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【14】マジでプロだわ
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この1週間、中佐の指示で広く索敵網が展開されていた。
砦を中心として北側に対し半球状12か所に簡単な見張り塔と望遠鏡、魔導水晶を配備。さらにそれらから外側へそれぞれ3か所ずつ、合計36か所の見張り塔を外縁へと配置する。見張り台には主にオークの命令でゴブリンが登っていた。彼らの視力は人間よりもかなりいいらしい。
ヨーロッパ風の広大な丘陵地帯、丘と平原と見張り塔を組み合わせることで半径550キロ範囲でのUFO出現を瞬時に伝達できるようになっていた。
それも、貴重な兵士や魔術師を必要とせずに。
急場しのぎとはいえ、これだけの配置を数日で徹底できたのはヴァンデルベルトの交渉力の成果だけではない。この大陸中央の最大国家であるヴァル=ブルガ王国、その周辺全てが焼かれていると言っていい状況だからであり、それは王都でも肌で感じる段階にまで来ている。毎日流れてくる、国も人種も、種族さえも違う多くの難民は、まだUFOを直接見ていない民衆らにさえ恐怖と覚悟を植え付けていた。
北方からの進撃を守るこの砦も宇宙人にしてみればなんなら頭越しで飛び越えればいい。そうして王都を消滅させてから戻ってきてもいい。それをしないのは、この世界とは違う価値観があるからか、他の理由があるのか。それは誰にもわからないながらも、王国としては戦果を挙げるこのサンドリアス砦からの軍事作戦は最重要なものになっていた。王国の必死の命令を、末端の民間人さえ笑わずに従う所まで来ていたのだ。
「中佐、想定通りの時間です。北西方向に大型UFO2機、戦闘機UFO4機見えました」
「3機じゃないのか…。
よし。各隊配備現状のまま、待機」
本部指揮所として、砦に残された数少ない塔にしつらえられた本陣に、中佐の隣にヒマリはいた。
他にはヴァンデルベルトと、2人の騎士と年老いた従者が4人だけだ。
中佐が言うにはここまで来られたらどうにもならないし、何よりも本当に人手が足りず総力戦に等しいためだった。砦の周りには配備されたオークや人間を中心にしたわずかな兵士が並ぶ。
明らかに寡兵であるにも関わらず、全員が整列し作戦開始を待っていた。
「でもホント、いくら中佐がしっかり説明したとはいえよくみんなこれだけ信頼してくれたもんだよ。異世界指揮官なんて実績も無いのに」
「うん?実績だ?」
前を見据えていた中佐が眉をひそめてヒマリを見る。
「な、なにさ。別に中佐をディスってるんじゃなくてさ、事実としてさ」
怒られると思ったのだろう。ヒマリは目と手をぐるぐる回しながら、もちろん口も早口になる。
「ヒマリ、お前…いや、いい。集中するぞ」
「うん、がんばって」
2機の大型UFOとその護衛戦闘機UFO。
こちらは兵士は半減し、ベウストレムも三代目勇者もまだ傷が癒えておらず出撃できない。
前回の戦闘を考えると、圧倒的に不利な状況。おそらく砦の全員が不安なはずだった。
それでも全員が、異世界人である中佐の指示に従い訓練し、陣地を構築し、黙って配置についている。
隠れる事を嫌がった騎士団すら塹壕に潜って息をひそめていた。
中佐の熟達さを裏付ける論理的な説明と堂々とした態度があったとはいえ、ヒマリが気になったのは尤もだろう。だが彼らが異世界人によせる信頼感は、実績その本人には案外見えない物だったらしい。
「二本杭ラインにUFO侵入しました!」
「ああ、そう来るよな。
よし、ダック出せ」
合図に合わせ、近くの森から騎馬が飛び出し砦に向かって全力で逃げ始める。
そして逃げながらも弓を放つ様は、この異世界を侵略する宇宙人にとって見慣れた光景だろう。あたかも攻撃手段がない異世界人そのものだ。UFOは騎馬を無視し、そのまま悠々と進む。
「大型UFO2機、三本杭ラインまであと千ヤード!」
「よし、火球魔術は戦闘機タイプに目標設定、攻撃準備」
その通信を受け、火球魔法担当の魔導士部隊の指揮官が各魔導士へ目標を割り振っていく。
「攻撃待て、そのまま、そのまま引き付けろ」
ずっと双眼鏡を持ったまま、中佐は指揮を続ける。
「引き付けろっていうじらしプレイ、戦争映画でよく見るけどホントにあるんだね、シリアリス」
「ヒマリ、何を気の抜けた事を言っているんですか」
「思っただけだよ、ちゃんと緊張してるよ?」
そんなのんきな二人の会話は幸い日本語のため二人以外にはわからない。
隣の中佐もそのまま冷静に指揮を続ける。
「待て、待て…」
敵の居ない平野を砦へと迫る大型。
砦の前には兵士が陣取っているが、これまでの経験から誰が見てもとても敵うとは思えない状況だった。
誰もが緊張していた。
前回の経験からこのままでは撃たれるのでは、もう撃つのでは、と、異世界の勇士たちの逞しい心臓すら早鐘を打っていたその瞬間―
「ファイア!!」
彼ら、宇宙人にとっては後ろからの魔法攻撃が一斉に襲い掛かる。
それは、何の反撃の無い砦に今まさに熱線を放とうとしていたタイミングだった。
中佐が瞬きもせずに狙っていたタイミングだった。
「よし、バリスタ放て!」
完全な連携。
城壁に備え付けられていた残った7機のバリスタ全てが一斉に発射される。
ロープのついた巨大な矢が、次々と戦闘機タイプUFOに刺さっていく。
そのままノーム研印の入ったバギーエンジンでロープを巻き取る。引き落とす事は出来ないが、地面に固定した分と横からの巻取りで飛び上がる事もできず、釣りあげられた魚のように暴れ、やがてバリアーが切れる。
「すごい…不意を突かれたらこんなに簡単なんだ」
「はい。中佐が言っていた通りですね。宇宙人のパイロットが操縦していることに隙があります。宇宙人はスマホを発展させ、スマホにUFOを操作させるべきでした」
「うん、そうだね…
うん??そうじゃねえよ、シリアリス何言ってんの怖いよ、人類の次の敵にでもなるつもりかよ」
手持無沙汰なヒマリとシリアリスの会話。中佐の邪魔をしないよう小声のヒマリもさすがにつっこんでしまう。
「ベータ小隊、チャーリー小隊突撃!」
そんな二人には関係なく、中佐の指揮と作戦が続く。
塹壕に隠れていた伏兵が、オークとドワーフの軍団が板を跳ね飛ばし一斉に走り出す。
「大型UFO、重力魔法圏内です!」
「今!重力魔法、大型UFO捕縛!」
「すごい、中佐の部隊編成が奇麗に動いてる。ド素人のボクでもわかるぐらい!」
ヒマリが興奮の声を上げる。無線通信での実戦は初めてにもかかわらず、現場の小隊長を務める人間の騎士らはよく動いている。
一気に戦局が動いた。宇宙人側、大型内部では混乱が生じているのは地面から見上げる異世界軍にも伝わっている。
この一か月、異世界を侵略してきた宇宙人側は今までにこういった攻撃を受けてこなかったのだろう。目視距離まで戦闘機UFOを出撃させずにむしろ温存していたが、完全に裏目に出た。重力に捕らえられた今になってようやく、大型UFOの底からははがれ落ちるように戦闘機UFOが飛び立つ。
しかし双眼鏡を覗く中佐は全く動じること無く、各個対応、とだけ通信指示を送る。
この動きも全てが彼の想定した流れの一つだった。発進できた7機の戦闘機のうち5機は加速する前に重力魔法で射出された網で引き倒される。
しかしUFO側も即座に熱線を放ち、網を破ろうとする。
―するが、それも読み通りですかさず第二射の網が打ち上げられ、絡み取られる。
残った2機の前にも爆炎が上がり、茂みに隠されていたカタパルトからの投石が当たり、その後にまた重力魔法で進行方向をすこしだけねじられてバリアーごと自分の加速速度のまま地面へと突撃する。
「アルファ小隊、デルタ小隊、突撃!」
バリアーの切れた戦闘機UFOを、オークやドワーフが取り囲みとりつき、外部装甲を斧でガンガンと破壊する。
中の宇宙人パイロットらのほとんどはそのまま槍、斧の餌食となるが、一部はなんとか外へとはい出し、突撃銃を必死に乱射する。
「待った中佐!あれ前来た宇宙人じゃないよ!」
双眼鏡を顔に押し付け、ヒマリは塔から身を乗り出す。
「ひょろ長いし、腕が4本ある!
…完全に別ルーツの進化生物だよ。同じルーツだとしても相当早い段階で枝分かれした生物としか思えない。何億年単位で…
そんなのが同等の知的生命体として同じ世界で共存するなんてあるのかな…
まさかあれって」
「ヒマリ、それは後で聞く。それより動きの特徴とかがあったら教えてくれ」
「ああ、うん、そうだね。集中集中」
ヒマリには気になって仕方なかったが、中佐の言葉は正しい。今現在の戦闘のみに集中するべきだろう。
そのつもりで観察するが、やはり前回の宇宙人とは体格も動きも違う、その姿は不思議でならなかった。
割れたヘルメットバイザーから水らしいものがあふれ出していた。
そしてもったりとした動きは、せっかくの強力な銃器も扱いきれずに次々に倒されていく。
「やっぱり前のと違う…。前のはボクでもわかった、兵士だった。今度のは銃は強いけど動きが素人くさいよ」
ヒマリはシリアリス相手にぶつぶつとつぶやいている。
だがそのヒマリの疑問も解決する暇さえもなく、決着を迎える。
「嘘だろう、これは楽だ…」
地上ではオーク師団長が、思わずつぶやいていた。
「信じられん、半減した戦力のほとんど欠ける事がなかったぞ」
「この世界にも火力はある。
それならファイアアンドムーブメントこそが選ぶべきドクトリンだ」
中佐は魔道水晶の通信ごしに、事も無げにエウゲニイに答えた。
「すごい…
中佐、さすがUSアーミー!楽勝じゃん!」
過去の二戦。その必死の抵抗を身をもって知っているヒマリも興奮気味に声を弾ませた。
砦を中心として北側に対し半球状12か所に簡単な見張り塔と望遠鏡、魔導水晶を配備。さらにそれらから外側へそれぞれ3か所ずつ、合計36か所の見張り塔を外縁へと配置する。見張り台には主にオークの命令でゴブリンが登っていた。彼らの視力は人間よりもかなりいいらしい。
ヨーロッパ風の広大な丘陵地帯、丘と平原と見張り塔を組み合わせることで半径550キロ範囲でのUFO出現を瞬時に伝達できるようになっていた。
それも、貴重な兵士や魔術師を必要とせずに。
急場しのぎとはいえ、これだけの配置を数日で徹底できたのはヴァンデルベルトの交渉力の成果だけではない。この大陸中央の最大国家であるヴァル=ブルガ王国、その周辺全てが焼かれていると言っていい状況だからであり、それは王都でも肌で感じる段階にまで来ている。毎日流れてくる、国も人種も、種族さえも違う多くの難民は、まだUFOを直接見ていない民衆らにさえ恐怖と覚悟を植え付けていた。
北方からの進撃を守るこの砦も宇宙人にしてみればなんなら頭越しで飛び越えればいい。そうして王都を消滅させてから戻ってきてもいい。それをしないのは、この世界とは違う価値観があるからか、他の理由があるのか。それは誰にもわからないながらも、王国としては戦果を挙げるこのサンドリアス砦からの軍事作戦は最重要なものになっていた。王国の必死の命令を、末端の民間人さえ笑わずに従う所まで来ていたのだ。
「中佐、想定通りの時間です。北西方向に大型UFO2機、戦闘機UFO4機見えました」
「3機じゃないのか…。
よし。各隊配備現状のまま、待機」
本部指揮所として、砦に残された数少ない塔にしつらえられた本陣に、中佐の隣にヒマリはいた。
他にはヴァンデルベルトと、2人の騎士と年老いた従者が4人だけだ。
中佐が言うにはここまで来られたらどうにもならないし、何よりも本当に人手が足りず総力戦に等しいためだった。砦の周りには配備されたオークや人間を中心にしたわずかな兵士が並ぶ。
明らかに寡兵であるにも関わらず、全員が整列し作戦開始を待っていた。
「でもホント、いくら中佐がしっかり説明したとはいえよくみんなこれだけ信頼してくれたもんだよ。異世界指揮官なんて実績も無いのに」
「うん?実績だ?」
前を見据えていた中佐が眉をひそめてヒマリを見る。
「な、なにさ。別に中佐をディスってるんじゃなくてさ、事実としてさ」
怒られると思ったのだろう。ヒマリは目と手をぐるぐる回しながら、もちろん口も早口になる。
「ヒマリ、お前…いや、いい。集中するぞ」
「うん、がんばって」
2機の大型UFOとその護衛戦闘機UFO。
こちらは兵士は半減し、ベウストレムも三代目勇者もまだ傷が癒えておらず出撃できない。
前回の戦闘を考えると、圧倒的に不利な状況。おそらく砦の全員が不安なはずだった。
それでも全員が、異世界人である中佐の指示に従い訓練し、陣地を構築し、黙って配置についている。
隠れる事を嫌がった騎士団すら塹壕に潜って息をひそめていた。
中佐の熟達さを裏付ける論理的な説明と堂々とした態度があったとはいえ、ヒマリが気になったのは尤もだろう。だが彼らが異世界人によせる信頼感は、実績その本人には案外見えない物だったらしい。
「二本杭ラインにUFO侵入しました!」
「ああ、そう来るよな。
よし、ダック出せ」
合図に合わせ、近くの森から騎馬が飛び出し砦に向かって全力で逃げ始める。
そして逃げながらも弓を放つ様は、この異世界を侵略する宇宙人にとって見慣れた光景だろう。あたかも攻撃手段がない異世界人そのものだ。UFOは騎馬を無視し、そのまま悠々と進む。
「大型UFO2機、三本杭ラインまであと千ヤード!」
「よし、火球魔術は戦闘機タイプに目標設定、攻撃準備」
その通信を受け、火球魔法担当の魔導士部隊の指揮官が各魔導士へ目標を割り振っていく。
「攻撃待て、そのまま、そのまま引き付けろ」
ずっと双眼鏡を持ったまま、中佐は指揮を続ける。
「引き付けろっていうじらしプレイ、戦争映画でよく見るけどホントにあるんだね、シリアリス」
「ヒマリ、何を気の抜けた事を言っているんですか」
「思っただけだよ、ちゃんと緊張してるよ?」
そんなのんきな二人の会話は幸い日本語のため二人以外にはわからない。
隣の中佐もそのまま冷静に指揮を続ける。
「待て、待て…」
敵の居ない平野を砦へと迫る大型。
砦の前には兵士が陣取っているが、これまでの経験から誰が見てもとても敵うとは思えない状況だった。
誰もが緊張していた。
前回の経験からこのままでは撃たれるのでは、もう撃つのでは、と、異世界の勇士たちの逞しい心臓すら早鐘を打っていたその瞬間―
「ファイア!!」
彼ら、宇宙人にとっては後ろからの魔法攻撃が一斉に襲い掛かる。
それは、何の反撃の無い砦に今まさに熱線を放とうとしていたタイミングだった。
中佐が瞬きもせずに狙っていたタイミングだった。
「よし、バリスタ放て!」
完全な連携。
城壁に備え付けられていた残った7機のバリスタ全てが一斉に発射される。
ロープのついた巨大な矢が、次々と戦闘機タイプUFOに刺さっていく。
そのままノーム研印の入ったバギーエンジンでロープを巻き取る。引き落とす事は出来ないが、地面に固定した分と横からの巻取りで飛び上がる事もできず、釣りあげられた魚のように暴れ、やがてバリアーが切れる。
「すごい…不意を突かれたらこんなに簡単なんだ」
「はい。中佐が言っていた通りですね。宇宙人のパイロットが操縦していることに隙があります。宇宙人はスマホを発展させ、スマホにUFOを操作させるべきでした」
「うん、そうだね…
うん??そうじゃねえよ、シリアリス何言ってんの怖いよ、人類の次の敵にでもなるつもりかよ」
手持無沙汰なヒマリとシリアリスの会話。中佐の邪魔をしないよう小声のヒマリもさすがにつっこんでしまう。
「ベータ小隊、チャーリー小隊突撃!」
そんな二人には関係なく、中佐の指揮と作戦が続く。
塹壕に隠れていた伏兵が、オークとドワーフの軍団が板を跳ね飛ばし一斉に走り出す。
「大型UFO、重力魔法圏内です!」
「今!重力魔法、大型UFO捕縛!」
「すごい、中佐の部隊編成が奇麗に動いてる。ド素人のボクでもわかるぐらい!」
ヒマリが興奮の声を上げる。無線通信での実戦は初めてにもかかわらず、現場の小隊長を務める人間の騎士らはよく動いている。
一気に戦局が動いた。宇宙人側、大型内部では混乱が生じているのは地面から見上げる異世界軍にも伝わっている。
この一か月、異世界を侵略してきた宇宙人側は今までにこういった攻撃を受けてこなかったのだろう。目視距離まで戦闘機UFOを出撃させずにむしろ温存していたが、完全に裏目に出た。重力に捕らえられた今になってようやく、大型UFOの底からははがれ落ちるように戦闘機UFOが飛び立つ。
しかし双眼鏡を覗く中佐は全く動じること無く、各個対応、とだけ通信指示を送る。
この動きも全てが彼の想定した流れの一つだった。発進できた7機の戦闘機のうち5機は加速する前に重力魔法で射出された網で引き倒される。
しかしUFO側も即座に熱線を放ち、網を破ろうとする。
―するが、それも読み通りですかさず第二射の網が打ち上げられ、絡み取られる。
残った2機の前にも爆炎が上がり、茂みに隠されていたカタパルトからの投石が当たり、その後にまた重力魔法で進行方向をすこしだけねじられてバリアーごと自分の加速速度のまま地面へと突撃する。
「アルファ小隊、デルタ小隊、突撃!」
バリアーの切れた戦闘機UFOを、オークやドワーフが取り囲みとりつき、外部装甲を斧でガンガンと破壊する。
中の宇宙人パイロットらのほとんどはそのまま槍、斧の餌食となるが、一部はなんとか外へとはい出し、突撃銃を必死に乱射する。
「待った中佐!あれ前来た宇宙人じゃないよ!」
双眼鏡を顔に押し付け、ヒマリは塔から身を乗り出す。
「ひょろ長いし、腕が4本ある!
…完全に別ルーツの進化生物だよ。同じルーツだとしても相当早い段階で枝分かれした生物としか思えない。何億年単位で…
そんなのが同等の知的生命体として同じ世界で共存するなんてあるのかな…
まさかあれって」
「ヒマリ、それは後で聞く。それより動きの特徴とかがあったら教えてくれ」
「ああ、うん、そうだね。集中集中」
ヒマリには気になって仕方なかったが、中佐の言葉は正しい。今現在の戦闘のみに集中するべきだろう。
そのつもりで観察するが、やはり前回の宇宙人とは体格も動きも違う、その姿は不思議でならなかった。
割れたヘルメットバイザーから水らしいものがあふれ出していた。
そしてもったりとした動きは、せっかくの強力な銃器も扱いきれずに次々に倒されていく。
「やっぱり前のと違う…。前のはボクでもわかった、兵士だった。今度のは銃は強いけど動きが素人くさいよ」
ヒマリはシリアリス相手にぶつぶつとつぶやいている。
だがそのヒマリの疑問も解決する暇さえもなく、決着を迎える。
「嘘だろう、これは楽だ…」
地上ではオーク師団長が、思わずつぶやいていた。
「信じられん、半減した戦力のほとんど欠ける事がなかったぞ」
「この世界にも火力はある。
それならファイアアンドムーブメントこそが選ぶべきドクトリンだ」
中佐は魔道水晶の通信ごしに、事も無げにエウゲニイに答えた。
「すごい…
中佐、さすがUSアーミー!楽勝じゃん!」
過去の二戦。その必死の抵抗を身をもって知っているヒマリも興奮気味に声を弾ませた。
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