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前を向いて歩こう
本当の恋人 ⭐︎
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「そんなに俺の身体は見応えあるんか?」
「……黙って脱いで勃たせてろ」
「オレはミケランジェロの石像……?」
「ダビデはそんなデカマラでもないし、しかも勃起してねぇよ」
勝ち誇った自信気な顔をしていたもんで、ついついムードも何もないことを言ってしまった。しかし仁を見てみれば、俺のはダビデよりもスゴイのかと嬉しそうにしている。確かに外人越えはすごいけど、その前に石像と比べられるとこを嘆けよ。
「じゃあ尻慣らすから、ちょっとだけ腰上げてくれ」
「うん、よっこいせ……あぅう、入れるん早い! もっとゆっくりしてくれ!」
そんなに待ちきれなかったのかよ。ゆっくり入れてくれるだろうという謎の思考のせいで、完璧に油断していた。だらしのない声が喉を通るのとほぼ同じタイミングで、さっと口を塞いだ。声の漏洩はこれで問題ないだろう。聞かれたのが悔しいもんだったから、すかさずゆっくりしろと叫んだ。
「ご、ごめんな。身体エロいし、加減がわからないと言うより……我慢出来なくて。」
そこまで俺とのセックスを楽しみにしていてくれたのか……悪い気はしないけど、それで言いくるめられるのは嫌だ。だってもしそうなってしまったら、筋肉も体格はもちろん言葉ですら、仁の方が一枚上手と言うことになってしまう。それはなんか……色々ダメな気がする。
ただえさえこうして俺が入れられる側なのに、何もかも負けたらもうそれは健全な恋人ではない気がして。不良と健全な関係築こうとしている時点でダメと言われるかもしれないけど、恋人がいなくてきちんとお付き合いをした事がない俺はそんな幻想を今でも追いかけてしまっている。
「……なあさ」
「どうした?」
「この前も言った記憶あるけど俺も男なんだよ」
「この前聞いたことある」
「それでも可愛いとかエロいとか言うの?」
「もちろん。ただの男じゃない、梓だから恋をしたんだ」
そんな口説き文句どこで覚えたんだよ、そんなロマンチックな言葉俺が言う側になりたかった。正直に言えば俺自身も仁に色々言われるのは悪くないと思っている。男に言われるのが好きなんじゃないんだ、仁だから言われて嬉しいのだと思っている。こんな事口が裂けても声に出して話せたことではないけど、きっと喜ぶんだろうなと考える。
「あー……ごめん、たしかに俺焦ったたのかも」
するといきなり指をするりと抜いた。身体がビクリとしたのがバレませんようにと祈っていると、ポツポツと声を出し始めた。弱々しい声を前に、俺もさっきまであった不条理とか矛盾への怒りが少しずつ消えていった。大丈夫かと聞く前に、はやくも話は進んでいく。
「男の女も関係ないからさ。俺、梓を守りたいんだよ。お前力も弱いし守らないと……魔王の時とか、今回みたいに俺の側からいなくなりそうなんだよ」
「……うん」
大体そんなことを話していた。こんな仁の声初めて聞いたから、思わず心のどこかでこんな可哀想な仁の声聞きたくない。そう思ってしまったのかもしれない。でもようやくわかった。仁の心の奥に少しだけ触れる事ができた事がある。
ああ、これも俺のせいか。俺が馬鹿みたいに危険な間に合いまくってるから、仁は恋人を守りたいって言う感情に抱かなくても良い重すぎる責任感とか、使命感とかを募らせているってわけだな。男らしい体とは相反するように、小動物の如く身体を小さくして怯えている仁に、そっと手を回す。
「……ごめん。大丈夫だ、どこにもいきゃあせんよ。魔王の時も今回の薫やふじやんの時もさ、俺仁を忘れたりしなかった。その、あれだ、俺も好きだよ」
背中をさすってあげたら少しは落ち着いたみたいで、そっと頭を撫でてくれた。こんな俺でも、追い詰められていた仁の大事な恋人のために役に立てたのかと、いやいや元はと言えば俺が元凶だぜ、これぐらいで勇気を出した気になるのはちょっと傲慢かもしれない。
「サンキューもう大丈夫だぜ。さあ待たせたな、ヤるぞ」
「なんでだよ」
「よく分かんないけど、子供あやしてるお母さんみたいで興奮したから……」
仁がバブみに目覚めてしまった。多分本人はそんな言葉知らないだろうからさぞ未知の感覚に戸惑っている事だろう。まあそれはそれとして、仁が俺のせいで不安だったり寂しい気持ちになっているのならば、出来ることをしたいと思う。こうしてそばにいてあげることは勿論、手を繋いだり抱きしめたり……セックスもしたいと思う。
「……入れるぞ」
「わかった、さっきみたいにいきなり奥に入れるなよ」
腹を括る。嬉しい以外の感情が見当たらない仁の顔を見ていると、こうして身体を差し出す己が妙に誇らしい存在に思えてくる。だが、はやく気持ち良くして欲しいなぁと考える淫乱でもなければ、中出ししてもらいたいと訴えるほどメス落ちしてはいない。
ただ俺は仁といたかった。セックスよりも遥かに大事な、恋人の存在を強く感じれる今が凄く好きだ。
「あ、あ、んぅ……もうちょっと一気に入れてもいいよ……」
「ダメだ、梓のためにゆっくりする」
ただこのゆっくりの挿入は、違った意味で身体が変になる。まあ仁が喜んでるし……いいかな。
「……黙って脱いで勃たせてろ」
「オレはミケランジェロの石像……?」
「ダビデはそんなデカマラでもないし、しかも勃起してねぇよ」
勝ち誇った自信気な顔をしていたもんで、ついついムードも何もないことを言ってしまった。しかし仁を見てみれば、俺のはダビデよりもスゴイのかと嬉しそうにしている。確かに外人越えはすごいけど、その前に石像と比べられるとこを嘆けよ。
「じゃあ尻慣らすから、ちょっとだけ腰上げてくれ」
「うん、よっこいせ……あぅう、入れるん早い! もっとゆっくりしてくれ!」
そんなに待ちきれなかったのかよ。ゆっくり入れてくれるだろうという謎の思考のせいで、完璧に油断していた。だらしのない声が喉を通るのとほぼ同じタイミングで、さっと口を塞いだ。声の漏洩はこれで問題ないだろう。聞かれたのが悔しいもんだったから、すかさずゆっくりしろと叫んだ。
「ご、ごめんな。身体エロいし、加減がわからないと言うより……我慢出来なくて。」
そこまで俺とのセックスを楽しみにしていてくれたのか……悪い気はしないけど、それで言いくるめられるのは嫌だ。だってもしそうなってしまったら、筋肉も体格はもちろん言葉ですら、仁の方が一枚上手と言うことになってしまう。それはなんか……色々ダメな気がする。
ただえさえこうして俺が入れられる側なのに、何もかも負けたらもうそれは健全な恋人ではない気がして。不良と健全な関係築こうとしている時点でダメと言われるかもしれないけど、恋人がいなくてきちんとお付き合いをした事がない俺はそんな幻想を今でも追いかけてしまっている。
「……なあさ」
「どうした?」
「この前も言った記憶あるけど俺も男なんだよ」
「この前聞いたことある」
「それでも可愛いとかエロいとか言うの?」
「もちろん。ただの男じゃない、梓だから恋をしたんだ」
そんな口説き文句どこで覚えたんだよ、そんなロマンチックな言葉俺が言う側になりたかった。正直に言えば俺自身も仁に色々言われるのは悪くないと思っている。男に言われるのが好きなんじゃないんだ、仁だから言われて嬉しいのだと思っている。こんな事口が裂けても声に出して話せたことではないけど、きっと喜ぶんだろうなと考える。
「あー……ごめん、たしかに俺焦ったたのかも」
するといきなり指をするりと抜いた。身体がビクリとしたのがバレませんようにと祈っていると、ポツポツと声を出し始めた。弱々しい声を前に、俺もさっきまであった不条理とか矛盾への怒りが少しずつ消えていった。大丈夫かと聞く前に、はやくも話は進んでいく。
「男の女も関係ないからさ。俺、梓を守りたいんだよ。お前力も弱いし守らないと……魔王の時とか、今回みたいに俺の側からいなくなりそうなんだよ」
「……うん」
大体そんなことを話していた。こんな仁の声初めて聞いたから、思わず心のどこかでこんな可哀想な仁の声聞きたくない。そう思ってしまったのかもしれない。でもようやくわかった。仁の心の奥に少しだけ触れる事ができた事がある。
ああ、これも俺のせいか。俺が馬鹿みたいに危険な間に合いまくってるから、仁は恋人を守りたいって言う感情に抱かなくても良い重すぎる責任感とか、使命感とかを募らせているってわけだな。男らしい体とは相反するように、小動物の如く身体を小さくして怯えている仁に、そっと手を回す。
「……ごめん。大丈夫だ、どこにもいきゃあせんよ。魔王の時も今回の薫やふじやんの時もさ、俺仁を忘れたりしなかった。その、あれだ、俺も好きだよ」
背中をさすってあげたら少しは落ち着いたみたいで、そっと頭を撫でてくれた。こんな俺でも、追い詰められていた仁の大事な恋人のために役に立てたのかと、いやいや元はと言えば俺が元凶だぜ、これぐらいで勇気を出した気になるのはちょっと傲慢かもしれない。
「サンキューもう大丈夫だぜ。さあ待たせたな、ヤるぞ」
「なんでだよ」
「よく分かんないけど、子供あやしてるお母さんみたいで興奮したから……」
仁がバブみに目覚めてしまった。多分本人はそんな言葉知らないだろうからさぞ未知の感覚に戸惑っている事だろう。まあそれはそれとして、仁が俺のせいで不安だったり寂しい気持ちになっているのならば、出来ることをしたいと思う。こうしてそばにいてあげることは勿論、手を繋いだり抱きしめたり……セックスもしたいと思う。
「……入れるぞ」
「わかった、さっきみたいにいきなり奥に入れるなよ」
腹を括る。嬉しい以外の感情が見当たらない仁の顔を見ていると、こうして身体を差し出す己が妙に誇らしい存在に思えてくる。だが、はやく気持ち良くして欲しいなぁと考える淫乱でもなければ、中出ししてもらいたいと訴えるほどメス落ちしてはいない。
ただ俺は仁といたかった。セックスよりも遥かに大事な、恋人の存在を強く感じれる今が凄く好きだ。
「あ、あ、んぅ……もうちょっと一気に入れてもいいよ……」
「ダメだ、梓のためにゆっくりする」
ただこのゆっくりの挿入は、違った意味で身体が変になる。まあ仁が喜んでるし……いいかな。
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