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【35】ゆけ!たたかえ!むてきだぼくらの―

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「―ヒマリ、ここからはノーム研との通信遮断されます」
「よし、行こうシリアリス。三代目さんは先行してるんだよね」
「はい。ヒマリはこのままエンジンルームと思われる場所へ向かいます。
まずはこのまま、床を抜いてください」
「オッケー」
「ではヒマリ、お題は学校生活について、です」
「お。なるほど。そいつは任せろ、得意ジャンルだ」
ニカっと、いたずらげに笑うとヒマリは大きく胸をそらすように思いっきり息を吸い込み。
「学校おおお逃げ場無いんだよおおおおおおお!!!!!!女子連携やめろよおおおお!!!!!」
ヒマリロボは大きく腕を振り回す。
「ハブりたきゃハブれやああああああああ!!!!!!いちいちトイレで囲むんじゃねええええええ!!!!!」
ヒマリロボの振り上げた拳が、地球にはない金属の床を貫いた。
「バレンタインに友チョコ交換しなかったってだけで更衣室で肩ぶつけてくんなあああああ!!!!!」
メリメリと床板を引きはがす、ヒマリロボ。
「あんなのイジリじゃねーよイジメだよ教師めええええええええ!!!!!」
「ヒマリ、魔力が出ています。そのベクトルはいいようです」
「のどいたい……でもまだまだ行けるよ」
「続いてのお題、恋愛について」
「よし来た!
そっちから声かけといて思ってたのとなんか違うとか言うなリア充野郎どもおおおおお!!!!どいつもこいつもおおおお!!!知るかああああああ!!!!!」
「魔力出ています。最大出力更新しました」
「ボクはああああああ!!!昔からああああああ!!!!!こんなだよおおおおおおおお!!!!!!!」
「床板は丈夫です、もう一撃お願いします」
「シバタ君にアヤつけんなとか知るかああああああああ!!!!!!あの野郎イケメンだけどクソオタだただのオタ仲間だああああ!!!!!!!」
「穴あきました。そこに手を差し込んではがしてください」
「ちょっと男子と喋っただけで気があるとか言ってんじゃねえよおおおおおおおおおおおおお!!!!こちとらリアル男子なんざ興味ねえんだよおおおおおおおおお!!!!ボケええええええええ!!!!!!」
一気に床がはがされる。
「きょうびイケメンだってフツーにオタやってんだよおおおおおおおおお!!!!ハシザキだってオタだよアホおおおおおお!!!!!!」
穴に飛び降り、着地のついでに次の床をぶち抜く。
「ヤツは黒髪ロング専門家だおまえらみたいなギャル守備範囲外だああああああ!!!!!!オタみんなでリコリコ2クール目の予想大会してただけだあああああ!!!!!」
「その調子です。前方14メートル進んで右の壁を破壊してください」
「ひーーー!!映えてる?ボク映えてる?!」
「最悪です」
「だあよねええええええ!!!!こんなんがボクの見せ場かよおおおおおおおおおお!!!!!!」
「でも?」
「スッキリするううううううううう!!!!!!!!」
「けど?」
「こんなん喉つぶれるよおおおおおおお!!!!」
「声優志望じゃなくて?」
「良かったあああああああ!!!!!」

シリアリスがヒマリを乗せるごとに巨大なパンチが母船を襲う。
中に入ってからずっと、戦艦UFOにもいた無数のガードロボットが攻撃してきていた。
しかしこのサイズ差では文字通り蹴散らされている。ハンドガンサイズの熱線銃ではヒマリロボには何の意味もなかった。
「ヒマリ、熱源予想部間もなくです」
内部へと進むにつれ、ガードロボットだけではなく、宇宙人らが逃げ惑う姿も目にしていた。
「ヘイヘイヘイ!!宇宙人ビビってるビビってるうううう!!!!!どしたどしたああああああ!!!!」
「おそらく、彼らには巨大ロボという概念がなかったのかもしれません」
「アニメがない星なんて住みたくないねえええええええええええ!!!!!!!」
巨大な母船だが、内部の防御は戦艦UFOと同様のものしかなかった。
だがそれは普通の事だっただろう。どんな巨大戦艦でも中に入ってしまえばそれまでではある。
ましてやこんな人型兵器は想定されているわけもない。振り回す武器はただ拳だけだが、その拳の正面は四畳半ほどもある。
ガードロボットに混じってたまに見かける宇宙人の兵士も為す術もなくただ、逃げるだけだった。
「熱源予想部到達しました。
そこのゲートを破壊し侵入してください」
戦艦としての構造、動力部は地球のそれから推察される場所にあった。
戦艦型UFOにもあったエンジンらしき筒状の部位。そのさらに大きなものが、ヒマリロボと同じほど大きな筒が、静かに光を放っている。筒の内側で別の筒が回転をしている。二重構造による複雑な動きとなっていた。
「ヘイシリアリス!お手柄!やっぱりゲーミングに光ってやがるよ!」
「はい、中佐からの学習データによる算出です。
全体の振動から考えてもおそらくはこれがメインのエンジンです」
「よし、行くよ…
仮称ヒマリロボおおおおおお!!!!!!!!パあああンチいいいい!!!!!」
ヒマリの絶叫で巨大ロボは力強くキックを放つ。
「パンチパンチパあああああンチいいいいい!!!!!!」
ガンガンガン、と、連続して踏みつけるようなキックを続ける仮称ヒマリロボ。
「とどめだああああああ!!!!ヒマリロボおおおお!!!ハイメガビぃいいいいんむ!!!!」
大きく、その巨体をねじりあげてヒマリロボがパンチを放った。
拳が深く筒へとめり込む。
「メインエンジンと思われる部位の活動停止を確認しました。
ヒマリ、最後に一言どうぞ」
「え?あー、え、見たかこれぞ…!えー、
…どやあ!!」
力強くヒマリロボはクロスさせた両腕の人差し指をエンジンへと向け、決めポーズらしいものをとった。
爆発する巨大な筒。粉々に飛び散る破片が、ヒマリロボの表面を傷つけるが、ダメージは無い。
連動するように、これまで破壊してきた道や他の遠い場所からも振動が伝わってくる。
「くそう、とっさだと決め台詞って出ないもんだなぁ。先に決めときゃよかった。‥‥あ、だから決め台詞?」
「ヒマリ、よくそれでファルリエットさんをからかってましたね?」
「―ま、とにかく。さすがにいくら暴れても落とせそうにはないよね、シリアリス」
「はい。振動からはあと4機、これよりも小型の、補助エンジンと思われる部位があることが推測されます。
それら全てを壊さない限りは墜落はしないでしょう。
しかしこれで、足止めするには十分の破壊を…」
ガンガンガン、と、三度連続でロボットに衝撃が走った。
今までのガードロボットのそれよりも強い攻撃を受けていた。
「攻撃は左後方からです。魔導水晶モニターに映します」
「…来た」
モニターが映し出す姿。
それは、勇者ザウムを苦しめ、オークの精鋭部隊を倒したエイリアン勇者。
その一人が、こちらに向けて堂々と歩く姿だった。
「来たよ、シリアリス。エイリアン勇者だ。
―アインだ」
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