小柄コンプを拗らせていた俺、魔術学校ものの異世界に飛ばされた挙句デカ男達から天使扱いされる

荒瀬竜巻

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一の才能

どうして ※R15

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俺は完全にオーバーヒートを起こして地面に倒れ伏した。元々体が限界だったのもあるが、何より赤い糸でわかってしまったその事実を受け止める事が出来なくなっていた。「保健室、早く!」「天使様!天使さ……!」声がどんどん遠のいていく。頭を打った証である鈍痛と、床の冷たい感触を感じるそれもだんだん朧げになり視界も暗くなる。

……

…………

………………

「よかった。朝日奈さん、目が覚めたんだね」

そして、今は少しだけ夢を見ている。再び目を開けたら瞬時に夢だと理解できた。明晰夢ってやつだ。何故完璧に夢だっていけるのか?

「……虎杖?」

「うん。ごめんね、お家お邪魔しちゃった。」

小麦色のスポーツしてる感ありありの肌、赤くて短めの癖っ毛はあいも変わらず流している、緑色の吊り目はちと怖いが溢れでんばかりのいい奴オーラによってそれを無効化する。そして何より忌々しいといって差し支えない高身長。すっかり久しぶりな気がするが実はまだ1日しか着てないだけの最近馴染み始めた新しい高校の制服。

「な、なんで……」

スターではなく虎杖を。コイツとコイツが今していることを見た瞬間夢だと理解できた。そんな前触れもなく元の世界に帰れるか? 何故虎杖が俺の部屋に? そして、そして、

「ヒィッ、、なぁ、なぁさ……」

「ん?」

「なんで、その、俺は服を脱がされてんの?」

そう、いつもの爽やかニコニコ笑顔で俺の服を剥いでくる。いつのまにかM字に開脚してる俺の股の間にいるから、完璧に下心ありきだとわかる。しかも何でか知らんけど身体が全然動けねえ。別に痛みとかないけど全然動けねえ。これらの理由からどう考えても夢だろこれって結論に辿り着いたわけだ。そういうわけだからはよ離してくれ、やばいもうタンクトップとパンツしかねえ。ってかパンツ紐パンじゃねえか! そこだけ現実要素を搭載すんな!

「ふふ……随分派手なの履いてるね」

「俺が望んだことじゃねえよ。どけ……お前イケメンだし、俺以外にも相手なんざいくらでもいるだろ」

日常になりつつあった高校の制服の下に履いてあるあの非日常なパンツが妙に恥ずかしくなってしまい、せめて動く口で罵声を浴びせる。しかし虎杖は冴えない顔をするばかり。いや違う。むしろ、ちょっとワクワクしてる……?

「へーえ、そんなふうに思われているんだ……じゃあちゃんと教えてあげないとね」

「は?____ちょ、ちょっと待て!」

力一杯にタンクトップを剥ぎ取られる。例によって手も足も出せないからこいつの前に俺の上半身はご対面だ。コレ、もしかしなくても結構まずい状況か? こりゃいかんと抗議の言葉をあげるがニコニコと笑うばかりで全くといっていいほど相手にしてもらえない。畜生め。

「すごい、真っ白ですべすべだ」

やかましい。同じ年頃な奴との交友関係が少ない俺でも、さっきのは男にいう褒め言葉の類じゃない事はわかる。だからこそ余計に機嫌を悪くした。……実のところ兎に角不快という感情を表向きにする事で、実は困惑や見られている事への発情を隠す目的でもある。ってかやっぱ熱っぽいというか、体が無駄に盛ってんな。なんで無駄に現実とのディティールを合わるんだ、夢は夢らしく雑に処理させてくれ。

「そんなこと言って、乳首も、下の此処も、大きくなってる。不器用なところは入学式で会った時から可愛いって思ってたけど、身体はエロくて素直って反則じゃん……」

頼むから表情に合わせてくれ俺の身体。いや、ひょっとしたら繕えているのは言葉だけだったりするのか? 変な世界に来てからわかったことだが、そういう最中における俺は随分と顔に出やすいみたいだから。

ってか今さっき俺のこと可愛いっていった? 感性どうなったんだよ。ただでさえこんなイケメンなんだから、女どころか男だって選り取り見取りだろうに、こんな嘘を言う理由がわからん。夢だからってちょっと突飛過ぎというやつ。聞き間違いか? 聞き間違いだな、うん。

「可愛い、ずっと好きって思ってた……」

「え……?」

聞き間違いでも何でもねえじゃんか。まるで宝物を愛でるような優しい触り方で俺の上半身と下半身のそれぞれの突起を愛撫してくる。いつの間にか爽やかさは鳴りを潜めて明らかに興奮した男の顔をされてしまい、一気に熱が爆発した。

「あ゛っ♡__な、なにっ……して、んだよ!、♡」

コレはシンプルな質問だ、何故、何故?

「なにって……折角両思いになったんだから、そういうのしたいじゃん。ね?」

は?



は……?????

「気付いてる? 君の足、僕の腰をガッチリ掴んでるし、小指の赤い糸何処から出てるのか分かる?」

「う、うるさいうるさい! 何もいうな!」

視線をそらす。でも足はいつの間にか虎杖の足をがっつりとホールドしてしまってるし、なによりさっき視線逸らしたせいで虎杖の左の小指、そして俺の左の小指、それぞれを繋いでいる赤い糸が目に入ってしまった。

「……ほらね。大丈夫だよ、素直になって」

遂にパンツまで脱がそうと手を伸ばしてくる。やめろ、お願いだから。どうして、お前とはあの時初めて話をしたってのに。頬を伝う涙は拭うことすらできない。

これは夢だ、夢なんだから早よ覚めろ。虎杖の愛を囁く言葉を掻き消すように覚めろ覚めろと頭の中で念じ続けて、ようやく気を失うことができた。
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