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青春の詩

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山沢さんの部屋でいつものバンドメンバーで集まる。
「一度1曲新曲を書きたくなった。家族をテーマにした歌を作りたくなった」
笑可が静かな声で言った。

笑可はフォークギターを持っていた。
「今まだ書けていないテーマで本当に書きたいものが見つかった」

生まれてきて何を想うか?
私は色々あったけど
この家族に生まれて
良かった  そう思いたい

お母さんお父さん
ありがとうと言葉に
していくから照れずに 
聞いてくれませんか?

ありがとう ありがとう
産んでくれてありがとう
ありがとう ありがとう
産んでくれてありがとう

その場にいたボクらは笑可の放つ温かい歌に一気にやられていた。
「この曲シングルのA面にしたらいいじゃないか」
ボクは気がつくとポロリと言っていた。

「そう?」
「あまりに良い歌を歌う人ってイメージ付いてダークな歌を作りづらくなるかもしれないけど、こういう歌を待ってたんだよ」

「確かにこの歌でメジャー落とされたら、もう何もわかっちゃいねえってなるな」
「スタジオ行くのめんどいし、ここで録ろう。借りてるMTRはあるし。豹馬、シンプルなコード進行だし行けるだろ?」

「うん。この曲なら」
Aメロは2コード、BメロはIIImから始まり3つのコード、サビで6つコードが出てくるが笑可の作った歌にしてはかなりシンプルだ。

「最後のサビは転調したいけど、DTMで雑にいじってやってしまってかまわない」
笑可は山沢さんにリクエストした。
「わかった。豹馬しっかり弾けよ」

練習して1時間でしっかりもう全員でやれるようになってた。
『家族の詩』をみんなで録音した。
「YouTubeには公開しないのか?」
「たぶんある程度反響はあるだろうけど、もしメジャー落ちたらその時に私のファンから家族で写真撮っても抵抗ない人たちを募集して、オリジナルMV作ろうかと想ってる」

「この曲で勝負しようじゃないか」
山沢さんは自信に満ちた声で言った。

とてつもなく大きな武器を手に入れた気分で、ボクらは笑可の作ってきた新曲に手応えを感じていた。

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