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何故こんなことに
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「よくぞ来てくれた、40人の勇者よ!」
いつも通りに登校したはずなのに、つまらない朝会だと渋々体育館に行っただけなのに。気が付いたら俺たち2年B組は異世界に転移していた。
俺の名前は巳陽梓。ごく普通の男子校に在学中の男子高校生だ。毎日どこを見ても男しかいない校内で勉強をして、1日で話をした女の人が母親と祖母、少ない女性教師と学食のおばちゃんぐらいだと言う事実にゾッとしつつもそれなりに不自由のない生活をして来た。
それなのに、いきなり異世界転移をしたんだ。経緯なんてそんなもの知らない。登校した、朝会のために体育館に行った、気がついたら転生していた。これだけである。ほんとにこれだけなんだ、心の底からどうして。
ザワザワと要領を得ないクラスメイトたちの前に、1人のご老体が現れた。見た目はただの人の良さそうなお爺さんだけれど、何か得体の知れないものを感じた。
「おいジジイ、勇者……?ってなんだよ!」
まず最初に噛み付いたのはクラス1の荒くれ者と呼び声の高い真田仁だ。1年生の頃はサボり常習犯だと言われていたが、担任に慈悲で進級させてもらった挙句、これ以上ばっくれたら進級どころか単位もやらんと釘を刺されて渋々登校しているようだ。
それでも不良であることには変わりない。俺のような日陰者には一生縁のない人種だろうな。ご老体は真田の怒鳴りにも平常心を保ち、俺たちに向かって叫んだ。
「改めて言わせてくれ。よくぞ来てくれた、40人の勇者よ!わしはベルトルト・アダマント・グルーデン。この世界一の強国グルーデン王国の先代王にして今は宮廷魔術師をしている老ぼれじゃ」
全員がなんだそれと思ったはずだ、少なくとも俺は思った。話を広げる前に5、6箇所ツッコミたい。流石に訳がわからずに先陣切って怒鳴った真田もわけわからんぜと言う顔をしている。
「いきなり知らない世界に来て慌てる気持ちはわかる。それにこの青年が言うことも尤もじゃ。まずは何故お前達が転移して来たのかを説明する」
ご老体はこの世界に俺たちを徴収した理由を1から説明してくれた。長いから省略するとこうだ。
ここは俺たちの世界とは違う俗に言う異世界であり、俺たち住んでいた世界とは兄弟のようなものらしい。兄貴である俺たちがいた世界が化学で発展したのとは対照的に、魔法を中心とした文明を発展させてきたが、ここ数年前に魔王と名乗る魔族の王が現れて好き勝手やっているらしい。
困った人間達は、この世界一の強国グルーデンの宮廷魔術師であり、前王しかも史上最高峰の召喚士とか言う設定もりもりのご老体に相談。この世界にいる者で魔王に勝てる奴はいないと分かったご老体は、兄弟世界である俺たちの世界から、沢山の勇者を召喚したとのことだ。
ご老体は長い説明を終えたのち、右手に持っている身の丈よりも長い杖でコンと地面を叩き、凄みのある目で俺たちを見た。
「お前達は選ばれし40人の勇者じゃ!お前達の力で魔王を倒して見せよ!」
「失礼お爺様、いえ宮廷魔術師ベルトルト殿。1つこちら側から質問をしてもよろしいですか?」
迫力のあるベルトルトさんに負けず劣らずの迫力で名乗りを上げたクラスメイトがいた。学級委員長そして次期生徒会長の座を虎視眈々と狙っている優等生の小川喜助だ。こんな時にも冷静なのは頼りになると言うか浮世離れしてると言うか。
「そちら側の苦労そしてなぜベルトルト殿が私達を呼んだのかはよく分かりました。しかし、俺達はそれぞれ能力差はあれどそちら側の言う魔術には心得がありません。武術は多少あるものは居るでしょうが、魔王を倒すには至らないものかと」
そうだ、確かにそれは一理ある。期待してくれているところ悪いけれど、そんな俺たちに打倒魔王なんて出来ないよな……
「安心せい。召喚時、お前たちはすでに職業を持っておる。まだそれに気がついていないだけじゃ」
クラス?なんだそれは、異世界転移の特典みたいなものだろうか。ベルトルトさんが杖を天高くあげると、彼の近くに大きななんだろう、魔法陣のような物が出現した。
「これからお前達の職業を見る、さあ一列で並べ!」
なんだか物凄いことが始まってしまった。
いつも通りに登校したはずなのに、つまらない朝会だと渋々体育館に行っただけなのに。気が付いたら俺たち2年B組は異世界に転移していた。
俺の名前は巳陽梓。ごく普通の男子校に在学中の男子高校生だ。毎日どこを見ても男しかいない校内で勉強をして、1日で話をした女の人が母親と祖母、少ない女性教師と学食のおばちゃんぐらいだと言う事実にゾッとしつつもそれなりに不自由のない生活をして来た。
それなのに、いきなり異世界転移をしたんだ。経緯なんてそんなもの知らない。登校した、朝会のために体育館に行った、気がついたら転生していた。これだけである。ほんとにこれだけなんだ、心の底からどうして。
ザワザワと要領を得ないクラスメイトたちの前に、1人のご老体が現れた。見た目はただの人の良さそうなお爺さんだけれど、何か得体の知れないものを感じた。
「おいジジイ、勇者……?ってなんだよ!」
まず最初に噛み付いたのはクラス1の荒くれ者と呼び声の高い真田仁だ。1年生の頃はサボり常習犯だと言われていたが、担任に慈悲で進級させてもらった挙句、これ以上ばっくれたら進級どころか単位もやらんと釘を刺されて渋々登校しているようだ。
それでも不良であることには変わりない。俺のような日陰者には一生縁のない人種だろうな。ご老体は真田の怒鳴りにも平常心を保ち、俺たちに向かって叫んだ。
「改めて言わせてくれ。よくぞ来てくれた、40人の勇者よ!わしはベルトルト・アダマント・グルーデン。この世界一の強国グルーデン王国の先代王にして今は宮廷魔術師をしている老ぼれじゃ」
全員がなんだそれと思ったはずだ、少なくとも俺は思った。話を広げる前に5、6箇所ツッコミたい。流石に訳がわからずに先陣切って怒鳴った真田もわけわからんぜと言う顔をしている。
「いきなり知らない世界に来て慌てる気持ちはわかる。それにこの青年が言うことも尤もじゃ。まずは何故お前達が転移して来たのかを説明する」
ご老体はこの世界に俺たちを徴収した理由を1から説明してくれた。長いから省略するとこうだ。
ここは俺たちの世界とは違う俗に言う異世界であり、俺たち住んでいた世界とは兄弟のようなものらしい。兄貴である俺たちがいた世界が化学で発展したのとは対照的に、魔法を中心とした文明を発展させてきたが、ここ数年前に魔王と名乗る魔族の王が現れて好き勝手やっているらしい。
困った人間達は、この世界一の強国グルーデンの宮廷魔術師であり、前王しかも史上最高峰の召喚士とか言う設定もりもりのご老体に相談。この世界にいる者で魔王に勝てる奴はいないと分かったご老体は、兄弟世界である俺たちの世界から、沢山の勇者を召喚したとのことだ。
ご老体は長い説明を終えたのち、右手に持っている身の丈よりも長い杖でコンと地面を叩き、凄みのある目で俺たちを見た。
「お前達は選ばれし40人の勇者じゃ!お前達の力で魔王を倒して見せよ!」
「失礼お爺様、いえ宮廷魔術師ベルトルト殿。1つこちら側から質問をしてもよろしいですか?」
迫力のあるベルトルトさんに負けず劣らずの迫力で名乗りを上げたクラスメイトがいた。学級委員長そして次期生徒会長の座を虎視眈々と狙っている優等生の小川喜助だ。こんな時にも冷静なのは頼りになると言うか浮世離れしてると言うか。
「そちら側の苦労そしてなぜベルトルト殿が私達を呼んだのかはよく分かりました。しかし、俺達はそれぞれ能力差はあれどそちら側の言う魔術には心得がありません。武術は多少あるものは居るでしょうが、魔王を倒すには至らないものかと」
そうだ、確かにそれは一理ある。期待してくれているところ悪いけれど、そんな俺たちに打倒魔王なんて出来ないよな……
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