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秘密の恋愛と過去との決別 ④
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――それからまた一ヶ月間、僕は絢乃さんからの逆プロポーズの返事を延ばし延ばしにしていた。
その間に絢乃さんの学校は衣更えをして、僕は彼女の夏服姿を初めて見た。
「それが夏服ですか。可愛いですね。よくお似合いです」
さすがは名門お嬢さま学校だけあって、夏服もオシャレだった。少しピンクがかった半袖のブラウスに白地に赤のタータンチェック模様が入ったプリーツスカート、それに冬服と同じ赤いリボン。僕が通っていた公立高校のダサい夏服とは雲泥の差である。
それはともかく、僕は絢乃さんとの結婚に向け、どうやったら過去のトラウマ――日比野美咲とのことに終止符を打てるのか、そればかり考えていた。
あれを僕自身は〝恋愛〟としてカウントしていないが、僕の家族――とりわけ母はあの失恋に当人である僕以上に心を痛めており、何かと僕を気遣ってくれていた。そのため、僕にちゃんとした恋人ができるのか、僕が結婚できるのかといつも心配していたのだが。
「――母さん、俺さ、今お付き合いしてる人がいるんだ」
そんな母を安心させたくて、僕はある日の夜、実家に電話した。絢乃さんとお付き合いしていることを報告するために。
いや、もっと早く報告しろよと言われそうだが、これも僕の方で覚悟が決まらずにズルズルと先延ばしになっていたのだ。……もっとも、兄から先に聞いていただろうが。
すると母は「どんな女性なのか紹介してほしい」と言ってきて、絢乃さんとウチの両親を引き会わせることになった。
翌日の勤務中、その話を絢乃会長に切り出すと、最初はプロポーズの返事を聞けると期待されていたらしい彼女は拍子抜けされていたが。
「いいよ。わたしも、貴方のご両親には一度お目にかかりたいなって思ってたから」
そう快諾され、僕の実家を訪れる日程まで決めて下さった。「サプライズ訪問の方がいいか」という小ボケも挟みつつ。
そういえば、僕は絢乃さんのご両親のことを――お亡くなりになったお父さまも含めて――よく知っていたが、彼女を兄以外の僕の家族に会わせたことがなかったので、これは不公平だなと思っていた。
その後、痺れを切らしたらしい彼女から、僕が結婚に踏み切れない理由が僕自身にあるのではないかとズバリ指摘され、僕はショックを受けた。心の傷は思っていた以上に深く、まだカサブタにすらなっていないのだと。
そのせいで絢乃さんを謝らせてしまったが、彼女は何も悪くなかった。悪いのは、いつまでもあんなことをウジウジ引きずっていた僕の方だった。
* * * *
絢乃さんの桐島家訪問が実現したのは、その週の土曜日だった。
「――じゃあ俺、絢乃さんをお迎えに行ってくるから」
「行ってらっしゃい、貢。お母さん、今日はウチのキッチンで、絢乃さんと一緒にお料理しようかしら」
午後三時ごろ、雨の降る中僕を送り出そうとしていた母の言葉には、息子の恋人への願望が込められていた。
「あー、うん。そうなるといいね、母さん」
僕もそうなってくれたらいいなと思った。僕の母と絢乃さんは相性がよさそうなので、良好な嫁姑の関係が築けると思う。絢乃さんがお嫁に来てくれるわけではないが。
そういえば、日比野を両親に紹介したことはなかった。二股をかけられていたから、紹介しづらかったというのもある。
この日、絢乃さんは可愛いワンピースの上からオフホワイトのカーディガンを羽織り、足元は真っ白なサンダルという爽やかなスタイルだった。そういえば、豊洲に行った時には珍しくパンツスタイルだったっけな。
クルマの中で、母が彼女と一緒に料理したがっていることを伝えると、「桐島家の一員になれるみたいで、わたしも楽しみ」と顔を綻ばせておられた。やっぱり彼女と母は気が合いそうだと思い、僕も嬉しかった。
でもそのためには、僕の中にある過去への蟠りを早く清算してしまわなければ……。
途中のパティスリーで手土産のいちごショートを五個購入し、桐島家で僕の両親に挨拶する絢乃さんはさしずめ結婚の挨拶に来たようだった。
早番で出勤していた兄も夕方には(それも、みんなでケーキを頂いていた時だ)帰宅し、夕食の準備は母と絢乃さんの二人ですることになった。
「――貢、お前は手伝ってやらなくていいのか?」
キッチンでの手伝いを申し出てあえなく断られたらしい兄が、リビングで父と一緒にTVを観ていた僕にそう言った。
「いいよ、俺は。どうせジャマになるだけだし。嫁姑の二人きりにしてあげた方がいいかな、と思ってさ」
きっと女同士でしか話せないこともたくさんあるだろう。まさかその時に、母が絢乃さんに僕のトラウマのことを暴露していたとは思わなかったが。
一緒にきのこデミグラスソースのハンバーグの夕食を囲んでいた時、絢乃さんの目が少し赤くなっていたことが僕は気になっていた。もしかして、僕のために涙を……?
帰りの車内でそれとなく訊ねてみると、そのとおりだった。僕のために心を痛めて下さるなんて、絢乃さんは本当に心のキレイな人だ。彼女となら生涯を共にしていけると、僕は心から思えた。
* * * *
絢乃さんとの結婚の意思を固めて間もない日の仕事帰り、僕は思いがけず日比野美咲と再会した。いや、結婚していたから苗字は変わっていたが。
「――桐島くん?」
「日比野……いや、今は違うか。美咲って呼ばないとダメかな」
「ううん、別にいいよ」
彼女はセレブ妻になったはずなのに、ちっとも幸せそうに見えなかった。結婚生活がうまくいっていなかったのだろうか?
立ち話も何なので、彼女とはファミレス(兄の店ではない)で話すことにした。僕のクルマの中で、二人きりで話すなんてまっぴらゴメンだったし。
「――あの……ね、あたし、離婚したの」
「えっ、もう!? だって、まだ一年半も経ってないだろ?」
いきなりの爆弾発言に、僕は飲んでいたガムシロップ少なめのアイスカフェオレを噴き出しそうになった。
「うん。でもダメだったんだ。あたし、セレブ妻には向いてなかったみたい。子供もできなかたったし、お姑さんのイヤミ攻撃にも耐えられなくなって」
「あー……、なるほど」
男に媚びることしかしてこなかっただろう彼女ならそうだろうな、と僕は妙に納得できた。
「というわけで、あたしまた独身に戻ったの。だから……桐島くん、あたしたちまた付き合わない? 今度は桐島くんが本命だよ。どう?」
「悪いけど俺、結婚したい相手がいるから。男あさりたいなら他のヤツ当たって」
あまりにも勝手すぎる美咲の言い分に、僕はブチ切れた。この女は僕の気持ちなんてちっとも分かっていないのだ。
「え……結婚するの? 相手はどんな人?」
「篠沢絢乃さん。今の篠沢グループの会長だよ。俺いま、彼女の秘書なんだ。で、二月からお付き合いしてる。彼女はまだ高校生だから、結婚するのは卒業後になると思うけど」
彼女に口を挟まれるのはムカつくので、一気にまくし立てた。
「そっか、会長さんと……。それって逆玉ってヤツ?」
「逆玉なんか狙ってねぇよ。俺、本気だから。こないだも両親に会って頂いた。――彼女は俺の過去なんか気にしない、過去なんかなかったことにしてあげるって言って下さったんだ。だから俺も、美咲とのことにそろそろ決着つけたい。彼女のためにも」
「……………………分かった! もういいよ、もう桐島くんには会わない! あ~~、声かけるんじゃなかった! せいぜい可愛い会長さんと仲良くすれば!? お幸せにっ!」
美咲はイライラと捨て台詞を吐きながら、店を出て行った。おかげで会計は僕が二人分するハメになったが、そんなことはまったく気にならなかった。
何はともあれ、僕はこうして過去の苦い恋愛と決別することができたのだった。
その間に絢乃さんの学校は衣更えをして、僕は彼女の夏服姿を初めて見た。
「それが夏服ですか。可愛いですね。よくお似合いです」
さすがは名門お嬢さま学校だけあって、夏服もオシャレだった。少しピンクがかった半袖のブラウスに白地に赤のタータンチェック模様が入ったプリーツスカート、それに冬服と同じ赤いリボン。僕が通っていた公立高校のダサい夏服とは雲泥の差である。
それはともかく、僕は絢乃さんとの結婚に向け、どうやったら過去のトラウマ――日比野美咲とのことに終止符を打てるのか、そればかり考えていた。
あれを僕自身は〝恋愛〟としてカウントしていないが、僕の家族――とりわけ母はあの失恋に当人である僕以上に心を痛めており、何かと僕を気遣ってくれていた。そのため、僕にちゃんとした恋人ができるのか、僕が結婚できるのかといつも心配していたのだが。
「――母さん、俺さ、今お付き合いしてる人がいるんだ」
そんな母を安心させたくて、僕はある日の夜、実家に電話した。絢乃さんとお付き合いしていることを報告するために。
いや、もっと早く報告しろよと言われそうだが、これも僕の方で覚悟が決まらずにズルズルと先延ばしになっていたのだ。……もっとも、兄から先に聞いていただろうが。
すると母は「どんな女性なのか紹介してほしい」と言ってきて、絢乃さんとウチの両親を引き会わせることになった。
翌日の勤務中、その話を絢乃会長に切り出すと、最初はプロポーズの返事を聞けると期待されていたらしい彼女は拍子抜けされていたが。
「いいよ。わたしも、貴方のご両親には一度お目にかかりたいなって思ってたから」
そう快諾され、僕の実家を訪れる日程まで決めて下さった。「サプライズ訪問の方がいいか」という小ボケも挟みつつ。
そういえば、僕は絢乃さんのご両親のことを――お亡くなりになったお父さまも含めて――よく知っていたが、彼女を兄以外の僕の家族に会わせたことがなかったので、これは不公平だなと思っていた。
その後、痺れを切らしたらしい彼女から、僕が結婚に踏み切れない理由が僕自身にあるのではないかとズバリ指摘され、僕はショックを受けた。心の傷は思っていた以上に深く、まだカサブタにすらなっていないのだと。
そのせいで絢乃さんを謝らせてしまったが、彼女は何も悪くなかった。悪いのは、いつまでもあんなことをウジウジ引きずっていた僕の方だった。
* * * *
絢乃さんの桐島家訪問が実現したのは、その週の土曜日だった。
「――じゃあ俺、絢乃さんをお迎えに行ってくるから」
「行ってらっしゃい、貢。お母さん、今日はウチのキッチンで、絢乃さんと一緒にお料理しようかしら」
午後三時ごろ、雨の降る中僕を送り出そうとしていた母の言葉には、息子の恋人への願望が込められていた。
「あー、うん。そうなるといいね、母さん」
僕もそうなってくれたらいいなと思った。僕の母と絢乃さんは相性がよさそうなので、良好な嫁姑の関係が築けると思う。絢乃さんがお嫁に来てくれるわけではないが。
そういえば、日比野を両親に紹介したことはなかった。二股をかけられていたから、紹介しづらかったというのもある。
この日、絢乃さんは可愛いワンピースの上からオフホワイトのカーディガンを羽織り、足元は真っ白なサンダルという爽やかなスタイルだった。そういえば、豊洲に行った時には珍しくパンツスタイルだったっけな。
クルマの中で、母が彼女と一緒に料理したがっていることを伝えると、「桐島家の一員になれるみたいで、わたしも楽しみ」と顔を綻ばせておられた。やっぱり彼女と母は気が合いそうだと思い、僕も嬉しかった。
でもそのためには、僕の中にある過去への蟠りを早く清算してしまわなければ……。
途中のパティスリーで手土産のいちごショートを五個購入し、桐島家で僕の両親に挨拶する絢乃さんはさしずめ結婚の挨拶に来たようだった。
早番で出勤していた兄も夕方には(それも、みんなでケーキを頂いていた時だ)帰宅し、夕食の準備は母と絢乃さんの二人ですることになった。
「――貢、お前は手伝ってやらなくていいのか?」
キッチンでの手伝いを申し出てあえなく断られたらしい兄が、リビングで父と一緒にTVを観ていた僕にそう言った。
「いいよ、俺は。どうせジャマになるだけだし。嫁姑の二人きりにしてあげた方がいいかな、と思ってさ」
きっと女同士でしか話せないこともたくさんあるだろう。まさかその時に、母が絢乃さんに僕のトラウマのことを暴露していたとは思わなかったが。
一緒にきのこデミグラスソースのハンバーグの夕食を囲んでいた時、絢乃さんの目が少し赤くなっていたことが僕は気になっていた。もしかして、僕のために涙を……?
帰りの車内でそれとなく訊ねてみると、そのとおりだった。僕のために心を痛めて下さるなんて、絢乃さんは本当に心のキレイな人だ。彼女となら生涯を共にしていけると、僕は心から思えた。
* * * *
絢乃さんとの結婚の意思を固めて間もない日の仕事帰り、僕は思いがけず日比野美咲と再会した。いや、結婚していたから苗字は変わっていたが。
「――桐島くん?」
「日比野……いや、今は違うか。美咲って呼ばないとダメかな」
「ううん、別にいいよ」
彼女はセレブ妻になったはずなのに、ちっとも幸せそうに見えなかった。結婚生活がうまくいっていなかったのだろうか?
立ち話も何なので、彼女とはファミレス(兄の店ではない)で話すことにした。僕のクルマの中で、二人きりで話すなんてまっぴらゴメンだったし。
「――あの……ね、あたし、離婚したの」
「えっ、もう!? だって、まだ一年半も経ってないだろ?」
いきなりの爆弾発言に、僕は飲んでいたガムシロップ少なめのアイスカフェオレを噴き出しそうになった。
「うん。でもダメだったんだ。あたし、セレブ妻には向いてなかったみたい。子供もできなかたったし、お姑さんのイヤミ攻撃にも耐えられなくなって」
「あー……、なるほど」
男に媚びることしかしてこなかっただろう彼女ならそうだろうな、と僕は妙に納得できた。
「というわけで、あたしまた独身に戻ったの。だから……桐島くん、あたしたちまた付き合わない? 今度は桐島くんが本命だよ。どう?」
「悪いけど俺、結婚したい相手がいるから。男あさりたいなら他のヤツ当たって」
あまりにも勝手すぎる美咲の言い分に、僕はブチ切れた。この女は僕の気持ちなんてちっとも分かっていないのだ。
「え……結婚するの? 相手はどんな人?」
「篠沢絢乃さん。今の篠沢グループの会長だよ。俺いま、彼女の秘書なんだ。で、二月からお付き合いしてる。彼女はまだ高校生だから、結婚するのは卒業後になると思うけど」
彼女に口を挟まれるのはムカつくので、一気にまくし立てた。
「そっか、会長さんと……。それって逆玉ってヤツ?」
「逆玉なんか狙ってねぇよ。俺、本気だから。こないだも両親に会って頂いた。――彼女は俺の過去なんか気にしない、過去なんかなかったことにしてあげるって言って下さったんだ。だから俺も、美咲とのことにそろそろ決着つけたい。彼女のためにも」
「……………………分かった! もういいよ、もう桐島くんには会わない! あ~~、声かけるんじゃなかった! せいぜい可愛い会長さんと仲良くすれば!? お幸せにっ!」
美咲はイライラと捨て台詞を吐きながら、店を出て行った。おかげで会計は僕が二人分するハメになったが、そんなことはまったく気にならなかった。
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