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絶対氷河の侍
空高く!!
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氷の反射のおかげかそこまで暗くなかった洞窟でも、やっぱしモノホンのお天堂さまの光は違うな、目を覆ってしまうほどの眩しさに深く何回も瞬いてしまう、しかも今はよりにもよって一番眩しい時間だろう夕方。丘の上から見る大きなそこは活気に溢れてそれでも規律が確立されたそこ、現代日本人が思い描く江戸の街にそっくりな懐かしのヒノマルだ。
あの大きな大阪城のような蔵に隠れている長屋がやけに懐かしく感じる、そして城下の先へ先へと進むとある港町には俺らがおいてきた最早愛船というべきなのか、名前はないけど(是非名付けはしたいと思ってる)、とにかくそれが俺たちの帰りを待つかのように堂々といるのが見える。改めてほんとに大きいな、40人では手に余る大きさだ、近くにある家屋の何倍の大きさがあるのだろう……
「なんだありゃぁ!?」
「驚きましたねトッカラムさん?」
「アレは強国グルーデンの最新技術の結晶にして、勇者さま方を運ぶ足でもある、名前は……なんでしょう?」
「知らねえのかよ」
「っというより多分ないぜ」
やっぱ名前ないんだな。……いやいや、俺たちがつけたって碌な名前にはならないだろう。
「ってかもう夕方じゃねえか、タイムリミットあるしちゃっちゃと行こうぜ」
「え? 皇子様達への挨拶は無しでいいのかよ」
「よりにもよって梓がそれ言うんか……」
挨拶なんて言っても宴会とかを開くわけじゃないからな。色々あってすぐに魔王のところ行かないと行けなくなりました、早いところ後2つの島を超えてベルのところに行きますって言うだけだ。ここで引き留めるような無粋なことはしないと信じているし、それにそれぐらい言っとかないと失礼って話しだ。
「わかった。では委員長が上手い感じにしてくれるだろう、後の奴らはさっさと船に乗れ、足手まといだからな」
「時雨!? そうか、わかった、委員長だもんな。……ほ、本当に僕1人?」
「……嘘だよ。お前はこの副委員長がいなきゃ詰めが甘いからな」
「ぼ、僕も行ってきます! これからも勇者さまのお側で勉強をしたいと伝えに……晴雄様も如何ですか?」
「うーん……まあ皇子に代わるほどのタマモの保護者にはなれないと思うけど。挨拶程度ならいいかなぁ」
高松はバツが悪そうな顔をしていた、どうやら喜助にはお得意のドSな冗談が通用しないとわかったようだ。こんなのが自分よりも多く票を獲得したのが信じられないと言った感情はあるかも知れないが、それを考えても割と相性のいいコンビだなと思ってる。
タマモも挨拶がしたいようで、晴雄を無理矢理引っ張る感じで行こうとしている。蓮の件ですっかりタマモの世話係を任せてしまっているな。次の島なんだけ……そうそうエシィニア大陸(読みにくい)に着くまでは海上生活だろうし、一緒に面倒みておこう。……別に弟は心残りじゃないからな。
「じゃあ城下突っ切るか! いっその事こと凱旋しちゃう?」
「そうやって単細胞はすぐに自分の戦果を見せたがるんだから~まあ俺も人のこと言えないけどね」
「あ!? 羽原はそれよりいい方法知ってんのかよ」
「うん。城下に住んでる人の迷惑にならなくて、凱旋ってのもついでにできると思うよ、知らんけど」
じゃあ後は頼んだと皇子様が住んでいる長屋に行く4人を見送る。あんま乗り気じゃなかった晴雄が足早に行くのを不審に思ったが、今思えば多分アレは逃げたかったんだと思う。さてどうするのだろうと思っていたら、薫がまた魔力で作ったドラゴンを出す。風のやつだ。何をする気だよと聞く前に俺は、いや俺たちは青空へとぶっ飛ばされた。以上だ。何が起こったのかわからんぞと言われそうだが俺だって知らない。起こった事をありのままに伝えたらこうなったんだからな。
「なんじゃこりゃ! 落ちる落ちる!」
「大丈夫、これから滑空するから」
「いつからお前は鳥人間になったんだよ!」
全員慌てふためいて何故だか余裕そうなかおるをみんなで見る。俺とて例外ではない、仁の体に縋り付いている。仁も一気に俺を手繰り寄せて離さんとばかりに抱きしめられている、嬉しいし安心感半端ないけど、上半身が痛え。
「なあお前らってさ、ジ○リのハ○ル知ってる?」
「呑気だな! ……まあ知らないやつのが珍しいと思うけど」
……知らない人のために簡単に説明しておくと、ハウ○の○く城とは、悪い魔女のせいで老婆になってしまった女の人が家を離れ、そして動く城に辿り着き、住み込みの掃除婦として世話になる話だ。悪魔カルシュファーに城の主人であるハウルの秘密を暴けば、呪いを解いてやると契約を持ちかけられ、最終的に戦争に巻き込まれたりするけど……まあなんやかんやあって無事呪いも解けてハウルとも和解してハッピーエンドって感じだ。
「途中でさ、ハウルとソフィーが一緒に手を繋いで空を歩くシーンあるじゃん?」
「それがなんだよ」
「俺ってば夢見がちな男の子だからさ、一度でいいからやってみたかったんだよね!」
……まさか、その、マジ?
あの大きな大阪城のような蔵に隠れている長屋がやけに懐かしく感じる、そして城下の先へ先へと進むとある港町には俺らがおいてきた最早愛船というべきなのか、名前はないけど(是非名付けはしたいと思ってる)、とにかくそれが俺たちの帰りを待つかのように堂々といるのが見える。改めてほんとに大きいな、40人では手に余る大きさだ、近くにある家屋の何倍の大きさがあるのだろう……
「なんだありゃぁ!?」
「驚きましたねトッカラムさん?」
「アレは強国グルーデンの最新技術の結晶にして、勇者さま方を運ぶ足でもある、名前は……なんでしょう?」
「知らねえのかよ」
「っというより多分ないぜ」
やっぱ名前ないんだな。……いやいや、俺たちがつけたって碌な名前にはならないだろう。
「ってかもう夕方じゃねえか、タイムリミットあるしちゃっちゃと行こうぜ」
「え? 皇子様達への挨拶は無しでいいのかよ」
「よりにもよって梓がそれ言うんか……」
挨拶なんて言っても宴会とかを開くわけじゃないからな。色々あってすぐに魔王のところ行かないと行けなくなりました、早いところ後2つの島を超えてベルのところに行きますって言うだけだ。ここで引き留めるような無粋なことはしないと信じているし、それにそれぐらい言っとかないと失礼って話しだ。
「わかった。では委員長が上手い感じにしてくれるだろう、後の奴らはさっさと船に乗れ、足手まといだからな」
「時雨!? そうか、わかった、委員長だもんな。……ほ、本当に僕1人?」
「……嘘だよ。お前はこの副委員長がいなきゃ詰めが甘いからな」
「ぼ、僕も行ってきます! これからも勇者さまのお側で勉強をしたいと伝えに……晴雄様も如何ですか?」
「うーん……まあ皇子に代わるほどのタマモの保護者にはなれないと思うけど。挨拶程度ならいいかなぁ」
高松はバツが悪そうな顔をしていた、どうやら喜助にはお得意のドSな冗談が通用しないとわかったようだ。こんなのが自分よりも多く票を獲得したのが信じられないと言った感情はあるかも知れないが、それを考えても割と相性のいいコンビだなと思ってる。
タマモも挨拶がしたいようで、晴雄を無理矢理引っ張る感じで行こうとしている。蓮の件ですっかりタマモの世話係を任せてしまっているな。次の島なんだけ……そうそうエシィニア大陸(読みにくい)に着くまでは海上生活だろうし、一緒に面倒みておこう。……別に弟は心残りじゃないからな。
「じゃあ城下突っ切るか! いっその事こと凱旋しちゃう?」
「そうやって単細胞はすぐに自分の戦果を見せたがるんだから~まあ俺も人のこと言えないけどね」
「あ!? 羽原はそれよりいい方法知ってんのかよ」
「うん。城下に住んでる人の迷惑にならなくて、凱旋ってのもついでにできると思うよ、知らんけど」
じゃあ後は頼んだと皇子様が住んでいる長屋に行く4人を見送る。あんま乗り気じゃなかった晴雄が足早に行くのを不審に思ったが、今思えば多分アレは逃げたかったんだと思う。さてどうするのだろうと思っていたら、薫がまた魔力で作ったドラゴンを出す。風のやつだ。何をする気だよと聞く前に俺は、いや俺たちは青空へとぶっ飛ばされた。以上だ。何が起こったのかわからんぞと言われそうだが俺だって知らない。起こった事をありのままに伝えたらこうなったんだからな。
「なんじゃこりゃ! 落ちる落ちる!」
「大丈夫、これから滑空するから」
「いつからお前は鳥人間になったんだよ!」
全員慌てふためいて何故だか余裕そうなかおるをみんなで見る。俺とて例外ではない、仁の体に縋り付いている。仁も一気に俺を手繰り寄せて離さんとばかりに抱きしめられている、嬉しいし安心感半端ないけど、上半身が痛え。
「なあお前らってさ、ジ○リのハ○ル知ってる?」
「呑気だな! ……まあ知らないやつのが珍しいと思うけど」
……知らない人のために簡単に説明しておくと、ハウ○の○く城とは、悪い魔女のせいで老婆になってしまった女の人が家を離れ、そして動く城に辿り着き、住み込みの掃除婦として世話になる話だ。悪魔カルシュファーに城の主人であるハウルの秘密を暴けば、呪いを解いてやると契約を持ちかけられ、最終的に戦争に巻き込まれたりするけど……まあなんやかんやあって無事呪いも解けてハウルとも和解してハッピーエンドって感じだ。
「途中でさ、ハウルとソフィーが一緒に手を繋いで空を歩くシーンあるじゃん?」
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「俺ってば夢見がちな男の子だからさ、一度でいいからやってみたかったんだよね!」
……まさか、その、マジ?
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