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第1章 再会
真樹の五年間、みんなの五年間。 ②
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田渕くんの呼びかけで、元一組の出席番号一番の青山くんがステージに上がる。
田渕くんがそうしたいか、男女を問わず〝恋人の有無〟を言うのが決まりになってしまったようだ。みんな恋人がいるかいないか必ずカミングアウトしていた。
そして、出席番号七番の岡原の順番はすぐに回ってきた。
(アイツは一体、何て言うんだろう……)
ここまできたら、彼女がいるかいないかを打ち明けるのはもう決定事項のようなものなので、当然彼も言わされる羽目になるのだろう。
真樹としては、想いを寄せている岡原のそんな話を聞きたいような、聞きたくないような……。
(そもそもアイツ、そういう話したがるのかな。しかも人前で)
彼女にはそれが疑問だった。
中学の頃の彼は、恋バナなど積極的にするタイプではなかった。女子から人気はあったけれど、鈍感だからなのか自分が「モテている」という自覚はほとんどなかった。
でも卒業して五年が経ち、大人になったから彼だって変わったかもしれない。
それに……、考えたくはないけれど、この五年の間に彼女ができていてもおかしくないのだ。――それはそれで、真樹は複雑なのだけれど。
『えーっと、出席番号七番、岡原将吾です。おととし定時制高校を卒業て、車の修理工やってます! 中卒で入ったから、えーっと。ん? 六年目? んで、彼女は……』
(えっ、どっち? どっち?)
真樹はドキドキしながら、彼の次の言葉を待った。――のだけれど。
『彼女は……ノーコメントってことで! 以上!』
「…………へ?」
「「「ええーーーーっ!?」」」
真樹が間の抜けた声を出したのと、すでにカミングアウトを終えている子達がどよめいたのはほぼ同時だった。次の瞬間、怒涛のようなブーイングが起こる。
「岡原、ズルいぞ!」
「ノーコメントってアリかよ!? そんならオレだってそう言ってたわ!」
「あたしだって、勇気ふり絞って『彼氏いない』ってカミングアウトしたのに!」
男子はもちろんのこと、女子からもブーイングを受けたのには、岡原当人はもちろん真樹も苦笑いしていた。
(アイツ、うまい逃げ方したもんだな……。う~ん、でもコレはコレでよかったかも。あたし的には)
彼がもし「彼女がいる」と言っていたら、それを聞かされた真樹はどれほどショックだったろうか。
「ノーコメント」と言えば、彼もそれ以上突っ込んで訊かれることもないし、後に続く同級生達にもこれで第三の選択肢ができたことになるので、強制的に恋人の有無を言わされると思っていたみんなも、もちろん真樹もホッとした。
(……でも、あたしは逃げないけどっ)
真樹は今日、岡原に自分の想いを打ち明けるつもりでいるのだ。そのためには、彼のいる前でウソやごまかしなく、自分が今フリーであることを正直に言った方がいい。
――一組の近況報告も、最後の一人が終わろうとしていた。真樹はこの次。二組の出席番号一番である。
『――えー、では二組に移ります。まずは、今や僕達の中で一番の有名人になった麻木真樹さん、ステージへどうぞ!』
田渕くんがそんな紹介をしたので、みんなが「わぁーっ!」と大歓声と拍手で壇上に上がる彼女を迎えた。
(わ……! あたし、みんなからめっちゃ注目されてる……!)
もともと目立たないうえに、人の注目を浴びるのが苦手な真樹にとって、今のこの状況は冷や汗ものだった。
デビューがきまった時も授賞式があったわけではなく、賞状が直接郵送されてきただけだったし――。
でも、ついさっき「逃げない」と決めた手前、このまま何も言わずにステージから降りるわけにもいかない。
(女は度胸! よしっ!)
腹を括った真樹は、田渕くんからマイクを受け取ると、深呼吸をひとつして口を開く。
『はーい! 先ほど田渕くんからご紹介にあずかりました、ライトノベル作家の麻木マキでーす! 去年、念願の作家デビューを果たしました! でも今はひとり暮らししてて、家賃とか光熱費も自分で払わないといけないから、豊島区の本屋さんで働きながら本業も……って感じです』
そこでまた、みんなの「おおーっ!」という歓声と拍手が起こり、「がんばってー!」という声援も飛んできた。
真樹はアイドルよろしく「ありがとー!」と声援に応え、続きを話した。
『彼氏は……いません! っていうか、できたことないです。でも、好きな人はいます。中学の頃から、たった一人だけ。……あ、これからここに上がるみんな! あたしは正直に話したけど、みんなは遠慮しないで「ノーコメント」って言ってくれていいからね!? 以上、麻木マキでしたー!』
田渕くんにマイクを返し、大拍手の中ステージを下りた真樹は、張りつめていたものから解放されたように元いた場所にペタンと座り込んだ。
「――真樹、おつかれー! よくガンバったねぇ。はい! コレ飲みな」
「サンキュ、美雪。ふーーっ、変な汗かいちゃったよー」
真樹は親油から赤いラベルの紅茶のペットボトルを受け取ると、両手で顔の前をパタパタ扇いだ。
自動販売機の中でキンキンに冷えていたらしい紅茶はまだ十分冷たく、グビグビ飲むと真樹の汗もあっという間に引いていく。
「まあねー、真樹って元々あんなに喋るキャラじゃなかったもんね。ステージの上ではめっちゃムリしてたんだろうなってあたし思ったよ」
「うん、まあ。さすが親友。付き合い長いのはダテじゃないね」
真樹は美雪の察しのよさに舌を巻いた。
二人の友情は小学校入学時から始まっているけれど、元を辿れば親の代まで遡る。母親同士が幼なじみで中学の先輩・後輩(ちなみに、美雪の母親が一年先輩である)、家も近所だったのだ。
「そういや、ウチのお母さんが言ってたよ。『真樹ちゃん、近くまで来たらまた遊びにおいで』って。最近、あんまり来てくんないからさ、お母さん淋しがってるんだよ」
「うん……、そうだね。去年作家になってから、ずっと忙しかったしなぁ。また近いうちに遊びに行こっかな」
「うん、そうしてそうして! 何ならさ、今日この後、同窓会が終わってからでも!」
美雪は「善は急げ」とばかりにまくし立てたけれど。真樹が眉をひそめた。
「それはちょっと……。告白した後、どう転ぶか分かんないし」
「あ……、そっか。だよねぇ」
美雪はガックリと肩を落とす。
もしも真樹の告白がうまくいって、岡原と付き合うことになったら、その後は彼と二人で行動することになるかもしれないのだ。
「だから、また次の機会に。ね?」
「うん、いいよ。ちょっと残念だけどさ、あたしも真樹の恋が実ってくれる方が嬉しいもん。だから、告白ガンバ!」
「美雪……! うん、あたしガンバるっ!」
片想いを始めて七年間、ずっと恋の行方を見守ってくれている親友の励ましに、真樹は何としても応えたいと思った。
****
五組の最後まで近況報告が一巡したところで、みんながお待ちかねの昼食タイムとなった。
「あー、お腹すいたぁ! やっとお昼ゴハンだねー」
「ホントだよー。だいたいさぁ、集合時間が十二時になってるならさ、最初にゴハンでもよかったじゃんねぇ」
真樹が空腹を訴えると、美雪は口を尖らせて、この同窓会の段取りに物申した。
「まあまあ、そんなに怒んないの。お寿司屋さんの都合もあってそうなったのかもしんないでしょ? お店のピークになる時間帯を避けたとかさ、配達の準備に時間がかかって……とか」
「もしくは、ウーバーイーツの都合とか?」
「あのねぇ……。どこの世界に、こんだけの大量注文を引き受けるウーバー配達員がいんのよ? こういう場合は普通、車で配達するでしょ」
そんな会話をしていると、体育館の外から車が停まる音と話し声が聞こえてきて、田渕くんと先生達で手分けして、大量の寿司桶が運ばれてきた。
よく見れば、デザートでも入っているのかドライアイスの煙が出ている白い箱を持った先生もいる。
『みなさん、お待たせしました! これから昼食の時間となります! お寿司は全部サビ抜きなので、ワサビが欲しい人は配る時に声かけて下さい。デザートにケーキもありますからねー。欲しい人は、前まで出てきて好きなの取ってって下さーい!』
マイクに向かって田渕くんがそう言うと、あとは各自、自由に移動した。
真樹は美雪や他の友達と六人グループで集まり、岡原もまたいつものメンバーと一緒に固まる。
「まあ、やっぱこうなるよね」
真樹は当然の結果、とばかりに呟く。
「なるだろうねぇ。――それよか、お寿司がサビ抜きでよかったよね。真樹、ワサビ苦手でしょ?」
「うん。美雪はワサビ大丈夫だっけ?」
「あたしはどっちでもいけるけど、今日はサビ抜きにしよっかなー。ネタのシェアとかもしたいし」
お互いに苦手なネタも違うので、交換したりもするだろう。ちなみに真樹はタコが、美雪は光り物が苦手である。
田渕くんがそうしたいか、男女を問わず〝恋人の有無〟を言うのが決まりになってしまったようだ。みんな恋人がいるかいないか必ずカミングアウトしていた。
そして、出席番号七番の岡原の順番はすぐに回ってきた。
(アイツは一体、何て言うんだろう……)
ここまできたら、彼女がいるかいないかを打ち明けるのはもう決定事項のようなものなので、当然彼も言わされる羽目になるのだろう。
真樹としては、想いを寄せている岡原のそんな話を聞きたいような、聞きたくないような……。
(そもそもアイツ、そういう話したがるのかな。しかも人前で)
彼女にはそれが疑問だった。
中学の頃の彼は、恋バナなど積極的にするタイプではなかった。女子から人気はあったけれど、鈍感だからなのか自分が「モテている」という自覚はほとんどなかった。
でも卒業して五年が経ち、大人になったから彼だって変わったかもしれない。
それに……、考えたくはないけれど、この五年の間に彼女ができていてもおかしくないのだ。――それはそれで、真樹は複雑なのだけれど。
『えーっと、出席番号七番、岡原将吾です。おととし定時制高校を卒業て、車の修理工やってます! 中卒で入ったから、えーっと。ん? 六年目? んで、彼女は……』
(えっ、どっち? どっち?)
真樹はドキドキしながら、彼の次の言葉を待った。――のだけれど。
『彼女は……ノーコメントってことで! 以上!』
「…………へ?」
「「「ええーーーーっ!?」」」
真樹が間の抜けた声を出したのと、すでにカミングアウトを終えている子達がどよめいたのはほぼ同時だった。次の瞬間、怒涛のようなブーイングが起こる。
「岡原、ズルいぞ!」
「ノーコメントってアリかよ!? そんならオレだってそう言ってたわ!」
「あたしだって、勇気ふり絞って『彼氏いない』ってカミングアウトしたのに!」
男子はもちろんのこと、女子からもブーイングを受けたのには、岡原当人はもちろん真樹も苦笑いしていた。
(アイツ、うまい逃げ方したもんだな……。う~ん、でもコレはコレでよかったかも。あたし的には)
彼がもし「彼女がいる」と言っていたら、それを聞かされた真樹はどれほどショックだったろうか。
「ノーコメント」と言えば、彼もそれ以上突っ込んで訊かれることもないし、後に続く同級生達にもこれで第三の選択肢ができたことになるので、強制的に恋人の有無を言わされると思っていたみんなも、もちろん真樹もホッとした。
(……でも、あたしは逃げないけどっ)
真樹は今日、岡原に自分の想いを打ち明けるつもりでいるのだ。そのためには、彼のいる前でウソやごまかしなく、自分が今フリーであることを正直に言った方がいい。
――一組の近況報告も、最後の一人が終わろうとしていた。真樹はこの次。二組の出席番号一番である。
『――えー、では二組に移ります。まずは、今や僕達の中で一番の有名人になった麻木真樹さん、ステージへどうぞ!』
田渕くんがそんな紹介をしたので、みんなが「わぁーっ!」と大歓声と拍手で壇上に上がる彼女を迎えた。
(わ……! あたし、みんなからめっちゃ注目されてる……!)
もともと目立たないうえに、人の注目を浴びるのが苦手な真樹にとって、今のこの状況は冷や汗ものだった。
デビューがきまった時も授賞式があったわけではなく、賞状が直接郵送されてきただけだったし――。
でも、ついさっき「逃げない」と決めた手前、このまま何も言わずにステージから降りるわけにもいかない。
(女は度胸! よしっ!)
腹を括った真樹は、田渕くんからマイクを受け取ると、深呼吸をひとつして口を開く。
『はーい! 先ほど田渕くんからご紹介にあずかりました、ライトノベル作家の麻木マキでーす! 去年、念願の作家デビューを果たしました! でも今はひとり暮らししてて、家賃とか光熱費も自分で払わないといけないから、豊島区の本屋さんで働きながら本業も……って感じです』
そこでまた、みんなの「おおーっ!」という歓声と拍手が起こり、「がんばってー!」という声援も飛んできた。
真樹はアイドルよろしく「ありがとー!」と声援に応え、続きを話した。
『彼氏は……いません! っていうか、できたことないです。でも、好きな人はいます。中学の頃から、たった一人だけ。……あ、これからここに上がるみんな! あたしは正直に話したけど、みんなは遠慮しないで「ノーコメント」って言ってくれていいからね!? 以上、麻木マキでしたー!』
田渕くんにマイクを返し、大拍手の中ステージを下りた真樹は、張りつめていたものから解放されたように元いた場所にペタンと座り込んだ。
「――真樹、おつかれー! よくガンバったねぇ。はい! コレ飲みな」
「サンキュ、美雪。ふーーっ、変な汗かいちゃったよー」
真樹は親油から赤いラベルの紅茶のペットボトルを受け取ると、両手で顔の前をパタパタ扇いだ。
自動販売機の中でキンキンに冷えていたらしい紅茶はまだ十分冷たく、グビグビ飲むと真樹の汗もあっという間に引いていく。
「まあねー、真樹って元々あんなに喋るキャラじゃなかったもんね。ステージの上ではめっちゃムリしてたんだろうなってあたし思ったよ」
「うん、まあ。さすが親友。付き合い長いのはダテじゃないね」
真樹は美雪の察しのよさに舌を巻いた。
二人の友情は小学校入学時から始まっているけれど、元を辿れば親の代まで遡る。母親同士が幼なじみで中学の先輩・後輩(ちなみに、美雪の母親が一年先輩である)、家も近所だったのだ。
「そういや、ウチのお母さんが言ってたよ。『真樹ちゃん、近くまで来たらまた遊びにおいで』って。最近、あんまり来てくんないからさ、お母さん淋しがってるんだよ」
「うん……、そうだね。去年作家になってから、ずっと忙しかったしなぁ。また近いうちに遊びに行こっかな」
「うん、そうしてそうして! 何ならさ、今日この後、同窓会が終わってからでも!」
美雪は「善は急げ」とばかりにまくし立てたけれど。真樹が眉をひそめた。
「それはちょっと……。告白した後、どう転ぶか分かんないし」
「あ……、そっか。だよねぇ」
美雪はガックリと肩を落とす。
もしも真樹の告白がうまくいって、岡原と付き合うことになったら、その後は彼と二人で行動することになるかもしれないのだ。
「だから、また次の機会に。ね?」
「うん、いいよ。ちょっと残念だけどさ、あたしも真樹の恋が実ってくれる方が嬉しいもん。だから、告白ガンバ!」
「美雪……! うん、あたしガンバるっ!」
片想いを始めて七年間、ずっと恋の行方を見守ってくれている親友の励ましに、真樹は何としても応えたいと思った。
****
五組の最後まで近況報告が一巡したところで、みんながお待ちかねの昼食タイムとなった。
「あー、お腹すいたぁ! やっとお昼ゴハンだねー」
「ホントだよー。だいたいさぁ、集合時間が十二時になってるならさ、最初にゴハンでもよかったじゃんねぇ」
真樹が空腹を訴えると、美雪は口を尖らせて、この同窓会の段取りに物申した。
「まあまあ、そんなに怒んないの。お寿司屋さんの都合もあってそうなったのかもしんないでしょ? お店のピークになる時間帯を避けたとかさ、配達の準備に時間がかかって……とか」
「もしくは、ウーバーイーツの都合とか?」
「あのねぇ……。どこの世界に、こんだけの大量注文を引き受けるウーバー配達員がいんのよ? こういう場合は普通、車で配達するでしょ」
そんな会話をしていると、体育館の外から車が停まる音と話し声が聞こえてきて、田渕くんと先生達で手分けして、大量の寿司桶が運ばれてきた。
よく見れば、デザートでも入っているのかドライアイスの煙が出ている白い箱を持った先生もいる。
『みなさん、お待たせしました! これから昼食の時間となります! お寿司は全部サビ抜きなので、ワサビが欲しい人は配る時に声かけて下さい。デザートにケーキもありますからねー。欲しい人は、前まで出てきて好きなの取ってって下さーい!』
マイクに向かって田渕くんがそう言うと、あとは各自、自由に移動した。
真樹は美雪や他の友達と六人グループで集まり、岡原もまたいつものメンバーと一緒に固まる。
「まあ、やっぱこうなるよね」
真樹は当然の結果、とばかりに呟く。
「なるだろうねぇ。――それよか、お寿司がサビ抜きでよかったよね。真樹、ワサビ苦手でしょ?」
「うん。美雪はワサビ大丈夫だっけ?」
「あたしはどっちでもいけるけど、今日はサビ抜きにしよっかなー。ネタのシェアとかもしたいし」
お互いに苦手なネタも違うので、交換したりもするだろう。ちなみに真樹はタコが、美雪は光り物が苦手である。
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