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平和に潜む闘争

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《個体名、黒田亜練は“裏の世界”の住人である可能性が高いです。》

 家に帰って早々、ヘルがこんな事を伝えて来た。…何故そう思ったんだ?と問うと、どうやら亜練の体内には常人ではあり得ない魔力がある様で、そこまで魔力が多いのは才能だけでは無い筈なのと、その隙の無さ、体幹が崩れにくい事からそう判断したらしい。俺は気付けなかったんだがなぁ。…魔法使い?それとも、陰陽師?陰陽師で使うのは、心力強く練られた魔力だから、使っている力は一緒なんだよな…それでどっちか分から無くなる。

「…そうか。まぁ、俺らに危害を加えられる可能性が低いのなら、取り敢えず問題ないだろ…っ⁉︎ヘル。」

《はい。マスターの結界に揺らぎを感知。どうやら、アルファ様の予想通りになっている様ですね。敵は8名、手練れはいません。勝率が99%を超えました。殲滅しますか?》

「いや、出来る事なら捕縛して欲しい。」

 ヘルが「分かりました、マスター。」と言う返事をして外に居る襲撃者を無力化、捕縛する。因みに、ルーも今この部屋に入ってきた。…ルー、外見は女の子なんだから、もう少し寝癖を直したりしようよ。

「レン、今回の事は私に任せて。すぐに対処するから。」
「ああ。それなら頼む。」

 ルージュの後ろには陰陽師の一族、雨月家が居るはずだし、そこに対処を任せた方が余計な問題を増やさないだろうしな。ただ…アルファのいい様では、俺を狙っているのは今回の組織だけでは無いだろうな。他のところも対処しないとかな?…とは言え、俺はその辺の組織を全然知らないし、もちろん拠点なども一切わからない。だから、後手後手になるのは確実だ。

《捕縛した者をここに転移させる事の許可を申請。…許可が降りました。転移開始。》

「おう。ありがとうな。」

 最後まで補助は完璧だな。さすが【完全援助】。…その後、襲撃者たちはルーに雨月家の家まで運ばれていった。…雨月家って、白鷺美津…いや、雨月美津がいる家だから俺はあまり行きたくない。剃りが合わないと言うのもとかもあるけど、一番の理由は俺の正体がバレる可能性が有ると言う事だな。別段、死守しないといけない秘密とかは無いのだが、なるべくバレない方が動きやすいからな。バレたらバレたで行動に雨月家のフォローが入って、動き自体は速くなるだろうが、それを盾に無茶な要求をされかねない。恐らくしないだろうとは言え、警戒するに越した事はない。さて、少なくとも今日同じ組織にまた襲われる可能性が低いだろうし、そもそもあの程度だったらここの結界十分大丈夫だし…寝るか。

 それにしても…これまで平和だと思っていたこの世界だが…思ったより裏の世界は争いに満ちている様だな。この様な世界の裏の顔は予想外だった…

______ルージュside______

 今さっき、レンが家に帰って来た。そして…ああ、やっぱりアルファの言う通りだったね…。愚者たちがこの家に襲撃を仕掛けてきた。…家の部屋から一歩も出らずに何人もの手練れを片付けれる人を襲う…本当に愚者だね。馬鹿のやる事だよ。

 さってと、私が守護している雨月家に襲撃者を連れてきた。当主やその娘雨月美津が驚いている様だけど…今は説明できないね。取り敢えず、どこの組織からのものか尋問しないと。このレベルの人達…一人一人が前にレンが戦った楽園の男と同じくらいの力を持ってる…やっぱり力が上がってるみたい。しかも、異常な位に伸びがある。いつか聞いてみないとね…。いくら神様に授かったとは言え、一柱の神じゃそこまで出来るはずがないし…。

 あ、襲撃者起きたみたい。じゃあ朝まで拷問かな?きっちり耐えてね~。
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