上 下
15 / 27
chapter02 紅蓮の魔女【ジャスティス】

scene05 絢爛業火部隊

しおりを挟む
 私とデビルは食い入るようにsuperfaceのモニターを見つめていた。テレビ電話を通じて全体の画像と音声が伝わるように、浮遊運搬フロート・キャリーで制御しているスマホの位置を微調整しつつ、店舗深部の様子を観察することにした。
 すると、火野先輩が整然と隊列を組んでいるメイド達を見ながら、恐る恐るジャスティスに尋ねていた。
 「あの、姐さん? この人達は姐さんの仲間ですか…?」
 「その通り…仲間というよりは、分身と言っていいわ。彼女達は【衛兵センチネル】といい、私の持つ魔力の一部を身体に宿していて、人間と魔女の中間的存在になるの。そして主である私の名実ともに右腕として、魔女と人間の狭間の中で働いてもらっている」
 ジャスティスはメイド達の肩に手を当てて言った。
 「私は力を持つ魔女として、相対的に弱者となる人間を守ることを使命としている。世界には私と違い人間に危害を加えることを躊躇わない魔女も多くて、その魔術の前には有事となれば人間の警察も軍隊も役には立たないわ。その時に私が居なくても対抗できる人間を育てる為に、各地にセンチネルの私兵組織を配備しているのよ。ここにいるのは私の持つ日本唯一のセンチネル組織、その名も【絢爛業火部隊】のメンバーよ」
 「す、すごいッスねぇ…でも、どうして秋葉台のメイドカフェの店員さんが?」
 「日本は他国と比べてとても先進的な精神を持っている、でもそれが仇になって人間界では空想の産物と思われている魔女の存在をなかなか信じてくれなかった…でも秋葉台はそれを平然と受け入れてくれたのよ。しかもこの【絢爛豪華】で働くメイド達はセンチネルとしての素質が高い者達がとても多くてね。今では系列店含めて【絢爛豪華】に属するメイドの9割近くはセンチネルになってくれた」
 誇らしそうに目の前に並ぶメイド達を見渡しながらジャスティスは火野先輩に語っていたが、それを画面越しに聞いていた私とデビルは背筋に悪寒が走った。そしてそっと周りを見渡すと、そこには先程と変わらない華奢で可愛らしいメイド達が忙しそうに働いている光景が広がるだけだったのだが、唐突にアウェーな空間に放り込まれた気分になって店内が息苦しく感じられた。
 「ここのメイドさんが、ほとんどジャスティスの部下、だって…」
 「不覚だったねぇ…私としては敵の懐にのこのこ入ってきてしまったわけだ…」
 私達は即座に気配を押し殺し、店内を行き交うメイド達に下手に顔を見られないように伏し目がちになりながら小さな声で話した。superfaceのモニターも堂々と開けているとメイドに盗撮を気付かれるかもしれないので、私は本体ごと壁際に身を寄せてモニターの向きがメイドの死角になるよう気を配りながら引き続き映像を見た。
 するとメイド達の中から一人の女性が前に出てきた。他と違いかなり上質な装飾を施したメイド服を着用している20歳代前半くらいの長身の女性で、艶やかな黒い長髪を靡かせながら火野先輩の前に立つと、右手を差し出して口を開いた。
 「君が火野 翔真君か。ジャスティス姐様から話は聞いていたよ。あたしは【秋山 煉】、絢爛豪華秋葉台本店のメイドリーダーであると同時に、絢爛業火部隊の隊長だよ。ま、言ってみれば日本における姐様配下のセンチネルのトップだ」
 「はい、どうも…」
 煉と名乗るそのメイドのいきなりの押しの強さに少々圧倒されている先輩は、控えめな姿勢で彼女と握手を交わした。すると煉は握った先輩の手をぐいと引っ張って手元まで手繰り寄せた。長身とはいえ先輩には及ばない彼女だが、陸上部で鍛えている先輩がまるで人形のようになす術なく引き込まれていった。
 「では早速だが試験を始めようか」
 「うぇっ?! し、試験?!」
 いきなりの展開に戸惑っている先輩に、ジャスティスは柔らかな口調で話しかけた。
 「落ち着きなさい翔真。私はかねがね貴方と言葉を交わしているうちに、その純真で誠実な心と確かな身体能力を持つ貴方を私のセンチネルとして絢爛業火部隊に引き入れたいと考えていたの。これはその最後の適性試験よ、見事クリアできれば私の仲間にしてあげる」
 「試験って…一体何をするんですか?」
 「簡単よ、翔真の腕を火で炙るの」
 ジャスティスは何食わぬ顔でそう言い放つと、火野先輩の腕をがっしり掴んでいた煉はポケットから掌に収まらないくらいの大きさのあるオイルライターを取り出して、甲高い金属音と共にキャップを開けてその火元部分を先輩の腕に向けた。そのそれを見た火野先輩は次の瞬間、一般人として当然のリアクションをした。
 「ちょちょちょちょちょっとっ!!! 本気ですか?!」
 「本気だよ翔真君、現にあたしも皆もこれをやってセンチネルになったんだからさっ」
 火野先輩は女性である煉の肩を掴んで力ずくで抜け出そうともがいていたが、煉はびくともせずに涼しい顔をして先輩の服の袖をめくり上げ、尚も暴れる先輩をたしなめていた。だがスマホと同じくらいの大きさはあるライターの火で焼かれたら人の腕はどうなるかなど火を見るより明らかで、当人は勿論のこと画面越しに見ている私もそわそわして居てもたってもいられなくなってきた。
 「せ、先輩っ?! どうしよう、流石にこれは私が割って入った方が…」
 「いや、その必要な無いさ絵美」
 取り乱す私とは対照的に、画面を見る為隣の席に移ってきていたデビルは冷静に言ってのけた。その直後、煉の指がオイルライターの点火装置に掛かり、真っ赤な閃光を発した刹那にオイルライターの火元からは休憩室の天井に届きそうな高さの火柱が噴き上がって先輩の腕を呑み込んだのだ。スマホのカメラから届く映像では、あまりの炎の激しさに先輩の姿が見えなくなっていた。最悪のケースを予感した私は店内に悲鳴を張り上げないように声を押し殺すのに必死になっていたが、炎に包まれた先輩は予想外のリアクションをした。
 「うわぁぁぁっ!! って…へっ…? あれ、あれぇ? 熱くない、温かい…?」
 先輩は一瞬大声を上げてすぐに、拍子抜けした様子で噴き出す炎にもう片方の手を翳していた。それでも火野先輩はけろりとしており、どうやら煉が放った炎は全く熱くないどころか一般的な炎であるのかすら疑わしい代物であったようだ。
 これを横で見ていたジャスティスと煉は一様に微笑んでいた。そして何が起きたかわからない火野先輩を解放した煉は、オイルライターのキャップを勢いよく閉めて炎を鎮火させてから、おもむろに口を開いた。
 「そりゃ最初は驚くだろうね…でも安心していいよ、今のは実際の炎じゃなくて姐様から支給されたこのオイルライターに込められた魔力をスプレーみたいに噴射しただけさ。でも姐様の高濃度の魔力を直接浴びれば並大抵の人間は実際の炎と同じく火傷してしまうんだけど、翔真君は全然平気みたいだね」
 「い、今のが姐さんの魔力の力…?」
 「このあたしでさえこの試験を受けた時は肌がふやけたのに、本当に無傷なんだねぇ…試験は文句なしの合格だよ、それどころかかなりの逸材の匂いがプンプンする、期待しているよ翔真君っ!!」
 まだ状況をうまく呑み込めていない先輩に、煉はにこやかに語って力強く先輩の肩を叩いた。それを合図に周囲のメイド達も一斉に歓声を上げて拍手を送っていた。黄色い声を一身に浴びた先輩は少しずつ緊張の糸が解けていったのか表情が穏やかになっていった。
 「あ…あざっーす!!」
 「やはり、私の見込みは間違っていなかったようね…」
 先輩の後ろから、ジャスティスが声をかけてきた。彼女自身も結果にホッとしたのか安堵の表情が窺い知れた。
 「翔真、では改めて私の口から確認するわ…この真紅の炎の魔女、【正義ジャスティス】の下でセンチネルとして仕えてもらえるかしら?」
 「ここまで来て断る理由がありますか、姐さん? 知り合ってからというものずっと、世の為人の為に奮闘する姐さんの力になりたいと思ってたんッスよ? 答えはYES一択ッス!!」
 ジャスティスに向けて先輩はハッキリと宣言した。その表情と口から出た言葉に迷いは見られなかった。このごく短い時間に、どこまでも明るくて、気合いに溢れていて、正義感が強い火野先輩たる人物の全てを垣間見たような気がした。あの累だけでなく我が校の女子生徒がこぞって魅了されるのも納得だ。
 「おぉ~、やっぱりカッコいい人だなぁ火野先輩は…累にこの映像を見せてあげたいよ、惚れ直しちゃうかも」
 映像を見ながら、私はまるで自分の事のように誇らしい気持ちが胸に溢れていた。しかし表情が綻んでいる私とは真逆に、デビルはその一部始終を見ている間、実に苦々しい表情を浮かべていた。
 「ふんっ、何を喜んでいるのよ絵美。この私の立場になってみなさいな、厄介な敵が一人増えたようなものなのよ?」
 「あぁ、言われてみればそうだよね…」
 呑気に火野先輩がセンチネルになれることを喜んでいた私が相当気に食わなかったのか、私に鋭い眼差しを向けてデビルは吐き捨てるように言った。しかしそうは言われても、自分自身何の恨みつらみの無い学園の先輩を敵と呼ぶことへの強烈な抵抗感は否めなかった。
 急に複雑な気持ちになりながらも、スマホから送られてくる映像に目をやると、ジャスティスは懐からノズルの長いガスマッチを取り出して火野先輩に差し出していた。ガスマッチは赤い塗装が施され、画面越しでも分かるほどの金属の光沢を放っており高級感に溢れていた。その重厚な見た目と長いノズルと相まって、まるで真っ赤な拳銃のようにも思えた。
 「ンっ? 何スかこれは? チャッカマン?」
 「日本ではそう言うらしいね、でもこれはただのチャッカマンではないわよ? さっきの煉が持っていたライターと同じく私の魔力が込められた、云わば魔法のガスマッチよ」
 ジャスティスがそう言ってライターを火野先輩に手渡すと、メイドの一人が声を上げた。
 「ジャスティス様、そのライターは私達に支給されているものと形状が違う気がしますが…」
 「気付いたかしら? これは試験的に作成した代物よ、いつも私のセンチネルに渡すオイルライターは白兵戦能力に特化しているけど、これは遠距離まで炎を射出する能力を持っているの。翔真には私からの期待の証としてこの新兵器の使い手に任命するわ…」
 和やかな雰囲気も束の間に深刻そうな表情を浮かべて語られたジャスティスのその言葉を聞いて、火野先輩は手渡された真っ赤なガスマッチの触感を確かめながら空気を察して表情を引き締めていた。
 「新兵器…何かヤバい事でも起きてるんスか?」
 「そうよ…ここからは皆にも聞いてほしい。我ら絢爛業火部隊にとって初めての本格的な実戦を頼みたいの」
 只ならぬ様子のジャスティスを見て、火野先輩や煉を始めとするメイド達、そしてそれを観察する私達も神妙な面持ちで彼女の口から発せられる言葉に耳を傾けた。するとジャスティスは服のポケットから一枚の紙切れを取り出して皆に見えるように広げて見せた。そこには古めかしいテイストの絵でデビルの人物画が描かれていて、その背景には幾何学的模様と【XV DEVIL】という文字が書き込まれていた。
 「これは【悪魔デビル】という名の魔女よ。植物を自在に操る魔術の使い手であり、目的の為なら人間の犠牲も厭わない凶悪な魔女…こいつが日本に、この秋葉台に潜伏しているという情報を入手したの」
 次の瞬間、火野先輩とメイド達がどよめいた。経験したことのない脅威が差し迫っており、しかもよりによって自分達のいる街に隠れているというのだから無理もない。その場にいる全員が当惑する中、ジャスティスは話を続けた。
 「皆も記憶に新しいでしょう、8月の桜の大量発生した騒ぎの事を…」
 「ま、まさかそれがこのデビルって魔女の仕業なんスか?!」
 「この世界で街中に桜の木を生やすなんて魔術が使えるのはデビルを置いて他はいない」
 火野先輩の問いにジャスティスは間髪入れず答えた。そして次第にジャスティスの語気も強くなっていった、それはまるでデビルの事を口にするにつれて心の底から彼女に対する深い敵意が露わになっていくようだった。
 「あれ以降ヤツの痕跡は残されていないけれど、これ以上デビルに好き勝手暴れさせるわけにはいかない…秋葉台に私の手持ちの戦力が集中している以上、ここから逃す前にヤツを捕えてほしいのよ」
 「姐様、何故このデビルという魔女は秋葉台にいるんでしょう? 目的は?」
 煉が思い悩んだ表情を浮かべながらジャスティスに尋ねると、またポケットに手を入れ別の紙を広げた。今度の紙には水車に似た大きな輪が描かれ、先程の紙と同じデザインの背景と【X WHEEL OF FORTUNE】と書いてあった。似顔絵でも何でもないただの輪しか描いていないが言うまでも無く、この私の事だ。
 「これは【運命の輪ホイール・オブ・フェイト】。私達魔女は【魔女の毒】と呼ぶ魔術を使った際の副作用で実力を制限されているのだが、この魔術師が持つとされる魔術書にはそれを打ち消す能力があるという。デビルは大昔から魔女の毒からの解放に執着していて、その時は私がヤツを打ちのめしてロシアの永久凍土の下に封印したのだけれど、最近復活したらしいの。今もまだこれを狙っていると考えていいわ、デビルが魔術書の力でもし枷を外されれば、何をしでかすか分からない。だからホイール・オブ・フェイトの身柄もこちらで押さえて保護する必要があるのよ」
 「ではこのホイール・オブ・フェイトって魔術師も秋葉台にいるというのですか?」
 「ええ、状況証拠は揃っているわ。でもホイール・オブ・フェイトはこの絵が示すように全く得体が知れていないの。そもそも魔術師という者は私のような魔女と違って女性であるとは限らない、それを女ばかりでは探すのも難だから、翔真にも早速手伝ってもらいたかったの」
 ジャスティスと煉の話を聞いて私も得るモノが多かった。デビルが魔女の中では有名と言っていたので、てっきり面が割れていると思い込んでいたのだが、私の事はジャスティスはおろか他の魔女達も知らないようであったのだ。しかし、まさか彼女達が探そうとしている【悪魔デビル】と【運命の輪ホイール・オブ・フェイト】がよりによって【絢爛豪華】の店内でこの会話を聞いているとは露ほども思っていないのだろうと想像すると、滑稽に思えて表情が緩んでしまった。
 こうして少し上から目線で話を聞いていると、火野先輩は二人の会話に割って入ってきた。
 「あの、質問いいですか? 要はまずこの二人を秋葉台から探し出す必要があるんですよね、一体どうやって見つければいいんです? デビルはいざ知らず、このホイール何とかさんは顔も分からないんでしょう?」
 「確かにそうよ。でもちゃんと探し方はある、皆の持つライターや翔真のガスマッチは火元に念を送ることで自在な姿の炎を発生させられる。それを緑色の炎が出るように意識して出してみなさい、その炎からは【スモークサーチ】という魔術を使った際に出る魔力に吸い寄せられる煙を放つわ。それを使って魔術の痕跡を辿っていけば、探し出せるはずよ」
 それを聞いた火野先輩は、ガスマッチのノズルを上に向けて掲げ、眉間にしわを寄せてその先端を睨み付けてスイッチを握った。どうやらジャスティスの言う通りに緑色の炎を出すイメージを膨らませているのだろうが、何度スイッチを押しても、緑色の炎が出るどころかノズルから吐き出されるのは煉が見せた奇抜な炎でもなく、ごくごく一般的なオレンジ色に燃える小さな火が悲しく着火音を室内に響かせて灯るだけだった。
 「ん、あ、あれ。何も起きない…イメージ不足? やっぱりいきなりそんな魔法は無理なのか…?」
 「おっと。翔真ごめんなさいね、大事な事を忘れていたわ。今の翔真は私からチャッカマンを受け取っただけでまだ普通の人間よ。それを使って魔術を行使するにはセンチネルにならなくちゃいけないのに、その為の儀式が済んでなかったわね」
 ハッとした様子でジャスティスが言うと、おもむろにガスマッチと格闘する火野先輩に歩み寄ってきた。それに気付いた火野先輩が彼女の方を向くやいなや、ジャスティスは急に火野先輩の顔を自分の目の前まで引き寄せたのだ。何が起きたか分からないで唖然とする火野先輩を力強く抱き寄せたジャスティスは、

 私とデビルが見ている前で、

 大勢のメイド達の衆人環視の中で、

 先輩の唇を奪ってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...