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超巨大組織、[楽園]
4—Boss—
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ズンッ。目の前に移動した男が出した下からの攻撃に対処できずに、壁まで吹き飛んだ。飛ばされている最中にうまく体を動かして、なんとか着地し、上の方を見ると男は振り上げた腕を下ろしつつ、悠然とこちらを見ている。かなり、力の差がある様だ。俺は結構全力を使っているのに、あちらはまだ余裕がある様だ。顔に、心底楽しそうな笑みを浮かべている。
「ぐ…。痛いな。」
《身体自動修復開始。大丈夫ですか、マスター。》
大丈夫だが…。俺、あまり局所的な攻撃手段を持っていないんだよなぁ。周りを巻き込むのもあるけど…範囲型じゃ、攻撃が通じない気がする。さて、どうしようか。
「おっと。まだ名乗っていなかったな。殺される相手の名前を知らないのもあれか。俺は、【楽園】の四大枢機卿が一人、シン・リーの側近、ランドルだ。短い付き合いになるだろうが、覚えておけ。」
楽園…ルーが言っていた組織か?この間の夕食中に、そんな単語が出た様な、出てない様な…。まぁいい。俺のルーの危害を加えた。こいつは万死に値する。何があろうともこいつは絶対に殺す。
「そうか。俺は星野蓮斗。【第五級完全魔法・八大地獄“煉獄”】。」
ズズズズズズ……。
完全魔法の中でも上位の魔法、八大地獄の名を冠するこの魔法は、当たった生物に、死ぬまで燃え続ける焔を付与する、凶悪な魔法だ。焔は、黒く、地獄と呼ぶにふさわしい暗さを持っていた。
「ちっ。流石にこれを喰らうとまずいな。…【聖水】っ。」
決まったかなと思っていた直後、消えるはずのない焔が…一瞬にして消えた。なんだ。何が起こった?
《…私の知識にない力を感知。…自然エネルギーではないと判断。識別を開始…完了。どうやら、なんらかの力を使い、スキルと同じ様なものを手に入れていると判断。“コピー”成功。スキル【聖水】【聖水耐性】を獲得しました。》
どうやら、ヘルでもわからない何かの力を使った様だ。何かのスキルを獲得したらしい。まぁ、後で確認しようか。
俺が、どうやって目の前の男を倒そうかと悩んでいたら、急に意識が反転した。ぐっ、何が起こった…?
気がつくと、俺は暗い空間にいた。…あの、世界の管理者の様な感じの空間だな。雰囲気もそんな感じがする。へる、ここは?
《…。》
ヘルが、声を出さない。…と言うより、おそらくヘルのこの空間への識別を無効化しているのだろう。いや、ヘルの俺への干渉自体を制限されている様だな。
そんなことを考えていると、管理人の時とは違い、空間が、裂けた。その間から、どす黒い何かが現れる。その手には、何かの珠がある。
「ククク。苦戦していた様だなぁ。俺様を宿しておいて、情けないことだぜ。さて、そんなてめえに聞こう。力が欲しいか。」
…その言葉が目の前の存在から発せられた時、俺は、瞬時に答えた。“欲しい”と。あれを、あの状況を乗り越えられる力が欲しい!友を、家族を、他人を守れる力が欲しい‼︎そう、答えてしまった。
「その言葉、承った。ここに、契約は結ばれた。この俺、運命神の名の下に、契約は交わされた。契約に従い、お前に力をやろう。お前にやる力は———」
気がつけば、その言葉を聞き終わると同時に、俺は、元の世界に戻ってきていた。
「ぐ…。痛いな。」
《身体自動修復開始。大丈夫ですか、マスター。》
大丈夫だが…。俺、あまり局所的な攻撃手段を持っていないんだよなぁ。周りを巻き込むのもあるけど…範囲型じゃ、攻撃が通じない気がする。さて、どうしようか。
「おっと。まだ名乗っていなかったな。殺される相手の名前を知らないのもあれか。俺は、【楽園】の四大枢機卿が一人、シン・リーの側近、ランドルだ。短い付き合いになるだろうが、覚えておけ。」
楽園…ルーが言っていた組織か?この間の夕食中に、そんな単語が出た様な、出てない様な…。まぁいい。俺のルーの危害を加えた。こいつは万死に値する。何があろうともこいつは絶対に殺す。
「そうか。俺は星野蓮斗。【第五級完全魔法・八大地獄“煉獄”】。」
ズズズズズズ……。
完全魔法の中でも上位の魔法、八大地獄の名を冠するこの魔法は、当たった生物に、死ぬまで燃え続ける焔を付与する、凶悪な魔法だ。焔は、黒く、地獄と呼ぶにふさわしい暗さを持っていた。
「ちっ。流石にこれを喰らうとまずいな。…【聖水】っ。」
決まったかなと思っていた直後、消えるはずのない焔が…一瞬にして消えた。なんだ。何が起こった?
《…私の知識にない力を感知。…自然エネルギーではないと判断。識別を開始…完了。どうやら、なんらかの力を使い、スキルと同じ様なものを手に入れていると判断。“コピー”成功。スキル【聖水】【聖水耐性】を獲得しました。》
どうやら、ヘルでもわからない何かの力を使った様だ。何かのスキルを獲得したらしい。まぁ、後で確認しようか。
俺が、どうやって目の前の男を倒そうかと悩んでいたら、急に意識が反転した。ぐっ、何が起こった…?
気がつくと、俺は暗い空間にいた。…あの、世界の管理者の様な感じの空間だな。雰囲気もそんな感じがする。へる、ここは?
《…。》
ヘルが、声を出さない。…と言うより、おそらくヘルのこの空間への識別を無効化しているのだろう。いや、ヘルの俺への干渉自体を制限されている様だな。
そんなことを考えていると、管理人の時とは違い、空間が、裂けた。その間から、どす黒い何かが現れる。その手には、何かの珠がある。
「ククク。苦戦していた様だなぁ。俺様を宿しておいて、情けないことだぜ。さて、そんなてめえに聞こう。力が欲しいか。」
…その言葉が目の前の存在から発せられた時、俺は、瞬時に答えた。“欲しい”と。あれを、あの状況を乗り越えられる力が欲しい!友を、家族を、他人を守れる力が欲しい‼︎そう、答えてしまった。
「その言葉、承った。ここに、契約は結ばれた。この俺、運命神の名の下に、契約は交わされた。契約に従い、お前に力をやろう。お前にやる力は———」
気がつけば、その言葉を聞き終わると同時に、俺は、元の世界に戻ってきていた。
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