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魔道具店、もといアトリエからこんにちわ
いらっしゃいませ。
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小さく音がした。鈴の音に似ていけど、なんの音かは分からない。
空は満点の星空で、その光で辺りは意外と明るかった。その星空に魅入っていると、時間なんて忘れてしまうだろう。
ただし、この世界には時間も温度も存在しない。もちろん、生命も。
と、言いたいところなのだけど、例外が存在する。
少し、説明が遅れてしまったけれど、この世界について話そうと思う。
この世界は共鳴世界と呼ばれていて、正式的な名前なんてない。
どの世界にも繋がっていて、どの世界とも違う異質な世界。誰が共鳴世界だなんて呼び出したのかは分からないけれど、絶対共鳴なんてしていないだろう。
そして、基本的にこの世界には音も、温度も、時間も存在しない。そんな世界には当たり前だけど生き物もいない。あるのはこの頭上に見える満点の星空と、その例外の物くらいだ。
だから、前述した小さな音は本来ありえないものであり、幻聴、空耳と一蹴してしまうのが普通である。でも、確かに聞こえたのだ。
なんの根拠もないけれど。
そして、そのさっきから言ってる例外というのが、少し先に見える花などで飾られた一軒家くらいのこの世界ゆういつの建造物である。
その建造物の中には、1人の女性とその女性の使い魔が住んでいて、その家は彼女の営む店であり、彼女が仕事をするアトリエでもある。
その建物の中には音も、温度も、時間も、生き物も存在する。異質の世界に存在する異質な空間。言うなれば、そんな所だろう。
その店に名前はない。看板は、古い物なのか書いてある文字は読めないし店主はこの店に名前などないと言う。
その店は魔道具店。
不思議な効果を持つ品物などが沢山売られている。その効果は様々で、物によっては世界すらも滅ぼしてしまうだろう。
そんな物が売ってる店があっていいのかと思うだろう?
でも残念ながらその店に行けるのは、運がいいほんの一部のひと握りの人間だけなのさ。
そもそも、この世界に来ることすらも難しいのに、この世界に来たからと言って必ずその店に来れる訳でもないのだ。
ああ、この世界に来た者がどうなるのかまだ話してなかったね。
この世界に来てしまったら、その店に行かない限り元の世界には帰れない。だから、その店にたどり着けなかったら永遠にこの世界をさまよい続けるのさ。
時間は存在しないから、死ぬことさえもままならない。
酷だとは思うけど、僕にはどうしようも出来ないよ。
その店について、詳しく話そうか?
その店はね、様々な効果を持つ商品が売られている。あぁ、これはもう言ったか。その商品は"魔道具"と呼ばれ、全て店主である彼女の手作りだ。
品質は僕が保証するよ。
その店には色んなものがあるけれど、彼女はお客が本当に必要としているものしか売らない。何故だかは僕も知らないよ。
その店の商品の値段は決まってないよ。ただ、それを買うお客の全財産が値段に自然となるのさ。面白いだろ?
それでもお客達は買ってしまう。
何故か?
簡単だよ。それがお客が心から欲しいと願うものだからだ。
人とは、案外自分の欲に素直なものさ。
僕は彼女から買ったことはないけれど、品質は相当なものだよ。あぁ、これも2回目だね?
さてさて、そろそろ最後にしようかな。
こんな面白みもない説明なんて、君たちも見ていてつまらないだろうから。
最後に、彼女の名前を教えてあげるよ。
彼女の名前はね_______
おっと、ごめんね。誰か来たみたいだ。
それじゃあ、僕は失礼するよ。またの機会までさようならってね?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ***
カランカラン、というドアにつけられた鐘がドアを開けられたことを知らせる音を鳴らした。
店内は、星空に負けないくらい明るくて、そこには1人の美しい女性がいた。
その女性は黒猫を抱きながら、こちらを振り返って微笑んで、優しい声でこういった。
「いらっしゃいませ。共鳴世界ゆういつの魔道具店へようこそ。お客様は何をお求めですか?」
空は満点の星空で、その光で辺りは意外と明るかった。その星空に魅入っていると、時間なんて忘れてしまうだろう。
ただし、この世界には時間も温度も存在しない。もちろん、生命も。
と、言いたいところなのだけど、例外が存在する。
少し、説明が遅れてしまったけれど、この世界について話そうと思う。
この世界は共鳴世界と呼ばれていて、正式的な名前なんてない。
どの世界にも繋がっていて、どの世界とも違う異質な世界。誰が共鳴世界だなんて呼び出したのかは分からないけれど、絶対共鳴なんてしていないだろう。
そして、基本的にこの世界には音も、温度も、時間も存在しない。そんな世界には当たり前だけど生き物もいない。あるのはこの頭上に見える満点の星空と、その例外の物くらいだ。
だから、前述した小さな音は本来ありえないものであり、幻聴、空耳と一蹴してしまうのが普通である。でも、確かに聞こえたのだ。
なんの根拠もないけれど。
そして、そのさっきから言ってる例外というのが、少し先に見える花などで飾られた一軒家くらいのこの世界ゆういつの建造物である。
その建造物の中には、1人の女性とその女性の使い魔が住んでいて、その家は彼女の営む店であり、彼女が仕事をするアトリエでもある。
その建物の中には音も、温度も、時間も、生き物も存在する。異質の世界に存在する異質な空間。言うなれば、そんな所だろう。
その店に名前はない。看板は、古い物なのか書いてある文字は読めないし店主はこの店に名前などないと言う。
その店は魔道具店。
不思議な効果を持つ品物などが沢山売られている。その効果は様々で、物によっては世界すらも滅ぼしてしまうだろう。
そんな物が売ってる店があっていいのかと思うだろう?
でも残念ながらその店に行けるのは、運がいいほんの一部のひと握りの人間だけなのさ。
そもそも、この世界に来ることすらも難しいのに、この世界に来たからと言って必ずその店に来れる訳でもないのだ。
ああ、この世界に来た者がどうなるのかまだ話してなかったね。
この世界に来てしまったら、その店に行かない限り元の世界には帰れない。だから、その店にたどり着けなかったら永遠にこの世界をさまよい続けるのさ。
時間は存在しないから、死ぬことさえもままならない。
酷だとは思うけど、僕にはどうしようも出来ないよ。
その店について、詳しく話そうか?
その店はね、様々な効果を持つ商品が売られている。あぁ、これはもう言ったか。その商品は"魔道具"と呼ばれ、全て店主である彼女の手作りだ。
品質は僕が保証するよ。
その店には色んなものがあるけれど、彼女はお客が本当に必要としているものしか売らない。何故だかは僕も知らないよ。
その店の商品の値段は決まってないよ。ただ、それを買うお客の全財産が値段に自然となるのさ。面白いだろ?
それでもお客達は買ってしまう。
何故か?
簡単だよ。それがお客が心から欲しいと願うものだからだ。
人とは、案外自分の欲に素直なものさ。
僕は彼女から買ったことはないけれど、品質は相当なものだよ。あぁ、これも2回目だね?
さてさて、そろそろ最後にしようかな。
こんな面白みもない説明なんて、君たちも見ていてつまらないだろうから。
最後に、彼女の名前を教えてあげるよ。
彼女の名前はね_______
おっと、ごめんね。誰か来たみたいだ。
それじゃあ、僕は失礼するよ。またの機会までさようならってね?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ***
カランカラン、というドアにつけられた鐘がドアを開けられたことを知らせる音を鳴らした。
店内は、星空に負けないくらい明るくて、そこには1人の美しい女性がいた。
その女性は黒猫を抱きながら、こちらを振り返って微笑んで、優しい声でこういった。
「いらっしゃいませ。共鳴世界ゆういつの魔道具店へようこそ。お客様は何をお求めですか?」
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