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うーーーーんん……


困った。昼食として簡素なパンにスープを浸して食べながら必死に頭をひねる。


正直な事を言えば、時間通りに集合場所へ行きさえすれば何とか大丈夫なんだけど。流石に名指しで課せられた任務の内容くらい把握して行きたいからなあ……


……だめだ、全く分からない。


「…次はなにやらかしたんだよ?」


唸っている私に呆れた様な表情で声をかけてくれたのは、お友達のダニーだった。


ゲームではいたかな?いなかったかな?くらい、つまり私と同等程度の存在でした、ダニーくん。


栗色くせ毛に一般人顔(但し乙女ゲーム補正あり)、一般人性格のダニーこと本名ダニエルくんは別の隊に所属してるんだけど昔ひょんな事からお友だちになりました。


普段、騎士団の皆は騎士団付属の食堂で食事をするから、まあだいたい毎日一緒に居るんですね。


「……任務聞き忘れて、午後の任務が分かんない。しかも名指し任務」


ふーんと適当に話を聞いていたダニーの目が大きく見開かれる。うーん、流石に予想外だったと見える。


「え?…はぁ!?おま、ばっかじゃないのか!?それ、何人に迷惑かかると思ってんだよ!?」


「やっぱりそうだよねぇ…」


しゅん、いや反省してますよ…。今回は完全に気を抜いてた私が悪かったしね…。


「……おまえは全くっ!こんな若手に名指しってよっぽどだぞ!?こんなもん食べてないで今すぐ隊長のとこ行って謝って来いクズが!!」


ゴスっと手元からスープ+残り一口のパンが取られた。


「ああああああーっ!!私のパンが!!!」


残り一口だったパンは呆気なく食され、さっさと行けとでも言うように目も合わせずシッシと手を振られた。


パンが!!辛い訓練の唯一の癒やしが!!


「う~…分かったよー、行ってくる……」


「早くいけ、今すぐいけ。」


言いたい事は山程あるけど生憎ダニーの言う事は正論でしか無いので反論は出来ないんですね。


決心(?)が鈍らないうちに勢い良く椅子から立ちあがって食堂から出る事にしました。


食べ物の恨みは怖いんだぞ!!絶対忘れないからな!!



☆*☆



……とは言ったものの、だ


「はぁー…」


隊長室までの廊下をとぼとぼと歩きながら今日何度目かのため息をついた。


ダニーの前では威勢よく出てきてみたものの、怖いことには変わりないのである。


頭ごっちんくらいで済めばまだいいか……追加の仕事、訓練あたりが来たら死ぬな、確実に。


「はぁ…」


またため息。


非情なことに、そろそろ別棟に着いてしまう頃。(お偉いさんの部屋は棟が違うんだよ。)


「ん…?」


何やらじっと見られている気が……。


背筋を伸ばし、周りをゆっくりと見渡す。不穏な気配では無かったけど一応ね。


すると外の、門の前のところにブロンド髪の少年がいるのを発見した。しかもめっちゃ見てる。めっっっちゃこっち見てる。このままだと身体に穴が空きそうだ。


てか何でそんなとこにいんの?服装からして平民であることは間違いないのに…。


うーん…、


取り敢えず、考えられる可能性は3つくらいかなぁ……


①商人見習いで、師匠的な人が城から出てくるまで待ってる。

②ただ見てただけ、もしくは迷子。

③刺客的なそれ


③は辞めてほしい。切実に。②も、今は案内してる暇がないからな………やめほしい。①がいいよ、そうしよう。


「このまま放置して帰るってわけにもいかないしねぇ……………あのー!!!どうしたんですかー!!!??」


その場から力の限り叫んでみた。


「道に迷ってしまってー!!!!」


なるほど、②か。



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