?」
「明日4月1日だろ、入学式だ」
新一年生の入学式……少し気分が重いな。結局小学校の卒業式には出なかったし、中学もあんまり行こうとは思えない。……楽しい学校生活なんてどこにもないんだろうな、でも碓氷峠くんは行こうとしてる。すごく真面目だ。その後も俺のせいで弾まない会話を続けていたら、ようやく鎹さんが帰ってきた。
「お待たせ~! 教科書と、魔法道具一式お待ちどうさま! 魔法の杖はデザインいっぱいあって迷うわよ~」
そう言いながら沢山の杖を並べられた。持ち手のデザインはもちろん長さも十人十色(大体15㎝から35㎝ぐらいまで)、ツヤがあるやつないやつ、太さもそれぞれ特徴がある。先が丸いのもシュッとした鋭利なのもいっぱいあって……って俺が決めていいのか?
「うん。お前に選んで欲しい」
「というより貴方が選ばなきゃダメよね~」
なぜなのかは知らないが圧力を感じる。……色々言われる前に決めよう、でもここまで種類が多いと何が一番なのか考えてしまう。
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