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本当にあった怖い話
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とある小さな地方都市の住宅街に1人の少年が住んでいた。学校にもろくに通わず、かと言って引きこもりではなく町外れの図書館に入り浸り魔術に関する本を読み漁る。親からは呆れられ友人はいない、ごく普通に気味悪がられる変な少年だった。
元々夢見がちな性格が災いしたのだろう、幼い頃に絵本で見た魔法が忘れられず、ひょっとしたらを探し続けるその少年。しかしその日は違った、見知らぬ空間にある見知らぬ本棚を見つけてしまった。
知らない間に工事でもしていたのだろうか、少年は記憶を辿るがそんな覚えはない。そもそも最低でも週に1回、多くて3回も来ているそこの工事に気づかないなんてもはありえない。恐ろしく感じて遠ざかろうとしたが、虹色に光る大きな本が目に入ったのが運の尽き、何かに引き寄せられるようにその本を手に取ってしまった。そのときすでに少年の頭は恐怖ではなく好奇心が支配していた。
すっかり文字が掠れて読めなくなっていたそれは、外観こそ合成で少年の両手以上の大きさがあったが、光源の白い宝石以外何にも価値がなさそうな、とても残念な見掛け倒しの本だった。しかし逆を言えばその宝石は、目を奪われるほどに美しいものだった。少年は真っ白な頭でそれを手に取り、その光に包まれて行く。
…………
………………
……………………
少年は走った。出口を求めて彷徨った。あの後本は光の中に消え、意識が戻ったのはいいとして、全く持って覚えのない空間に飛ばされたのはよしとするわけがなかった。どれだけ走り回っても、見えるのは知らない建物の内部、そして窓から見えるのは知らない景色。
少年は異世界に飛ばされてしまったのだ。そして6年後、神隠しと言われるようになり、時間により事件というより怪奇現象として片付けられ始めていたのだが……少年は帰ってきたのだ。6年で成長した青年の姿になって。少年だった青年は、魔法学校に通っていたと訳の分からないことを言うばかりではなく、それを裏付ける異能を得て、さいど気味悪がられることとなった。
その少年の身に何があったのが、青年になるまで一体どこでどうしていたのか、真相は彼のみぞ知る……
元々夢見がちな性格が災いしたのだろう、幼い頃に絵本で見た魔法が忘れられず、ひょっとしたらを探し続けるその少年。しかしその日は違った、見知らぬ空間にある見知らぬ本棚を見つけてしまった。
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