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121話 西村さん襲来
しおりを挟む翌日の昼。
いつものように、東山さんと高橋と俺の三人、屋上で昼食を食べようとしていたのだが...。
「な、なんの用だよ西村...! なんでお前までっ...! 」
「ひ、ひ、東山さんっ! は、早く西村さんをどっか追い払ってくださいっ! 」
俺と高橋は、東山さんの影に隠れて、招かれざる客の訪問に、プルプルと震えていた。
前のトラウマもあるが、俺は昨日の今日だ。西村さんには会いたくなかった。
「酷い! 別に何もしないよー! ってかなんで俺は怖がられてるのに東山は盾にされてるの? 東山の方が性格悪いのに...!」
「ククッ、高橋が上目遣いで助けてーって可愛くおねだりしてくれたら、追っ払ってやってもいいぜ? 」
怯える俺たちと違って東山さんは、それはそれは楽しそうに笑っている。
「はぁ!? ふざけんな! だ、だったら別にいいし! 」
ふいっとそっぽを向く高橋に、俺は焦った。
「えー! なんで!? やってよ高橋! 意地張ってる場合じゃないって! 高橋だって怖いくせに! 」
「ぜってーやらねぇ! 」
確かに、高橋にとって上目遣いでおねだりとか、ちょっと恥ずかしいかもしれないけれど、それで西村さんが居なくなるなら是非やってもらいたい。
「...ふーん? 俺がしばらく見ない間になんか面白そうなことになってるね。やっぱり来て正解だったよ。」
そんな俺たちのやりとりを見ていた西村さんが、おもむろに口を開いた。
「まぁ、そんなに警戒しないで。心配して来てあげたんだよ、俺は。」
「心配?」
高橋が怪訝そうに、西村さんを見る。
ヤバイ。
俺は、何のことか一瞬でわかった。
「うん。坂北くん昨日泣いてたからさ。」
「え......」
「ち、違っ......! 」
今更焦ったところでもう遅い。
西村さんの声はバッチリ高橋の耳に届いていて。目を見開いた高橋が、バッとこちらに振り向く。
「何か、あったのか...? 」
う...ごめん、高橋。
また、心配させてるよな。
せっかく今日は頑張って明るく振る舞って、なんとかいつも通りを装っていたのに。
「とりあえず、一緒にお昼、食べていいかな?」
弁当と水筒を掲げ、西村さんは眩しく笑った。
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