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第29章 行方不明者発見
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ノウムを先頭に部屋に入って行く。
部屋に入った真琴たちは目を疑った。
パイロ、コックのコクウス、パテシエのドウルケ。
行方不明者が揃っている。
「みんな、ここに居たのぉ」と、ウベークエが叫ぶ。
真琴たちが思わず駆け寄ろうとする。
「まだ早い!近づくな!」
力強いノウムの声だった。
真琴たちの動きが止まる。
ノウムの様子を伺う。
「まだ、お前たちを信用していない」
真琴たちは、ノウムの言葉に納得している。
動きを止め、ノウムの方に向き直る。
響介は考えていた……そうだろうと。
何者か、何をしに来たのかが分からない者を簡単に接触させるものかと。
我々は、作戦Bを実行した。
住人ウビークエとオピフが、この塔に侵入した三名の人間を連行したと言う体ではなかったのか?
この人工知能には、作戦Bがバレている。
それは、この部屋に入った時に、ウビークエとオピフのロボットのボディを外せと言われたからだ。
ウビークエとオピフがここの住人でないことがわかっている。
わかっていないのは、我々の目的だ。
彼は、我々の目的を探っているはずだ。
真琴たちの目的であるパイロがこんなに近くに居るなんて。
早く話を聞きたい。
真琴を元の世界に戻す方法を聞きださなくては。
しかし、このノウム言う人工知能の能力も分からない。
あの浮浪者より、上位に居る者。
それは、周りに護衛がついていない程の力量なのだろう。
計り知れない戦闘力を持っているのかもしれない。
ノウムの能力に対する不安は、ここに居る真琴たちにも感じられていた。
それが、身体を緊張させ固くなる。
真琴たちの視線に気付いたノウムが、下を向き笑いをこらえている。
小さな笑いから大きな笑いに移行していく。
「わ、笑った・・・・・・アンドロイドが」絢音が呟く。
笑い終わると、真琴たちを見渡した。
真琴たちは、身構える。どうなる?
「君たちの行動は、分かっているんだ。カメラで監視していたからな」
ノウムが、天井の点灯している赤いランプを指さした。
「君たちは、なかなか強いようだ。驚いたよ。
我々の”バルバルス”を倒したのだから。
君たちが”浮浪者”と呼んでいるアレだ。
それに、度胸もあるらしい。
よくここに来れたものだ。
武器も何も持っていないのにな」
それは、真琴たちもわかっていた。
なんて無謀な事をしているのだろうと。
しかし、方法がこれしか無かったからだ。
と、改めて自分に納得させる。
ウビークエが震えている。
「どうしたの?」絢音が心配して訊いた。
「匂いがする……スイーツの匂いがする……」
絢音も深呼吸する。
確かに、確かに遠くで甘い甘い匂いがする。
ウビークエの顔を見て絢音が頷く。
真琴たちのお腹が鳴りだした。
「腹が減っているのか。
お前たちは食べないと動けないし考えられないらしいな」
と、ノウムが話は無理だと察したようだ。
「お茶にしましょう……あちらで」ノウムは、パイロたちのテーブルを指差した。
真琴たちは、顔が緩んで行くのを感じた。
パイロたちのテーブルに向かう。
あの行方不明者が揃っている所に向かう。
彼らは、大丈夫なのだろうか?
健康を害していないのだろうか?
話すことができるのだろうか?
行方不明者を目の前にして、新たな不安が広がる。
パイロたちの所に着くと、もう一人見覚えのある者が居た。
それは、オルクス。
絢音が図書館で出会ったオルクス。
パイロが行方不明になった時、最後に会ったと言われていたオルクス。
オクルスが、パイロたちに何やら説明しているところだった。
ウベークエは、コクウスとドウルケを見つめていた。
真琴たちは、念願のパイロを見つめる。
これで、真琴を元の世界に戻すことができる。
ここに来ることが出来て正解だと心が躍るが、お腹の虫がうるさい。
オクルスがこちらに気付いて説明を辞め、ノウムの前にやってきた。
「これは、ノウム様」と深々と礼をする。遠くに居るパイロ達も一緒に礼をしていた。
「表を上げよ」と、ノウム。
オクルスが、真琴たちの方に目を移した。ノウムは、その目線を追っていく。
「その者たちは……」
「ああ、連行された人間だ。これから、話を訊くところだ」
「恐れながら、ノウム様。創造主様の許しは・・・・・・」
オクルスが言いかけた時、ノウムに睨みつけられた。
「許しが無ければなんだ?」
「いえ、いえ、何でもございません」と言いながら、ノウムに頭を垂れ後ずさる。
「お前は、何をしていた」
「あの者たちに新しい料理の本を持ってきたのです」
「ご苦労、渡してやってくれ」
頭を下げながら、後ずさって行った。
真琴たちとパイロたちが、顔を合わす。
お互いに顔を見合わせ、笑顔を交わす。
それを見ている。
どうやら、敵ではなさそうだと判断していた。
「このテーブルでお茶をしたいのだが、用意をお願いしたい」
コクウスとドウルケが、「わかりました」と頭をさげ、準備に向かった。
部屋に入った真琴たちは目を疑った。
パイロ、コックのコクウス、パテシエのドウルケ。
行方不明者が揃っている。
「みんな、ここに居たのぉ」と、ウベークエが叫ぶ。
真琴たちが思わず駆け寄ろうとする。
「まだ早い!近づくな!」
力強いノウムの声だった。
真琴たちの動きが止まる。
ノウムの様子を伺う。
「まだ、お前たちを信用していない」
真琴たちは、ノウムの言葉に納得している。
動きを止め、ノウムの方に向き直る。
響介は考えていた……そうだろうと。
何者か、何をしに来たのかが分からない者を簡単に接触させるものかと。
我々は、作戦Bを実行した。
住人ウビークエとオピフが、この塔に侵入した三名の人間を連行したと言う体ではなかったのか?
この人工知能には、作戦Bがバレている。
それは、この部屋に入った時に、ウビークエとオピフのロボットのボディを外せと言われたからだ。
ウビークエとオピフがここの住人でないことがわかっている。
わかっていないのは、我々の目的だ。
彼は、我々の目的を探っているはずだ。
真琴たちの目的であるパイロがこんなに近くに居るなんて。
早く話を聞きたい。
真琴を元の世界に戻す方法を聞きださなくては。
しかし、このノウム言う人工知能の能力も分からない。
あの浮浪者より、上位に居る者。
それは、周りに護衛がついていない程の力量なのだろう。
計り知れない戦闘力を持っているのかもしれない。
ノウムの能力に対する不安は、ここに居る真琴たちにも感じられていた。
それが、身体を緊張させ固くなる。
真琴たちの視線に気付いたノウムが、下を向き笑いをこらえている。
小さな笑いから大きな笑いに移行していく。
「わ、笑った・・・・・・アンドロイドが」絢音が呟く。
笑い終わると、真琴たちを見渡した。
真琴たちは、身構える。どうなる?
「君たちの行動は、分かっているんだ。カメラで監視していたからな」
ノウムが、天井の点灯している赤いランプを指さした。
「君たちは、なかなか強いようだ。驚いたよ。
我々の”バルバルス”を倒したのだから。
君たちが”浮浪者”と呼んでいるアレだ。
それに、度胸もあるらしい。
よくここに来れたものだ。
武器も何も持っていないのにな」
それは、真琴たちもわかっていた。
なんて無謀な事をしているのだろうと。
しかし、方法がこれしか無かったからだ。
と、改めて自分に納得させる。
ウビークエが震えている。
「どうしたの?」絢音が心配して訊いた。
「匂いがする……スイーツの匂いがする……」
絢音も深呼吸する。
確かに、確かに遠くで甘い甘い匂いがする。
ウビークエの顔を見て絢音が頷く。
真琴たちのお腹が鳴りだした。
「腹が減っているのか。
お前たちは食べないと動けないし考えられないらしいな」
と、ノウムが話は無理だと察したようだ。
「お茶にしましょう……あちらで」ノウムは、パイロたちのテーブルを指差した。
真琴たちは、顔が緩んで行くのを感じた。
パイロたちのテーブルに向かう。
あの行方不明者が揃っている所に向かう。
彼らは、大丈夫なのだろうか?
健康を害していないのだろうか?
話すことができるのだろうか?
行方不明者を目の前にして、新たな不安が広がる。
パイロたちの所に着くと、もう一人見覚えのある者が居た。
それは、オルクス。
絢音が図書館で出会ったオルクス。
パイロが行方不明になった時、最後に会ったと言われていたオルクス。
オクルスが、パイロたちに何やら説明しているところだった。
ウベークエは、コクウスとドウルケを見つめていた。
真琴たちは、念願のパイロを見つめる。
これで、真琴を元の世界に戻すことができる。
ここに来ることが出来て正解だと心が躍るが、お腹の虫がうるさい。
オクルスがこちらに気付いて説明を辞め、ノウムの前にやってきた。
「これは、ノウム様」と深々と礼をする。遠くに居るパイロ達も一緒に礼をしていた。
「表を上げよ」と、ノウム。
オクルスが、真琴たちの方に目を移した。ノウムは、その目線を追っていく。
「その者たちは……」
「ああ、連行された人間だ。これから、話を訊くところだ」
「恐れながら、ノウム様。創造主様の許しは・・・・・・」
オクルスが言いかけた時、ノウムに睨みつけられた。
「許しが無ければなんだ?」
「いえ、いえ、何でもございません」と言いながら、ノウムに頭を垂れ後ずさる。
「お前は、何をしていた」
「あの者たちに新しい料理の本を持ってきたのです」
「ご苦労、渡してやってくれ」
頭を下げながら、後ずさって行った。
真琴たちとパイロたちが、顔を合わす。
お互いに顔を見合わせ、笑顔を交わす。
それを見ている。
どうやら、敵ではなさそうだと判断していた。
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