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二章「魔法」
#5
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「このように」
オレは皆を見回して言った。
「最初に一番有効そうな魔術を一つ使って、倒しながら得られる魔石を節約しながら利用して殲滅するのがセオリーだ。普通は剣なども使うのでここまで魔石に頼った戦い方はしないが、今回はお前たちに理解してもらうために、わかりやすく魔石戦を見てもらった」
「「「「いやいやいやいや!」」」」
全員からツッコまれてしまった。
「ちょ、すげぇええええ!! 何が起きたのかさっぱりわからなかった!!」
「ちょーーーっと真似できる気はしないかな!」
「武器を使わず全滅させた……」
「全然わかりやすくないよ、ダイチ君……」
ふむ……始めて見る魔法戦だし、ちょっと難しかったか。
「何も初めからできるとは言ってない。とりあえずは1匹ずつ、慣れれば2匹と魔術を使って倒せればいい。慣れればこの程度はお前たちもできるようになる。」
魔石を拾い集めながらオレは言う。
「それにチームなのだから、一人でやる必要はない。ケンゴ」
「な、なんだよ」
「リーダーの役割は、こういう時に役割分担を決めることだ。先ほどの場合なら、最初に『Flamma(炎よ)』を打ち込んだら、あとは状況を見ながら誰がどの敵を倒すかを指示しろ。場合によっては攻撃方法も指示する必要があるな」
「え、ええー、オレにできるかなぁ……」
「できるとも。オレの知っているケンゴは戦いの中でも周りが見えている。戦いの中で一番冷静なのはお前だ。はじめは難しくとも慣れれば問題ない」
「そ、そう?」
ケンゴが顔を赤らめて、グッと腕を握りしめる。
自分がまだ強くなれることを知って、嬉しくなったらしい。
「あと、コータとカナは物理戦が苦手なようだから魔術をしっかり覚えろ。ケンゴとアリサは身体能力が高いが、魔法を使いながら戦うとそのメリットが死ぬ。魔術は後衛のお前たちがやるべきだ」
「わ、わかった!」
「やるよ!」
二人とも力強く頷いた。
「そしてアリサ」
「な、なに?」
アリサが警戒心丸出しの顔にオレを見る。
自分だけ役割がないと思って拗ねているのが丸わかりだからな。
「前衛が二人いるのには意味がある。剣道をやっているケンゴは突破力が強い。速度が段違いだ。その分、一対多数の戦いに慣れていない」
「剣道の試合は一対一なんだからしょうがねぇだろ」
ケンゴが口を尖らせる。
「拗ねるなケンゴ。それは特徴であって欠点ではない。弱点ではあるが」
「……一緒じゃね?」
ますます不満顔になる。
「同じじゃない。アリサがいる」
「あたし?」
アリサがキョトンとする。
「そうだ。前衛は二人一組。一人が突撃し、一人がそのの背中を守る。さらに後衛のコータとカナが魔術でサポートする。ケンゴが周りを見て指示を出し、全員が自分の役割に集中する。とてもバランスがいい」
「あたし、ケンゴの背中を守ればいいの?」
「ああ。最初の戦いのときも思ったがケンゴの攻撃力は高い。しかし背中からの攻撃に対して無防備だ。お前が守ってやれ」
「わ、わかった!」
アリサはフンスと気合を入れる。
「じゃあ、ダイチは?」
コータが言う。
「ダイチはどんな役割なの?」
ふむ……とオレは考える。
「ダンジョンの歩き方や、モンスターとの戦い方について教える。あとは……」
「あとは?」
「お前たちに、魔術の使い方を教えよう」
「「「「おおおおおーーー!!!」」」」
オレの言葉に、皆が飛び上がって喜ぶ。
そんなに使いたかったのか、魔術。
オレは皆を見回して言った。
「最初に一番有効そうな魔術を一つ使って、倒しながら得られる魔石を節約しながら利用して殲滅するのがセオリーだ。普通は剣なども使うのでここまで魔石に頼った戦い方はしないが、今回はお前たちに理解してもらうために、わかりやすく魔石戦を見てもらった」
「「「「いやいやいやいや!」」」」
全員からツッコまれてしまった。
「ちょ、すげぇええええ!! 何が起きたのかさっぱりわからなかった!!」
「ちょーーーっと真似できる気はしないかな!」
「武器を使わず全滅させた……」
「全然わかりやすくないよ、ダイチ君……」
ふむ……始めて見る魔法戦だし、ちょっと難しかったか。
「何も初めからできるとは言ってない。とりあえずは1匹ずつ、慣れれば2匹と魔術を使って倒せればいい。慣れればこの程度はお前たちもできるようになる。」
魔石を拾い集めながらオレは言う。
「それにチームなのだから、一人でやる必要はない。ケンゴ」
「な、なんだよ」
「リーダーの役割は、こういう時に役割分担を決めることだ。先ほどの場合なら、最初に『Flamma(炎よ)』を打ち込んだら、あとは状況を見ながら誰がどの敵を倒すかを指示しろ。場合によっては攻撃方法も指示する必要があるな」
「え、ええー、オレにできるかなぁ……」
「できるとも。オレの知っているケンゴは戦いの中でも周りが見えている。戦いの中で一番冷静なのはお前だ。はじめは難しくとも慣れれば問題ない」
「そ、そう?」
ケンゴが顔を赤らめて、グッと腕を握りしめる。
自分がまだ強くなれることを知って、嬉しくなったらしい。
「あと、コータとカナは物理戦が苦手なようだから魔術をしっかり覚えろ。ケンゴとアリサは身体能力が高いが、魔法を使いながら戦うとそのメリットが死ぬ。魔術は後衛のお前たちがやるべきだ」
「わ、わかった!」
「やるよ!」
二人とも力強く頷いた。
「そしてアリサ」
「な、なに?」
アリサが警戒心丸出しの顔にオレを見る。
自分だけ役割がないと思って拗ねているのが丸わかりだからな。
「前衛が二人いるのには意味がある。剣道をやっているケンゴは突破力が強い。速度が段違いだ。その分、一対多数の戦いに慣れていない」
「剣道の試合は一対一なんだからしょうがねぇだろ」
ケンゴが口を尖らせる。
「拗ねるなケンゴ。それは特徴であって欠点ではない。弱点ではあるが」
「……一緒じゃね?」
ますます不満顔になる。
「同じじゃない。アリサがいる」
「あたし?」
アリサがキョトンとする。
「そうだ。前衛は二人一組。一人が突撃し、一人がそのの背中を守る。さらに後衛のコータとカナが魔術でサポートする。ケンゴが周りを見て指示を出し、全員が自分の役割に集中する。とてもバランスがいい」
「あたし、ケンゴの背中を守ればいいの?」
「ああ。最初の戦いのときも思ったがケンゴの攻撃力は高い。しかし背中からの攻撃に対して無防備だ。お前が守ってやれ」
「わ、わかった!」
アリサはフンスと気合を入れる。
「じゃあ、ダイチは?」
コータが言う。
「ダイチはどんな役割なの?」
ふむ……とオレは考える。
「ダンジョンの歩き方や、モンスターとの戦い方について教える。あとは……」
「あとは?」
「お前たちに、魔術の使い方を教えよう」
「「「「おおおおおーーー!!!」」」」
オレの言葉に、皆が飛び上がって喜ぶ。
そんなに使いたかったのか、魔術。
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