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モンキーマジック
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大みそか。
ボクは山沢さんからこんなLINEをもらってた。
『笑可ちゃんにスマホでの曲の作り方教えたいから、ボクの家に来させられないかな? いうて、お前ん家からボクの家は徒歩3分くらいだしなんとかなるよね』
ボクは笑可に確認をとる。
すると、彼女はそれならぜひ! とLINEを返してくる。
暑そうな服装をした笑可と一緒に山沢さん家を目指す。
玄関で山沢さん母が迎え、少しして彼は姿を現した。
「スマホで曲作るの楽すぎるよ。
なんってたって横になりながら作れるの、体力もやしな人間にはかなりありがたい」
山沢さんは寝ぐせの激しい髪で現れ、そういうとこがモテないところなのでは? と思ってしまった。
その思惑が近い将来裏切られるとは思わなかったけど。
状況と烈名が裂いた部屋に行き、彼は笑可にスマホの画面を近くで見るように言った。
「こうやってコードを並べていってるんですね。1つ1つタップで鳴らさない和音消すの、少しめんどくさくないですか?」
「それでもパソコンでキーボードを鍵盤キーボード代わりにして手弾きで演奏するより、ミスタッチの恐れはないからラクだよ」
作業用BGMはマハラージャン(トモちゃんは女の子!のくらえ!テレパシーが有名)のモンキーマジックのカバーとフジファブリック志村時代のモンキーマジックのカバーを交互にかける。
そして、ゴダイゴ(本家)のモンキーマジックをかけ、さらに名前が紛らわしいMONKEY MAJIKのモンキーマジックカバーをかけていく。
「言うなれば、音楽なんてのも猿から人間に進化したボクらにとってのモンキーマジックなのかもね」
妙に深い言葉を山沢さんが言う。
「モンキーつながりでイエモン聴きたくなってきたじゃないですか」
B G#m C#m F#のコード進行のくりかえしで笑可に曲を作らせていく。
「4分の4拍子だとBPM150が1番歌いやすい」
そう、山沢さんにアドバイスされ彼の教えるままにテンポを変える笑可。
ゴダイゴにしてもYMOにしても、一風堂にしても
昔のバンドのシンセサイザーの音がカッコよすぎるのは何でだろう?
「人間なんて偉そうにしてても、食事を取らなければ死んでしまう動物なんだし知性を持って良かったのかと思っちゃうよね。
知性があるからなまじ、地球を死の星にするほどの科学力や女性が性被害に悩む問題も生まれるわけで」
山沢さんは達観したようなことを言う。
「なんか山沢さんってディストピア小説好きそう」
「ああ。なんならAIに仕事を奪われた人類が真昼間からストゼロキメる世の中になってほしいね」
正社員の仕事に就けない悔しさをぶつけるかのように退廃的な言葉を言う彼。
「あんな大人になっちゃダメだよ」
ボクは冗談めかして笑可に言う。
「そうね笑」
彼女も茶目っ気ありに答える。
イエローモンキーのSPARKをかける山沢さん。
歌詞が非リア充にはキツイとこぼす彼に、どこら辺が? と尋ねると「君とスパーク 夜はスネイク辺り」と答えが返ってくる。
笑可に曲の作り方を教えきった山沢さんは満足げな顔で「まだわからないことあったら、いつでもLINEで聞いて」と言いながら缶チューハイを4本開けて、
横になりそのまま寝てしまった。
ダメだ、こりゃ。
あきれながら彼に布団をかける山沢母にあいさつをして、彼の家をあとにする。
胸の奥には温かなメロディが、鳴っていて。
ボクは山沢さんからこんなLINEをもらってた。
『笑可ちゃんにスマホでの曲の作り方教えたいから、ボクの家に来させられないかな? いうて、お前ん家からボクの家は徒歩3分くらいだしなんとかなるよね』
ボクは笑可に確認をとる。
すると、彼女はそれならぜひ! とLINEを返してくる。
暑そうな服装をした笑可と一緒に山沢さん家を目指す。
玄関で山沢さん母が迎え、少しして彼は姿を現した。
「スマホで曲作るの楽すぎるよ。
なんってたって横になりながら作れるの、体力もやしな人間にはかなりありがたい」
山沢さんは寝ぐせの激しい髪で現れ、そういうとこがモテないところなのでは? と思ってしまった。
その思惑が近い将来裏切られるとは思わなかったけど。
状況と烈名が裂いた部屋に行き、彼は笑可にスマホの画面を近くで見るように言った。
「こうやってコードを並べていってるんですね。1つ1つタップで鳴らさない和音消すの、少しめんどくさくないですか?」
「それでもパソコンでキーボードを鍵盤キーボード代わりにして手弾きで演奏するより、ミスタッチの恐れはないからラクだよ」
作業用BGMはマハラージャン(トモちゃんは女の子!のくらえ!テレパシーが有名)のモンキーマジックのカバーとフジファブリック志村時代のモンキーマジックのカバーを交互にかける。
そして、ゴダイゴ(本家)のモンキーマジックをかけ、さらに名前が紛らわしいMONKEY MAJIKのモンキーマジックカバーをかけていく。
「言うなれば、音楽なんてのも猿から人間に進化したボクらにとってのモンキーマジックなのかもね」
妙に深い言葉を山沢さんが言う。
「モンキーつながりでイエモン聴きたくなってきたじゃないですか」
B G#m C#m F#のコード進行のくりかえしで笑可に曲を作らせていく。
「4分の4拍子だとBPM150が1番歌いやすい」
そう、山沢さんにアドバイスされ彼の教えるままにテンポを変える笑可。
ゴダイゴにしてもYMOにしても、一風堂にしても
昔のバンドのシンセサイザーの音がカッコよすぎるのは何でだろう?
「人間なんて偉そうにしてても、食事を取らなければ死んでしまう動物なんだし知性を持って良かったのかと思っちゃうよね。
知性があるからなまじ、地球を死の星にするほどの科学力や女性が性被害に悩む問題も生まれるわけで」
山沢さんは達観したようなことを言う。
「なんか山沢さんってディストピア小説好きそう」
「ああ。なんならAIに仕事を奪われた人類が真昼間からストゼロキメる世の中になってほしいね」
正社員の仕事に就けない悔しさをぶつけるかのように退廃的な言葉を言う彼。
「あんな大人になっちゃダメだよ」
ボクは冗談めかして笑可に言う。
「そうね笑」
彼女も茶目っ気ありに答える。
イエローモンキーのSPARKをかける山沢さん。
歌詞が非リア充にはキツイとこぼす彼に、どこら辺が? と尋ねると「君とスパーク 夜はスネイク辺り」と答えが返ってくる。
笑可に曲の作り方を教えきった山沢さんは満足げな顔で「まだわからないことあったら、いつでもLINEで聞いて」と言いながら缶チューハイを4本開けて、
横になりそのまま寝てしまった。
ダメだ、こりゃ。
あきれながら彼に布団をかける山沢母にあいさつをして、彼の家をあとにする。
胸の奥には温かなメロディが、鳴っていて。
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