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その11.

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カンカンカン
 突然、鐘が鳴り響く、ミリアとリリィが席を立つのと同時にドアが開き「ユニコーン様が出ただー!」と男が飛び込んでくる「ロイの奴ば襲われただー!」「なんじゃとー!!」その声を背中で聞きつつミリアとリリィは外へ出る、村の人々は西の門から中に入ってくる「西門よ!」ミリアが言うとリリィは頷いてついて来る。
 門をくぐり麦畑のあぜ道を走り森の入り口まで来たとき、惨劇を目撃する、大きな獣に人が食われている。
 額に一本の角を持ち、短い体毛は黄色を帯びており、頭から尻尾までオレンジ色のたてがみが生え、前脚に鋭い爪を持った魔物が、大きな牙で肉を咀嚼していた。
「サンダーライオン!」ミリアがそう叫ぶと魔物がギロリと二人を睨む、ミリアは後ずさるが、
リリィは踏みとどまった、サンダーライオンはクルリと森の中に消えていく、後には無残な食い残しの死体が残った「な、なにがユニコーンよ!サンダーライオンていうのよあれは!!」ミリアはそう言うと「リリィ二人じゃ手が足りない、応援を呼ばなきゃ」「だめ!」ミリアの提案にリリィが即答する「でも…」ミリアが何か言おうとするとリリィはこう言ってきた。
「ミリアちゃんぼーけん者ととうぞくの違いしってる?」「え…」「とうぞくも、ぼーけん者もぶそーしてるけど、けってー的な違いがある、それは契約を守るとこ」「ぼーけん者はなにが在っても契約は守る、たとえ死ぬことになっても」「…」
「ミリアちゃん、あたいバカだから、この村忘れてた、ゴブリンをたいじしに二十人できた、でもゴブリン多すぎて五人殺されて、五人逃げた、だからのこりの九人でゴブリンを退治するために、森に入ることに決めた」「…え?」「あたいまだ若いから、十人目にえらばれなかった」
「リーダーは言った」「おまえはまだ若い、だが、おぼえておけ、ぼーけん者は依頼を守る、なにがあってもだ」「リーダーは笑いながら、森に入った、のこり八人も笑いながらついてった」「そのあと何があったか知らない、でもゴブリンはすがたを消した」「九人も帰らなかった」
「リーダーは、あたいのにーちゃんだった」
 ミリアは俯いて聞いていた、ミリアの右手が無意識に左肩から腰までを撫でていた。
 肩には盾にもなるマントを付けている、体には特注のブリガンダイン、腰には青銅製のショートソード、立派すぎる装備だった、ミリアは空を見上げる、空は厚い雲に覆われている、ミリアは一言呟いたが風が強くて聞き取れない「…そうよね、冒険者は弱い人を守らないとね」
 ミリアはそう言ってリリィの顔を見る、リリィは白い歯を見せて笑った。
「そうだ」とミリアは言う「ついでにこれからのことを考えましょう」「これからー?」「そうこれからもっともっと強くなって、いつか、動物の王様を二人で倒しに行きましょう?」
「それってー物凄く強いんじゃーなーい?」
「当然よ、だって、百獣の王って呼ばれているくらいだもの!!」
「おおー!!」 
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