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絶対氷河の侍
トッカラム
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……俺の腕にはまだ妖怪がいる。
「なんかその、ごめんな」
「お前が謝ることじゃねえよ……」
総司たちに取り押さえられた仁を見ていると罪悪感を感じるが、それでも手には我が物顔で居座る氷の妖精がいる。こんなに小さくて可愛いのに中身がおっさんだとガッカリしてしまう自分がいながら、心のどこかでこれは合法なのではと考えてしまう自分もいる(おおよそ自分がショタコンのせい)。
「まあその、真田の気持ちもわかるぜ。この変態エロ親父が、早く洞窟から出て離さねえと……」
「失礼な、俺はまだ36歳だ! 精霊ってのはオマエラより長生きだからまだまだピッチピチに若いぞ」
うわ親父って呼んでいいのかお兄さんと呼ぶべきなのか絶妙なラインだな。でもこいつの話を信じるなら本来はまだ20代ぐらいか? まだスケベなお兄さんだな。隙あらば服の中に侵入してきそうなぐらい目をギラギラさせているスケベなお兄さんを必死に止めつつ仁を宥めていた。自分で言うのもなんだけどどう考えても逆効果だったみたいで、さらに怒っている。
「おい梓……お前はそれぐらいエロい彼氏の方がいいんか?」
「いや性欲には寛容だけど、ここまでの性豪はちょっとな~」
「そうか。もしアレぐらいがいいんだったらいつでも手加減を辞めてやるからな」
「未来永劫手加減しといてくれ」
彼氏ながら恐ろしいやつだ、アレで自重してるのかよ……って確かに言われてみればそれなりに手加減されてきたのかも。ここら辺でやめとくかってよく言われていたような気がする。
「……なんだよエロい兄ちゃん、ひょっとしてこいつとデキてんのか?」
「うぇ!? う、うーん……まあ一応?」
「一応じゃねえよバリバリ恋人だわ」
もしも解放軍のようになりふり構わず俺を犯すようなことになったら、俺の身体はどうなってしまうのだろうと身震いしていたところに不意打ち。男しかいない世界だから男同士の恋愛もさも当たり前のように受け入れてくれるこの世界は恐ろしい。そして当然のように彼氏面する仁を後ろで見つめる総司の目も恐ろしい。
「そうだよなぁ……もう恋人なんだよな」
怒るわけでも複雑そうな顔をするわけでもなく、どういった感情なのかわからない無の表情で呟く総司はやけに不気味だ。もともと仁に対しては当たりが強いというか、俺を守ろうとするあまり仁よりも極端な行動に出たがるところはあった(流石に魔王の呪いの件は自重していた)けど、無の表情は初めていたかもしれない。全然うれしくはないけれど。いっそのこと露骨にガッカリしてたり悔しそうな方が安心したってのに。
「ほーん……なかなか罪作りなことしたんじゃあねえの。兄ちゃんエロいからな、モテる男は辛いねぇー」
終いにはなぜだか知ったようなことを言われる。……後で総司にはカウンセリングが必要だと船での予定が一つ増えた。
とにかく前へ進むぞと前の喜助たちが声を上げる、総司も仁をようやく離した。ついでに俺とコロポックルを無理やり剥がした。なんでだよと暴れ回るそいつは総司が、なすがままな俺は再び仁におぶられる。
「うわまた怪力男だ! なんでお前ら人間のくせにこんなに力強いんだ!?」
「全員異世界特典あるからな。多分梓でも倒せるぞ」
信じられないような目で俺を見てくる。……物理攻撃はてんでダメだけど悩殺なら出来るかもしれない。
「おい梓、やめろよ」
まだ何もいってないのに仁に止められた、シンプルに感が良すぎるし俺ってばそんなにいやらしいというか、わかりやすい顔してたのか? 結果仁ともあまり話せずコロポックルとも目を合わせることができずに、ただ運ばれていた。
外が見えたぞ! っと前から声が聞こえるまであまり時間が掛からなかった。それなのに長く感じた、それは恋人に対する罪悪感からか、後ろから感じるコロポックルからの猛烈といっていい視線からなのか、それは定かではない。
「……本当に精霊さんとバイバイ?」
「まあこいつにも家族や仲間がいるからな」
「健吾だって、俺達と無理矢理離れ離れになったら辛いだろ?」
「そ、そうだけど……こんなに可愛いのに」
「お前はさっきまでの何を見てきたんだ」
健吾を説得してとにかく妖怪ではなく精霊とはここでお別れ、悲しそうにお別れの言葉を考えている。……しかし吉か凶か、コロポックルは宣言をした。
「……いや、俺はお前らについて行く! あの若造の魔王をぶちのめすんだろ? なら利害の一致ってやつだ!」
__何を言っているのかわからなかった。お前仲間はいいのか、そんな簡単にホイホイ決めていいことなのか。
「い、いいのか? コロポックル」
「コロポックルなんてちんけな名前じゃない、『トッカラム』だ! それにこんなエロ可愛い兄ちゃんほっとく方が失礼だぜ?」
「じゃあこれからもギュってしていいんだよね!?」
「じゃあオレも殴っていいよな?」
……トッカラムにとっては3つの意味で吉と出るか凶と出るかの選択肢だけど、それでもいいのだろうか。見守ることしかできない。
「なんかその、ごめんな」
「お前が謝ることじゃねえよ……」
総司たちに取り押さえられた仁を見ていると罪悪感を感じるが、それでも手には我が物顔で居座る氷の妖精がいる。こんなに小さくて可愛いのに中身がおっさんだとガッカリしてしまう自分がいながら、心のどこかでこれは合法なのではと考えてしまう自分もいる(おおよそ自分がショタコンのせい)。
「まあその、真田の気持ちもわかるぜ。この変態エロ親父が、早く洞窟から出て離さねえと……」
「失礼な、俺はまだ36歳だ! 精霊ってのはオマエラより長生きだからまだまだピッチピチに若いぞ」
うわ親父って呼んでいいのかお兄さんと呼ぶべきなのか絶妙なラインだな。でもこいつの話を信じるなら本来はまだ20代ぐらいか? まだスケベなお兄さんだな。隙あらば服の中に侵入してきそうなぐらい目をギラギラさせているスケベなお兄さんを必死に止めつつ仁を宥めていた。自分で言うのもなんだけどどう考えても逆効果だったみたいで、さらに怒っている。
「おい梓……お前はそれぐらいエロい彼氏の方がいいんか?」
「いや性欲には寛容だけど、ここまでの性豪はちょっとな~」
「そうか。もしアレぐらいがいいんだったらいつでも手加減を辞めてやるからな」
「未来永劫手加減しといてくれ」
彼氏ながら恐ろしいやつだ、アレで自重してるのかよ……って確かに言われてみればそれなりに手加減されてきたのかも。ここら辺でやめとくかってよく言われていたような気がする。
「……なんだよエロい兄ちゃん、ひょっとしてこいつとデキてんのか?」
「うぇ!? う、うーん……まあ一応?」
「一応じゃねえよバリバリ恋人だわ」
もしも解放軍のようになりふり構わず俺を犯すようなことになったら、俺の身体はどうなってしまうのだろうと身震いしていたところに不意打ち。男しかいない世界だから男同士の恋愛もさも当たり前のように受け入れてくれるこの世界は恐ろしい。そして当然のように彼氏面する仁を後ろで見つめる総司の目も恐ろしい。
「そうだよなぁ……もう恋人なんだよな」
怒るわけでも複雑そうな顔をするわけでもなく、どういった感情なのかわからない無の表情で呟く総司はやけに不気味だ。もともと仁に対しては当たりが強いというか、俺を守ろうとするあまり仁よりも極端な行動に出たがるところはあった(流石に魔王の呪いの件は自重していた)けど、無の表情は初めていたかもしれない。全然うれしくはないけれど。いっそのこと露骨にガッカリしてたり悔しそうな方が安心したってのに。
「ほーん……なかなか罪作りなことしたんじゃあねえの。兄ちゃんエロいからな、モテる男は辛いねぇー」
終いにはなぜだか知ったようなことを言われる。……後で総司にはカウンセリングが必要だと船での予定が一つ増えた。
とにかく前へ進むぞと前の喜助たちが声を上げる、総司も仁をようやく離した。ついでに俺とコロポックルを無理やり剥がした。なんでだよと暴れ回るそいつは総司が、なすがままな俺は再び仁におぶられる。
「うわまた怪力男だ! なんでお前ら人間のくせにこんなに力強いんだ!?」
「全員異世界特典あるからな。多分梓でも倒せるぞ」
信じられないような目で俺を見てくる。……物理攻撃はてんでダメだけど悩殺なら出来るかもしれない。
「おい梓、やめろよ」
まだ何もいってないのに仁に止められた、シンプルに感が良すぎるし俺ってばそんなにいやらしいというか、わかりやすい顔してたのか? 結果仁ともあまり話せずコロポックルとも目を合わせることができずに、ただ運ばれていた。
外が見えたぞ! っと前から声が聞こえるまであまり時間が掛からなかった。それなのに長く感じた、それは恋人に対する罪悪感からか、後ろから感じるコロポックルからの猛烈といっていい視線からなのか、それは定かではない。
「……本当に精霊さんとバイバイ?」
「まあこいつにも家族や仲間がいるからな」
「健吾だって、俺達と無理矢理離れ離れになったら辛いだろ?」
「そ、そうだけど……こんなに可愛いのに」
「お前はさっきまでの何を見てきたんだ」
健吾を説得してとにかく妖怪ではなく精霊とはここでお別れ、悲しそうにお別れの言葉を考えている。……しかし吉か凶か、コロポックルは宣言をした。
「……いや、俺はお前らについて行く! あの若造の魔王をぶちのめすんだろ? なら利害の一致ってやつだ!」
__何を言っているのかわからなかった。お前仲間はいいのか、そんな簡単にホイホイ決めていいことなのか。
「い、いいのか? コロポックル」
「コロポックルなんてちんけな名前じゃない、『トッカラム』だ! それにこんなエロ可愛い兄ちゃんほっとく方が失礼だぜ?」
「じゃあこれからもギュってしていいんだよね!?」
「じゃあオレも殴っていいよな?」
……トッカラムにとっては3つの意味で吉と出るか凶と出るかの選択肢だけど、それでもいいのだろうか。見守ることしかできない。
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