50 / 216
魔王の陰謀 上
迫り来る時
しおりを挟む
「なあさ、もうそろそろ許してくれよ……」
「嫌だ。発情するのは可愛いからいい。でも浮気はしないでほしい」
高松はまだ許してくれた?けど希望も立て続けに寝た(何もしてない)ことで、仁はすっかり御立腹だ。何としてでも手を離さないと言う強い意志を感じた。俺的にはわざとじゃないと言い返したい気持ちと、こんなに心配されるのは意外と悪くないなと言う思いがせめぎ合っている状況。一方それに対する周りの反方はというと、
「いい加減変わってくれ」
「第一お前のものじゃないだろう」
「何が浮気だよ強姦野郎」
こんな感じだ。そろそろ仁は強姦していないって声高らかに言うべき時かもしれない。あと変わってくれって何だよ。俺後何人にこれやられるの?
「今日は例の時までこのままだ」
「えー……」
食事や自由時間だけではなく、トイレまでついていこうとする仁に怖いものはない。まあ夜にあんなのが控えている状況で、緊張をほぐす意味ではありがたかった。背中に張り付いて離れようとしない仁を完璧に肯定するわけではないが、食べづらそうにしていたご飯を口に持っていってあげたりした。それを見た周りが、何やら悲しそうな顔をしているのになぜが申し訳なくなる。
♢
遂にその時が来た。
「海辺のショー会場には歩いて行けるが……梓はこの馬車を使うが良い」
王国が準備してくれた馬車は、大国の馬車にしては色合いなんかが控えめと言うか、質素というか。まあ貸してくれるだけ仏だ。この服で町内歩くのは……流石に怖いから。
「昨晩はチルトが皆様のご迷惑になるようなことは……」
「うるせーよ兄貴」
「お黙り!夜になる前の飲酒はあれほどやめなさいと」
「あー……やめてくれ。二日酔いの頭に響く」
「な!?」
チルトさんとリーさんは喧嘩?をしていた。あんまり仲良くないんかなと思ったが、よく聞けばリーさんが心配しているだけだった。弟を気遣うのはまあわからんでもないし、俺は内心リーさんの味方だった。
「大体、あれほど煙草もお酒も控えるようにと宮廷医師にも口酸っぱく言われているでしょう。それなのに八缶一箱を欠かしたことがありますか?」
「俺の人生のルーティンだ。二箱じゃないだけありがたいだろう」
「……そんなんだから婚期逃すんですよ」
「俺は結婚しないだけです~」
8缶一箱ってヤバそうだな、肝臓真っ暗とかそんな次元じゃねえぞ。でも、ちゃんと酒をしまっている。一時は辞めてくれるんだから、まあまだマシな方か。
「お兄様に言われたから一時間は禁酒と30分は禁煙だな」
……リーさんが真っ青になっている。たまたま聞いていた俺達も真っ青になった。同じくその一部始終を見ていたベルトルトさんは、少し困った顔をしていた。
「……騒がしい息子たちで済まん。船に乗ればもうワシらはついていけない、しかしいきなりお主らだけと言うのは些か気が引ける。そこで、お前達にあるものを渡そう!」
気分一新と、喜助に顔ぐらいの大きめな水晶玉のようなものを渡していた。用途はわからない、確かめようと動こうとしたが……
「梓、馬車に乗ろう。2人で」
「え?お前も乗るん?」
いかにもそれが世界の常識って感じで俺と馬車に乗ろうとする仁に、周りがブーイングを飛ばす。俺はそれを止めることはできない、ブーイングも仁が無理やり俺を乗せようとするのも止められない。なすがままに乗せられて、またもや背中から抱きしめられた。しかも仁が座るから必然的に膝に乗るような感じになっている。
「……変なことされたらすぐに言えよ」
「運が良かったな」
周りも諦めたみたいで、仁に警戒心を向けつつ、前に歩き出した。仁はなかなか頑固なやつだな。こうと決めたらてこでも意見を曲げないタイプと見た。
馬車が町内を歩いていたら街の声がよく聞こえる。今日は休日なのだろうか。それとも夕方なせいだろうか。賑やかな気がした。それは全然悪いことじゃない、むしろいい事だ。しかし話を聞いているうちに手放しでは喜べなくなった。
「知ってるか?今日のショーはめちゃくちゃ可愛い踊り子が出るんだと」
「ああ知ってるぜ。噂の王宮の秘蔵っ子だろ」
「王族の連中だけで楽しむとかずるいぜ」
「あの可愛子ちゃんに一体いくら出したんだろうな、うちの王様は」
……自分に対する期待は嬉しい。怖いことは確かだが、踊り子としてみれば冥利に尽きるって話だろう。それに人生でここまで期待されたことなんて今までなかったから新鮮だ。しかし王族の、ベルトルトさん達を悪く言うのは辞めてほしい。あんなにいい人達が自分のせいでこんなふうに言われるのは悔しいし悲しかった。
「……梓」
「うん、ありがとう」
気を遣ってくれているのか、後ろから手を握られている。温かい手だ。それだけで楽になれるぐらい。握り返すとドヤ顔されたのは癪だけど、しばらくはそのままでいてほしい。心からそう思った。
「嫌だ。発情するのは可愛いからいい。でも浮気はしないでほしい」
高松はまだ許してくれた?けど希望も立て続けに寝た(何もしてない)ことで、仁はすっかり御立腹だ。何としてでも手を離さないと言う強い意志を感じた。俺的にはわざとじゃないと言い返したい気持ちと、こんなに心配されるのは意外と悪くないなと言う思いがせめぎ合っている状況。一方それに対する周りの反方はというと、
「いい加減変わってくれ」
「第一お前のものじゃないだろう」
「何が浮気だよ強姦野郎」
こんな感じだ。そろそろ仁は強姦していないって声高らかに言うべき時かもしれない。あと変わってくれって何だよ。俺後何人にこれやられるの?
「今日は例の時までこのままだ」
「えー……」
食事や自由時間だけではなく、トイレまでついていこうとする仁に怖いものはない。まあ夜にあんなのが控えている状況で、緊張をほぐす意味ではありがたかった。背中に張り付いて離れようとしない仁を完璧に肯定するわけではないが、食べづらそうにしていたご飯を口に持っていってあげたりした。それを見た周りが、何やら悲しそうな顔をしているのになぜが申し訳なくなる。
♢
遂にその時が来た。
「海辺のショー会場には歩いて行けるが……梓はこの馬車を使うが良い」
王国が準備してくれた馬車は、大国の馬車にしては色合いなんかが控えめと言うか、質素というか。まあ貸してくれるだけ仏だ。この服で町内歩くのは……流石に怖いから。
「昨晩はチルトが皆様のご迷惑になるようなことは……」
「うるせーよ兄貴」
「お黙り!夜になる前の飲酒はあれほどやめなさいと」
「あー……やめてくれ。二日酔いの頭に響く」
「な!?」
チルトさんとリーさんは喧嘩?をしていた。あんまり仲良くないんかなと思ったが、よく聞けばリーさんが心配しているだけだった。弟を気遣うのはまあわからんでもないし、俺は内心リーさんの味方だった。
「大体、あれほど煙草もお酒も控えるようにと宮廷医師にも口酸っぱく言われているでしょう。それなのに八缶一箱を欠かしたことがありますか?」
「俺の人生のルーティンだ。二箱じゃないだけありがたいだろう」
「……そんなんだから婚期逃すんですよ」
「俺は結婚しないだけです~」
8缶一箱ってヤバそうだな、肝臓真っ暗とかそんな次元じゃねえぞ。でも、ちゃんと酒をしまっている。一時は辞めてくれるんだから、まあまだマシな方か。
「お兄様に言われたから一時間は禁酒と30分は禁煙だな」
……リーさんが真っ青になっている。たまたま聞いていた俺達も真っ青になった。同じくその一部始終を見ていたベルトルトさんは、少し困った顔をしていた。
「……騒がしい息子たちで済まん。船に乗ればもうワシらはついていけない、しかしいきなりお主らだけと言うのは些か気が引ける。そこで、お前達にあるものを渡そう!」
気分一新と、喜助に顔ぐらいの大きめな水晶玉のようなものを渡していた。用途はわからない、確かめようと動こうとしたが……
「梓、馬車に乗ろう。2人で」
「え?お前も乗るん?」
いかにもそれが世界の常識って感じで俺と馬車に乗ろうとする仁に、周りがブーイングを飛ばす。俺はそれを止めることはできない、ブーイングも仁が無理やり俺を乗せようとするのも止められない。なすがままに乗せられて、またもや背中から抱きしめられた。しかも仁が座るから必然的に膝に乗るような感じになっている。
「……変なことされたらすぐに言えよ」
「運が良かったな」
周りも諦めたみたいで、仁に警戒心を向けつつ、前に歩き出した。仁はなかなか頑固なやつだな。こうと決めたらてこでも意見を曲げないタイプと見た。
馬車が町内を歩いていたら街の声がよく聞こえる。今日は休日なのだろうか。それとも夕方なせいだろうか。賑やかな気がした。それは全然悪いことじゃない、むしろいい事だ。しかし話を聞いているうちに手放しでは喜べなくなった。
「知ってるか?今日のショーはめちゃくちゃ可愛い踊り子が出るんだと」
「ああ知ってるぜ。噂の王宮の秘蔵っ子だろ」
「王族の連中だけで楽しむとかずるいぜ」
「あの可愛子ちゃんに一体いくら出したんだろうな、うちの王様は」
……自分に対する期待は嬉しい。怖いことは確かだが、踊り子としてみれば冥利に尽きるって話だろう。それに人生でここまで期待されたことなんて今までなかったから新鮮だ。しかし王族の、ベルトルトさん達を悪く言うのは辞めてほしい。あんなにいい人達が自分のせいでこんなふうに言われるのは悔しいし悲しかった。
「……梓」
「うん、ありがとう」
気を遣ってくれているのか、後ろから手を握られている。温かい手だ。それだけで楽になれるぐらい。握り返すとドヤ顔されたのは癪だけど、しばらくはそのままでいてほしい。心からそう思った。
91
あなたにおすすめの小説
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる