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第1章 再会
真樹の五年間、みんなの五年間。 ①
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――十二時を少し過ぎて体育館に着くと、中には岡原達のグループや当時のクラス担任や各教科担当の先生達を含めたほぼ全員が揃っていた。
(今日来られなかった子も、中にはいるんだろうな……)
案内状は、同級生全員に届いていたはず。几帳面な田渕くんのことだから、そこに抜かりはないと思う。
ただ、現在サービス業で働いている子も多いだろう。真樹は運よく今日休みが取れたからいいものの、残念ながら休みが合わずに欠席した子だっているだろう。
「――そういえばさ、今日一日、学校貸し切りになってるらしいよ」
体育館の入り口で来客用スリッパに履き替えながら、美雪が言った。
「そうなの? ……あ、どうりでどこの部活もやってないワケだ」
真樹は納得した。そういえば、今日は一人も在校生に会っていないなと思い返す。
たとえば、運動部だったら祝日でもグラウンドや体育館、テニスコートなどで練習や試合などをしていてもおかしくないのだ。
ところが、今日は本当に一人も見かけていない。顧問の先生が何人か同窓会に出席すると決まっていたからかもしれない。
「――麻木さん、久しぶりね。今日はよく来てくれました」
真樹達を出迎えてくれたのは、三年生の頃にクラス担任だった英語教諭の山村深琴先生だ。
「山村先生、ご無沙汰してます。先生、お元気そうですね」
真樹は丁寧に挨拶した。
「ええ、元気よ。他の子達とは今でも会えるけど、麻木さんにはなかなか会えないから。――ああ、作家デビューしたそうね。おめでとう」
「あ、はい! ありがとうございます!」
山村先生は真樹が所属していた文芸部の顧問でもあったので、作家・麻木マキとしても彼女は〝恩師〟なのだ。だから、恩師からの祝いの言葉は真樹にとって、何より嬉しいものだった。
「教え子が夢を叶えてくれるほど喜ばしいこと、教師にはないもの。実はね、わたしも麻木さんの本読んでるのよ。全刊ね」
「えっ、ホントですか!? 嬉しいな!」
「真樹のファン、こんなとこにもいたんだ。岡原もそうなんですよ、先生」
美雪が横槍を入れてきた。山村先生が目を瞠る。
「岡原くんって、一組にいた岡原くん? あら、意外ねえ」
「先生……。あたしも最初にそれ聞いた時、そう思ったんで気持ち分かります」
恩師のコメントがあまりにも辛辣だったので、真樹は苦笑いした。
ちなみに山村先生は真樹の中学時代、彼女の恋を応援してくれて、何度か協力してもくれたことがあるのだ。
「そういえば今日、岡原くんも来てるわね。麻木さん、もう彼と話した?」
「はい、さっき少しだけ。――なんか、逞しくなっててビックリしました。中学の頃は細かったから」
「でしょうね。五年も経てば、あなた達くらいの年代の子達の変化は著しいでしょう。わたしの歳になるともう、ただ老ける一方よ」
自虐混じりに肩をすくめる元担任に、美雪が鋭いツッコミを入れた。
「先生って今年、三十六歳でしたよね?」
「美雪っ!」
真樹が小声で親友をたしなめる。「まだ若い」と言いたかったのだろうけれど、女性に対して年齢の話は御法度である。
「あ……。先生、ゴメンなさい」
「山村先生! 先生は全然変わってないですよ! 今も十分若々しいです!」
美雪が小さく謝るのにおっ被せて、真樹は慌ててフォローした。
「あらぁ、そう? ありがとう」
真樹のフォローがよかったからなのか、それとも美雪の一言が聞こえなかったからなのか、山村先生は上機嫌だった。
(接客業やってると、こういう時便利だな)
真樹はこっそり思った。どういう業種であれ、客の機嫌を損ねることだけは絶対にしてはいけないのだ。
「――ねえ先生、みんなクラスごとに集まってるんですか?」
「ええ、一応。一旦各クラスごとに出欠の確認取ってもらって、一人ずつ近況報告とかしてもらったら、あとは自由に固まってくれて構わないから」
(なるほど。だから岡原もおんなじクラスだった友達とだけ一緒にいるワケね)
「分かりました。じゃあ先生、また後で」
真樹は山村先生に会釈すると、同じクラスだった美雪と二人の友達を「行こ」と促し、二組の子が集まっている一画へ行った。
****
「――おっ、麻木やないかぁ! 元気そうやなぁ」
その途中で一組の集団の横を通りかかった真樹の耳に、しゃがれ声で発せられた豪快な関西弁が飛び込んできた。
「わっ、橋間先生! 懐かしいな。お元気ですか?」
声の主は、社会科教諭で一組の担任でもあり、岡原が所属していたサッカー部の顧問でもあった橋間一男先生。関西弁なのは、出身が兵庫県神戸市だかららしい。
真樹達が中三の頃にはすでに五十七~八歳だったので、現在は還暦を過ぎているはずなのだけれど。その豪快ぶりは今も健在だ。
「おう、ワシは元気やで! もう教師も定年退職して、今はのんびり喫茶店やっとるわ。表参道やけど、一回店においでや」
「へえ、喫茶店……」
「そうや。元教え子にはサービスしたるさかいな」
「おいおい! そんなんで商売になんの、オッサン」
横から岡原がからかってきた。のはいいとして(いや、よくはないか)、元担任を〝オッサン〟呼ばわりするのはどうなんだろう、と真樹は思う。
「いや、ならんな。……ってコラ、岡原! 誰がオッサンじゃい!」
ノリツッコミのついでに岡原を叱り飛ばす橋間先生。さすがは関西出身である。
「そうだよ、岡原。ダメじゃん、先生のことオッサン呼ばわりしちゃ!」
真樹も便乗して、岡原をたしなめた。
「だってオッサンじゃん。六十過ぎてるし」
「そういう問題じゃないでしょ!? アンタに先生を敬おうって気は――」
「ええねや、麻木。コイツはいっつもこんなんやさかいな。ワシとじゃれ合うんが楽しみなんや」
「えー、楽しみ?」
オウム返しにした真樹は、この二人ってまるで父子みたいだなと微笑ましく思った。
(そういえば、岡原の家も母子家庭だったっけ)
どうして父親がいないのかは知らないけれど、彼の母親は看護師をしていて、確か四つ年上の姉がいたと思う。
そんな彼にとって、橋間先生は父親のような存在なのかもしれない。
「センセー、もういいじゃんその話は!」
「そうやな。今日はこんくらいにしといたろか。ほな麻木、また後でな」
「はい」と返事をして、真樹は美雪達と一緒にクラスメイト達の元へ向かったけれど。
「――ねえ美雪、〝また後で〟って? 近況報告とかした後に何かあんの?」
そういえば、同窓会で具体的に何をするのか、何も聞いていなかったのだと気づく。
「んーとね、確かお昼ゴハンにお寿司の出前取ってて、カラオケもあるとか聞いたけど。しかも、この体育館で」
「えっ、マジで!? カラオケ機器、ここに持ってきてんの!?」
「らしいよ。幹事の田渕くんが張り切って準備してたらしいから」
「へえ……、そうなんだ」
田渕くんらしいな。――真樹は思った。
生徒会長をしていた時も、体育大会や文化祭などの学校行事に力を入れていた彼だ。今日の同窓会の内容だって、きっと「どうしたらみんなが楽しんでくれるか」と一生懸命知恵を絞ったことだろう。
――真樹と美雪、そしてあと二人の友達がかつてのクラスメイト達と合流した頃。
『皆さん、こんにちは。今日は集まってくれてありがとう』
先ほどの放送と同じ声がマイク越しに聴こえてきて、大柄でガッシリした体格の青年がマイクを手にしてステージ上に現れた。
『僕は二〇一五年度、生徒会長の田渕剛史です。まあ、体型もこんなに変わっちゃったから、面影もほとんどないだろうけど』
田渕くんの挨拶の後半はほぼ自虐で、これには一同がドッと沸いた。
とはいえ、みんなそうだ。卒業アルバムに載っている五年前の顔と全く変わっていない子なんて、誰ひとりいない。
真樹には真樹の、岡原には岡原の五年間があったように、みんなにもそれぞれ違う五年という月日が流れていたはずである。
同じ高校に進学していても、中退するか卒業するかという違いがでてくるし、卒業後の進路だってバラバラのはず。
真樹や美雪のように社会に出た子、大学や短大に進んだ子、専門学校に進んで自分の夢を追いかけている子……。
(でも、みんないい表情してる)
真樹はそう思った。少なくとも、この中に人生を悲観している人はいない、と。
きっとみんな、自らが納得のいく道を選んでいるのだろう。たとえ苦労したり悩んだりしても、後々その苦労や悩みさえ「いい経験になった」と思えるような――。
『――えーっと、ちなみに僕の近況ですが。今は大学で経営学を学んでます。卒業したら自分で会社を起業しようと思ってます。彼女は……いません! 以上です!』
田渕くんは、挨拶をそう締めくくった。
同級生達の反応はというと、「起業する」という言葉には「おおーっ」「わぁーっ」とどよめき、「彼女はいない」と暴露したところでは一同大爆笑になっていた。
中学の頃は知らなかった。彼にこんな大きな夢(というか野望?)があったなんて!
みんなと一緒に驚いていた真樹だったけれど、別の部分でポカンとしていた。
(「彼女いない」とか、その情報いるんだろうか……)
というか、それを聞いた女子はどうリアクションすればいいんだろうか? それとも、今ここに彼が想いを寄せていた女子がいて、「自分は今フリーだぜ!」とアピールしたいのだろうか?
(いや、いくらそれアピールしたところで、相手にその気がなかったらイミないと思うけど……)
それはそれで、スベったようになってちょっとみっともないかもしれない。
『――じゃあ、ここからは近況報告会にしまーす! 一組から順番に、一人ずつステージに上がってきて下さーい!』
(今日来られなかった子も、中にはいるんだろうな……)
案内状は、同級生全員に届いていたはず。几帳面な田渕くんのことだから、そこに抜かりはないと思う。
ただ、現在サービス業で働いている子も多いだろう。真樹は運よく今日休みが取れたからいいものの、残念ながら休みが合わずに欠席した子だっているだろう。
「――そういえばさ、今日一日、学校貸し切りになってるらしいよ」
体育館の入り口で来客用スリッパに履き替えながら、美雪が言った。
「そうなの? ……あ、どうりでどこの部活もやってないワケだ」
真樹は納得した。そういえば、今日は一人も在校生に会っていないなと思い返す。
たとえば、運動部だったら祝日でもグラウンドや体育館、テニスコートなどで練習や試合などをしていてもおかしくないのだ。
ところが、今日は本当に一人も見かけていない。顧問の先生が何人か同窓会に出席すると決まっていたからかもしれない。
「――麻木さん、久しぶりね。今日はよく来てくれました」
真樹達を出迎えてくれたのは、三年生の頃にクラス担任だった英語教諭の山村深琴先生だ。
「山村先生、ご無沙汰してます。先生、お元気そうですね」
真樹は丁寧に挨拶した。
「ええ、元気よ。他の子達とは今でも会えるけど、麻木さんにはなかなか会えないから。――ああ、作家デビューしたそうね。おめでとう」
「あ、はい! ありがとうございます!」
山村先生は真樹が所属していた文芸部の顧問でもあったので、作家・麻木マキとしても彼女は〝恩師〟なのだ。だから、恩師からの祝いの言葉は真樹にとって、何より嬉しいものだった。
「教え子が夢を叶えてくれるほど喜ばしいこと、教師にはないもの。実はね、わたしも麻木さんの本読んでるのよ。全刊ね」
「えっ、ホントですか!? 嬉しいな!」
「真樹のファン、こんなとこにもいたんだ。岡原もそうなんですよ、先生」
美雪が横槍を入れてきた。山村先生が目を瞠る。
「岡原くんって、一組にいた岡原くん? あら、意外ねえ」
「先生……。あたしも最初にそれ聞いた時、そう思ったんで気持ち分かります」
恩師のコメントがあまりにも辛辣だったので、真樹は苦笑いした。
ちなみに山村先生は真樹の中学時代、彼女の恋を応援してくれて、何度か協力してもくれたことがあるのだ。
「そういえば今日、岡原くんも来てるわね。麻木さん、もう彼と話した?」
「はい、さっき少しだけ。――なんか、逞しくなっててビックリしました。中学の頃は細かったから」
「でしょうね。五年も経てば、あなた達くらいの年代の子達の変化は著しいでしょう。わたしの歳になるともう、ただ老ける一方よ」
自虐混じりに肩をすくめる元担任に、美雪が鋭いツッコミを入れた。
「先生って今年、三十六歳でしたよね?」
「美雪っ!」
真樹が小声で親友をたしなめる。「まだ若い」と言いたかったのだろうけれど、女性に対して年齢の話は御法度である。
「あ……。先生、ゴメンなさい」
「山村先生! 先生は全然変わってないですよ! 今も十分若々しいです!」
美雪が小さく謝るのにおっ被せて、真樹は慌ててフォローした。
「あらぁ、そう? ありがとう」
真樹のフォローがよかったからなのか、それとも美雪の一言が聞こえなかったからなのか、山村先生は上機嫌だった。
(接客業やってると、こういう時便利だな)
真樹はこっそり思った。どういう業種であれ、客の機嫌を損ねることだけは絶対にしてはいけないのだ。
「――ねえ先生、みんなクラスごとに集まってるんですか?」
「ええ、一応。一旦各クラスごとに出欠の確認取ってもらって、一人ずつ近況報告とかしてもらったら、あとは自由に固まってくれて構わないから」
(なるほど。だから岡原もおんなじクラスだった友達とだけ一緒にいるワケね)
「分かりました。じゃあ先生、また後で」
真樹は山村先生に会釈すると、同じクラスだった美雪と二人の友達を「行こ」と促し、二組の子が集まっている一画へ行った。
****
「――おっ、麻木やないかぁ! 元気そうやなぁ」
その途中で一組の集団の横を通りかかった真樹の耳に、しゃがれ声で発せられた豪快な関西弁が飛び込んできた。
「わっ、橋間先生! 懐かしいな。お元気ですか?」
声の主は、社会科教諭で一組の担任でもあり、岡原が所属していたサッカー部の顧問でもあった橋間一男先生。関西弁なのは、出身が兵庫県神戸市だかららしい。
真樹達が中三の頃にはすでに五十七~八歳だったので、現在は還暦を過ぎているはずなのだけれど。その豪快ぶりは今も健在だ。
「おう、ワシは元気やで! もう教師も定年退職して、今はのんびり喫茶店やっとるわ。表参道やけど、一回店においでや」
「へえ、喫茶店……」
「そうや。元教え子にはサービスしたるさかいな」
「おいおい! そんなんで商売になんの、オッサン」
横から岡原がからかってきた。のはいいとして(いや、よくはないか)、元担任を〝オッサン〟呼ばわりするのはどうなんだろう、と真樹は思う。
「いや、ならんな。……ってコラ、岡原! 誰がオッサンじゃい!」
ノリツッコミのついでに岡原を叱り飛ばす橋間先生。さすがは関西出身である。
「そうだよ、岡原。ダメじゃん、先生のことオッサン呼ばわりしちゃ!」
真樹も便乗して、岡原をたしなめた。
「だってオッサンじゃん。六十過ぎてるし」
「そういう問題じゃないでしょ!? アンタに先生を敬おうって気は――」
「ええねや、麻木。コイツはいっつもこんなんやさかいな。ワシとじゃれ合うんが楽しみなんや」
「えー、楽しみ?」
オウム返しにした真樹は、この二人ってまるで父子みたいだなと微笑ましく思った。
(そういえば、岡原の家も母子家庭だったっけ)
どうして父親がいないのかは知らないけれど、彼の母親は看護師をしていて、確か四つ年上の姉がいたと思う。
そんな彼にとって、橋間先生は父親のような存在なのかもしれない。
「センセー、もういいじゃんその話は!」
「そうやな。今日はこんくらいにしといたろか。ほな麻木、また後でな」
「はい」と返事をして、真樹は美雪達と一緒にクラスメイト達の元へ向かったけれど。
「――ねえ美雪、〝また後で〟って? 近況報告とかした後に何かあんの?」
そういえば、同窓会で具体的に何をするのか、何も聞いていなかったのだと気づく。
「んーとね、確かお昼ゴハンにお寿司の出前取ってて、カラオケもあるとか聞いたけど。しかも、この体育館で」
「えっ、マジで!? カラオケ機器、ここに持ってきてんの!?」
「らしいよ。幹事の田渕くんが張り切って準備してたらしいから」
「へえ……、そうなんだ」
田渕くんらしいな。――真樹は思った。
生徒会長をしていた時も、体育大会や文化祭などの学校行事に力を入れていた彼だ。今日の同窓会の内容だって、きっと「どうしたらみんなが楽しんでくれるか」と一生懸命知恵を絞ったことだろう。
――真樹と美雪、そしてあと二人の友達がかつてのクラスメイト達と合流した頃。
『皆さん、こんにちは。今日は集まってくれてありがとう』
先ほどの放送と同じ声がマイク越しに聴こえてきて、大柄でガッシリした体格の青年がマイクを手にしてステージ上に現れた。
『僕は二〇一五年度、生徒会長の田渕剛史です。まあ、体型もこんなに変わっちゃったから、面影もほとんどないだろうけど』
田渕くんの挨拶の後半はほぼ自虐で、これには一同がドッと沸いた。
とはいえ、みんなそうだ。卒業アルバムに載っている五年前の顔と全く変わっていない子なんて、誰ひとりいない。
真樹には真樹の、岡原には岡原の五年間があったように、みんなにもそれぞれ違う五年という月日が流れていたはずである。
同じ高校に進学していても、中退するか卒業するかという違いがでてくるし、卒業後の進路だってバラバラのはず。
真樹や美雪のように社会に出た子、大学や短大に進んだ子、専門学校に進んで自分の夢を追いかけている子……。
(でも、みんないい表情してる)
真樹はそう思った。少なくとも、この中に人生を悲観している人はいない、と。
きっとみんな、自らが納得のいく道を選んでいるのだろう。たとえ苦労したり悩んだりしても、後々その苦労や悩みさえ「いい経験になった」と思えるような――。
『――えーっと、ちなみに僕の近況ですが。今は大学で経営学を学んでます。卒業したら自分で会社を起業しようと思ってます。彼女は……いません! 以上です!』
田渕くんは、挨拶をそう締めくくった。
同級生達の反応はというと、「起業する」という言葉には「おおーっ」「わぁーっ」とどよめき、「彼女はいない」と暴露したところでは一同大爆笑になっていた。
中学の頃は知らなかった。彼にこんな大きな夢(というか野望?)があったなんて!
みんなと一緒に驚いていた真樹だったけれど、別の部分でポカンとしていた。
(「彼女いない」とか、その情報いるんだろうか……)
というか、それを聞いた女子はどうリアクションすればいいんだろうか? それとも、今ここに彼が想いを寄せていた女子がいて、「自分は今フリーだぜ!」とアピールしたいのだろうか?
(いや、いくらそれアピールしたところで、相手にその気がなかったらイミないと思うけど……)
それはそれで、スベったようになってちょっとみっともないかもしれない。
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