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第七章 内政の日々と派閥争い
第150話 備えあれば憂いなし
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「なるほど、クロスボウを改造した非致死性の武器ですか! またノエイン様はなかなか面白いことを考えますねえ!」
春も後半に差しかかったある日。領主執務室に呼ばれた従士ダミアンは、ノエインからそんな相談を受け、いつも通りの元気な声で言った。
無駄なハイテンションと大声にマチルダが例のごとく冷たい視線を向けるが、ノエインは気にした様子もなくダミアンとともにヘラヘラしている。
「それにしても、何でまたそんなものが必要なんですか?」
「ほら、最近は北西部閥と南西部閥の境界あたりで小競り合いが起きてるって話を前にしたでしょ? それにもし巻き込まれたときに、そういう武器があった方がいいかなーと思って」
もし北西部閥の一員として南西部閥の貴族と戦う羽目になった場合、過去の盗賊討伐や昨年の戦争のように相手をぶっ殺しまくるわけにはいかない。
建国当初でまだ国家としてまとまっていない時代ならともかく、現在では対立する派閥の貴族だろうと同じ国の同胞であるという意識がある。派閥を越えて婚姻が結ばれることもある以上、「殺した敵の中に派閥の仲間の親戚がいました」などという事態もあり得る。
なので、国内貴族同士の武力衝突では、無闇に相手を殺さないのが常識となっている。死なない程度に痛めつけて追い払ったり、相手が貴族家の者なら生け捕りにして金と引き換えに身柄を渡したりして済ませることが多い。
「確かに、そういう場面で使うならクロスボウは殺傷力が高すぎますねえ……でも、その小競り合いってここよりもっと南の方でやってるんですよね? ノエイン様が関わることってあるんですか?」
「今のところはないけど、なんか巻き込まれそうな気がするんだよね……貴族の付き合いとかも色々あるし」
ノエインは先の戦争で武功を挙げて陞爵までされており、本人の意に反して武家の貴族としても目立ちまくってしまった。その力を借りて南西部貴族の領地侵犯に対抗したいと考える貴族も現れるかもしれないし、場合によってはそれに応えて助力しなければならない。
ノエインの地方有力貴族としての立場は北西部閥あってのものであり、北西部閥の勢力維持のために力を貸せと言われたら断りづらいのだ。
「貴族って大変ですねえ……そういうことなら、俺もできるだけ早くお望みのものを用意できるように頑張りますよ!」
「ありがとう。ちなみに、どんな改造をするか思い浮かぶ案はある?」
「そうですねえ、とりあえずは、弦の張力を弱めますね」
まあ、そうだろう。とノエインも思う。クロスボウも弓と同じく弦の力で矢を飛ばす武器である以上、その張力を弱めれば威力が低くなるのは当たり前だ。同じことはノエインでも考えついていた。
「やっぱりそうなるよね……それで威力が弱まる分、代わりに『天使の蜜』を組み合わせればより効果的だと思ったんだけど」
もちろん、長期に渡って麻痺が残る「天使の蜜」の原液を、派閥の衝突程度で持ち出すわけではない。適切な濃度に薄めて矢に塗り、一時的に相手を痺れさせる麻痺薬として活用するのだ。
「ああ、それがありましたね。それじゃあいっそのこと『天使の蜜』を塗る前提で矢の方も改造しちゃいますか?」
「矢の改造? どうするの?」
弓に関してはさまざまな工夫が施されることが多いが、矢を改造するという話はノエインはあまり知らない。クロスボウでは通常の弓と違って短い鉄製の矢を用いるとか、その程度だ。
「俺も今ぱっと思いついただけですけど……例えばこう、ほっそ~い矢を何本か束ねて、それを一気にばら撒くように撃ち出す、とかですかね? 深手を負わせる必要はなくて、相手に当たりさえすればいいなら、そっちの方が効果的じゃないかと思ったんですけど」
そのアイデアを聞いてノエインは小さく目を見開いた。
「それは……すごいね。確かに有効そうだね」
矢が細い方が致命傷になる危険は減るし、一度に撃つ本数が増えれば相手の体のどこかしらに当たる確率は上がる。「天使の蜜」はとりあえず体内に入りさえすれば効くのだから、クロスボウと組み合わせるならそれが最善の手かもしれない。
「だけど、単に細い矢を何本もクロスボウに番えるだけじゃまともに真っすぐ飛ばないんじゃない? クロスボウの構造的に」
「そこはまあ、職人としての工夫の見せどころですね。色々と試してみて、また報告しますよ」
「そっか、それじゃあよろしく頼むね」
まっかせてください、と言いながら、ダミアンは退室していった。
・・・・・
ノエインが非致死性のクロスボウについて相談してから二週間と経たず、ダミアンは散弾矢(と本人が命名した)の試作品を持ってきた。
一応は最新の秘密兵器ということもあり、人目につかない屋敷の敷地の奥で試射が行われることになる。射手はクロスボウやバリスタの射撃では領軍随一の腕を持つリックで、さらに従士長ユーリも試射の現場に立ち会っていた。
「ふーん、なるほど、クロスボウ自体を少し改造したんだね」
「はい! いくつかの方法を試したんですが、これが最善だと思いますよ!」
ダミアンが自慢げに見せびらかしてくる散弾矢クロスボウを前に、ノエインは感心したようにうなずく。
クロスボウの装填は、本来は台座の溝に矢を乗せるだけだ。しかしダミアンが持ってきた散弾矢用の改造型クロスボウは、矢を番える部分の前半分、弦と干渉しない位置に金属の筒が取り付けられ、発射される矢がその筒の中を通ることである程度真っすぐに飛ぶよう工夫がなされていた。
散弾矢の一本一本は極めて細く、矢というより太めの針とでも言った方がいいものになっている。これが紙製の紐で七本ずつ束ねられており、ダミアンによるとこの程度の紐であれば射撃時の衝撃で自然に切れるという。
「ということは、この束ごとクロスボウに番えて撃つだけでいいのか」
ユーリも興味深げにダミアンの説明を聞きながら、途中でそう尋ねる。
「そうです! なので普通にクロスボウを撃つのと同じくらいの速さで連射できます!」
「扱い方と連射性能は分かりましたが、有効射程はどのくらいで?」
次に問いかけたのはリックだ。
「ちょうどいい射程は15メートルから30メートルくらいかなあ。それ以上だと矢が散りすぎると思う」
「なるほど、了解です……それじゃあ、早速撃ってみても?」
「ああ! ぜひ試してみて! きっと気に入るから!」
気に入るかではなく有用かを確認するための試射なのだが、と思って苦笑いしつつも、リックは改造型クロスボウに散弾矢の束を番え、構える。
狙うのは20メートルほど先に立てられた、幅広の木の板に人の絵を描いた的。板の後ろは屋敷の敷地を囲う石壁なので、流れ矢がどこかへ飛ぶ心配はない。
リックが許可を求めるようにノエインとユーリの方に視線を向け、二人はそれに頷く。
それを確認したリックは片目を瞑り、スッと息を吸い、止めると、クロスボウの引き金を引いた。
いつもと少し違う射撃音が響き、それと同時に矢が飛ぶ。七本の矢は的となっている人の絵の範囲よりも多少散らばって、木の板に突き刺さった。
「どうですかね!?」
「……いいんじゃないでしょうか。撃つときの感覚は普通のクロスボウとそんなに変わらないですし、矢の散らばり方も丁度いいと思います。弦の張りを弱めて初速が遅くなってる分も、矢の数で補えますね」
「ああ、木の板に普通に刺さるなら威力不足ということもないし、かといって板を貫通まではしないなら人体に当たってもそうそう殺すことはないだろう。大抵は、頭や胴体は防具で守られてるわけだしな」
試射を行ったリックも、それを見ていたユーリも、そう言って改造型クロスボウを好評した。
「二人から見て問題ないなら、僕が言うことはないかな。ダミアン、これはすぐにある程度の数を量産できるもの?」
「そうですねえ……クロスボウの方は少し手を加えるだけなのですぐに増やせますけど、矢の方はある程度の数を揃えるなら時間がかかりますね! 何せ本数が普通の矢の七倍も要るので!」
ノエインの問いに、やはり元気よく答えるダミアン。
「それじゃあ……とりあえずクロスボウは30挺、矢はその百倍、3000束ほしいかな。どれくらいかかる?」
「えーっとそれだとぉ……」
「クロスボウは二週間もあればできますが、矢を揃えるのはだいたい三か月くらいかかりますね。通常の矢の製造を一時的に半分に減らせば、二か月まで縮められます」
ダミアンの代わりに、凛とした女声が答えた。その場にいた全員が声の聞こえた方を振り向く。
「あらクリスティ」
「勝手に発言してすみませんノエイン様。休憩してたらダミアンさんの大声が聞こえてきたので、ちょっと見に来ました」
彼女は今日は工房に出勤するのではなく、屋敷の従士執務室で仕事をする日だったらしい。
「いいよいいよ、むしろこういう事務的な話はクリスティに直接相談した方が早いからね」
これまで工房ではダミアンをはじめ職人たちがざっくりと仕事を進めていたが、クリスティが正式に文官として製造スケジュールを管理するようになったため、より正確にこうしたことが把握できるようになっている。
「ユーリ、通常の矢の製造が減っても領軍の方は大丈夫?」
「まったく問題ないぞ。戦争が終わってここ一年は訓練や魔物狩りでしか矢を使ってないしな」
「そっか……それじゃあ、二か月の方でいこう。散弾矢を揃えるのを優先で」
「分かりました。それで調整しますね」
「いやあークリスティがいると助かりますねえ!」
今後の製造計画の打ち合わせを、製造する当事者であるダミアンが他人事のような呑気な感想で締め、その場にいた一同は思わず苦笑するのだった。
★★★★★★★
ついに150話に到達しました。ここまで一緒にたどり着いてくださり、本当にありがとうございます。
ノエインたちの人生はまだまだ続きます。大きな出来事も日常の小さな出来事もたくさん巻き起こります。
これからも末永くお付き合いいただけますと幸いです。
春も後半に差しかかったある日。領主執務室に呼ばれた従士ダミアンは、ノエインからそんな相談を受け、いつも通りの元気な声で言った。
無駄なハイテンションと大声にマチルダが例のごとく冷たい視線を向けるが、ノエインは気にした様子もなくダミアンとともにヘラヘラしている。
「それにしても、何でまたそんなものが必要なんですか?」
「ほら、最近は北西部閥と南西部閥の境界あたりで小競り合いが起きてるって話を前にしたでしょ? それにもし巻き込まれたときに、そういう武器があった方がいいかなーと思って」
もし北西部閥の一員として南西部閥の貴族と戦う羽目になった場合、過去の盗賊討伐や昨年の戦争のように相手をぶっ殺しまくるわけにはいかない。
建国当初でまだ国家としてまとまっていない時代ならともかく、現在では対立する派閥の貴族だろうと同じ国の同胞であるという意識がある。派閥を越えて婚姻が結ばれることもある以上、「殺した敵の中に派閥の仲間の親戚がいました」などという事態もあり得る。
なので、国内貴族同士の武力衝突では、無闇に相手を殺さないのが常識となっている。死なない程度に痛めつけて追い払ったり、相手が貴族家の者なら生け捕りにして金と引き換えに身柄を渡したりして済ませることが多い。
「確かに、そういう場面で使うならクロスボウは殺傷力が高すぎますねえ……でも、その小競り合いってここよりもっと南の方でやってるんですよね? ノエイン様が関わることってあるんですか?」
「今のところはないけど、なんか巻き込まれそうな気がするんだよね……貴族の付き合いとかも色々あるし」
ノエインは先の戦争で武功を挙げて陞爵までされており、本人の意に反して武家の貴族としても目立ちまくってしまった。その力を借りて南西部貴族の領地侵犯に対抗したいと考える貴族も現れるかもしれないし、場合によってはそれに応えて助力しなければならない。
ノエインの地方有力貴族としての立場は北西部閥あってのものであり、北西部閥の勢力維持のために力を貸せと言われたら断りづらいのだ。
「貴族って大変ですねえ……そういうことなら、俺もできるだけ早くお望みのものを用意できるように頑張りますよ!」
「ありがとう。ちなみに、どんな改造をするか思い浮かぶ案はある?」
「そうですねえ、とりあえずは、弦の張力を弱めますね」
まあ、そうだろう。とノエインも思う。クロスボウも弓と同じく弦の力で矢を飛ばす武器である以上、その張力を弱めれば威力が低くなるのは当たり前だ。同じことはノエインでも考えついていた。
「やっぱりそうなるよね……それで威力が弱まる分、代わりに『天使の蜜』を組み合わせればより効果的だと思ったんだけど」
もちろん、長期に渡って麻痺が残る「天使の蜜」の原液を、派閥の衝突程度で持ち出すわけではない。適切な濃度に薄めて矢に塗り、一時的に相手を痺れさせる麻痺薬として活用するのだ。
「ああ、それがありましたね。それじゃあいっそのこと『天使の蜜』を塗る前提で矢の方も改造しちゃいますか?」
「矢の改造? どうするの?」
弓に関してはさまざまな工夫が施されることが多いが、矢を改造するという話はノエインはあまり知らない。クロスボウでは通常の弓と違って短い鉄製の矢を用いるとか、その程度だ。
「俺も今ぱっと思いついただけですけど……例えばこう、ほっそ~い矢を何本か束ねて、それを一気にばら撒くように撃ち出す、とかですかね? 深手を負わせる必要はなくて、相手に当たりさえすればいいなら、そっちの方が効果的じゃないかと思ったんですけど」
そのアイデアを聞いてノエインは小さく目を見開いた。
「それは……すごいね。確かに有効そうだね」
矢が細い方が致命傷になる危険は減るし、一度に撃つ本数が増えれば相手の体のどこかしらに当たる確率は上がる。「天使の蜜」はとりあえず体内に入りさえすれば効くのだから、クロスボウと組み合わせるならそれが最善の手かもしれない。
「だけど、単に細い矢を何本もクロスボウに番えるだけじゃまともに真っすぐ飛ばないんじゃない? クロスボウの構造的に」
「そこはまあ、職人としての工夫の見せどころですね。色々と試してみて、また報告しますよ」
「そっか、それじゃあよろしく頼むね」
まっかせてください、と言いながら、ダミアンは退室していった。
・・・・・
ノエインが非致死性のクロスボウについて相談してから二週間と経たず、ダミアンは散弾矢(と本人が命名した)の試作品を持ってきた。
一応は最新の秘密兵器ということもあり、人目につかない屋敷の敷地の奥で試射が行われることになる。射手はクロスボウやバリスタの射撃では領軍随一の腕を持つリックで、さらに従士長ユーリも試射の現場に立ち会っていた。
「ふーん、なるほど、クロスボウ自体を少し改造したんだね」
「はい! いくつかの方法を試したんですが、これが最善だと思いますよ!」
ダミアンが自慢げに見せびらかしてくる散弾矢クロスボウを前に、ノエインは感心したようにうなずく。
クロスボウの装填は、本来は台座の溝に矢を乗せるだけだ。しかしダミアンが持ってきた散弾矢用の改造型クロスボウは、矢を番える部分の前半分、弦と干渉しない位置に金属の筒が取り付けられ、発射される矢がその筒の中を通ることである程度真っすぐに飛ぶよう工夫がなされていた。
散弾矢の一本一本は極めて細く、矢というより太めの針とでも言った方がいいものになっている。これが紙製の紐で七本ずつ束ねられており、ダミアンによるとこの程度の紐であれば射撃時の衝撃で自然に切れるという。
「ということは、この束ごとクロスボウに番えて撃つだけでいいのか」
ユーリも興味深げにダミアンの説明を聞きながら、途中でそう尋ねる。
「そうです! なので普通にクロスボウを撃つのと同じくらいの速さで連射できます!」
「扱い方と連射性能は分かりましたが、有効射程はどのくらいで?」
次に問いかけたのはリックだ。
「ちょうどいい射程は15メートルから30メートルくらいかなあ。それ以上だと矢が散りすぎると思う」
「なるほど、了解です……それじゃあ、早速撃ってみても?」
「ああ! ぜひ試してみて! きっと気に入るから!」
気に入るかではなく有用かを確認するための試射なのだが、と思って苦笑いしつつも、リックは改造型クロスボウに散弾矢の束を番え、構える。
狙うのは20メートルほど先に立てられた、幅広の木の板に人の絵を描いた的。板の後ろは屋敷の敷地を囲う石壁なので、流れ矢がどこかへ飛ぶ心配はない。
リックが許可を求めるようにノエインとユーリの方に視線を向け、二人はそれに頷く。
それを確認したリックは片目を瞑り、スッと息を吸い、止めると、クロスボウの引き金を引いた。
いつもと少し違う射撃音が響き、それと同時に矢が飛ぶ。七本の矢は的となっている人の絵の範囲よりも多少散らばって、木の板に突き刺さった。
「どうですかね!?」
「……いいんじゃないでしょうか。撃つときの感覚は普通のクロスボウとそんなに変わらないですし、矢の散らばり方も丁度いいと思います。弦の張りを弱めて初速が遅くなってる分も、矢の数で補えますね」
「ああ、木の板に普通に刺さるなら威力不足ということもないし、かといって板を貫通まではしないなら人体に当たってもそうそう殺すことはないだろう。大抵は、頭や胴体は防具で守られてるわけだしな」
試射を行ったリックも、それを見ていたユーリも、そう言って改造型クロスボウを好評した。
「二人から見て問題ないなら、僕が言うことはないかな。ダミアン、これはすぐにある程度の数を量産できるもの?」
「そうですねえ……クロスボウの方は少し手を加えるだけなのですぐに増やせますけど、矢の方はある程度の数を揃えるなら時間がかかりますね! 何せ本数が普通の矢の七倍も要るので!」
ノエインの問いに、やはり元気よく答えるダミアン。
「それじゃあ……とりあえずクロスボウは30挺、矢はその百倍、3000束ほしいかな。どれくらいかかる?」
「えーっとそれだとぉ……」
「クロスボウは二週間もあればできますが、矢を揃えるのはだいたい三か月くらいかかりますね。通常の矢の製造を一時的に半分に減らせば、二か月まで縮められます」
ダミアンの代わりに、凛とした女声が答えた。その場にいた全員が声の聞こえた方を振り向く。
「あらクリスティ」
「勝手に発言してすみませんノエイン様。休憩してたらダミアンさんの大声が聞こえてきたので、ちょっと見に来ました」
彼女は今日は工房に出勤するのではなく、屋敷の従士執務室で仕事をする日だったらしい。
「いいよいいよ、むしろこういう事務的な話はクリスティに直接相談した方が早いからね」
これまで工房ではダミアンをはじめ職人たちがざっくりと仕事を進めていたが、クリスティが正式に文官として製造スケジュールを管理するようになったため、より正確にこうしたことが把握できるようになっている。
「ユーリ、通常の矢の製造が減っても領軍の方は大丈夫?」
「まったく問題ないぞ。戦争が終わってここ一年は訓練や魔物狩りでしか矢を使ってないしな」
「そっか……それじゃあ、二か月の方でいこう。散弾矢を揃えるのを優先で」
「分かりました。それで調整しますね」
「いやあークリスティがいると助かりますねえ!」
今後の製造計画の打ち合わせを、製造する当事者であるダミアンが他人事のような呑気な感想で締め、その場にいた一同は思わず苦笑するのだった。
★★★★★★★
ついに150話に到達しました。ここまで一緒にたどり着いてくださり、本当にありがとうございます。
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