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一の才能
才能の話
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天使様、いや、本人が嫌がってる呼び方はナンセンスだな。どうしよう、アサヒナ・ハジメ、ハジメ、ハジメっち。あ、いいなそれ、ハジメっちにしよう。周りの奴らはそこまで言わねえけど、ハジメっちの異常性はかなり際立っている。
「スター、無事か!?」
「……ええ。幸い殺傷能力は皆無の魔術だったようです。しかし、コレは……」
「おいおいまたトラブルか?」
いやいやスタッフォードもジェービーも周りも突っ込めよ。今さっき、この中で誰よりも早く(なんだったら先生より)早く地面に仕掛けられていた微小な魔術に気がつくとは。そりゃ先生は結構距離あるから仕方ないかもだけど、スターですら気付かない小さな魔力を感知するとかどう考えても離れ技だ。昨日までは魔術が使えない世界にいたというのに。
トランプの時もそうだ。ジェービーは最後ら辺まで種に気が付いてなさそうだったところから見ると、自分で仕掛けた魔力の探知すらハジメっちに負けていたことになる。素直に凄いことではあるが、少し不気味な気さえした。
「なあスター、小指からなんか糸見えるんだけど、赤いヤツ」
「あれ? アサヒナくんからも出てるよ、親指からだけど」
2人の左手の指から結ばれた赤い糸が出てくる。それは確かに、スターと今絶賛顔をポカーンとさせているハジメっちを結んでいた。それに覚えがあった。
コレはあれだな、恋の魔術ってヤツだ。しかも叶える方じゃなくて、解明する方の。さっきの隠されていた魔法陣に触れた奴の左手の小指から赤い糸が現れ、そいつの好きな人間に結びつく。だが結びつく指によって、自分をどう思っているのかも分かってしまうのだ。多感な少年達にはあまりに劇薬すぎると十数年前に問題になった魔術……と、俺の記録には記されている。
「あー……それ多分恋の白魔術だ。好きな人間が、自分をどう思ってるのか分かる的な。相手にもバレるけど」
「なんだその恥ずかしい魔術」
「欠陥じゃねえか」
返す言葉もない正論の数々をどうもありがとう。今回に関してはスターがハジメっちを好きな事なんて周知の事実だったから、無駄に恥ずかしがってるスターと焦りまくりなハジメっち以外は皆軽傷ですんでいる感じだ。因みに親指に結びつくのは【信頼】という意味だ。よかったな、スター。
「……なあさ、多分この廊下、ほとんどその魔術師かけられてるぞ。あと塀をよじ登ったりするのも無理だ、壁にも仕掛けられてる。この教室の半径50メートルだけでもざっと400近く仕掛けられてんな」
ハジメっちの言葉に再び震える。……確かに念じて見れば仕掛けをある程度見抜けるが、数まで指定してくるのか。しかもなんだよ半径50メートル以内ならって、50メートルも離れてちゃ普通仕掛けてある魔術なんて分かるわけねえだろ。と言いたいのは山々だが、恐ろしい話だ、嘘をついているようには見えなかった。
「流石は天使様、博識でいらっしゃる!」
「先生が教えることなさそうで困っちゃうな~その魔力に心当たりはある感じ?」
「ん……ありがと。心当たりはないスけど、なんか陣によって魔力の感覚、感触? が違うからさ、たぶん複数犯って奴だろうな、知らんけど」
なんでそれすらこの遠距離で見抜いてんだよ、ハジメっちってばそこらへんの才能ありすぎない? 勝敗に文句を言うつもりはないけど、魔術魔法のない世界に帰すにはあまりに惜しい人材だと思う。
……しかし、さっき言ってた通りこれはその諸刃の剣超えて使い方誤ったらただの諸刃なその魔術は教科書にすら載っていない。資料集にちょびっとだけ概要が載ってる程度の超マイナー魔術だ。多分ブルーブックという名の通り、自動的に記録していく感じの魔法がある俺以外誰も知らない。こんなのどこのバカがアホな集団に教えたんだよ。
1人推理を展開する。こんなドマイナー魔術、知っているのなんてよっぽどの物好きか変わり者だろう。そんなのこの学園には居過ぎるが、その中でも特段影響力があって、学園中に仕掛けよーぜ的なことを言ってしまう人か……
「ありゃまぁ、もう引っかかってもうた? ごめんなー名勝負に興奮しまくりでで遅れたもうたわ」
__あー教えそうな奴が現れたよ。まるで養豚場の豚を見るかのような視線を送るハジメっちに思わず笑ってしまった。
そんな氷みたいに冷たい視線にも負けないそこの学園長ことおそらく戦犯は、楽しげにことの顛末を説明し始めた。
「スター、無事か!?」
「……ええ。幸い殺傷能力は皆無の魔術だったようです。しかし、コレは……」
「おいおいまたトラブルか?」
いやいやスタッフォードもジェービーも周りも突っ込めよ。今さっき、この中で誰よりも早く(なんだったら先生より)早く地面に仕掛けられていた微小な魔術に気がつくとは。そりゃ先生は結構距離あるから仕方ないかもだけど、スターですら気付かない小さな魔力を感知するとかどう考えても離れ技だ。昨日までは魔術が使えない世界にいたというのに。
トランプの時もそうだ。ジェービーは最後ら辺まで種に気が付いてなさそうだったところから見ると、自分で仕掛けた魔力の探知すらハジメっちに負けていたことになる。素直に凄いことではあるが、少し不気味な気さえした。
「なあスター、小指からなんか糸見えるんだけど、赤いヤツ」
「あれ? アサヒナくんからも出てるよ、親指からだけど」
2人の左手の指から結ばれた赤い糸が出てくる。それは確かに、スターと今絶賛顔をポカーンとさせているハジメっちを結んでいた。それに覚えがあった。
コレはあれだな、恋の魔術ってヤツだ。しかも叶える方じゃなくて、解明する方の。さっきの隠されていた魔法陣に触れた奴の左手の小指から赤い糸が現れ、そいつの好きな人間に結びつく。だが結びつく指によって、自分をどう思っているのかも分かってしまうのだ。多感な少年達にはあまりに劇薬すぎると十数年前に問題になった魔術……と、俺の記録には記されている。
「あー……それ多分恋の白魔術だ。好きな人間が、自分をどう思ってるのか分かる的な。相手にもバレるけど」
「なんだその恥ずかしい魔術」
「欠陥じゃねえか」
返す言葉もない正論の数々をどうもありがとう。今回に関してはスターがハジメっちを好きな事なんて周知の事実だったから、無駄に恥ずかしがってるスターと焦りまくりなハジメっち以外は皆軽傷ですんでいる感じだ。因みに親指に結びつくのは【信頼】という意味だ。よかったな、スター。
「……なあさ、多分この廊下、ほとんどその魔術師かけられてるぞ。あと塀をよじ登ったりするのも無理だ、壁にも仕掛けられてる。この教室の半径50メートルだけでもざっと400近く仕掛けられてんな」
ハジメっちの言葉に再び震える。……確かに念じて見れば仕掛けをある程度見抜けるが、数まで指定してくるのか。しかもなんだよ半径50メートル以内ならって、50メートルも離れてちゃ普通仕掛けてある魔術なんて分かるわけねえだろ。と言いたいのは山々だが、恐ろしい話だ、嘘をついているようには見えなかった。
「流石は天使様、博識でいらっしゃる!」
「先生が教えることなさそうで困っちゃうな~その魔力に心当たりはある感じ?」
「ん……ありがと。心当たりはないスけど、なんか陣によって魔力の感覚、感触? が違うからさ、たぶん複数犯って奴だろうな、知らんけど」
なんでそれすらこの遠距離で見抜いてんだよ、ハジメっちってばそこらへんの才能ありすぎない? 勝敗に文句を言うつもりはないけど、魔術魔法のない世界に帰すにはあまりに惜しい人材だと思う。
……しかし、さっき言ってた通りこれはその諸刃の剣超えて使い方誤ったらただの諸刃なその魔術は教科書にすら載っていない。資料集にちょびっとだけ概要が載ってる程度の超マイナー魔術だ。多分ブルーブックという名の通り、自動的に記録していく感じの魔法がある俺以外誰も知らない。こんなのどこのバカがアホな集団に教えたんだよ。
1人推理を展開する。こんなドマイナー魔術、知っているのなんてよっぽどの物好きか変わり者だろう。そんなのこの学園には居過ぎるが、その中でも特段影響力があって、学園中に仕掛けよーぜ的なことを言ってしまう人か……
「ありゃまぁ、もう引っかかってもうた? ごめんなー名勝負に興奮しまくりでで遅れたもうたわ」
__あー教えそうな奴が現れたよ。まるで養豚場の豚を見るかのような視線を送るハジメっちに思わず笑ってしまった。
そんな氷みたいに冷たい視線にも負けないそこの学園長ことおそらく戦犯は、楽しげにことの顛末を説明し始めた。
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