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JBからの挑戦状
この世界で生きる素質
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これで、勝てる? ハジメは確かにそう言った。配られたのは♡4と♤Jだ、7を引けば確かに勝ちではあるが、もう7は1枚しかない。身体に纏わりつく粘液は今もその身体を犯していると言うのに、何もかも折れていないじゃないか。
「カード、1枚くれ。これで決着をつけてやる!!」
カードを振り返ってみよう。22枚からアナに2枚、ハジメに4枚配ったことで現在の残りカードは16枚。その中に1枚だけ7が入っているからシンプルに1/16と言うことになる。それを、当てると? たいそうな自信だな。
「どうしたんだよ、早よ配れや」
「……そーだな」
しかしこの勝気そうな顔はなんだ、とてもコレからの人生を決定付ける1枚を所望する人間の表情には見えなかった。まるで、これからオレの切るカードが7であることを確信しているようだ、どう考えてもハッタリでできる演技じみた顔じゃない。根拠はなんだ。いや、それはコレからコイツに見せてもらうとしよう、その謎の根拠を、導き出した結論を!
震える手でカードを配っている自分に気づく。オレと言うものが緊張しているのか、ゲームマスターといういつもしていることだと言うのに。いや、虚勢はやめよう。確かにオレは興奮している、それと同時に恐怖している。
快楽攻めに7対1、このゲームは最初から結末が決まっている出来レースだと言ってもいい、勝機はほぼ無い。
それでもここまで抗い、最後の最後まで自らの勘なのか計算なのか分かりもしない謎の根拠をもとに邁進する。追い詰めていたはずなのに、いつの間にか追い詰められている、そんな心地さえする圧倒的緊張感を、この極限状態にも関わらず確かに奴は発していた。もう一度言う、この極限状態でた。
「……さあ、めくれよ。コレが最後のカードだぜ」
触った瞬間に少し違和感を感じた最後のカードをハジメはなんの躊躇もなく触った。一度めくれば快楽を伴うはずなのにだ。
……この瞬間に察してしまった。ああ、負けた。そのカードの数字を当ててやろう、7だ。もっというと♤の7だ。オレはアサヒナ・ハジメという人間を甘く見ていた。
勢いよくめくる。いつものように粘液が噴き出ることはない。当然だ、そのカードはもう使用済みなのだから。
♤7
この瞬間、ハジメは大きな雄叫びを上げて叫ぶ。
「よし、21!! 俺の勝ちだな!」
誰もがその雄叫びを聞く。嬉しそうなスター、表情の読めないジョセフ、少しだけ悔しそうなアナ、敵だったくせになぜか喜んでいるブルーブック。そして1/16を引いたと驚く人間と、ハジメの本当の狙いを見抜きそれを見事引き立てた豪運に戦慄する人間の二手に分かれる。
「最初のイカサマテストのせいで負けるとか、こんなのあり?」
アナはため息をこぼす。そうだ、この♤7は1番最初にハジメがイカサマ防止のための確認するために手に取ったカード。その時魔力が既に噴射されていたから、全てのデッキの中でコレだけが勝負前から既に使用済みだったと言うわけだ。
それを覚えていたハジメは看破した。オレが持っている次に配るカードは魔力を帯びていないから♤7以外はありえないと見切った。まだこの世界に来て1日しか経っていないのに、魔力の感じ方、気配の掴み方を覚えたってのか。
「これで文句無いよな、JB」
「……文句を考えてたけど、思いつかなかったぜ」
様々な意味で衝撃を受ける。魔力の扱いに長けた人間でもちゃんと念じないと魔力を感じたり計測する事なんて出来ないのに、快楽によって惚けた頭でそれを判断したのか。運においてもそうだ、沢山用意したデッキの中からたまたま選んだ3組目のそれで、♤7が突破口になるだなんて。何万どころか何百万分の1なんだろう。運においても、能力においても、快楽への耐性、全てにおいて完全勝利を成し遂げてしまったそいつを否定する言葉は持ち合わせていない。
「す、素晴らしいです! 流石は天使様!」
感極まったスターがハジメに頬擦りした。油断してたのか、快楽が体から抜け落ちてなかったのか、呆気のない声を出していたが、
「あ、ぅん……♡俺つえーから、負けたりしねえよ」
気分がいいのか許してもらえたようだ。
……そうだな、強い。全ての意味で強かった。あの時オレが言った弱い捨て犬発言を訂正しよう。確かに意地っ張りで強がりで一見哀れな奴に見えるが、いざという時は強かで、いつの間にか周りを味方にするポテンシャルすらある。さしずめいざという時しか強くなれないと言った感じだ。
しかもこの世界における魔術の才能すらのか勝負で証明したハジメ。これから舞い込むだろうコイツの受難を想像しつつ、今は約束を果たそうと手を動かす。
__あ、言っておくが諦めたわけじゃないからな。ハジメがオレの前で元の世界に帰りたくないとか一瞬でも言った瞬間に行動を起こすつもりだから、そのつもりで。
「カード、1枚くれ。これで決着をつけてやる!!」
カードを振り返ってみよう。22枚からアナに2枚、ハジメに4枚配ったことで現在の残りカードは16枚。その中に1枚だけ7が入っているからシンプルに1/16と言うことになる。それを、当てると? たいそうな自信だな。
「どうしたんだよ、早よ配れや」
「……そーだな」
しかしこの勝気そうな顔はなんだ、とてもコレからの人生を決定付ける1枚を所望する人間の表情には見えなかった。まるで、これからオレの切るカードが7であることを確信しているようだ、どう考えてもハッタリでできる演技じみた顔じゃない。根拠はなんだ。いや、それはコレからコイツに見せてもらうとしよう、その謎の根拠を、導き出した結論を!
震える手でカードを配っている自分に気づく。オレと言うものが緊張しているのか、ゲームマスターといういつもしていることだと言うのに。いや、虚勢はやめよう。確かにオレは興奮している、それと同時に恐怖している。
快楽攻めに7対1、このゲームは最初から結末が決まっている出来レースだと言ってもいい、勝機はほぼ無い。
それでもここまで抗い、最後の最後まで自らの勘なのか計算なのか分かりもしない謎の根拠をもとに邁進する。追い詰めていたはずなのに、いつの間にか追い詰められている、そんな心地さえする圧倒的緊張感を、この極限状態にも関わらず確かに奴は発していた。もう一度言う、この極限状態でた。
「……さあ、めくれよ。コレが最後のカードだぜ」
触った瞬間に少し違和感を感じた最後のカードをハジメはなんの躊躇もなく触った。一度めくれば快楽を伴うはずなのにだ。
……この瞬間に察してしまった。ああ、負けた。そのカードの数字を当ててやろう、7だ。もっというと♤の7だ。オレはアサヒナ・ハジメという人間を甘く見ていた。
勢いよくめくる。いつものように粘液が噴き出ることはない。当然だ、そのカードはもう使用済みなのだから。
♤7
この瞬間、ハジメは大きな雄叫びを上げて叫ぶ。
「よし、21!! 俺の勝ちだな!」
誰もがその雄叫びを聞く。嬉しそうなスター、表情の読めないジョセフ、少しだけ悔しそうなアナ、敵だったくせになぜか喜んでいるブルーブック。そして1/16を引いたと驚く人間と、ハジメの本当の狙いを見抜きそれを見事引き立てた豪運に戦慄する人間の二手に分かれる。
「最初のイカサマテストのせいで負けるとか、こんなのあり?」
アナはため息をこぼす。そうだ、この♤7は1番最初にハジメがイカサマ防止のための確認するために手に取ったカード。その時魔力が既に噴射されていたから、全てのデッキの中でコレだけが勝負前から既に使用済みだったと言うわけだ。
それを覚えていたハジメは看破した。オレが持っている次に配るカードは魔力を帯びていないから♤7以外はありえないと見切った。まだこの世界に来て1日しか経っていないのに、魔力の感じ方、気配の掴み方を覚えたってのか。
「これで文句無いよな、JB」
「……文句を考えてたけど、思いつかなかったぜ」
様々な意味で衝撃を受ける。魔力の扱いに長けた人間でもちゃんと念じないと魔力を感じたり計測する事なんて出来ないのに、快楽によって惚けた頭でそれを判断したのか。運においてもそうだ、沢山用意したデッキの中からたまたま選んだ3組目のそれで、♤7が突破口になるだなんて。何万どころか何百万分の1なんだろう。運においても、能力においても、快楽への耐性、全てにおいて完全勝利を成し遂げてしまったそいつを否定する言葉は持ち合わせていない。
「す、素晴らしいです! 流石は天使様!」
感極まったスターがハジメに頬擦りした。油断してたのか、快楽が体から抜け落ちてなかったのか、呆気のない声を出していたが、
「あ、ぅん……♡俺つえーから、負けたりしねえよ」
気分がいいのか許してもらえたようだ。
……そうだな、強い。全ての意味で強かった。あの時オレが言った弱い捨て犬発言を訂正しよう。確かに意地っ張りで強がりで一見哀れな奴に見えるが、いざという時は強かで、いつの間にか周りを味方にするポテンシャルすらある。さしずめいざという時しか強くなれないと言った感じだ。
しかもこの世界における魔術の才能すらのか勝負で証明したハジメ。これから舞い込むだろうコイツの受難を想像しつつ、今は約束を果たそうと手を動かす。
__あ、言っておくが諦めたわけじゃないからな。ハジメがオレの前で元の世界に帰りたくないとか一瞬でも言った瞬間に行動を起こすつもりだから、そのつもりで。
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