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三章「遭遇」
#1
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パキャッと軽い音がして、カランと魔石が落ちる音が続く。
壁にへばりつくコウモリがサラサラと宙に消えていく。
「よし、だいぶ集まった」
木刀を肩に担いで、本日の MVP、ケンゴがニッと笑った。
コータが黄色い魔石を拾い上げる。
「今日だけで二十個……順調だね」
そう言ってケンゴに魔石を放り投げる。
パシッ危なげなく魔石を受け取ったケンゴは、リュックサックにそれを放り込む。
「そろそろ新しいモンスターにも挑戦したいわね」
アリサがバットをくるくる器用に回しながらそんなことを言う。
「あたしは今のままでいいなぁ……危ないモンスターとか、怖いもん」
カナちゃんが困ったような顔でそんな事を言うが、最近は少しずつモンスターを倒せるようになってきている。
* * *
ぼくたちも、ずいぶんモンスター狩りに慣れてきた。
最近では、出現するモンスターの数も増え、より強い個体が出現することも増えてきた。
ポイズンタラテクト。
ジャイアントタランチュラの小さい版みたいな見た目だけれど、動きが素早い。
小さくて早いから、倒すのに手間取る上に、毒がジャイアントタランチュラより強いらしい。
大人ダイチ曰く「動けなくなるだけでなく、しばらくは意識も奪われる」そうだ。
ファングフロッグ。
でっかいカエルで、見るからに毒々しい緑と赤の斑の皮膚を持っている。
カエルなのに、牙があって、噛まれるとそこから麻痺が広がっていくらしい。
動きはそう早くないんだけれど、地面だけでなく、壁や天井も使って跳ね回るので、これも仕留めるのが難しい。
レッサーニードルスコーピオン。
なんでももっと上位種の「ジャイアントスコーピオン」の劣化版らしい。
動きは早くないが、強力な爪と、尾から発射される強い麻痺毒が厄介な敵だ。
やたら硬くて、背中をいくら叩いてもダメージが通らない上に、熱にも強い。
だからひっくり返して腹を攻撃するんだけれど、それが一番難しい。
他にも、ユニコーンみたいな一本角のある小さなイノシシみたいなのとか、目がたくさんある犬みたいなのとか(あまりに気持ち悪くて、カナちゃんとアリサが悲鳴を上げた)、色々遭遇した。
どれも苦戦することなく倒せはしたけれど、どうしても力技になってしまって、魔法がほとんど攻撃の役に立っていない。
大人ダイチが言うところの「魔術戦」はもちろん、敵を倒して魔石を手に入れながら、それを利用しつつ戦う「魔石戦」など、まだまだ僕達には遠い世界だ。
みんなは、バラバラと魔石が降り注ぐ中魔法で敵を一網打尽にする「魔石戦」に強い憧れがあるらしい。(何度か大人ダイチに見せてもらった)
ダンジョンから出たあと、魔石の色を見てすぐに対応しやすい魔術を詠唱するという練習を始めたりしている。
確かに、魔石戦では敵がどんな魔石を落とすかは運頼みだし、魔石が現れてからどんな魔術を使うか悩んでいる暇はないから、この練習は有効だと思う。
「そのうち嫌でもできるようになる」と大人ダイチは言っていたけれど、本当なんだろうか?
皆の魔術の腕も上がり、ダンジョン探索はどんどん効率的になっていく。
もう懐中電灯もランタンも持ち込む必要はなくなったし(ケンゴがアリサに「防災用の懐中電灯なんだから家に返してらっしゃい」と叱られていた)、ダンジョン内で迷う心配は完全になくなった。
特に、カナちゃんが覚えた「Character(文字よ)」という魔術は、壁や空中に光る文字を書き残せるので、一度通って危険だった場所などに目印を残したりできて、とても便利だ。
さすがカナちゃん。可愛かっこいい。
壁にへばりつくコウモリがサラサラと宙に消えていく。
「よし、だいぶ集まった」
木刀を肩に担いで、本日の MVP、ケンゴがニッと笑った。
コータが黄色い魔石を拾い上げる。
「今日だけで二十個……順調だね」
そう言ってケンゴに魔石を放り投げる。
パシッ危なげなく魔石を受け取ったケンゴは、リュックサックにそれを放り込む。
「そろそろ新しいモンスターにも挑戦したいわね」
アリサがバットをくるくる器用に回しながらそんなことを言う。
「あたしは今のままでいいなぁ……危ないモンスターとか、怖いもん」
カナちゃんが困ったような顔でそんな事を言うが、最近は少しずつモンスターを倒せるようになってきている。
* * *
ぼくたちも、ずいぶんモンスター狩りに慣れてきた。
最近では、出現するモンスターの数も増え、より強い個体が出現することも増えてきた。
ポイズンタラテクト。
ジャイアントタランチュラの小さい版みたいな見た目だけれど、動きが素早い。
小さくて早いから、倒すのに手間取る上に、毒がジャイアントタランチュラより強いらしい。
大人ダイチ曰く「動けなくなるだけでなく、しばらくは意識も奪われる」そうだ。
ファングフロッグ。
でっかいカエルで、見るからに毒々しい緑と赤の斑の皮膚を持っている。
カエルなのに、牙があって、噛まれるとそこから麻痺が広がっていくらしい。
動きはそう早くないんだけれど、地面だけでなく、壁や天井も使って跳ね回るので、これも仕留めるのが難しい。
レッサーニードルスコーピオン。
なんでももっと上位種の「ジャイアントスコーピオン」の劣化版らしい。
動きは早くないが、強力な爪と、尾から発射される強い麻痺毒が厄介な敵だ。
やたら硬くて、背中をいくら叩いてもダメージが通らない上に、熱にも強い。
だからひっくり返して腹を攻撃するんだけれど、それが一番難しい。
他にも、ユニコーンみたいな一本角のある小さなイノシシみたいなのとか、目がたくさんある犬みたいなのとか(あまりに気持ち悪くて、カナちゃんとアリサが悲鳴を上げた)、色々遭遇した。
どれも苦戦することなく倒せはしたけれど、どうしても力技になってしまって、魔法がほとんど攻撃の役に立っていない。
大人ダイチが言うところの「魔術戦」はもちろん、敵を倒して魔石を手に入れながら、それを利用しつつ戦う「魔石戦」など、まだまだ僕達には遠い世界だ。
みんなは、バラバラと魔石が降り注ぐ中魔法で敵を一網打尽にする「魔石戦」に強い憧れがあるらしい。(何度か大人ダイチに見せてもらった)
ダンジョンから出たあと、魔石の色を見てすぐに対応しやすい魔術を詠唱するという練習を始めたりしている。
確かに、魔石戦では敵がどんな魔石を落とすかは運頼みだし、魔石が現れてからどんな魔術を使うか悩んでいる暇はないから、この練習は有効だと思う。
「そのうち嫌でもできるようになる」と大人ダイチは言っていたけれど、本当なんだろうか?
皆の魔術の腕も上がり、ダンジョン探索はどんどん効率的になっていく。
もう懐中電灯もランタンも持ち込む必要はなくなったし(ケンゴがアリサに「防災用の懐中電灯なんだから家に返してらっしゃい」と叱られていた)、ダンジョン内で迷う心配は完全になくなった。
特に、カナちゃんが覚えた「Character(文字よ)」という魔術は、壁や空中に光る文字を書き残せるので、一度通って危険だった場所などに目印を残したりできて、とても便利だ。
さすがカナちゃん。可愛かっこいい。
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