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一章【なんとか平和に暮らしたい】
【八話目 目的の気配】
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【八話目 目的の気配】
「え……?」
ただそれだけの質問だった。
単純な、面白味のない質問。
でも私には直感的にヤバいと感じた。
何故ならそれは今まで感じたことも無い殺意を感じたからだ。
本当にこれはサテン姉様だろうか。
いつもと同じ白い髪に陶器のような白い肌。
薄く微笑む唇。
紅い瞳は……瞳が…
瞳が血の色だった。
いつもと違う。
「ルイ?どうかしたの?」
サテン姉様の声が再度して、気を戻した。
そうだ、答えないと怪しまれる。
’’前世があるかどうか’’
適当に答えればいいだけの話だ。
「顔色が悪いわよ…?ルイ。ルイ?」
「ご、ごめんね、サテン姉様。一寸ボーッとしてた。何の話だっけ?」
「ふふ…ルイったらうっかり屋さんね。いいのよ、あんな話。エリシア達の部屋に行ってみましょうか。ニックは優秀だから、もう終わってるわよ」
「い、行かない…私もう少し見てる」
「あら、そう?気に入ってくれたみたいで良かったわ。待ってるから、ゆっくり見てらっしゃい」
そう言ってサテン姉様はエリシア達のいる部屋へ向かった。
「何だったの…今のは……」
そこから孤児院に帰るまで、私は無意識だった。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
ニックの店で見たサテン姉様は一体何だったのだろうか。
何時もの優しく、慈悲深いサテン姉様を想像出来ないほど、怖かった。
瞳に光が一切なく、まるで悪魔のようだった。
実際、悪魔等存在を知るだけで見た目も何も知らない。
でもあの血の色をした瞳は…悪魔のようだった。
そう言えば、前世で世話になった孤児院の院長に雰囲気がよく似ていた。
あれはきっと、私への殺気だ。
思い出すだけで冷や汗が出る。
何故あんなに殺気を出しながら私に’’前世はあると思うか’’と聞いたのだろうか。
もしかして…私が転生して来た人間だと気づいた?
いや、たとえ私が転生した人間だとバレても何も問題は無いはずだ。
もしかしたらこの世界で転生者って言うのは悪いのかもしれない…
まだまだこの世界について知らない事だらけだ。
殺気を漏らすサテン姉様についても、
姉を亡くしたエリシアについても、
何処か可笑しいアナについても…
私は平和に一生を終える為に知らなければならない。
今度こそ、皆に愛されて幸せな人生を送るために。
「え……?」
ただそれだけの質問だった。
単純な、面白味のない質問。
でも私には直感的にヤバいと感じた。
何故ならそれは今まで感じたことも無い殺意を感じたからだ。
本当にこれはサテン姉様だろうか。
いつもと同じ白い髪に陶器のような白い肌。
薄く微笑む唇。
紅い瞳は……瞳が…
瞳が血の色だった。
いつもと違う。
「ルイ?どうかしたの?」
サテン姉様の声が再度して、気を戻した。
そうだ、答えないと怪しまれる。
’’前世があるかどうか’’
適当に答えればいいだけの話だ。
「顔色が悪いわよ…?ルイ。ルイ?」
「ご、ごめんね、サテン姉様。一寸ボーッとしてた。何の話だっけ?」
「ふふ…ルイったらうっかり屋さんね。いいのよ、あんな話。エリシア達の部屋に行ってみましょうか。ニックは優秀だから、もう終わってるわよ」
「い、行かない…私もう少し見てる」
「あら、そう?気に入ってくれたみたいで良かったわ。待ってるから、ゆっくり見てらっしゃい」
そう言ってサテン姉様はエリシア達のいる部屋へ向かった。
「何だったの…今のは……」
そこから孤児院に帰るまで、私は無意識だった。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
ニックの店で見たサテン姉様は一体何だったのだろうか。
何時もの優しく、慈悲深いサテン姉様を想像出来ないほど、怖かった。
瞳に光が一切なく、まるで悪魔のようだった。
実際、悪魔等存在を知るだけで見た目も何も知らない。
でもあの血の色をした瞳は…悪魔のようだった。
そう言えば、前世で世話になった孤児院の院長に雰囲気がよく似ていた。
あれはきっと、私への殺気だ。
思い出すだけで冷や汗が出る。
何故あんなに殺気を出しながら私に’’前世はあると思うか’’と聞いたのだろうか。
もしかして…私が転生して来た人間だと気づいた?
いや、たとえ私が転生した人間だとバレても何も問題は無いはずだ。
もしかしたらこの世界で転生者って言うのは悪いのかもしれない…
まだまだこの世界について知らない事だらけだ。
殺気を漏らすサテン姉様についても、
姉を亡くしたエリシアについても、
何処か可笑しいアナについても…
私は平和に一生を終える為に知らなければならない。
今度こそ、皆に愛されて幸せな人生を送るために。
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