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いつかは辿り着く
この世界に来て早々
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「……そう言えばさ、なんでお前この世界でも言葉通じてんの?」
「こ、言葉?」
色々ありすぎたせいか頭がぼーっとして辛くなってきた。もうどうなでもなれと、頭の片隅にあった素朴な疑問を提示した。俺がこの世界に来た時にはスターが何いってんのか分からんかった。魔術をかけてもらってようやく話せるようになったのを覚えている。しかしコイツはというと、俺の言葉も学園長やスターの言葉も理解したうえで会話を成立させている。あくまでキャッチボールじゃなくてデッドボールだけれど。
「そ、そうなんだ……ごめんね。僕にはそういう違う言葉じゃなくて、普通の日本語に聞こえるんだけれど……」
そ、そんなことあり得るのか? 4人を見回すものの微妙な反応が返ってくるばかり。……そもそもアイツらの話的に違う世界から人が来ること自体稀だから仕方が無いのだろう。前例が伝説の天使様と、俺、ほんで虎杖しか居ないんだから把握しようがないことだ。次は何聞けばいいんだ……? あーダメだどうしてこんな頭重いんだよ俺。
「えっと、取り敢えずイタドリくんは怪我とかない? 具合は平気?」
「そ、そうだ! アーサー先生呼ぼうか?」
「学園長の事だからどうせお前も元の世界に帰れるまでこの学園の生徒だ。仲良くしようぜ!」
「イタドリ、ビーフジャーキー食うか?」
「ど、どうも……?」
ナイスだアナ、よくぞ起点を作ってくれた。この沈黙の時間が心地悪くて仕方なかった。俺は体を休めないとこれからがきついし、スター達はこやつを新しい仲間として処理しはじめているみたいだ。
「えっと……具合は全然悪くないんだ。むしろ無駄に元気が有り余っちゃってて……」
「寧ろ元気ですか? 違う世界からきた天使様とは随分と症状が違いますね」
「まあ具合が悪くなくて良かったな!」
「……いや、なんでコイツ勃起してるんだ?」
「……え?」
その場にいた全員が驚いた。虎杖本人は体を硬直させ、スターは目をぎょっと見開いた。というよりジョセフ以外誰も心の平穏を保てていない。だが確かに虎杖の下半身は大きく膨れ上がっている。……流石外人の血が入ってるだけあってでけえな。そう考えた瞬間に身体がゾクリと震えた。
ふとスターに目線をやると、俺と同じかそれ以上に動揺している。スターは虎杖の下半身と俺とを交互に見て、そしてまた虎杖を見た後に俺の下半身を見て……っておい! 俺は別に発情してねえ! ……いや待て、まさかとは思うがこの疲労感は魔力不足で体が火照ってる例のアレか? いいや多分おそらく絶対違う、いやどれだよ! 己のボケに己で突っ込んでしまった。今の俺はひどく動揺している。
「ちょっと! イタドリくんなんでそんなんなってんの!?」
「ご、ごめんなさい……! その……僕も訳がわからなくて!」
慌てふためくスターと虎杖。同じ様な整った顔が揃って顔を真っ赤にしているのはなかなか愉快だけれど、今はそれどころじゃない。話を戻して、ふたりの困惑はもっともな反応だ。だってスターはいきなりとはいえ友達になった下半身が勃起していた状況を目撃してしまったのだから。因みに俺は勃起してないからな。なんか体熱くなって変な汗かきだしただけで。
「しょ、しょうがないよ! イタドリくんはいきなりこんなところに来てお疲れなんだよ、ね? いきなりデリカシーのないこと言ってごめんなさい」
「……えっとー」
スターは申し訳なさそうに頭を下げる。そうだよな、うん。俺は別に発情してないし、虎杖のは多分疲れマラだから。
「と、兎に角トイレ、トイレ行ってきますね!」
顔を真っ赤にしてトイレへと走っていく。あいつ怖いぐらいグイグイ来るくせに結構紳士だな。……てかアイツトイレの場所知らねえだろ。
「お、おい! そっちじゃねえよ! そっちトイレじゃねえよ!」
「……あ、そっそうか。トイレ知らない」
はいはい初めて来た場所だもんな。……トイレの場所ならわかるぞ。初対面の人間に聞くのも気まずいだろうし(いやあれだけぶちまけて今頃恥ずかしいも何もないとは思うが一応)、仕方が無いから案内してやるか。
「こ、言葉?」
色々ありすぎたせいか頭がぼーっとして辛くなってきた。もうどうなでもなれと、頭の片隅にあった素朴な疑問を提示した。俺がこの世界に来た時にはスターが何いってんのか分からんかった。魔術をかけてもらってようやく話せるようになったのを覚えている。しかしコイツはというと、俺の言葉も学園長やスターの言葉も理解したうえで会話を成立させている。あくまでキャッチボールじゃなくてデッドボールだけれど。
「そ、そうなんだ……ごめんね。僕にはそういう違う言葉じゃなくて、普通の日本語に聞こえるんだけれど……」
そ、そんなことあり得るのか? 4人を見回すものの微妙な反応が返ってくるばかり。……そもそもアイツらの話的に違う世界から人が来ること自体稀だから仕方が無いのだろう。前例が伝説の天使様と、俺、ほんで虎杖しか居ないんだから把握しようがないことだ。次は何聞けばいいんだ……? あーダメだどうしてこんな頭重いんだよ俺。
「えっと、取り敢えずイタドリくんは怪我とかない? 具合は平気?」
「そ、そうだ! アーサー先生呼ぼうか?」
「学園長の事だからどうせお前も元の世界に帰れるまでこの学園の生徒だ。仲良くしようぜ!」
「イタドリ、ビーフジャーキー食うか?」
「ど、どうも……?」
ナイスだアナ、よくぞ起点を作ってくれた。この沈黙の時間が心地悪くて仕方なかった。俺は体を休めないとこれからがきついし、スター達はこやつを新しい仲間として処理しはじめているみたいだ。
「えっと……具合は全然悪くないんだ。むしろ無駄に元気が有り余っちゃってて……」
「寧ろ元気ですか? 違う世界からきた天使様とは随分と症状が違いますね」
「まあ具合が悪くなくて良かったな!」
「……いや、なんでコイツ勃起してるんだ?」
「……え?」
その場にいた全員が驚いた。虎杖本人は体を硬直させ、スターは目をぎょっと見開いた。というよりジョセフ以外誰も心の平穏を保てていない。だが確かに虎杖の下半身は大きく膨れ上がっている。……流石外人の血が入ってるだけあってでけえな。そう考えた瞬間に身体がゾクリと震えた。
ふとスターに目線をやると、俺と同じかそれ以上に動揺している。スターは虎杖の下半身と俺とを交互に見て、そしてまた虎杖を見た後に俺の下半身を見て……っておい! 俺は別に発情してねえ! ……いや待て、まさかとは思うがこの疲労感は魔力不足で体が火照ってる例のアレか? いいや多分おそらく絶対違う、いやどれだよ! 己のボケに己で突っ込んでしまった。今の俺はひどく動揺している。
「ちょっと! イタドリくんなんでそんなんなってんの!?」
「ご、ごめんなさい……! その……僕も訳がわからなくて!」
慌てふためくスターと虎杖。同じ様な整った顔が揃って顔を真っ赤にしているのはなかなか愉快だけれど、今はそれどころじゃない。話を戻して、ふたりの困惑はもっともな反応だ。だってスターはいきなりとはいえ友達になった下半身が勃起していた状況を目撃してしまったのだから。因みに俺は勃起してないからな。なんか体熱くなって変な汗かきだしただけで。
「しょ、しょうがないよ! イタドリくんはいきなりこんなところに来てお疲れなんだよ、ね? いきなりデリカシーのないこと言ってごめんなさい」
「……えっとー」
スターは申し訳なさそうに頭を下げる。そうだよな、うん。俺は別に発情してないし、虎杖のは多分疲れマラだから。
「と、兎に角トイレ、トイレ行ってきますね!」
顔を真っ赤にしてトイレへと走っていく。あいつ怖いぐらいグイグイ来るくせに結構紳士だな。……てかアイツトイレの場所知らねえだろ。
「お、おい! そっちじゃねえよ! そっちトイレじゃねえよ!」
「……あ、そっそうか。トイレ知らない」
はいはい初めて来た場所だもんな。……トイレの場所ならわかるぞ。初対面の人間に聞くのも気まずいだろうし(いやあれだけぶちまけて今頃恥ずかしいも何もないとは思うが一応)、仕方が無いから案内してやるか。
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