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いい子の反逆
驚愕の事実
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「スゲー本当に天使様だ!」
「ちっちぇーな、可愛過ぎだろ……食いてぇ……」
「落ち着け! ギャリック達が護衛してる、殺されるぞ!」
食堂に来てから、目に入るのは天井にある美しいステンドグラス。ライトもシャンデリアでまさに想像してた魔法魔術学校というやつ。木製のシックな椅子はこの世界の平均身長に合わせて作られているせいか、少し大きい。が、背伸びとジャンプを駆使すれば問題なく座れた。
そして俺より背も高くて異常なぐらい顔面偏差値が高い男、男、男。折角のバイキング形式の朝食も全然喉に入らん。しょうがないだろう、背の高い人間は皆敵だと遺伝子レベルで刷り込まれているんだから。
「大人しく見てるだけって昨日よりマシだな」
「今日は入学式だから……問題起こしたくないんだろうね」
「でも危ないからお前は後ろな。なんかされたらすぐにぶっ飛ばす」
……ジョセフの血の気が多いな。それに守られてばかりは性に合わない。仕方がない。俺の毒舌を披露して幻滅させるしかない。そんな羽が生えてふわふわしてる様な無害な存在じゃない。寧ろ口だけでライオンを涙目敗走させることが出来ると考えているこのチクチク言葉の限りを見せてやろう。
心配するあいつらを振り切って、一際男が集まっているそこへ歩いて向かう。ニッコリと笑ってやると、全員がザッ!っと俺を囲んだ。
「天使様が来たぞ!」
「お、おれフォユト・ブルーブッ__ゴフ!」
「おい抜け駆けすんな! 初めまして天使様、俺はアントニア・ユレイ__ガハ!」
「お前ら下半身しまってから喋れ! あ、自分はアンガルド・ヘン__ギャ!」
すげえよコイツら殴ったり魔術とか魔法っぽいので攻撃しながら自己紹介してやがる。体育会系レベル100かよ。まあいいや。興味深そうに見つめる男どもを見てニヤリと笑ってやる。そして、
「なんだお前ら、こんなちんちくりんに興奮して。女がいないからって可愛いのに飢え過ぎだろ、哀れ超えて最高に面白えな。サービスなんてしねえよ? サル相手にサービスしてたらキリねえぜ」
どうだ。結構攻撃力強めに言ったつもりだけど。スターやアナが焦っている、よしよし最低限の効果はあった様だな。ドヤ顔で男達を見る。ちょっとぐらいデカくてイケメンだからって調子に乗るなよ。しかし俺の予想とは打った、ユニーク超えて変質者的なリアクションが待っていた。
「言葉の暴力系天使様……最高っす!」
「いや違う、オスガキ系天使様だ、可愛い」
「わ、わからせてぇ」
「おんなって何だか知らねえけど、そんなのより天使様の方が可愛いに決まってる……!」
想定外というのにも限度があるだろう。全員傷ついたりムカつくこともなく、至って余裕そうな顔をしている。中にはこの状況を楽しんでいる、いや喜ぶ声もある。それでも一定の品位を保っている様に見えるのはこいつらがイケメンだからだろう。しかもコイツら女の存在を知らないだと? え? 確かにこの世界に来てから女の子を見たことがない。もしかしていないの?
いや違う。それはこのタイミングで気にする話ではない。ま、まだ負けんぞ。
「チビに罵倒されて興奮してるとか男以前に人としてどうなんだよ。サルに人間らしさ押し付けるのが間違いだってわかってるけどよ、せめて人間様の前で盛んなよな」
「「「「はい! 僕たちはサル以下です!!!」」」」
「わからせてぇ!!」
「馬鹿野郎オレがわからせるんだ!」
更なる攻撃! ……のはずなのになぜ喜んでいるんだ。しかもさっきまで殴り合ってた癖にここぞというタイミングで結託するな!ちょっと怖くなってきたぞ。
「て、天使様! 流石の罵倒です! でもあんまり欲情させては襲い掛かられてしまうかも……」
スターの助言により狂乱に陥っている野郎どもから離れることにした。どうして幻滅しないんだ、猿とか言われたら普通は腹立つし言い返しもするだろ、と言うよりしろよ、俺の毒舌が発揮できないだろ。
「な、なんでコイツらは罵られて興奮してんだ……?」
「そりゃ天使様に罵倒されたらソッチの趣味に目覚めても仕方ないというか……」
「寧ろ煽った天使様がよくないと思われます」
あ、煽り? 確かに怒りは煽った自覚はある、でも興奮や性欲を煽ったつもりはねえぞ。ひょっとして自覚がないだけで俺って実は結構可愛いしエロいのかな。
後もう2つ怖い懸念点がある。1つ目はその、アイツらは俺に対して物凄い性欲を抱いている。それはもう一万歩譲って理解してやろう。でもそんな俺の最初を奪ったのは隣にいるスターだ。しかと着替え時に紐パン履くのを手伝って貰った。こんなの知ったらこの中の何人が気を違ってしまうのか、これが怖くて仕方がない。
そして2つ目の懸念点というより素朴な疑問。これから曲がりなりにもこの学園で、この世界で少しだけでも世話になるなら、ちゃんとハッキリさせたい事があった。
「……なあ、この世界って女いないの?」
そう。さっきあの変態イケメンマッチョマン共と漫才をしている時に勘づいてしまったこと。この世界には女の子がいないんじゃないか説。それの真偽だ。いや、ちゃんといるよな、だってそうしないと人間は種として繁栄できないもんな!?
そんな俺のすがる様な考えとは打って変わって、現実はシビアだった。
「おんな……?」
「それはどんな感じの生き物なんだ? 天界に住んでるのか?」
「図鑑とか色々見てるけど、そういう生物は見た事ねえな」
……オーマイゴット。女がいない世界だと? つまり俺がこの世界から出られない限り、もう2度と彼女が出来ることは無いってのか? 可愛いって言われるのも女子相手ならまだモテてるという錯覚に陥る事が出来たのに、この世界には身長が高くてイケメンなゲイしか居ないってことかよ。
半ば絶望して俺がアイツらを煽っている間にアナが取ってきてくれたクリームパスタを食べる手が止まる。頭を抱えそうになったタイミングで、また関西弁の奴が現れた。
「よお愛すべき生徒諸君、喧騒の中、絶望の中、失礼するで!」
「ちっちぇーな、可愛過ぎだろ……食いてぇ……」
「落ち着け! ギャリック達が護衛してる、殺されるぞ!」
食堂に来てから、目に入るのは天井にある美しいステンドグラス。ライトもシャンデリアでまさに想像してた魔法魔術学校というやつ。木製のシックな椅子はこの世界の平均身長に合わせて作られているせいか、少し大きい。が、背伸びとジャンプを駆使すれば問題なく座れた。
そして俺より背も高くて異常なぐらい顔面偏差値が高い男、男、男。折角のバイキング形式の朝食も全然喉に入らん。しょうがないだろう、背の高い人間は皆敵だと遺伝子レベルで刷り込まれているんだから。
「大人しく見てるだけって昨日よりマシだな」
「今日は入学式だから……問題起こしたくないんだろうね」
「でも危ないからお前は後ろな。なんかされたらすぐにぶっ飛ばす」
……ジョセフの血の気が多いな。それに守られてばかりは性に合わない。仕方がない。俺の毒舌を披露して幻滅させるしかない。そんな羽が生えてふわふわしてる様な無害な存在じゃない。寧ろ口だけでライオンを涙目敗走させることが出来ると考えているこのチクチク言葉の限りを見せてやろう。
心配するあいつらを振り切って、一際男が集まっているそこへ歩いて向かう。ニッコリと笑ってやると、全員がザッ!っと俺を囲んだ。
「天使様が来たぞ!」
「お、おれフォユト・ブルーブッ__ゴフ!」
「おい抜け駆けすんな! 初めまして天使様、俺はアントニア・ユレイ__ガハ!」
「お前ら下半身しまってから喋れ! あ、自分はアンガルド・ヘン__ギャ!」
すげえよコイツら殴ったり魔術とか魔法っぽいので攻撃しながら自己紹介してやがる。体育会系レベル100かよ。まあいいや。興味深そうに見つめる男どもを見てニヤリと笑ってやる。そして、
「なんだお前ら、こんなちんちくりんに興奮して。女がいないからって可愛いのに飢え過ぎだろ、哀れ超えて最高に面白えな。サービスなんてしねえよ? サル相手にサービスしてたらキリねえぜ」
どうだ。結構攻撃力強めに言ったつもりだけど。スターやアナが焦っている、よしよし最低限の効果はあった様だな。ドヤ顔で男達を見る。ちょっとぐらいデカくてイケメンだからって調子に乗るなよ。しかし俺の予想とは打った、ユニーク超えて変質者的なリアクションが待っていた。
「言葉の暴力系天使様……最高っす!」
「いや違う、オスガキ系天使様だ、可愛い」
「わ、わからせてぇ」
「おんなって何だか知らねえけど、そんなのより天使様の方が可愛いに決まってる……!」
想定外というのにも限度があるだろう。全員傷ついたりムカつくこともなく、至って余裕そうな顔をしている。中にはこの状況を楽しんでいる、いや喜ぶ声もある。それでも一定の品位を保っている様に見えるのはこいつらがイケメンだからだろう。しかもコイツら女の存在を知らないだと? え? 確かにこの世界に来てから女の子を見たことがない。もしかしていないの?
いや違う。それはこのタイミングで気にする話ではない。ま、まだ負けんぞ。
「チビに罵倒されて興奮してるとか男以前に人としてどうなんだよ。サルに人間らしさ押し付けるのが間違いだってわかってるけどよ、せめて人間様の前で盛んなよな」
「「「「はい! 僕たちはサル以下です!!!」」」」
「わからせてぇ!!」
「馬鹿野郎オレがわからせるんだ!」
更なる攻撃! ……のはずなのになぜ喜んでいるんだ。しかもさっきまで殴り合ってた癖にここぞというタイミングで結託するな!ちょっと怖くなってきたぞ。
「て、天使様! 流石の罵倒です! でもあんまり欲情させては襲い掛かられてしまうかも……」
スターの助言により狂乱に陥っている野郎どもから離れることにした。どうして幻滅しないんだ、猿とか言われたら普通は腹立つし言い返しもするだろ、と言うよりしろよ、俺の毒舌が発揮できないだろ。
「な、なんでコイツらは罵られて興奮してんだ……?」
「そりゃ天使様に罵倒されたらソッチの趣味に目覚めても仕方ないというか……」
「寧ろ煽った天使様がよくないと思われます」
あ、煽り? 確かに怒りは煽った自覚はある、でも興奮や性欲を煽ったつもりはねえぞ。ひょっとして自覚がないだけで俺って実は結構可愛いしエロいのかな。
後もう2つ怖い懸念点がある。1つ目はその、アイツらは俺に対して物凄い性欲を抱いている。それはもう一万歩譲って理解してやろう。でもそんな俺の最初を奪ったのは隣にいるスターだ。しかと着替え時に紐パン履くのを手伝って貰った。こんなの知ったらこの中の何人が気を違ってしまうのか、これが怖くて仕方がない。
そして2つ目の懸念点というより素朴な疑問。これから曲がりなりにもこの学園で、この世界で少しだけでも世話になるなら、ちゃんとハッキリさせたい事があった。
「……なあ、この世界って女いないの?」
そう。さっきあの変態イケメンマッチョマン共と漫才をしている時に勘づいてしまったこと。この世界には女の子がいないんじゃないか説。それの真偽だ。いや、ちゃんといるよな、だってそうしないと人間は種として繁栄できないもんな!?
そんな俺のすがる様な考えとは打って変わって、現実はシビアだった。
「おんな……?」
「それはどんな感じの生き物なんだ? 天界に住んでるのか?」
「図鑑とか色々見てるけど、そういう生物は見た事ねえな」
……オーマイゴット。女がいない世界だと? つまり俺がこの世界から出られない限り、もう2度と彼女が出来ることは無いってのか? 可愛いって言われるのも女子相手ならまだモテてるという錯覚に陥る事が出来たのに、この世界には身長が高くてイケメンなゲイしか居ないってことかよ。
半ば絶望して俺がアイツらを煽っている間にアナが取ってきてくれたクリームパスタを食べる手が止まる。頭を抱えそうになったタイミングで、また関西弁の奴が現れた。
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