騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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ベリーの王道ケーキ

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 ふわふわの生地にたっぷりの白いクリーム、上にはつやつやの光り輝く苺までのっている…あぁ、まさに王道のケーキ!
──そういえば最近ケーキ食べてないかも…。
 毎日のスイーツは欠かしていないはずなので少しばかり盲点だったか──。まぁ季節が進んでクリームにはいささか厳しい季節になってきている…クリームは溶けるからね。
 …とはいうものの流石に今セシリア嬢を放ってケーキ屋に行く訳にも行かないか──。
 そう、王太子による熾烈な恋の争いの決着はまだついていない…。
「なんか、一回思い出しちゃうともうダメだなぁ。」
「…さっきから何の話だ?」
「あ…ジーク。聞いてたの?」
「それだけ声に出ていれば嫌でも耳に入ってくるだろう…」
「うぅ…だったら分かるでしょ?今俺はケーキな気分なんだよ。もう口がケーキの口になっちゃってるわけ、分かる?」
「…」
「なんだよ…」
「この状況で?」
「ん?…あぁ。」
 先程までここジークフリートの執務室にはフェルナンド王太子がいた。そう、ジークフリートに話があると突然やって来たのだ。
 これは血の雨が降るかもしれないと身構えたものの、話し合いはレジナルドが思っていたよりもすんなりと終わった…。フェルナンド王太子はジークフリートの語るに負けた。──少なくともレジナルドにはそう見えた。
 このままフェルナンド王太子がすんなり諦めてステーリアに帰ってくれたら、王子様とお姫様は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし!の王道の展開だ…。そう、王道、王道…。
「レジー…」
「──分かってる、お前の言いたいことは分かってるよ?今ジークの頭の中はケーキとかそんなんじゃないよな?もちろん、そうだろう…。」
「当然だ…」
「まぁでもさ、やっぱ王道なんだよ。物語の最後は何だかんだ言って王子様とお姫様は幸せになるもんなんだよ!」
「…」
「あ、フェルナンドも王子様か──?」
 ジークフリートの蒼い目が恐ろしい…。
「レジナルド!ケーキとこれと、何をどうやったらお前のその頭の中では思考回路が繋がるんだ?」
「え?いや、だから王道繋がりで…」
「レジナルド!!」
「だからジーク、ごめんってば!名前で呼ばれると寿命が縮むから頼むから辞めてくれない?」
「お前ってやつは!!」
 あぁ──まだしばらくの間苺のケーキを口にすることはできないんだろうな…。
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