上 下
97 / 216
前を向いて歩こう

驚愕の事実

しおりを挟む
また大河に土下座して腰痛を治してもらおうと考えながら、さっさと服着て風呂場へ向かった。この状態でみんなに会うのは控えめに言って恥ずかしすぎる、大袈裟に言って自殺を考えるレベルの羞恥を伴うから、こそこそ隠れていた。もう大きい男2人が隠れながら風呂場へ駆け込むのを想像してほしい、うん多分はたから見たら絶対面白い。

高校生なんてまだ子供だから図体ばかり大きくなったと言われても反論のはの字も出ないけど、言い訳のけの字まで言う方が恥ずかしいからここはその通りですとでも言っておく。昼間の風呂場は誰もいないから、ちょっと泳げるかなとワクワクしてしまうが、今は泳いでる場合ではないなんてこたぁちゃんとわかっている。早いうちに風呂に入ってしまおう。

「浴場にも人は居ねえみたいだぜ、泳げそうだな」

「俺と同じこと考えてんのか」

高校生にもなって大浴場で泳ぐなんてみっともないこと考えてんのは俺ぐらいだと思っていた。でも意外と一般的な思考なのではとワクワクを隠しきれない表情の仁を見ていたらふと思った。やんわりと泳ぐのをやめるように促して、とりあえず一服したいと思いながらテキパキと服を脱いだ。メイド服というよりスカートは股がスースーして落ち着かない。中学の時の女の子も同じこと考えていたんだろうか……?

「うお……」

「ん? どしたん?」

「なんか、そんな簡単に服脱いで良いのかとおもってさ。なんというか、感無量……」

「変態」

「ゴメンなさい」

俺の変態に予想の倍近く傷ついている仁。確かに今まで散々セックスしていた相手の前で、なんの躊躇いもなく簡単に服を脱ぐのは警戒心がない行動だった。気休めにしかならないけど、タオル巻いとくか。勿論胸に巻くんじゃないからな。腰に巻くだけだぞ。

「さあ行くぞ」

「おい上半身隠してねえじゃねえか」

変態とまた声に出しさんになったけどなんとか堪えて、それは恥ずかしいから嫌だと穏便に話を進めようとした。人生で上半身隠せって男に言われるのは多分これっきりだろう……仁と同棲することになったらどうかは分からんけど。

「まあ恥ずかしいのは分かるけど。なんというか、上半身曝け出してる梓見て正気でいられる自信がないんだ。……恥ずかしい思いして無事でいるのと、そこ格好で俺に襲われるの、どっちが良い?」

「胸から巻かせていただきます」

ギラギラとした目に逆らえすはずもなく、恥ずかしい気持ちをグッと堪えて、タオルを巻かせてもらった。腹筋があるからワンチャン女の子に見えなくもない……と思っていたけどそんな事はなく、やっぱり自分ではこの身体の何処がエロいのかいまいちわからない。端的にいえば対してエロくも可愛くもなかった。

だが仁と俺の視界というより世界は、何処か根本的にずれているようだ。そんな俺を見ても嬉しそうな顔をしていた。俺は一体どうするべきなのだ。

「やっぱりそっちでもエロいな……」

「お前の悪い癖を教えてやる、思った事を後先考えずに言ってしまう事だ」

仁相手にここまで強く出られるなんて俺も強くなったな、いや違う仁が俺に対して弱くなったのか。俺が先々と風呂場へ向かうと、後ろからついてくる足音が聞こえる。そうだ、ようやく浴場なんだしアレを聞くか。俺の中に出された精子はどうやって後処理してるんだ? 今までした事なかったから、この際仁に教えてもらいたい。

「後処理な。初めてセックスした時に気が付いたんだけどさ、梓が気を失った後に中に入ってんの掻き出そうとして……ちょっと中指入れたんだよ」

「それはいい。元々俺が勝手に気絶したのが悪いんだから」

「でも結構探してみたんだけど、何処にも見当たらなくてな。それこそ腹の中で消えてるみたいに」

「……それってもしかして腸とかに入ったってことか? どうしよう薬とか必要なんかな、腹痛とかの心配は?」

思わずゾッとした。俺の身体にまだ仁のどころかふじやんのとか健吾のとか、それが残っているのかもしれない。どうしようどうしよう、なんか自然と出てくるのかもとは考えたが、そんなの出たことないからそれは無いと思うけど……

「ベルトルトさんに教わったんだけどよ、梓の尻穴は常時清浄されているみたいなんだ」

「……洗浄のこと言ってんのか?」

「そうそう多分それだ。淫魔の力もあるから、ある程度の時間が経つと精子も消えるらしいぜ。ついでに腸内洗浄もされて健康的だってのも話してた」

ああこの世界は本当に、俺の予想を遥かに超えるなと軽く目眩を起こした。マジでそんなことあるんかい、いや起きとんのか。俺の身体いつからそんなマジカルパワー手に入れたんだ。もっと竜巻起こしたり雷落としたりかっこいい能力が欲しかった。

「ごめん、ちょっと湯船に入って頭冷やしてくる」

「梓、風呂は暑いから頭の温度も上がるぜ」

「……じゃあシャワーで滝行してくる」

後ろでたきぎょう? ってなんだと質問責めを喰らう。頭痛くなってきはじめた。ついでに俺はなぜか落ちていた石鹸で転んで頭を打った。踏んだり蹴ったり。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...