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第二章 新しい生活を始めよう
第5話 改めて思う背中に感じる温かさ
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「だからね、改めて、イクエちゃんが中級になったら、報酬を受け取る。そんなに時間はかからないと思うんだけど、それでもいいかしら?」
育江がまだ初級の状態なので、中級の依頼である灰狼の報酬を受け取ることはできない。その代わり、薬草採取での貢献度により中級へ上がるだけの条件は満たしているだろうから、早急に審査するよう掛け合ってもらえるとのことだった。
「はい、大丈夫です。ご飯もごちそうになっちゃったし。あたしもシルダも、お腹いっぱいですから」
「……あのね、ここだけの話だけど」
「はい」
「私の受付嬢としての報酬ってね、基本は無給なのよ」
「え?」
「でもね、イクエちゃんみたいに登録してくれる探索者さんのね、報酬の五パーセントにあたる額がね、私の歩合報酬になるのね」
「あ、もしかして」
「そう。イクエちゃんがね、沢山買い取らせてくれるから、その報酬の五パーセントが私の歩合分となって、ギルドから受け取れるようになってるの。もちろん、他の探索者さんのもね、そうさせてもらってるわ。依頼が失敗に終わったら、私には銅貨一枚も入らないの。だからこそ私はね、皆さんが頑張れるだけの環境を作るの。それが私のお仕事」
「なるほどね。あたしたちが頑張れば頑張るほど」
「私の晩酌のお酒や、おつまみが豪華になるのよ」
カナリアのいう無給というのはボランティアという意味ではない。要は『完全歩合制』という意味だった。
依頼者から依頼を受けるだけなら誰でもできる。だが、それを達成させないと、二度と依頼を出してもらえなくなる。
そのために、成功できるような探索者に任せるために、依頼の等級付けをするのもカナリアの仕事。成功できるように、情報を与えたりレクチャーすることもあるらしい。
「あたし、シルダと一緒にがんばります」
「お姉さんもね、応援してるわ」
どっこいしょと、眠ってしまったシルダを背負う。PWOのころには、こんな風にシルダを背負ったことなどなかった。背負って始めて、シルダの体温が思ったよりも高いことを知った。
雨ざらしになって濡れてしまった外套は、インベントリにしまってある。だから今、シルダと育江の背中を隔てるのはブラウス一枚だけ。だから余計に温かさを感じたのだろう。同時に、この重みがこそが、ここが現実なのかと思う育江。
(シルダったらよく寝るわね。あたしに出会うまで、寝ないで動いていたの? こんなに弱くなっちゃったんだから、あんな場所で寝ちゃったら、食べられちゃうかもしれないもんね)
事実、それほど強い方ではなかった育江も、こちらに来てすっかり弱くなっていた。だからあっさりあんな灰狼に喰われてしまったのだ。
ただでさえ人間くさかった、頭が良さそうなあちらのシルダ。始めて出会ったときの、あのたくましさは、こっちに来ても、それは全然変わらない。
▼
「ぐあっ、ぐあっ」
お腹を誰かが押す。揺らす。それもかなり強い力で。
育江はそれに気づいてか、身体をゆっくりと起こす。PWOにいたときは、夜通し遊んだとしても疲れた感じはしなかったが、こっちではそうはいかない。それは仕方のないことだ。
あちらにいたときはまだ、治癒魔法のレベルは十。アップデートでそれ以上のレベルが実装されるまで、ひたすら経験値だけを蓄積するだけの状態、いわゆるカンストであった。
体力回復の上級呪文『ヘビースタム』、または脈動体力回復呪文の『リジェネスタム』をかけてから寝ていたから、疲れなんて残るわけがなかっただろう。
だが今は、治癒魔法は最低レベル、ただ知ってるだけのような状態。レベルは昨日失ってしまったから、一に戻っていた。それ故に、上級どころか中級呪文も成功しない。疲れが残っていても、仕方ないのであった。
「んー? ん? あれ? シルダ? シルダがいる?」
「ぐあ?」
シルダは『何言ってるのこの子?』と言わんばかりに、首を傾げていた。
「ぐあっ、ぐあっ」
育江が着ていた寝間着の裾を、つんつん引っ張りながら悲しそうな瞳で見上げつつ、悲壮感漂う声を出すシルダ。これは覚えがある。確か。
「はら減った?」
「ぐあっ、ぐあっ」
ちょっと大げさに、器用に頷くシルダだった。
昨日の晩、ギルドでカナリアに薬草を買い取ってもらった。それはもう、一枠の残りもなく全部、枚数換算でいえば、五、六百枚はあっただろう。
インベントリの枠数単位である『一枠』には、同じものが『百個』入る。そのため、枠数単位で表現されることが多かった。
なんだかんだで銀貨五十枚。金貨に換算すると五枚になる。ということはカナリアに五パーセントで銀貨二枚半。日本円でいえば、二千五百円の歩合が入ったわけになる。
「がんばらないとね」
「ぐあ?」
「あ、ごめんごめん。買い置きないから、お店行こっか?」
「ぐあっ」
育江の言うことを理解しているのだろうか? 正直どこまで知能が高いのかはわからない。それでもあちらでは『人工知能というより中の人が演じているのでは?』と、疑ってしまうくらいにシルダはとても賢かった。
昨夜干しておいた外套と帽子はなんとか乾いていた。雨期が終わりつつあるこの『迷宮都市ジョンダン』は、まもなく夏に入るのだろう。
まだ朝だと言うのに日差しがそれなりに強く、帽子がないとちょっとばかりきつい。
(眩しくてきっついわ。これってもしかして、ハーフヴァンパイアだから?)
そう思って間違いはないだろう。他の種族より日光への抵抗力は低い。焼けて灰になることはないのだが、眩しくて仕方がないようだ。
「シルダ。眩しかったりしない?」
「ぐあ?」
手をつないだシルダに、育江は聞いてみる。けれどシルダは『何それ美味しいの?』という感じに力なく答える。
「大丈夫なのね。それはよかったわ」
食べ物が多く扱われている区画に入る。シルダがつんつん育江の外套の裾を引っ張る。下を見ると、シルダの口元からよだれが垂れているのがわかってしまう。
笑いそうになりながら、育江はシルダの口の周りを拭う。
「はいはい。ちょっと待ってね。あ、すみません」
「はいよ、お嬢ちゃん」
串焼きを売ってる中年男性。このあたりにいた人は確か、ほとんどがノンプレイヤーキャラクターだったはず。前も感じたが、やはりこんな感じに、くだけた受け答えはしなかった。見た目や雰囲気の割に、とても丁寧な言葉遣いだったはず。
「その串焼きですけど、塩味なしでできますか?」
「あぁ。構わないけど」
「じゃ、それをえっと……」
「一本で銅貨一枚だよ」
「それなら二十本で」
「……まじか?」
「はい、まじです」
男性はきっと育江が食べるには多すぎる、と思ったのだろう。だが、育江はそれを感じ取ったのか、平然とこう言う。
「あははは。わかったよ、ちょっとまっててくれるかな?」
「一本だけでいいので、それをもらえますか?」
「いいのかい? あ、そういうことか」
串焼きを一本もらう。先払いで、銀貨二枚を引き換えに。
「ありがとさん。ちょっと待ってな」
「はい。お願いします」
(……洗うわけにはいかないわよね。それならどうしよう――あ、いいよねこれなら)
育江は軽くかじって、塩味部分を舐め取る。
「あちあちあち。ほふーっ。はい、ごめんね。とりあえずこれで我慢して、シルダ」
手のひらに乗せた、塩味部分を減らした串焼き。シルダは気にせず、ぱくりと食べてしまった。
軽く咀嚼して、顎先を上に向けてあっさりと飲み込んでしまう。
「ぐあっ」
大きく口をあけて『もっとくれ』というようにアピール。
「はいはい。ちょっとまって。あむ、ほふほふ。んく、あ、食べちゃった、おいしっ――じゃなく、わかったから。ほら、そんな恨めしそうな目で見ないの」
じーっと育江を見上げる目が、本当に恨めしそうに見えている。
「あははは。もう少しまってくれな。すぐに焼けるから」
「あ、すみません。あふあふ。はい、シルダ」
「ぐあっ」
シルダと育江では、一口のサイズが違いすぎる。それでも、美味しそうに食べるシルダ。
「おまちどうさん。はい、残り十九本。この一本は塩味になってる。おまけだよ」
「ありがとうございます。じゃ、シルダいこっか」
「ぐぎゃ」
(ぽちっとな。格納、っと)
あたりを見回して、塩味と塩味なし一本ずつだけ残して、残りは素早くインベントリへ。
シルダと手をつないで、飲食区画を出口へ向かう。その途中で、とまじゅーを五十本ほど買っておく。
ギルドのある塔に入ると、二階を通り越し、六階まで階段を登っていく。そこは、とても見晴らしの良い場所になっている。あっちではエレベーターがあったのだが、こっちには設置されていなかった。足で登ると、スキルが上がるんじゃないかと思うほど、それなりにきつい。
あちらでは、ここから飛び降りて遊ぶ強者がいたが、こっちではどうだろう? 育江は、死んでも生き返るようだから、できなくはないが、他人の迷惑になるからやりはしないだろう。
時間が早いのか、誰もいなかった。見晴らしの良いベンチに座ると、シルダも隣にちょこんと座ってくる。
「はい、シルダ」
「ぐぎゃっ」
器用に串焼きを受け取る。じっと冷めるのを待って、頃合いが良いと思うと、ひとつ囓った。
「ふはっ」
まだちょっと熱かったのだろう。それでも美味しそうに頬張るシルダ。
育江も塩味の肉を食べていく。水の代わりにとまじゅーを飲む。
(至福の瞬間ー)
「美味しいね、シルダ」
「ぐぎゃっ」
あとひとつ残した状態で、育江を見上げて嬉しそうに返事。あれよあれよという間に、シルダは十本も食べてしまった。一度の食事に銀貨一枚は、コスパが悪すぎるだろうと、育江は軽く頭を抱えてしまった。
育江がまだ初級の状態なので、中級の依頼である灰狼の報酬を受け取ることはできない。その代わり、薬草採取での貢献度により中級へ上がるだけの条件は満たしているだろうから、早急に審査するよう掛け合ってもらえるとのことだった。
「はい、大丈夫です。ご飯もごちそうになっちゃったし。あたしもシルダも、お腹いっぱいですから」
「……あのね、ここだけの話だけど」
「はい」
「私の受付嬢としての報酬ってね、基本は無給なのよ」
「え?」
「でもね、イクエちゃんみたいに登録してくれる探索者さんのね、報酬の五パーセントにあたる額がね、私の歩合報酬になるのね」
「あ、もしかして」
「そう。イクエちゃんがね、沢山買い取らせてくれるから、その報酬の五パーセントが私の歩合分となって、ギルドから受け取れるようになってるの。もちろん、他の探索者さんのもね、そうさせてもらってるわ。依頼が失敗に終わったら、私には銅貨一枚も入らないの。だからこそ私はね、皆さんが頑張れるだけの環境を作るの。それが私のお仕事」
「なるほどね。あたしたちが頑張れば頑張るほど」
「私の晩酌のお酒や、おつまみが豪華になるのよ」
カナリアのいう無給というのはボランティアという意味ではない。要は『完全歩合制』という意味だった。
依頼者から依頼を受けるだけなら誰でもできる。だが、それを達成させないと、二度と依頼を出してもらえなくなる。
そのために、成功できるような探索者に任せるために、依頼の等級付けをするのもカナリアの仕事。成功できるように、情報を与えたりレクチャーすることもあるらしい。
「あたし、シルダと一緒にがんばります」
「お姉さんもね、応援してるわ」
どっこいしょと、眠ってしまったシルダを背負う。PWOのころには、こんな風にシルダを背負ったことなどなかった。背負って始めて、シルダの体温が思ったよりも高いことを知った。
雨ざらしになって濡れてしまった外套は、インベントリにしまってある。だから今、シルダと育江の背中を隔てるのはブラウス一枚だけ。だから余計に温かさを感じたのだろう。同時に、この重みがこそが、ここが現実なのかと思う育江。
(シルダったらよく寝るわね。あたしに出会うまで、寝ないで動いていたの? こんなに弱くなっちゃったんだから、あんな場所で寝ちゃったら、食べられちゃうかもしれないもんね)
事実、それほど強い方ではなかった育江も、こちらに来てすっかり弱くなっていた。だからあっさりあんな灰狼に喰われてしまったのだ。
ただでさえ人間くさかった、頭が良さそうなあちらのシルダ。始めて出会ったときの、あのたくましさは、こっちに来ても、それは全然変わらない。
▼
「ぐあっ、ぐあっ」
お腹を誰かが押す。揺らす。それもかなり強い力で。
育江はそれに気づいてか、身体をゆっくりと起こす。PWOにいたときは、夜通し遊んだとしても疲れた感じはしなかったが、こっちではそうはいかない。それは仕方のないことだ。
あちらにいたときはまだ、治癒魔法のレベルは十。アップデートでそれ以上のレベルが実装されるまで、ひたすら経験値だけを蓄積するだけの状態、いわゆるカンストであった。
体力回復の上級呪文『ヘビースタム』、または脈動体力回復呪文の『リジェネスタム』をかけてから寝ていたから、疲れなんて残るわけがなかっただろう。
だが今は、治癒魔法は最低レベル、ただ知ってるだけのような状態。レベルは昨日失ってしまったから、一に戻っていた。それ故に、上級どころか中級呪文も成功しない。疲れが残っていても、仕方ないのであった。
「んー? ん? あれ? シルダ? シルダがいる?」
「ぐあ?」
シルダは『何言ってるのこの子?』と言わんばかりに、首を傾げていた。
「ぐあっ、ぐあっ」
育江が着ていた寝間着の裾を、つんつん引っ張りながら悲しそうな瞳で見上げつつ、悲壮感漂う声を出すシルダ。これは覚えがある。確か。
「はら減った?」
「ぐあっ、ぐあっ」
ちょっと大げさに、器用に頷くシルダだった。
昨日の晩、ギルドでカナリアに薬草を買い取ってもらった。それはもう、一枠の残りもなく全部、枚数換算でいえば、五、六百枚はあっただろう。
インベントリの枠数単位である『一枠』には、同じものが『百個』入る。そのため、枠数単位で表現されることが多かった。
なんだかんだで銀貨五十枚。金貨に換算すると五枚になる。ということはカナリアに五パーセントで銀貨二枚半。日本円でいえば、二千五百円の歩合が入ったわけになる。
「がんばらないとね」
「ぐあ?」
「あ、ごめんごめん。買い置きないから、お店行こっか?」
「ぐあっ」
育江の言うことを理解しているのだろうか? 正直どこまで知能が高いのかはわからない。それでもあちらでは『人工知能というより中の人が演じているのでは?』と、疑ってしまうくらいにシルダはとても賢かった。
昨夜干しておいた外套と帽子はなんとか乾いていた。雨期が終わりつつあるこの『迷宮都市ジョンダン』は、まもなく夏に入るのだろう。
まだ朝だと言うのに日差しがそれなりに強く、帽子がないとちょっとばかりきつい。
(眩しくてきっついわ。これってもしかして、ハーフヴァンパイアだから?)
そう思って間違いはないだろう。他の種族より日光への抵抗力は低い。焼けて灰になることはないのだが、眩しくて仕方がないようだ。
「シルダ。眩しかったりしない?」
「ぐあ?」
手をつないだシルダに、育江は聞いてみる。けれどシルダは『何それ美味しいの?』という感じに力なく答える。
「大丈夫なのね。それはよかったわ」
食べ物が多く扱われている区画に入る。シルダがつんつん育江の外套の裾を引っ張る。下を見ると、シルダの口元からよだれが垂れているのがわかってしまう。
笑いそうになりながら、育江はシルダの口の周りを拭う。
「はいはい。ちょっと待ってね。あ、すみません」
「はいよ、お嬢ちゃん」
串焼きを売ってる中年男性。このあたりにいた人は確か、ほとんどがノンプレイヤーキャラクターだったはず。前も感じたが、やはりこんな感じに、くだけた受け答えはしなかった。見た目や雰囲気の割に、とても丁寧な言葉遣いだったはず。
「その串焼きですけど、塩味なしでできますか?」
「あぁ。構わないけど」
「じゃ、それをえっと……」
「一本で銅貨一枚だよ」
「それなら二十本で」
「……まじか?」
「はい、まじです」
男性はきっと育江が食べるには多すぎる、と思ったのだろう。だが、育江はそれを感じ取ったのか、平然とこう言う。
「あははは。わかったよ、ちょっとまっててくれるかな?」
「一本だけでいいので、それをもらえますか?」
「いいのかい? あ、そういうことか」
串焼きを一本もらう。先払いで、銀貨二枚を引き換えに。
「ありがとさん。ちょっと待ってな」
「はい。お願いします」
(……洗うわけにはいかないわよね。それならどうしよう――あ、いいよねこれなら)
育江は軽くかじって、塩味部分を舐め取る。
「あちあちあち。ほふーっ。はい、ごめんね。とりあえずこれで我慢して、シルダ」
手のひらに乗せた、塩味部分を減らした串焼き。シルダは気にせず、ぱくりと食べてしまった。
軽く咀嚼して、顎先を上に向けてあっさりと飲み込んでしまう。
「ぐあっ」
大きく口をあけて『もっとくれ』というようにアピール。
「はいはい。ちょっとまって。あむ、ほふほふ。んく、あ、食べちゃった、おいしっ――じゃなく、わかったから。ほら、そんな恨めしそうな目で見ないの」
じーっと育江を見上げる目が、本当に恨めしそうに見えている。
「あははは。もう少しまってくれな。すぐに焼けるから」
「あ、すみません。あふあふ。はい、シルダ」
「ぐあっ」
シルダと育江では、一口のサイズが違いすぎる。それでも、美味しそうに食べるシルダ。
「おまちどうさん。はい、残り十九本。この一本は塩味になってる。おまけだよ」
「ありがとうございます。じゃ、シルダいこっか」
「ぐぎゃ」
(ぽちっとな。格納、っと)
あたりを見回して、塩味と塩味なし一本ずつだけ残して、残りは素早くインベントリへ。
シルダと手をつないで、飲食区画を出口へ向かう。その途中で、とまじゅーを五十本ほど買っておく。
ギルドのある塔に入ると、二階を通り越し、六階まで階段を登っていく。そこは、とても見晴らしの良い場所になっている。あっちではエレベーターがあったのだが、こっちには設置されていなかった。足で登ると、スキルが上がるんじゃないかと思うほど、それなりにきつい。
あちらでは、ここから飛び降りて遊ぶ強者がいたが、こっちではどうだろう? 育江は、死んでも生き返るようだから、できなくはないが、他人の迷惑になるからやりはしないだろう。
時間が早いのか、誰もいなかった。見晴らしの良いベンチに座ると、シルダも隣にちょこんと座ってくる。
「はい、シルダ」
「ぐぎゃっ」
器用に串焼きを受け取る。じっと冷めるのを待って、頃合いが良いと思うと、ひとつ囓った。
「ふはっ」
まだちょっと熱かったのだろう。それでも美味しそうに頬張るシルダ。
育江も塩味の肉を食べていく。水の代わりにとまじゅーを飲む。
(至福の瞬間ー)
「美味しいね、シルダ」
「ぐぎゃっ」
あとひとつ残した状態で、育江を見上げて嬉しそうに返事。あれよあれよという間に、シルダは十本も食べてしまった。一度の食事に銀貨一枚は、コスパが悪すぎるだろうと、育江は軽く頭を抱えてしまった。
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