日常の何かが狂ってる

水月虹

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十五歳の誕生日の朝、私は鏡を見ていた。

普段から寝起きの自分の顔を見て、ちゃんと目を覚まさないと、と自分に言い聞かせる。

それを行う時間は一分にも満たないのに、今日に限っては十分近くも見続けている。

別に自分の顔に見とれていたとかそういう明確な理由はなく、なんとなく違和感を感じたから。

鏡に映る人物は微かに笑みを浮かべる。

「ねえ、お母さん。私の顔ってどんな感じ?」

「朝から変なこと言ってないで、早くご飯食べちゃいなさい。」

お母さんは相手にしてくれなかった。

鏡に映ってる人は本当に私なの?



学校に行って友人の涼香に今のパッとしない心の内を相談した。

「涼香はさ、自分ってどんな顔か気になったことある?」

「自分って誰だろうとは思ったことあるかな。でも顔は鏡見たら分かるから、気にしたことないかな。」

「でもさ、鏡に映ってる自分が本当に自分なのかって分からないよね。」

「写真とかに映ってる自分の顔と見比べてみたら?」

「そうだね。やってみる。」



家に帰って鏡の前に座り込む、友達と取った写真や集合写真、それらを見た後に鏡を見る。何も変なところはなかった。

ただの考えすぎかな。

すると涼香から電話がかかって来る。

「もしもし、私も気になってさ調べてみたんだよ。鏡に映る自分の顔は本当なのかって。」

「うん。どうだったの?」

「そしたらさ、都市伝説みたいなのが出てきてさ、十五歳の誕生日に鏡に映る物に違和感を覚える人は自分の一部を人に取られるんだって。」

「え?」

「だから優香は自分の顔を取られたんじゃない?なんてね。」

涼香は少し冗談交じりに話してくるのだが、私はこの話が本当なのではないかと思い不安になった。

後日、写真で確かめるだけでは不安が解消されなかったので、似顔絵が上手で有名な人の所に行った。

私は描いてもらったものを見てすぐに怒ってしまった。とてつもなく下手なのだ。

まるで別人のようだった。


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