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JBからの挑戦状
勝負
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「なあ、それはオレとお前だけの秘密にしておこうか……」
「そのつもりだ。誰かに行ってみろ、いの一番に引っ叩いてやる」
元の世界では親にも満足に話せなかった心境を名前しか知らないような奴に話してしまった。ついでに言うと自分でも気付かないフリしてた寂しがり屋なところを見せてしまった。この世界の人間は距離の詰め方がえげつねえ。
それはそれとして黙ってくれるのはありがたいが、ちょっとかかり気味な視線は怖い。何か他にとっておきでも持ってそうで油断出来ん気配があった。
「……あと、天界、いや元の世界に帰らなくてもいいんじゃないかな?」
「__は?」
なるほど、それが隠し球か。俺のためを思った善意であるとするなら、それは大きな間違いだ。両親に何も言っていない、学校側にも何の連絡も入れてないし、友達だって……友達はいなかった。
とにかくいくら周りがクソしかいないからと言って、何も言わずに違う世界に入り浸れるほど俺は薄情じゃない。邪魔だから消えてせいせいすると言われてもなんだかんだ最後ぐらい挨拶はするさ。
この世界の方が俺を受け入れてくれるといっても簡単に受け入れられる話ではなかった。
「え~でも元の世界に帰ってもハジメは1人で戦い続けるんだろ?」
「当然。俺の宿敵(身長)をなんとかするために日夜惜しみなく努力するさ」
「この世界はお前に対して何も酷いことはしない。寧ろ昨日スターにしてもらった事みたいな気持ちいいのを受けるだけでいいんだぜ? 何も考えなくていい、苦しまなくていい」
アレを思い出させるな。スターの顔を思い出すだけでも心がフルフルする。いやそれでもダメだ。思考を止める、それは俺にとって最も恐ろしい事である。毒舌が使えなくなる、周りの俺を馬鹿にしていた奴みたいに量産型のことしか言えなくなる、考えられなくなる。
だがJBの視線は真っ直ぐで、決して蔑んだら蔑視しているのではなく、200%善意で言ってきているのがわかる。生半可な反論ではすぐさま丸め込まれてしまうだろう。
元の世界に帰れる保証もないのに大それたことは言えない。それでも俺は、どうあっても考えることはやめない。この意思を伝える方法を考えていた。何だったら行動で、もっというと否定しようがないように出来るだけ目に見える形で。
「そっか、そんなに元の世界に帰りたいなら、ちょっとだけオレらと勝負しようよ。フィールドは、オレの魔法で準備するからさ」
「勝負だ?」
「そうそう。オレはゲームマスターとして不参加だから、ハジメとオレを除いたD組9人vsハジメでちょっとしたギャンブル。もちろん頭も使うけど」
……向こうからの挑戦か。向こうのフィールド、しかも運要素もある中でやるのはちと部が悪いとも考えてはみたが、他に納得させられる方法は思い浮かばなかったし、勝負事は白黒決めやすいし、むしろそれで勝った方が向こうも口答えしてこないなと思い直す。いいだろう。その申出を受諾した。
「へー……オレの魔法は【勝負(カジノ)】つって、勝った陣営の言うことは何でも聞かないといけないっていう面白い奴なんだ。オレがゲームマスターしないとだけど、頭も運も両方使うから結構スリルあるよ」
「知らん。魔法と魔術の違いもわからん」
そうだ、どっちでも構わん。俺からしたらそのゲームで勝つか負けるか、その次元の話だ。早くルールを言え、いやクラスの奴らと競い合うなら全員集まったタイミングが1番いいのか。
「そっか。まあそれは関係ないからいいよな、うん。求められるのは運と頭の良さ、あと快楽に耐える胆力があれば文句なしだよ」
「…….おいちょっと待て、快楽って何だ!」
「ゲームの進行によってハジメの身体がどんどん気持ちよくなっていく仕掛けも作るんだ、負けるだけじゃなくて、快楽に溺れてしまっても敗退って感じの」
最後の一言がなければ俺も気を引き締めることができたのに、なんて事言ってんだよ。確かに元の世界に帰ってもここで受けた快楽が癖になってたんじゃ大変なことになる。ナニがとは言わないが。
それでもそんな快楽を引き出された状態でまともにギャンブルなんて出来るわけねえだろ、それに乗った俺も悪いが、JBにはまた違った責任があると思う。
「勿論、最初からフェアにやり合うつもりはないよ。__だって、そんな事してたら君をこの世界に繋ぎ止められなくなるじゃん」
ふざけてんのかと睨みつけたものの、めちゃくちゃ怖い笑顔で対応される。目を見てわかった、コイツ本気だ。本気で俺をこの世界に留めておく気なんだ。そのためには快楽に堕とすことも平気でする。俺を助けるようで、試すような怖くも優しくもある瞳を前に、思わず言葉が止まってしまった。
「そのつもりだ。誰かに行ってみろ、いの一番に引っ叩いてやる」
元の世界では親にも満足に話せなかった心境を名前しか知らないような奴に話してしまった。ついでに言うと自分でも気付かないフリしてた寂しがり屋なところを見せてしまった。この世界の人間は距離の詰め方がえげつねえ。
それはそれとして黙ってくれるのはありがたいが、ちょっとかかり気味な視線は怖い。何か他にとっておきでも持ってそうで油断出来ん気配があった。
「……あと、天界、いや元の世界に帰らなくてもいいんじゃないかな?」
「__は?」
なるほど、それが隠し球か。俺のためを思った善意であるとするなら、それは大きな間違いだ。両親に何も言っていない、学校側にも何の連絡も入れてないし、友達だって……友達はいなかった。
とにかくいくら周りがクソしかいないからと言って、何も言わずに違う世界に入り浸れるほど俺は薄情じゃない。邪魔だから消えてせいせいすると言われてもなんだかんだ最後ぐらい挨拶はするさ。
この世界の方が俺を受け入れてくれるといっても簡単に受け入れられる話ではなかった。
「え~でも元の世界に帰ってもハジメは1人で戦い続けるんだろ?」
「当然。俺の宿敵(身長)をなんとかするために日夜惜しみなく努力するさ」
「この世界はお前に対して何も酷いことはしない。寧ろ昨日スターにしてもらった事みたいな気持ちいいのを受けるだけでいいんだぜ? 何も考えなくていい、苦しまなくていい」
アレを思い出させるな。スターの顔を思い出すだけでも心がフルフルする。いやそれでもダメだ。思考を止める、それは俺にとって最も恐ろしい事である。毒舌が使えなくなる、周りの俺を馬鹿にしていた奴みたいに量産型のことしか言えなくなる、考えられなくなる。
だがJBの視線は真っ直ぐで、決して蔑んだら蔑視しているのではなく、200%善意で言ってきているのがわかる。生半可な反論ではすぐさま丸め込まれてしまうだろう。
元の世界に帰れる保証もないのに大それたことは言えない。それでも俺は、どうあっても考えることはやめない。この意思を伝える方法を考えていた。何だったら行動で、もっというと否定しようがないように出来るだけ目に見える形で。
「そっか、そんなに元の世界に帰りたいなら、ちょっとだけオレらと勝負しようよ。フィールドは、オレの魔法で準備するからさ」
「勝負だ?」
「そうそう。オレはゲームマスターとして不参加だから、ハジメとオレを除いたD組9人vsハジメでちょっとしたギャンブル。もちろん頭も使うけど」
……向こうからの挑戦か。向こうのフィールド、しかも運要素もある中でやるのはちと部が悪いとも考えてはみたが、他に納得させられる方法は思い浮かばなかったし、勝負事は白黒決めやすいし、むしろそれで勝った方が向こうも口答えしてこないなと思い直す。いいだろう。その申出を受諾した。
「へー……オレの魔法は【勝負(カジノ)】つって、勝った陣営の言うことは何でも聞かないといけないっていう面白い奴なんだ。オレがゲームマスターしないとだけど、頭も運も両方使うから結構スリルあるよ」
「知らん。魔法と魔術の違いもわからん」
そうだ、どっちでも構わん。俺からしたらそのゲームで勝つか負けるか、その次元の話だ。早くルールを言え、いやクラスの奴らと競い合うなら全員集まったタイミングが1番いいのか。
「そっか。まあそれは関係ないからいいよな、うん。求められるのは運と頭の良さ、あと快楽に耐える胆力があれば文句なしだよ」
「…….おいちょっと待て、快楽って何だ!」
「ゲームの進行によってハジメの身体がどんどん気持ちよくなっていく仕掛けも作るんだ、負けるだけじゃなくて、快楽に溺れてしまっても敗退って感じの」
最後の一言がなければ俺も気を引き締めることができたのに、なんて事言ってんだよ。確かに元の世界に帰ってもここで受けた快楽が癖になってたんじゃ大変なことになる。ナニがとは言わないが。
それでもそんな快楽を引き出された状態でまともにギャンブルなんて出来るわけねえだろ、それに乗った俺も悪いが、JBにはまた違った責任があると思う。
「勿論、最初からフェアにやり合うつもりはないよ。__だって、そんな事してたら君をこの世界に繋ぎ止められなくなるじゃん」
ふざけてんのかと睨みつけたものの、めちゃくちゃ怖い笑顔で対応される。目を見てわかった、コイツ本気だ。本気で俺をこの世界に留めておく気なんだ。そのためには快楽に堕とすことも平気でする。俺を助けるようで、試すような怖くも優しくもある瞳を前に、思わず言葉が止まってしまった。
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