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第二章 ふたりの誕生日
第10話 いや、まじかー。
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『では、本日の主役、勇次郎様の入場です』
一瞬暗くなった食堂内に、麻乃のアナウンスが軽く響く。拍手で迎えられる勇次郎。どこから照らされたか、スポットライト。そこに映るは、先日三連覇のときに着ていた『病み系魔法少女』の衣装。もちろん、スカートの下にはスパッツの代わりに膝丈のインナーを履いている。
鈴子が到着時に、何気に麻乃に渡していた紙袋にはこれが入っていたということ。麻乃が仕上げにと、薄化粧を施したのは言うまでもなかった。
「先生、まじかっ!」
やられた、という表情の文庫。
「さすが勇ちゃん。『こんなに可愛い子が女の子なわけがない』を地で行ってるわ」
裏で手引きをしていた鈴子は、驚きもしない。
「……勇くん、その、可愛らしいです」
杏奈はもう、嬉しくて仕方ないという表情をしていた。
(どやっ)
麻乃は最高の仕事をしたというどや顔。
(素晴らしいですね、勇次郎様)
映像で見ていたから知ってはいたが、驚きながらも納得の景子。
「ひゅーひゅー、さすが儂の孫。映像よりリアルのが可愛らしいのぅ」
「「誰?」」
勇次郎と文庫がハモる。
「儂? 儂か? 儂は杏奈と勇次郎の爺ちゃん。東比嘉龍馬だが?」
年のころ、六十過ぎ。ハイビスカス柄の朱色地のかりゆしウェア(アロハシャツのようなもの)に、ベージュの膝丈ハーフパンツ。足下は島ぞうり(ビーチサンダル)。
細身で長身。おおよそ百八十センチ。日焼けをしていて、白髪で少々眺めの髪をオールバック気味にカチューシャで留めてる。それにレイバンのサングラスがよく似合う。その出で立ちは、マリンスポーツをする人にも似ているだろう。とにかく、キャラが立っていた。
「り、理事長先生?」
似た人を写真で見たことがある文庫。
「お爺さん? あ、確かにそうかも」
前に、杏奈からビームで写真を見せてもらった人だと思い出す勇次郎。始めて直に目にする自分の祖父になったはずの龍馬の姿は、あまりにもインパクトが強かった。
龍馬は尻のポケットからスマホを取り出すと、画面を見てぎょっとする。
「あ、儂ちょっと用事ができたからこれにてご免ということで。勇次郎、杏奈、誕生日おめでとう。宗右衛門、悪いが車を出してくれるか? 諸君、ではの」
『しゅたっ』と右手をあげ、台風のように去って行く龍馬。苦笑しつつ後を追う宗右衛門。
「何だったんだろうね?」
「お爺さまですもの。わたしにも予想できないんですよ」
「あらら」
「少なくともね、わたしと勇くんをお祝いするつもり、……というより、勇くんの顔を見に来たんだと思いますよ」
「あ、そっか。お姉ちゃんの誕生日は、ほんとならもうすぐだったもんね」
「そういうことですね」
勇次郎と杏奈が並んで座っており、テーブルを挟んでその向かいに鈴子、文庫、末席に景子が座っている。
麻乃が手に持つものは、ノンアルコールのシャンパン。『ポン』と小気味の良い音を立てて栓が宙に舞う。ワゴンにシャンパングラスを乗せてあり、ひとりずつ配膳する麻乃。
「はい、勇次郎様」
「ありがとう」
「杏奈お嬢様も」
「ありがとう」
くるっと半周して。
「はい。鈴子ちゃん――龍馬様の晩酌お相手があるので、お父さん、しばらく帰ってこないから大丈夫ですよ」
「そうなの? 助かるわぁ……」
「猫被るのって、カロリー消費しますものね」
「そうなのよ、肩こっちゃうのよね。もう、学校だけで精一杯だわ」
鈴子の猫被りの解除、実に見事な豹変だった。
「はい、文庫くん。いつも、鈴子ちゃんにはお世話になっています」
「あ、ありがとうございます。ね、姉ちゃんとは長いんですか?」
「えぇ、そうですよ。附属小のころからずっとですね。これからもよろしくお願いいたします」
「あ、よろしくお願いしますっ」
景子にだけは、ビールが振る舞われる。
「はい、山城先輩。もうお仕事は終わりでしょうから。私からのご褒美も兼ねております」
「ありがとう、麻乃ちゃん」
「いいえ、どういたしまして。あ、でも、大丈夫です?」
「何がです?」
「ケーキセットのケーキ、三つも食べたらしいですが」
「え? どうして知ってるの?」
「メイドの秘密にございます」
更に半周して、勇次郎の後に戻ってくると、自分のグラスに残りを注ぐ。
「――こほん。わたしの大事な義弟、勇次郎のお誕生日」
「杏奈お嬢様、『勇くん』で大丈夫ですよ」
「あらそう? それなら――勇くんのお誕生日と、来週の今日わたしの誕生日が来るので、勇くんからの提案で、わたしも一緒に祝ってもらうことになりました。勇くん、お誕生日おめでとう。パパとお母さまが急に再婚することになって、色々大変だったと思います。ですが、これを良い縁だと考えて、仲良くしてくれると嬉しいです」
「あ、はい。こちらこそです」
「ありがとう。勇くんの幼なじみで親友の文庫くん。勇くんの幼なじみで小さなころから面倒をみてくれた、鈴子先輩。先日より、専属となっていただきました、景子さん。勇くんとわたしのお祝いに来てくれて、ありがとうございます」
鈴子は猫を被る必要がなくなったからか、手を振って笑顔。文庫は直立不動で緊張気味。景子は目元だけで笑みを浮かべた。
「麻乃」
「はい」
「小さなころから一緒にいてくれてありがとう。先日から勇くんの専属になったのですから、しっかり支えてあげてくれると嬉しいです」
「はい。誠心誠意、お支えすることを誓います」
「ありがとう。では、乾杯」
「「「乾杯」」」
「お姉ちゃんもおめでとう」
「ありがとう、勇くん」
「――ぷはぁ、沁みるわっ、……あ、すみません」
景子がつい地を出してしまって、場が一気に和らいだ。
「勇ちゃん、杏奈ちゃん、お誕生日おめでとう」
勇次郎にも杏奈にも、プレゼントとして同じサイズの小さな箱が手渡される。
「これ、もしかして」
「勇ちゃん、あとで確認してね?」
「うん、ありがとう。鈴子お姉ちゃん」
「凛子先輩、もしかして」
「えぇ。杏奈ちゃんが欲しがっていた『あれ』よ」
「あ、ありがとうございます」
「ひとりでそっと、楽しんでね?」
「もちろんです」
「それじゃ、俺から。先生、おめでとう」
「ありがとう、文ちゃん」
「杏奈先輩、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、文庫くん」
「うはぁ……」
「文ちゃん、相変わらずだねぇ」
「仕方ないだろう? あの、生徒会長さんだぞ?」
「まぁ、わかんないでもないけどさ」
「これ、俺からの、杏奈先輩、俺からのです」
「文ちゃんこれって?」
「先生には、セパレートタイプのキーボード。前に欲しがってたっしょ?」
「うんうん。ありがとう、あれ、予約終わってて買えなかったんだよ。よく手に入ったね?」
「あれね、実はコス友のひとりが、あの会社に勤めてて、融通してもらったんだ」
「すごいコネだね」
「でしょ? 結構、リスクあったけどね……、東京行ったら合わせしなきゃなんだ」
「あぁ、文ちゃん苦手だもんね。こう見えて人見知りだし」
文庫が言う『合わせ』とは、本来ソロで活躍するコスプレイヤー同士が、同じ写真などに写ることなどのことである。文庫は見た目に反して、人見知りの傾向があるのだった。
「マジレスカコワルイ」
「あははは、大事に使わせてもらうよ」
「杏奈先輩には、姉ちゃんから聞いて、これもコス友経由なんですが、手作りの入浴剤です北海道直通で、これも結構入手困難らしくて」
杏奈は容器を開けて匂いを嗅いだ。
「あらほんとうですね。ラベンダーの優しい香り。ありがとう、文庫くん」
「いえいえ。先生がこれからお世話になりますから」
「そうそう。文庫くん」
「何でしょう?」
「勇くんのことを何故『先生』と呼ぶのですか?」
一瞬、気まずそうな表情になる文庫。ロボットのように『ギギギギ』ときしむような動きで勇次郎を見る。
「あ、先生、もしかして、言ってなかったの?」
「あぁ、そりゃ違和感だらけかー、うん。ま、いっか、いいよ。ネタバレしても」
「んじゃそういうことで。あのですね杏奈先輩」
「はい」
「先生は、文読村というサイトで、『ユウバルクイナ』ってペンネームで小説を書いてるんです。それなりに人気があって、俺も姉ちゃんも楽しみにしてるんですね。それで先生ってあだ名になったんです」
「……ほ、ほんとうですか?」
「下手の横好きというやつだから、検索して読んでもいいけど、笑ったりしない――」
「わたし、『ビイナ』です」
「へ?」
「勇くんがあの『ユウバルクイナ先生』だなんて夢みたいです」
「ビイナさんって、まじで?」
「はい、まじです」
「なんてこと……、いまさら読むななんて言えないけど、いや、まじかー」
「先生、いまさら照れてるし」
「そりゃそうだよ。女の子とお付き合いなんてしたことない僕が、恋愛小説なんて書いてるんだから」
「そう? 私はよくできてると思うけど?」
いくら恋愛経験がないとはいえ、勇次郎は鈴子の漫画を目の前で読んでいた。だからどのような恋愛が女性に好まれるか、ある程度理解していたはずだ。それこそ勇次郎の先生のような存在であり、お手本になった鈴子が言うのだから、それなり以上の構成力などがあるのだろう。
一瞬暗くなった食堂内に、麻乃のアナウンスが軽く響く。拍手で迎えられる勇次郎。どこから照らされたか、スポットライト。そこに映るは、先日三連覇のときに着ていた『病み系魔法少女』の衣装。もちろん、スカートの下にはスパッツの代わりに膝丈のインナーを履いている。
鈴子が到着時に、何気に麻乃に渡していた紙袋にはこれが入っていたということ。麻乃が仕上げにと、薄化粧を施したのは言うまでもなかった。
「先生、まじかっ!」
やられた、という表情の文庫。
「さすが勇ちゃん。『こんなに可愛い子が女の子なわけがない』を地で行ってるわ」
裏で手引きをしていた鈴子は、驚きもしない。
「……勇くん、その、可愛らしいです」
杏奈はもう、嬉しくて仕方ないという表情をしていた。
(どやっ)
麻乃は最高の仕事をしたというどや顔。
(素晴らしいですね、勇次郎様)
映像で見ていたから知ってはいたが、驚きながらも納得の景子。
「ひゅーひゅー、さすが儂の孫。映像よりリアルのが可愛らしいのぅ」
「「誰?」」
勇次郎と文庫がハモる。
「儂? 儂か? 儂は杏奈と勇次郎の爺ちゃん。東比嘉龍馬だが?」
年のころ、六十過ぎ。ハイビスカス柄の朱色地のかりゆしウェア(アロハシャツのようなもの)に、ベージュの膝丈ハーフパンツ。足下は島ぞうり(ビーチサンダル)。
細身で長身。おおよそ百八十センチ。日焼けをしていて、白髪で少々眺めの髪をオールバック気味にカチューシャで留めてる。それにレイバンのサングラスがよく似合う。その出で立ちは、マリンスポーツをする人にも似ているだろう。とにかく、キャラが立っていた。
「り、理事長先生?」
似た人を写真で見たことがある文庫。
「お爺さん? あ、確かにそうかも」
前に、杏奈からビームで写真を見せてもらった人だと思い出す勇次郎。始めて直に目にする自分の祖父になったはずの龍馬の姿は、あまりにもインパクトが強かった。
龍馬は尻のポケットからスマホを取り出すと、画面を見てぎょっとする。
「あ、儂ちょっと用事ができたからこれにてご免ということで。勇次郎、杏奈、誕生日おめでとう。宗右衛門、悪いが車を出してくれるか? 諸君、ではの」
『しゅたっ』と右手をあげ、台風のように去って行く龍馬。苦笑しつつ後を追う宗右衛門。
「何だったんだろうね?」
「お爺さまですもの。わたしにも予想できないんですよ」
「あらら」
「少なくともね、わたしと勇くんをお祝いするつもり、……というより、勇くんの顔を見に来たんだと思いますよ」
「あ、そっか。お姉ちゃんの誕生日は、ほんとならもうすぐだったもんね」
「そういうことですね」
勇次郎と杏奈が並んで座っており、テーブルを挟んでその向かいに鈴子、文庫、末席に景子が座っている。
麻乃が手に持つものは、ノンアルコールのシャンパン。『ポン』と小気味の良い音を立てて栓が宙に舞う。ワゴンにシャンパングラスを乗せてあり、ひとりずつ配膳する麻乃。
「はい、勇次郎様」
「ありがとう」
「杏奈お嬢様も」
「ありがとう」
くるっと半周して。
「はい。鈴子ちゃん――龍馬様の晩酌お相手があるので、お父さん、しばらく帰ってこないから大丈夫ですよ」
「そうなの? 助かるわぁ……」
「猫被るのって、カロリー消費しますものね」
「そうなのよ、肩こっちゃうのよね。もう、学校だけで精一杯だわ」
鈴子の猫被りの解除、実に見事な豹変だった。
「はい、文庫くん。いつも、鈴子ちゃんにはお世話になっています」
「あ、ありがとうございます。ね、姉ちゃんとは長いんですか?」
「えぇ、そうですよ。附属小のころからずっとですね。これからもよろしくお願いいたします」
「あ、よろしくお願いしますっ」
景子にだけは、ビールが振る舞われる。
「はい、山城先輩。もうお仕事は終わりでしょうから。私からのご褒美も兼ねております」
「ありがとう、麻乃ちゃん」
「いいえ、どういたしまして。あ、でも、大丈夫です?」
「何がです?」
「ケーキセットのケーキ、三つも食べたらしいですが」
「え? どうして知ってるの?」
「メイドの秘密にございます」
更に半周して、勇次郎の後に戻ってくると、自分のグラスに残りを注ぐ。
「――こほん。わたしの大事な義弟、勇次郎のお誕生日」
「杏奈お嬢様、『勇くん』で大丈夫ですよ」
「あらそう? それなら――勇くんのお誕生日と、来週の今日わたしの誕生日が来るので、勇くんからの提案で、わたしも一緒に祝ってもらうことになりました。勇くん、お誕生日おめでとう。パパとお母さまが急に再婚することになって、色々大変だったと思います。ですが、これを良い縁だと考えて、仲良くしてくれると嬉しいです」
「あ、はい。こちらこそです」
「ありがとう。勇くんの幼なじみで親友の文庫くん。勇くんの幼なじみで小さなころから面倒をみてくれた、鈴子先輩。先日より、専属となっていただきました、景子さん。勇くんとわたしのお祝いに来てくれて、ありがとうございます」
鈴子は猫を被る必要がなくなったからか、手を振って笑顔。文庫は直立不動で緊張気味。景子は目元だけで笑みを浮かべた。
「麻乃」
「はい」
「小さなころから一緒にいてくれてありがとう。先日から勇くんの専属になったのですから、しっかり支えてあげてくれると嬉しいです」
「はい。誠心誠意、お支えすることを誓います」
「ありがとう。では、乾杯」
「「「乾杯」」」
「お姉ちゃんもおめでとう」
「ありがとう、勇くん」
「――ぷはぁ、沁みるわっ、……あ、すみません」
景子がつい地を出してしまって、場が一気に和らいだ。
「勇ちゃん、杏奈ちゃん、お誕生日おめでとう」
勇次郎にも杏奈にも、プレゼントとして同じサイズの小さな箱が手渡される。
「これ、もしかして」
「勇ちゃん、あとで確認してね?」
「うん、ありがとう。鈴子お姉ちゃん」
「凛子先輩、もしかして」
「えぇ。杏奈ちゃんが欲しがっていた『あれ』よ」
「あ、ありがとうございます」
「ひとりでそっと、楽しんでね?」
「もちろんです」
「それじゃ、俺から。先生、おめでとう」
「ありがとう、文ちゃん」
「杏奈先輩、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、文庫くん」
「うはぁ……」
「文ちゃん、相変わらずだねぇ」
「仕方ないだろう? あの、生徒会長さんだぞ?」
「まぁ、わかんないでもないけどさ」
「これ、俺からの、杏奈先輩、俺からのです」
「文ちゃんこれって?」
「先生には、セパレートタイプのキーボード。前に欲しがってたっしょ?」
「うんうん。ありがとう、あれ、予約終わってて買えなかったんだよ。よく手に入ったね?」
「あれね、実はコス友のひとりが、あの会社に勤めてて、融通してもらったんだ」
「すごいコネだね」
「でしょ? 結構、リスクあったけどね……、東京行ったら合わせしなきゃなんだ」
「あぁ、文ちゃん苦手だもんね。こう見えて人見知りだし」
文庫が言う『合わせ』とは、本来ソロで活躍するコスプレイヤー同士が、同じ写真などに写ることなどのことである。文庫は見た目に反して、人見知りの傾向があるのだった。
「マジレスカコワルイ」
「あははは、大事に使わせてもらうよ」
「杏奈先輩には、姉ちゃんから聞いて、これもコス友経由なんですが、手作りの入浴剤です北海道直通で、これも結構入手困難らしくて」
杏奈は容器を開けて匂いを嗅いだ。
「あらほんとうですね。ラベンダーの優しい香り。ありがとう、文庫くん」
「いえいえ。先生がこれからお世話になりますから」
「そうそう。文庫くん」
「何でしょう?」
「勇くんのことを何故『先生』と呼ぶのですか?」
一瞬、気まずそうな表情になる文庫。ロボットのように『ギギギギ』ときしむような動きで勇次郎を見る。
「あ、先生、もしかして、言ってなかったの?」
「あぁ、そりゃ違和感だらけかー、うん。ま、いっか、いいよ。ネタバレしても」
「んじゃそういうことで。あのですね杏奈先輩」
「はい」
「先生は、文読村というサイトで、『ユウバルクイナ』ってペンネームで小説を書いてるんです。それなりに人気があって、俺も姉ちゃんも楽しみにしてるんですね。それで先生ってあだ名になったんです」
「……ほ、ほんとうですか?」
「下手の横好きというやつだから、検索して読んでもいいけど、笑ったりしない――」
「わたし、『ビイナ』です」
「へ?」
「勇くんがあの『ユウバルクイナ先生』だなんて夢みたいです」
「ビイナさんって、まじで?」
「はい、まじです」
「なんてこと……、いまさら読むななんて言えないけど、いや、まじかー」
「先生、いまさら照れてるし」
「そりゃそうだよ。女の子とお付き合いなんてしたことない僕が、恋愛小説なんて書いてるんだから」
「そう? 私はよくできてると思うけど?」
いくら恋愛経験がないとはいえ、勇次郎は鈴子の漫画を目の前で読んでいた。だからどのような恋愛が女性に好まれるか、ある程度理解していたはずだ。それこそ勇次郎の先生のような存在であり、お手本になった鈴子が言うのだから、それなり以上の構成力などがあるのだろう。
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