129 / 135
#5
40 : Lynn
しおりを挟む
「では、行くか」
ハイジが立ち上がった。
「ヨーコたちが待っているだろうからな」
ノイエの体は癒えた。
まぁ、かなり血を失ったし、体力もほとんど残っていないが、栄養のあるものを食べて、しばらく療養すればすっかり元通りになるはずだ。
「……『伝令者』が切断されてるな」
「ヘラルド? 何それ?」
「ヨーコの能力だ。ヘルマンニの声が聞こえていただろう?」
あのテレパシーか。
「普通は切断されるようなことはないのだが、あれは目を合わせないと発動しないからな。お前の『時間停止』で切断された今、再接続する方法はない」
「ふぅん? でもまぁ、好都合じゃない」
「うん?」
「あたし、嫌よ。あなたとの会話を覗き見られるのは」
あたしが言うと、ああ、とハイジは笑った。
「ああ見えて、ヘルマンニは気の利く男だ。見るべきじゃないと思えば、覗き見たりはしないだろう」
「……なんとなく、女子の着替えを覗きそうなタイプだと思ってたけど」
「そう言えば、ペトラが若かった頃は、水浴びを覗きに行ってたな」
「駄目じゃないの」
覗き、ダメ。絶対。
しかし、ハイジはクツクツと笑う。
ヘルマンニとペトラの間には、あたしにはわからない彼らの関係があるのだろう。
「能力を使わず、わざわざ足を運んでいたぞ。あいつなりの線引があるのだろうな」
そう言いながら、ハイジはノイエを肩に担ぐ。
ノイエ少年がまるで荷物のようだが、あたしが運んであげるわけにもいかない。
(もし精霊が、ハイジを『はぐれの守護者』としてふさわしくないと判断したなら––––ハイジが生きていられるのはあと何時間なのだろう)
そうなったら、あたしはどうするだろう。
魔物の森の廃墟で宣言したように、この世界を滅ぼして回るだろうか。
時間の操作という、究極に近いずるを持つあたしならば、それは可能ではある––––。
「頼むから、もう自分を人質にするのはやめてくれ」
ハイジがそんな事を言いだした。
あたしの表情から、何を考えているのかがわかったのだろう。
「言っておくが、仮におれがヴァルハラ行きになっても、お前は世界を滅ぼしたりはせんよ。取引材料にはならん」
「わからないわよ? もしそんなことになれば、あたしは精霊を憎むだろうし、正気が残っていればまだしも、理性が飛べば何するかわからないわ」
「無駄だ。お前がそんなバカをしないことはわかっている。おれが惚れたのはそういう女だ」
(うぐっ)
「ひ、卑怯じゃない?!」
「そう言われてもな……駆け引きは好かん。そう思うから口にしているだけだ」
行くぞ、といってハイジは走り出す。
すぐにあとを追いかける。
儀礼戦が行われた平野に近いこのあたりは、未だ死の気配が立ち込めている。
そのうちの数パーセントは、あたしの手に依って生み出されたものだ。
理性が飛んで、人を殺すことを何とも思わなくなった瞬間のことを、あたしはよく覚えている。
(殺すことに何の抵抗も、関心もなかった。––––快感すらも)
少し暗い気持ちになる。
あのときはハイジが止めてくれたが、もしハイジが死んで、あの時と同じような状態になれば、きっとあたしは止まらない。
ハイジが好きだと言ってくれた自分を失くしたくない。
あたしはハイジが死ぬなんて結末を、絶対に認めるつもりはない。
だが、精霊の考えることなんて、あたしにはわからない。
(……時間がもったいない)
(時間停止)
パシュ、と視界が切り替わり、時間の膜を突き破る感触。
静止した世界で動けるようになった。
「……リン、あまり魔力を使うな。気づいてるか? お前、目や牙が魔獣みたいになったままだぞ」
「ふぅん……じゃあ、もう人間とは言えないわね。いっそ退治する?」
「アホなことを言うな」
ハイジがむっとしたように答えた。
「感情の起伏だけでなく、魔力を使えば使うほどそうなるのかもしれんな。もう急ぐこともあるまい、時間を止める必要はないだろう」
「あるわ。ハイジが生き残るためには、ハイジの認識が問題なのよね? なら、説得するまでよ」
「そのための時間稼ぎか」
「あなたが強情だからよ」
二人して睨み合う。
うん、どうしても甘い雰囲気にならないが、これがあたしたちなのだろう。
「仮に俺が生き残ったとして、お前が人でなくなってしまえば意味がないだろう」
「あたしが人に戻れたとして、あなたが居なけりゃ意味がないじゃないの」
「……さっきも言ったが、死にたいわけじゃないぞ」
「あたしも、人間をやめたいわけじゃないわ」
「平行線だな」
バカバカしい。
簡単な話ではないか。
「あなたが生き残って、あたしをうんと甘やかせてくれたらいいのよ。そうしたらきっと角も牙も引っ込むわ」
「そんなことでいいのか?」
「それ以上に求めることなんて何にもないわよ」
ハイジはクツクツと笑って、あたしを見る。
完全に面白がってる顔だ。
「お前、おれが生き残ったとして、そんなことが許されると思うのか?」
守護者には恋愛など許されないぞ、とハイジが言う。
「思うわ。だってあたしだって『はぐれ』だもの。ポリシーに反することにはならないわ」
「ふむ……それは悪くないな。そうか、考えたこともなかったが、『はぐれ』相手なら、人並みの生き方も可能だったのかもしれんな」
『はぐれ』のためにならないことは、あらゆることが禁則事項なのだっけ。
どんな人生だそれは。ふざけるなという話だ。
それに……
「サーヤやユヅキが聞いたら怒りそうね」
ハイジは二人の想いを知っているわけで、その上でその気持を袖にしている。
ユヅキのほうは明確に表明したわけではないが、サーヤに至っては告白の上「聞かなかったこと」にされている。「よく考えれば『はぐれ』相手なら問題なかった」では済まされない気がする。
(って、サーヤの場合はまた別の事情があるけどさ)
「……彼女たちには申し訳ないが、どのみちおれに付いてくることは出来なかっただろう。そんな未来はあり得なかった」
エイヒムの人たちの協力があれば、なんとかなりそうではあるけれど……。
まぁいい。IF をいくら考えたところで意味はない。
「あたしは置いて行っても無駄よ。追いかけるだけだから」
「それは身に沁みて理解している」
その言葉に、あたしは頬を膨らませた。
「なら、ついでに『はぐれ』であるあたしのために、もう少し生きようとあがいて暮れてもいいじゃない」
「無理だ。おれにとってお前はすでに守るべき『はぐれ』じゃないからな」
「どういう意味?」
「もはや、お前が『はぐれ』かどうかなんて関係ない。お前はお前だからな」
その言葉はあたしにとってはとても嬉しいものだ。
しかし。
(どうすればハイジは生きようと思ってくれるのかな)
あたしには、とてもではないが「まだ『はぐれ』の守護者を続けろ」などという言葉を口にはできなかった。
ハイジはこれまで、十分すぎるほど『はぐれ』のために尽くしてきた。
それこそ、身も心も全て捧げて。
それはもしかすると『魂の契約』を通して精霊に強制されていたからかもしれないが、あたしに言わせれば、そもそもそんな契契がなくとも、ハイジは『はぐれ』のために戦い続けたと思うのだ。
ならば、そんな契約は無効だ。
どんな力を与えられたのかは知らないが、そんなもの、努力家なハイジなら地力で身につけたに違いない。
つまり、精霊との契約など、何の意味もないと、あたしは思うのだ。
(本当なら、ハイジには少しくらい休息が必要なはずだ)
だからこそ、ハイジには生に対する執着がない。
生きることが、すなわち自分を殺し続けることだったからだ。
気づいたら、あたしは泣いていた。
あたしは、ハイジに生きていて欲しい。
でも、そのためにこれ以上ハイジに無理をさせたいわけではないのだ。
もう、十分だ。
ハイジはすでに十分戦い、傷つき、そして功績を残してきた。
いい加減、休んでもいい頃なんだ。
「……ぐすっ……」
あたしが鼻をすすると、ハイジが走る速度を緩めた。
「……何故泣く」
「わかんなくなっちゃって」
「うん?」
「あたし、ハイジに生きていて欲しいよ。でも、これ以上辛い思いをしてほしくない。どうなればいいのか、自分でもわかなくなっちゃった」
「……お前が思うほど、辛い思いはしていないが」
「それ、辛いと思うことすらも禁則事項だからでしょうが」
あたしの目から、涙がポロポロとこぼれ落ちる。
「あたし、嫌よ。ハイジが辛いのも、居なくなっちゃうのも」
「……すまん」
「謝らないでよ……。いっそ、一緒に死ねたらそれが一番いいのかもね」
「いや、戦いで死なないかぎり、ヴァルハラには入れない。戦死者の館だからな。今お前が死んでも同じ場所には行けないぞ」
そういう意味じゃないわよ、バカハイジ。
「もう十分頑張ったじゃないの。契約がどうかしらないけど、とっくに返済は終わってるわ」
「どうだろうな」
「生きていて欲しいだけじゃないの、あたし、ハイジに報われて欲しいんだ」
「リン……」
と、その時だった。
ほとんど静止した世界のはずなのに、自分たち以外の気配を感じた。
それは、弱々しく微弱な気配と、もう一つ。
二つの気配が、混じり合うようにあたしとハイジの元まで届いた。
魔力を通した視界で見ると、蜉蝣みたいな今にも消えそうな輝きと、その隣に赤黒い光。
(––––これって、もしかして)
あたしがハイジに視界を向けようとする間もなく、ハイジが矢のような勢いで気配に向かって走り出した。
ハイジが立ち上がった。
「ヨーコたちが待っているだろうからな」
ノイエの体は癒えた。
まぁ、かなり血を失ったし、体力もほとんど残っていないが、栄養のあるものを食べて、しばらく療養すればすっかり元通りになるはずだ。
「……『伝令者』が切断されてるな」
「ヘラルド? 何それ?」
「ヨーコの能力だ。ヘルマンニの声が聞こえていただろう?」
あのテレパシーか。
「普通は切断されるようなことはないのだが、あれは目を合わせないと発動しないからな。お前の『時間停止』で切断された今、再接続する方法はない」
「ふぅん? でもまぁ、好都合じゃない」
「うん?」
「あたし、嫌よ。あなたとの会話を覗き見られるのは」
あたしが言うと、ああ、とハイジは笑った。
「ああ見えて、ヘルマンニは気の利く男だ。見るべきじゃないと思えば、覗き見たりはしないだろう」
「……なんとなく、女子の着替えを覗きそうなタイプだと思ってたけど」
「そう言えば、ペトラが若かった頃は、水浴びを覗きに行ってたな」
「駄目じゃないの」
覗き、ダメ。絶対。
しかし、ハイジはクツクツと笑う。
ヘルマンニとペトラの間には、あたしにはわからない彼らの関係があるのだろう。
「能力を使わず、わざわざ足を運んでいたぞ。あいつなりの線引があるのだろうな」
そう言いながら、ハイジはノイエを肩に担ぐ。
ノイエ少年がまるで荷物のようだが、あたしが運んであげるわけにもいかない。
(もし精霊が、ハイジを『はぐれの守護者』としてふさわしくないと判断したなら––––ハイジが生きていられるのはあと何時間なのだろう)
そうなったら、あたしはどうするだろう。
魔物の森の廃墟で宣言したように、この世界を滅ぼして回るだろうか。
時間の操作という、究極に近いずるを持つあたしならば、それは可能ではある––––。
「頼むから、もう自分を人質にするのはやめてくれ」
ハイジがそんな事を言いだした。
あたしの表情から、何を考えているのかがわかったのだろう。
「言っておくが、仮におれがヴァルハラ行きになっても、お前は世界を滅ぼしたりはせんよ。取引材料にはならん」
「わからないわよ? もしそんなことになれば、あたしは精霊を憎むだろうし、正気が残っていればまだしも、理性が飛べば何するかわからないわ」
「無駄だ。お前がそんなバカをしないことはわかっている。おれが惚れたのはそういう女だ」
(うぐっ)
「ひ、卑怯じゃない?!」
「そう言われてもな……駆け引きは好かん。そう思うから口にしているだけだ」
行くぞ、といってハイジは走り出す。
すぐにあとを追いかける。
儀礼戦が行われた平野に近いこのあたりは、未だ死の気配が立ち込めている。
そのうちの数パーセントは、あたしの手に依って生み出されたものだ。
理性が飛んで、人を殺すことを何とも思わなくなった瞬間のことを、あたしはよく覚えている。
(殺すことに何の抵抗も、関心もなかった。––––快感すらも)
少し暗い気持ちになる。
あのときはハイジが止めてくれたが、もしハイジが死んで、あの時と同じような状態になれば、きっとあたしは止まらない。
ハイジが好きだと言ってくれた自分を失くしたくない。
あたしはハイジが死ぬなんて結末を、絶対に認めるつもりはない。
だが、精霊の考えることなんて、あたしにはわからない。
(……時間がもったいない)
(時間停止)
パシュ、と視界が切り替わり、時間の膜を突き破る感触。
静止した世界で動けるようになった。
「……リン、あまり魔力を使うな。気づいてるか? お前、目や牙が魔獣みたいになったままだぞ」
「ふぅん……じゃあ、もう人間とは言えないわね。いっそ退治する?」
「アホなことを言うな」
ハイジがむっとしたように答えた。
「感情の起伏だけでなく、魔力を使えば使うほどそうなるのかもしれんな。もう急ぐこともあるまい、時間を止める必要はないだろう」
「あるわ。ハイジが生き残るためには、ハイジの認識が問題なのよね? なら、説得するまでよ」
「そのための時間稼ぎか」
「あなたが強情だからよ」
二人して睨み合う。
うん、どうしても甘い雰囲気にならないが、これがあたしたちなのだろう。
「仮に俺が生き残ったとして、お前が人でなくなってしまえば意味がないだろう」
「あたしが人に戻れたとして、あなたが居なけりゃ意味がないじゃないの」
「……さっきも言ったが、死にたいわけじゃないぞ」
「あたしも、人間をやめたいわけじゃないわ」
「平行線だな」
バカバカしい。
簡単な話ではないか。
「あなたが生き残って、あたしをうんと甘やかせてくれたらいいのよ。そうしたらきっと角も牙も引っ込むわ」
「そんなことでいいのか?」
「それ以上に求めることなんて何にもないわよ」
ハイジはクツクツと笑って、あたしを見る。
完全に面白がってる顔だ。
「お前、おれが生き残ったとして、そんなことが許されると思うのか?」
守護者には恋愛など許されないぞ、とハイジが言う。
「思うわ。だってあたしだって『はぐれ』だもの。ポリシーに反することにはならないわ」
「ふむ……それは悪くないな。そうか、考えたこともなかったが、『はぐれ』相手なら、人並みの生き方も可能だったのかもしれんな」
『はぐれ』のためにならないことは、あらゆることが禁則事項なのだっけ。
どんな人生だそれは。ふざけるなという話だ。
それに……
「サーヤやユヅキが聞いたら怒りそうね」
ハイジは二人の想いを知っているわけで、その上でその気持を袖にしている。
ユヅキのほうは明確に表明したわけではないが、サーヤに至っては告白の上「聞かなかったこと」にされている。「よく考えれば『はぐれ』相手なら問題なかった」では済まされない気がする。
(って、サーヤの場合はまた別の事情があるけどさ)
「……彼女たちには申し訳ないが、どのみちおれに付いてくることは出来なかっただろう。そんな未来はあり得なかった」
エイヒムの人たちの協力があれば、なんとかなりそうではあるけれど……。
まぁいい。IF をいくら考えたところで意味はない。
「あたしは置いて行っても無駄よ。追いかけるだけだから」
「それは身に沁みて理解している」
その言葉に、あたしは頬を膨らませた。
「なら、ついでに『はぐれ』であるあたしのために、もう少し生きようとあがいて暮れてもいいじゃない」
「無理だ。おれにとってお前はすでに守るべき『はぐれ』じゃないからな」
「どういう意味?」
「もはや、お前が『はぐれ』かどうかなんて関係ない。お前はお前だからな」
その言葉はあたしにとってはとても嬉しいものだ。
しかし。
(どうすればハイジは生きようと思ってくれるのかな)
あたしには、とてもではないが「まだ『はぐれ』の守護者を続けろ」などという言葉を口にはできなかった。
ハイジはこれまで、十分すぎるほど『はぐれ』のために尽くしてきた。
それこそ、身も心も全て捧げて。
それはもしかすると『魂の契約』を通して精霊に強制されていたからかもしれないが、あたしに言わせれば、そもそもそんな契契がなくとも、ハイジは『はぐれ』のために戦い続けたと思うのだ。
ならば、そんな契約は無効だ。
どんな力を与えられたのかは知らないが、そんなもの、努力家なハイジなら地力で身につけたに違いない。
つまり、精霊との契約など、何の意味もないと、あたしは思うのだ。
(本当なら、ハイジには少しくらい休息が必要なはずだ)
だからこそ、ハイジには生に対する執着がない。
生きることが、すなわち自分を殺し続けることだったからだ。
気づいたら、あたしは泣いていた。
あたしは、ハイジに生きていて欲しい。
でも、そのためにこれ以上ハイジに無理をさせたいわけではないのだ。
もう、十分だ。
ハイジはすでに十分戦い、傷つき、そして功績を残してきた。
いい加減、休んでもいい頃なんだ。
「……ぐすっ……」
あたしが鼻をすすると、ハイジが走る速度を緩めた。
「……何故泣く」
「わかんなくなっちゃって」
「うん?」
「あたし、ハイジに生きていて欲しいよ。でも、これ以上辛い思いをしてほしくない。どうなればいいのか、自分でもわかなくなっちゃった」
「……お前が思うほど、辛い思いはしていないが」
「それ、辛いと思うことすらも禁則事項だからでしょうが」
あたしの目から、涙がポロポロとこぼれ落ちる。
「あたし、嫌よ。ハイジが辛いのも、居なくなっちゃうのも」
「……すまん」
「謝らないでよ……。いっそ、一緒に死ねたらそれが一番いいのかもね」
「いや、戦いで死なないかぎり、ヴァルハラには入れない。戦死者の館だからな。今お前が死んでも同じ場所には行けないぞ」
そういう意味じゃないわよ、バカハイジ。
「もう十分頑張ったじゃないの。契約がどうかしらないけど、とっくに返済は終わってるわ」
「どうだろうな」
「生きていて欲しいだけじゃないの、あたし、ハイジに報われて欲しいんだ」
「リン……」
と、その時だった。
ほとんど静止した世界のはずなのに、自分たち以外の気配を感じた。
それは、弱々しく微弱な気配と、もう一つ。
二つの気配が、混じり合うようにあたしとハイジの元まで届いた。
魔力を通した視界で見ると、蜉蝣みたいな今にも消えそうな輝きと、その隣に赤黒い光。
(––––これって、もしかして)
あたしがハイジに視界を向けようとする間もなく、ハイジが矢のような勢いで気配に向かって走り出した。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
真実の愛は、誰のもの?
ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」
妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。
だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。
ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。
「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」
「……ロマンチック、ですか……?」
「そう。二人ともに、想い出に残るような」
それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる