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こういう事もあるだろう
すき焼きとご奉仕メイド
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「えっと、色々あって遅れてしまったが……とにかく今は朝食をいただこう」
喜助のおかげで世紀末寸前だった俺達は、無事すき焼きにありつけるようになった。この異世界に来て喜助は元々あるリーダー力というか、学級委員長パワーが増している気がする。ついて行く俺としてはいいこと尽くめで嬉しい限りだが、それまでにどんな苦行を積ませたのかと思うと、手放しには喜べなかった。多分いや絶対俺は喜助に無茶をさせてきたって言う自信がある、褒められたことではないけれど。
いいや今は食おう。空いてしまった腹にお肉を入れたい、お肉大好き、旨味と元気も100倍だ。
「「「いただきます!!!」」」
さあ先ずは肉を鍋に入れよう、すき焼きは順序とバランスが大事だ。最初はお肉だけ入れて焼く、その後にこの羽原薫が自分で作ったと言っていた割下を入れる。家によって味が違うが、俺はどちらかと言えば砂糖多めが好みだ。肉の美味しさを味わうために最初はあえて野菜は入れない、この一枚がひたすらに美味しいんだ。
最初にすき焼きとを溶き卵を一緒に食べた人は、世界を牛耳るほどの名声と富を得てもいいと思う、それぐらいの天才的発想だ。合わないはずがない。甘辛い割下に圧倒的攻撃力を有する牛の旨味は相性が良すぎる、それに卵のまろやかさで包み込む、美味しくないわけがないんだ。
「すげえ真剣な顔だな」
「これはあれだ、将来有望な鍋奉行だ」
両隣の仁と薫が苦笑いしている。それぐらいは感じれるぐらいまだ外界への関心があるが、すき焼きを食べ始めたら次第に気にしなくなるだろう。強いて言うなら、薫には食い意地の張った弟を見るみたいな表情で見られたのは少し不服だったけど。
「薫、俺はお前の弟でも妹でもないからな」
「やっべバレてた?」
「そんな家族を見るみたいな目で見られたら落ち着かん、次男だったら耐えられたかもだけど俺は長男だから耐えられない」
羽原薫、実を言うとコイツは中学が一緒の知り合いだったりする。よくいるだろう、たいして仲良くないけど学校が一緒だから面識があるやつ、都会では知らないけ地方都市という名の田舎ならよくあるんだ。いつも明るくて日向にいたあいつと、決まった人としか話さなかった俺とでは仲良くできるわけない。趣味も好きなものも何も知らないけど、こうして話すと友達多いだけはあるなと思うほど明るいやつだ。
おっとそんなことよりお肉が焼けた。このタイミングで割下を少量かける。ポイントは少量であることだ、というよりお肉の旨みを一番に感じる一口目は、是非自分の好みの味の濃さにしてもらいたい。俺としては少なめでお肉の味を堪能したい。割下を入れた途端に鍋の熱でジュワッと音を立てるのがたまらない。最初の1枚を準備した溶き卵に投入、あとは食べるだけだ。
「うまい……」
「本当梓って肉好きなんだな」
「これは1人で焼肉行ってる歴戦の風格だ……」
美味すぎる。ちゃんとすき焼き、俺好みの甘さで言うことなしの百点満点。次にお肉を少々入れる、最初と最後はお肉で〆たい俺は途中のお肉をグッと我慢する。白菜長ネギを入れて、春菊、しらたき、そして焼き豆腐を入れて、割下をさっと入れる。お好みで割下を入れると更に自分好みの味に仕上がることができる。因みにすき焼きの定番であるしいたけの顔は見えない、これはしいたけ滅びろ教の陰謀とみていいだろう。
煮たったら食べる。異世界でもお肉の美味しさは色褪せることを知らない。むしろ有機栽培とは無縁の食材を食べて育った牛さんは現実世界よりも美味しいのかも。出来ることなら最初から最後までお肉たっぷりが良かったが、数に限りがあるから美味しいというのもある、まあ俺はずっとお肉でも幸せだけど。そんな朝から元気いっぱいだった俺に、いやクラスに、水を差す出来事が起こる。
「う……ごめんなさい。僕ちょっと頭がクラクラするよ」
「健吾大丈夫か?……実は俺も体調が優れなくてな」
健吾と喜助が不調を訴えた。食あたりか? いや食あたりなら普通は腹痛だろう。体調が優れないはあり得るが、頭がクラクラは無いと思う。……あれ? なんか俺まで頭ぼーっとして来た気がする。そんな俺らを筆頭に少しずつみんながおかしくなり始めた。ここまでくれば偶然では無いだろう、すき焼きに原因があるとしか思えない。すると意外とカンが鋭いのか、仁が早くも原因を突き止めた。
「おい羽原、割下に何入れやがった」
「え? 昨日使った醤油と砂糖と、あと料理酒だぜ」
「料理酒だ?」
「おう。キッチンにあったし料理酒じゃねえかな」
「……それアルコール入ってねえか確かめてないだろ」
しばらくして薫があっと声を出した。俺からしたらあっじゃ無いんだけども、今は身体がきつくてたまらん。すぐにでも休みたいところだが……やばいあんだけ美味しいはずのお肉が遠ざかる、いまはベットの方が恋しい。
「大変だ! とりあえず全員医務室は運んでくれ。七海、瀬戸、手伝ってくれ!」
何やら大事になってしまった。その被害者である俺は、その成り行きを見守ることしかできなかった。すると、そんな俺に気が付いたのか、仁が酩酊状態の俺を抱っこしてくれた。嬉しい。酒が回ってんのか、いつもよりも仁がカッコよく見える。そのままキスしてくれねぇかなー……
「梓大丈夫か?」
「じん~じんしゅきぃ……」
「はいはい。酔っ払い相手に手は出せねえから、せめてシラフの時に頼むわ」
朝食は大事になって手がつかられず、そのまままたヒーラー達が大活躍することになった。
喜助のおかげで世紀末寸前だった俺達は、無事すき焼きにありつけるようになった。この異世界に来て喜助は元々あるリーダー力というか、学級委員長パワーが増している気がする。ついて行く俺としてはいいこと尽くめで嬉しい限りだが、それまでにどんな苦行を積ませたのかと思うと、手放しには喜べなかった。多分いや絶対俺は喜助に無茶をさせてきたって言う自信がある、褒められたことではないけれど。
いいや今は食おう。空いてしまった腹にお肉を入れたい、お肉大好き、旨味と元気も100倍だ。
「「「いただきます!!!」」」
さあ先ずは肉を鍋に入れよう、すき焼きは順序とバランスが大事だ。最初はお肉だけ入れて焼く、その後にこの羽原薫が自分で作ったと言っていた割下を入れる。家によって味が違うが、俺はどちらかと言えば砂糖多めが好みだ。肉の美味しさを味わうために最初はあえて野菜は入れない、この一枚がひたすらに美味しいんだ。
最初にすき焼きとを溶き卵を一緒に食べた人は、世界を牛耳るほどの名声と富を得てもいいと思う、それぐらいの天才的発想だ。合わないはずがない。甘辛い割下に圧倒的攻撃力を有する牛の旨味は相性が良すぎる、それに卵のまろやかさで包み込む、美味しくないわけがないんだ。
「すげえ真剣な顔だな」
「これはあれだ、将来有望な鍋奉行だ」
両隣の仁と薫が苦笑いしている。それぐらいは感じれるぐらいまだ外界への関心があるが、すき焼きを食べ始めたら次第に気にしなくなるだろう。強いて言うなら、薫には食い意地の張った弟を見るみたいな表情で見られたのは少し不服だったけど。
「薫、俺はお前の弟でも妹でもないからな」
「やっべバレてた?」
「そんな家族を見るみたいな目で見られたら落ち着かん、次男だったら耐えられたかもだけど俺は長男だから耐えられない」
羽原薫、実を言うとコイツは中学が一緒の知り合いだったりする。よくいるだろう、たいして仲良くないけど学校が一緒だから面識があるやつ、都会では知らないけ地方都市という名の田舎ならよくあるんだ。いつも明るくて日向にいたあいつと、決まった人としか話さなかった俺とでは仲良くできるわけない。趣味も好きなものも何も知らないけど、こうして話すと友達多いだけはあるなと思うほど明るいやつだ。
おっとそんなことよりお肉が焼けた。このタイミングで割下を少量かける。ポイントは少量であることだ、というよりお肉の旨みを一番に感じる一口目は、是非自分の好みの味の濃さにしてもらいたい。俺としては少なめでお肉の味を堪能したい。割下を入れた途端に鍋の熱でジュワッと音を立てるのがたまらない。最初の1枚を準備した溶き卵に投入、あとは食べるだけだ。
「うまい……」
「本当梓って肉好きなんだな」
「これは1人で焼肉行ってる歴戦の風格だ……」
美味すぎる。ちゃんとすき焼き、俺好みの甘さで言うことなしの百点満点。次にお肉を少々入れる、最初と最後はお肉で〆たい俺は途中のお肉をグッと我慢する。白菜長ネギを入れて、春菊、しらたき、そして焼き豆腐を入れて、割下をさっと入れる。お好みで割下を入れると更に自分好みの味に仕上がることができる。因みにすき焼きの定番であるしいたけの顔は見えない、これはしいたけ滅びろ教の陰謀とみていいだろう。
煮たったら食べる。異世界でもお肉の美味しさは色褪せることを知らない。むしろ有機栽培とは無縁の食材を食べて育った牛さんは現実世界よりも美味しいのかも。出来ることなら最初から最後までお肉たっぷりが良かったが、数に限りがあるから美味しいというのもある、まあ俺はずっとお肉でも幸せだけど。そんな朝から元気いっぱいだった俺に、いやクラスに、水を差す出来事が起こる。
「う……ごめんなさい。僕ちょっと頭がクラクラするよ」
「健吾大丈夫か?……実は俺も体調が優れなくてな」
健吾と喜助が不調を訴えた。食あたりか? いや食あたりなら普通は腹痛だろう。体調が優れないはあり得るが、頭がクラクラは無いと思う。……あれ? なんか俺まで頭ぼーっとして来た気がする。そんな俺らを筆頭に少しずつみんながおかしくなり始めた。ここまでくれば偶然では無いだろう、すき焼きに原因があるとしか思えない。すると意外とカンが鋭いのか、仁が早くも原因を突き止めた。
「おい羽原、割下に何入れやがった」
「え? 昨日使った醤油と砂糖と、あと料理酒だぜ」
「料理酒だ?」
「おう。キッチンにあったし料理酒じゃねえかな」
「……それアルコール入ってねえか確かめてないだろ」
しばらくして薫があっと声を出した。俺からしたらあっじゃ無いんだけども、今は身体がきつくてたまらん。すぐにでも休みたいところだが……やばいあんだけ美味しいはずのお肉が遠ざかる、いまはベットの方が恋しい。
「大変だ! とりあえず全員医務室は運んでくれ。七海、瀬戸、手伝ってくれ!」
何やら大事になってしまった。その被害者である俺は、その成り行きを見守ることしかできなかった。すると、そんな俺に気が付いたのか、仁が酩酊状態の俺を抱っこしてくれた。嬉しい。酒が回ってんのか、いつもよりも仁がカッコよく見える。そのままキスしてくれねぇかなー……
「梓大丈夫か?」
「じん~じんしゅきぃ……」
「はいはい。酔っ払い相手に手は出せねえから、せめてシラフの時に頼むわ」
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