当たり能力1個より、ハズレ能力10個の方が良いに決まってる

俺には丁度いい

２８話 間違ってる

終わった
とりあえず壁を増加させた
今見ると、黄色ゲージは下がりきっている
ここから脱出したら、原因を解明しよう
赤を限界まで上げ、壁をぶち破った
結局は赤に頼りっきり
頭脳戦だけでどうにかしたいものだが、、、
とにかく、子供たちを逃がせた
肩の痛みなんてほとんど感じない
あるのは達成感だけ
まぁ、そんなことは無い
めちゃめちゃ普通に痛かった

子供達は近くの大人に任せ、俺は後処理
溜まった死体と、あいつの死体を片付けよう
、、、まずはゴム手袋を買ってこようか
部屋から出ようとした時だった
隅の方から、消え入りそうな小さな声が
驚いた
声はやつからの声だった
圧迫は成功し、体の原型はとどめていない
それでもまだ生きていた
変な方向に曲がった腕の先からは、小さな槍が
まだ戦う気なのか

「はず、、れぇに、は、、負け、、な、、」

肺から捻り出した空気の音色は、俺にとんでもない不快感を与えた
別に、はずれだって言われるのが嫌いなんじゃない

俺と同じ人間が、コイツである事が嫌なのだ

「はずれに殺されるのが、、そんなに嫌か」

僅かに、首が前後した
この世界が作った
1番見たくない部分だ

「お前が死ぬのは、はずれに負けたからじゃないよ、、」

出ている槍を掴み取った
驚くぐらいに軽く、まるで錆びた鉄のようだ
まっすぐに頭に狙いを定める
自然と出た雫が、いつの間にか蛇口を失ったようで

「こんな場所でしか生きられない、世の中のせいだ」

手を振りかざし、男は絶命した

この気持ちは誰にぶつければ良いんだろうか
きっとこの人には、まともな職があったはずだ
コンクリートを出せなくとも、才能があったはずだ
神が全部まっさらにしたから
当たりじゃないと生きられなくなって
今では、、、

何が新たな段階だ

ニコニコ笑って受け入れて

前の世の中で良かったって

どうして誰も思わない

間違ってる、、

間違ってるよ、、、