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一章【なんとか平和に暮らしたい】
【三話目 エリシアとアナ】
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【三話目 エリシアとアナ】
九歳にもなれば、体はしっかりとし、言葉も自由自在だ。
この体は前よりも軽く、そして何より…
「相変わらず可愛いわよ、ルイ」
そう、’’可愛い’’のだ。
大きめの金の瞳に、滑らかな白い肌。
煌めく薄翠色の長い髪は絹のようだ。
皆が可愛いと言うのも頷ける。
「エリシア、私可愛い?」
「うん!…じゃなくて。ええ、とても」
エリシアは少し変わった。
元気な口調からお淑やかな口調に変えようとしているし、行動もどこかお嬢様らしい。
名家の出だからなのかもしれないが、どこか無理している。
毎日来ていたのに、最近は週に三回程だ。
来たばかりの頃に出会って、優しいエリシアに情が移る。
こんな子供に事情を話してくれる筈ないし、どうしたものか。
「ルイちゃん、遊びましょ」
「アナ!いいよ、遊ぼ」
アナ・ホワイトは人間族の少女だ。歳はエリシアと同じ十九。
もうすぐ孤児院を卒業しても可笑しくない年齢だ。
そうだ。エリシアと同い歳のアナなら何か事情を知っているかもしれない。
「何して遊ぼっか。そう言えば、アイクとサナとレイがボールで遊んでたわね」
「…あのさ、アナ。エリシアが元気ない理由って知ってる?」
「エリシア?…この話、ルイちゃんにしていいのか分からないけれど…そうよね、ルイちゃんもエリシアが大好きだものね」
アナは少し、悲しそうな顔をしてから、話し始めた。
「エリシアの家はとっても有名で、土地を管理してる領主なの。本当は長女…エリシアのお姉さんが継ぐはずだったのだけど…」
「病気になっちゃったの?」
「…そう、病気になっちゃったの。その後様態が悪化して、亡くなられたの…不治の病だったんだって」
「そうなんだ…」
思ったよりも、事態は深刻だったらしい。
何より驚いたのは、この世界に不治の病があるという事だ。
この世界は魔法があって、回復魔法を使えばほとんどの病が治るのだ。
ウンディーネという水の精霊の扱う回復魔法ならどんな病も傷も治ると聞いていたが…
名家の娘でも、そこら辺は厳しいのかもしれない。
「それで、お姉さんの代わりにエリシアが継ぐことになったのよ。だから、エリシアはもうこの孤児院でサテン姉様のようには働けないの」
アナは俯いたまま、話し続けた。
エリシアととても仲の良いアナは離れるのが辛いのだろう。
「じゃあ、もうエリシアには会えないの?」
「そう。でもエリシアの家はお金持ち出し優遇も素晴らしいから、きっと幸せになるわよ。もしかしたら家に遊びに行けちゃったり」
顔を上げるとアナは悪戯っ子の様に笑った。
何処か違和感の感じるその笑顔に不信感を抱きながらも、私はアナと一緒に外へ遊びに行った。
九歳にもなれば、体はしっかりとし、言葉も自由自在だ。
この体は前よりも軽く、そして何より…
「相変わらず可愛いわよ、ルイ」
そう、’’可愛い’’のだ。
大きめの金の瞳に、滑らかな白い肌。
煌めく薄翠色の長い髪は絹のようだ。
皆が可愛いと言うのも頷ける。
「エリシア、私可愛い?」
「うん!…じゃなくて。ええ、とても」
エリシアは少し変わった。
元気な口調からお淑やかな口調に変えようとしているし、行動もどこかお嬢様らしい。
名家の出だからなのかもしれないが、どこか無理している。
毎日来ていたのに、最近は週に三回程だ。
来たばかりの頃に出会って、優しいエリシアに情が移る。
こんな子供に事情を話してくれる筈ないし、どうしたものか。
「ルイちゃん、遊びましょ」
「アナ!いいよ、遊ぼ」
アナ・ホワイトは人間族の少女だ。歳はエリシアと同じ十九。
もうすぐ孤児院を卒業しても可笑しくない年齢だ。
そうだ。エリシアと同い歳のアナなら何か事情を知っているかもしれない。
「何して遊ぼっか。そう言えば、アイクとサナとレイがボールで遊んでたわね」
「…あのさ、アナ。エリシアが元気ない理由って知ってる?」
「エリシア?…この話、ルイちゃんにしていいのか分からないけれど…そうよね、ルイちゃんもエリシアが大好きだものね」
アナは少し、悲しそうな顔をしてから、話し始めた。
「エリシアの家はとっても有名で、土地を管理してる領主なの。本当は長女…エリシアのお姉さんが継ぐはずだったのだけど…」
「病気になっちゃったの?」
「…そう、病気になっちゃったの。その後様態が悪化して、亡くなられたの…不治の病だったんだって」
「そうなんだ…」
思ったよりも、事態は深刻だったらしい。
何より驚いたのは、この世界に不治の病があるという事だ。
この世界は魔法があって、回復魔法を使えばほとんどの病が治るのだ。
ウンディーネという水の精霊の扱う回復魔法ならどんな病も傷も治ると聞いていたが…
名家の娘でも、そこら辺は厳しいのかもしれない。
「それで、お姉さんの代わりにエリシアが継ぐことになったのよ。だから、エリシアはもうこの孤児院でサテン姉様のようには働けないの」
アナは俯いたまま、話し続けた。
エリシアととても仲の良いアナは離れるのが辛いのだろう。
「じゃあ、もうエリシアには会えないの?」
「そう。でもエリシアの家はお金持ち出し優遇も素晴らしいから、きっと幸せになるわよ。もしかしたら家に遊びに行けちゃったり」
顔を上げるとアナは悪戯っ子の様に笑った。
何処か違和感の感じるその笑顔に不信感を抱きながらも、私はアナと一緒に外へ遊びに行った。
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