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エシィニアへ
ダンゴムシ
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……
…………
………………
「っというわけで、勇者の仲間であるこの船の名前はダンゴムシに決定した!」
「いいや何でだよ!」
さっき静観すると言ったな、それは間違っていないし実際静かにしとこうと思ってた。でもこんなことになったらを意を唱える権利はあるはずだ。みんな考えてみて欲しい、具体的には仲間だと言われて喜んだ束の間あだ名がダンゴムシになる気持ちを考えてみて欲しい。イジメかなんかだろ、そんな庭の石どけたらいる虫の名前つけても誰も喜ばねえよ。
「だってなんか暗いし……」
「丸っこいし」
「そもそもくじ引きで決まったんだから仕方ねえよ」
民主主義に慣れていない俺達が今更真似事をしてみたところでいい成果が得られることはない。現に話し合った結果究極の民主主義はくじ引きというどこかズレているあきらの発言に誰一人反論出来なかった。
システムは至って簡単、1人1人が一番しっくりくる船の名前を紙に書き、箱に入れる。そしてその中から一つを選ぶ。公正をきすために投票をしていないトッカラムが選んで引くことになっている。あと当たり前だけど魔法禁止。俺もとりあえず名前をつけといた。見た目が黒いから黒船来航って。黒船が苗字で来航が名前な。
「ってか誰だよ船にダンゴムシってつけたやつ」
「えー別に誰でもよくない?」
「うんぶっちゃけ誰がつけたかは問題じゃない、その誰にでも持てるものじゃないネーミングセンスの持ち主という意味で気になる」
「そりゃわかる気がする」
何気に初めて薫相手に論破できたんじゃあないのかと思う。まあ本人は言い合うつもりもないといった振る舞いだから論破ではない気もするけど。
俺のネーミングセンスもそれなりにひどいとは思う、ただ黒いってだけなのに黒船ってつけてしかも黒船来航だからな。自分で言うのもなんだけど壊滅的だと思ってた。でもダンゴムシを見るとあー自分って全然まともな感性なんだなんだ、安心した。だがここまで来ると逆に気になる、船相手にダンゴムシって名付けるその破壊的センスの持ち主が気になる、ここまで来たら返って芸術なのかもしれない、しかも死んだ後に評価されるタイプの。
「……仁、手伝って」
「え? うーん……センス悪いっつったら鳳じゃあねえの?」
「俺じゃないよ、俺はまっくろくろすけっていう可愛い名前にしたから」
大差ねえよ。確かにそっちの方が気持ち可愛いけどさ、本当にささやかな差しかない。わかるようにいうならどんぐりの背比べ。
「っていうか真田のやつ普通に捜査とか出来るんだな」
「そりゃあ、えっと、どういう意味?」
「いやもっとこう……刀構えて脅迫してきそうな感じ?」
真司は仁のことをどう思ってるんだろう。思い出してみろよ暴力沙汰は……多い、多すぎて考えさせられる。でももう警察官目指すんだからな、そんなことしないぞ……ベルも殺させない、俺が。まだどうするかも決めてないけどな。
「その、犯人探しはまた後にして……まずはエシィニア大陸に着いて作戦会議しないか?」
「え、でもいま逃すとこの船の名前はずっとダンゴムシのままだぞ」
「まさかひょっとして喜助が……」
「いやいや、濡れ衣だよ! 俺はちゃんと名前をつけたさ、ポチってつけたんだよ!」
「「「犬か!」」」
予想通りいや失礼、それ相応なセンスの持ち主な喜助に急かされる。……今は会議のほうが大事か。
「ダンゴムシのやつは……運が悪かったな、きっと書いたやつも当たるなんて思ってなかったんだ」
「そうである事を祈る。ちなみに聞いとくけど、仁はなんで名前をつけたんだ?」
「……ごめんなさい、ダンゴムシって書きました……」
「____そうか」
せめて隠せよ。そんなんだから譲治が遠回しに不良向いてないとか言ってくるんだぞ。その後もカッコいい思ってたからとか、確率40分の1だぜとか言っている。もうすでにこの際ダンゴムシで良くない? っと言った空気だからなにも反論はしないが、これからこの船をダンゴムシと呼ぶたびに変な気持ちになりそうだ。
「なあさ、ダンゴムシってどんな虫なんだ」
トッカラムが尋ねてきた。そうか、この世界にはダンゴムシがいないのか?
「いやいるんだろうけど、俺たちが住んでた洞窟には1匹もいなかったな」
あーなるほど。ダンゴムシってのは……なんか小さくて、足がいっぱいあって丸くなれる甲殻類みたいなやつだ。
「へぇーなんか強そうだな」
「めちゃくちゃ小さいぞ」
「でも黒くて転がれるんだろ? カッケーと思う、見てみたいぜ」
……物はいいよう、いいや考えようというやつだな。
…………
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「っというわけで、勇者の仲間であるこの船の名前はダンゴムシに決定した!」
「いいや何でだよ!」
さっき静観すると言ったな、それは間違っていないし実際静かにしとこうと思ってた。でもこんなことになったらを意を唱える権利はあるはずだ。みんな考えてみて欲しい、具体的には仲間だと言われて喜んだ束の間あだ名がダンゴムシになる気持ちを考えてみて欲しい。イジメかなんかだろ、そんな庭の石どけたらいる虫の名前つけても誰も喜ばねえよ。
「だってなんか暗いし……」
「丸っこいし」
「そもそもくじ引きで決まったんだから仕方ねえよ」
民主主義に慣れていない俺達が今更真似事をしてみたところでいい成果が得られることはない。現に話し合った結果究極の民主主義はくじ引きというどこかズレているあきらの発言に誰一人反論出来なかった。
システムは至って簡単、1人1人が一番しっくりくる船の名前を紙に書き、箱に入れる。そしてその中から一つを選ぶ。公正をきすために投票をしていないトッカラムが選んで引くことになっている。あと当たり前だけど魔法禁止。俺もとりあえず名前をつけといた。見た目が黒いから黒船来航って。黒船が苗字で来航が名前な。
「ってか誰だよ船にダンゴムシってつけたやつ」
「えー別に誰でもよくない?」
「うんぶっちゃけ誰がつけたかは問題じゃない、その誰にでも持てるものじゃないネーミングセンスの持ち主という意味で気になる」
「そりゃわかる気がする」
何気に初めて薫相手に論破できたんじゃあないのかと思う。まあ本人は言い合うつもりもないといった振る舞いだから論破ではない気もするけど。
俺のネーミングセンスもそれなりにひどいとは思う、ただ黒いってだけなのに黒船ってつけてしかも黒船来航だからな。自分で言うのもなんだけど壊滅的だと思ってた。でもダンゴムシを見るとあー自分って全然まともな感性なんだなんだ、安心した。だがここまで来ると逆に気になる、船相手にダンゴムシって名付けるその破壊的センスの持ち主が気になる、ここまで来たら返って芸術なのかもしれない、しかも死んだ後に評価されるタイプの。
「……仁、手伝って」
「え? うーん……センス悪いっつったら鳳じゃあねえの?」
「俺じゃないよ、俺はまっくろくろすけっていう可愛い名前にしたから」
大差ねえよ。確かにそっちの方が気持ち可愛いけどさ、本当にささやかな差しかない。わかるようにいうならどんぐりの背比べ。
「っていうか真田のやつ普通に捜査とか出来るんだな」
「そりゃあ、えっと、どういう意味?」
「いやもっとこう……刀構えて脅迫してきそうな感じ?」
真司は仁のことをどう思ってるんだろう。思い出してみろよ暴力沙汰は……多い、多すぎて考えさせられる。でももう警察官目指すんだからな、そんなことしないぞ……ベルも殺させない、俺が。まだどうするかも決めてないけどな。
「その、犯人探しはまた後にして……まずはエシィニア大陸に着いて作戦会議しないか?」
「え、でもいま逃すとこの船の名前はずっとダンゴムシのままだぞ」
「まさかひょっとして喜助が……」
「いやいや、濡れ衣だよ! 俺はちゃんと名前をつけたさ、ポチってつけたんだよ!」
「「「犬か!」」」
予想通りいや失礼、それ相応なセンスの持ち主な喜助に急かされる。……今は会議のほうが大事か。
「ダンゴムシのやつは……運が悪かったな、きっと書いたやつも当たるなんて思ってなかったんだ」
「そうである事を祈る。ちなみに聞いとくけど、仁はなんで名前をつけたんだ?」
「……ごめんなさい、ダンゴムシって書きました……」
「____そうか」
せめて隠せよ。そんなんだから譲治が遠回しに不良向いてないとか言ってくるんだぞ。その後もカッコいい思ってたからとか、確率40分の1だぜとか言っている。もうすでにこの際ダンゴムシで良くない? っと言った空気だからなにも反論はしないが、これからこの船をダンゴムシと呼ぶたびに変な気持ちになりそうだ。
「なあさ、ダンゴムシってどんな虫なんだ」
トッカラムが尋ねてきた。そうか、この世界にはダンゴムシがいないのか?
「いやいるんだろうけど、俺たちが住んでた洞窟には1匹もいなかったな」
あーなるほど。ダンゴムシってのは……なんか小さくて、足がいっぱいあって丸くなれる甲殻類みたいなやつだ。
「へぇーなんか強そうだな」
「めちゃくちゃ小さいぞ」
「でも黒くて転がれるんだろ? カッケーと思う、見てみたいぜ」
……物はいいよう、いいや考えようというやつだな。
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