上 下
11 / 46

第11章 白い塔それは人間の塔

しおりを挟む
 真琴たちは、馬車のから、周りを伺いゆっくりと降りた。
 誰が先に行くか迷いながら、顔を出し、キョロキョロと外を眺める。
 何をやってるんだとメトセラが、真琴たちを馬車から追い出した。

 追い出された真琴たちは、白い塔の前に居た。
 白い塔を見渡す。 
 目の前にそびえたつ白い塔は、天高くそびえ立っていた。
 スマホで写真を撮ろうと地面に這いつくばっても画面には、収まらない大きさだった。
 メトセラ以外の真琴たちは、あんぐりと口を開け、遥か上空の塔の先を見つめる。

 塔から目を放し、前を見ると塔の前には、黒い重厚な扉が置かれていた。
 その重厚な黒い扉には、様々な裸の人間の浮彫で飾られていた。
 ヨーロッパで見られる勝利の記念である凱旋門の様にただそこにどっしりと鎮座していた。

「すげぇー」
 真琴は、門に近づいて行き、浮彫を眺め、うっとりと見入っていた。
「音が聞こえるようだ」
 響介も浮彫を人差し指で軽くなぞり、呟く。
 絢音も声を発することを忘れて見入っている。
 響助は、扉の後ろに回ろうとしたが、見えない壁に遮られ、扉の後ろには行けなかった。

 ギギギギッ。

 重厚な扉が開いた。
 扉を開けたのは、二メートルを超える身長の筋骨隆々な門番だった。
 彫の深い筋肉が美しい。
 その門番の奥には、あのカラスのコロニクスが立っていた。

「ようこそ、白い塔へ。別名、”人間の塔”と呼ばれる」
「人間の……」
 真琴、響介、絢音は、顔を見合わせ、メトセラの顔を見た。
 メトセラは、そうだと頷いた。

「こちらへ」とコロニクスがくるっと回れ右をし、塔の入口へと進んで行く。
 ほらと言う様に、メトセラは顎を上げ、ついていけと真琴たちの背を押した。

 白い塔の中央には、大きな池があった。
 目を凝らすと何か泳いでいる。
 魚だろうか?
 池の上は、大きな煙突のように上へ上へと繋がっていた。
 真琴たちは、首を曲げて上に何があるか見つめていた。
 すると、上から何か落ちてきている。
 鈍い光を放っていた。
 やがて、池の上で静止した。
 それは、透明な球体だった。その一部が開き、通路が伸びてきた。
 コロニクスは、ことらへと手招きすると先に進んで行く。
 真琴たちは、後に続いた。

 球体の中に入ると、入口が閉じられ球体は上昇した。
 上昇する重力は全く感じられなかった。
 煙突のような壁には、所々に穴が開いていて、何かが動きまわっているのがわかる。
 やがて、球体は速度を緩め、静止し出口が開かれた。
 コロニクスが、同じように真琴たちを先導してた。
 そして、黒い大理石が引き詰められた部屋に到達した。

 背もたれに二匹の大蛇が絡まりあい天に昇っていく彫刻の玉座があった。
 そこには、誰も姿が見えなかった。
 コロニクスは、周りを見渡し誰かを探しているようだった。
「グベルナ様、人間を連れてきました」そして、声を張り上げた。

「今行くよ」と声がすると、玉座の後ろからキックボードに乗った子どもが現れた。
 玉座の前に着くと、キックボードから降り、玉座に座りなおした。
「ようこそ、白い塔へ。私がこの塔の管理者であるグベルナだ」
 栗色の髪の美形の子どもだった。

「久しぶりだな、メトセラ。
 なぜ、植物の王が人間と一緒に?人間なんて嫌いだろ」
 とニャッと笑いながらメトセラを見つめた。
「知っているの?」
 絢音が振り向いてメトセラの顔を見上げる。
「見ておかないとな、人間は何をしでかすか分からないからな」
 子どもの問いに仕方がないなとメトセラが口を開いた。

「ああ、人間が何かしでかそうとしたら教えてくれ。
 メトセラ、もっと話そうこっちへこい」
 グベルナとメトセラは、奥に部屋に向かって行った。
 グベルナは、振り向いて真琴たちに目を向けた。
「お前たちの事は、爺さんに頼まれている。ウルペース、案内してやってくれ」

 玉座の後ろから、白い狐の面をかぶった女性が現れた。
 白い衣は、うっすらと光っているようにも見えた。
「では、こちらへ」
 真琴たちが案内されたのは、玉座の右横にあるテーブルの前だった。

 そのテーブルは、直径二メートルの円卓で、砂のようなものが敷き詰めれれていた。
 絢音は、心理療法の箱庭を思い出した。
 ウルペースは、真琴たちの顔を見回し、準備は出来ている?これから話しますよと軽く頷いた。
「あなたたちが、居たのはここ」
 ウルペースが指刺すと砂のようなものが盛り上がり粘土細工のような地下鉄の入口が出来上がった。
 そこから、人形が三体出てきた。
「かわいい、これ、私たち」絢音が声をあげる。

「白い塔はここ、あなたたちは、ここに向かって来たの」
 円卓の中央に白い塔がそびえたった。
 三体の人形が白い塔に向かって動きだす。周りの森もジオラマの様に次々と円卓上に作られていく。
 真琴たちは、驚いて見るだけだ。
 途中から、人型の樹が現れ、四頭立ての馬車に乗ると、白い塔の下で止まった。
 馬車から人形が四体降りてくる。
「メトセラ?」
 絢音がちょっと大きめのピノッキオを見つけ指さす。
 馬車の大きさからみると、この白い塔が巨大だと分かる。

「そして、今、私たちはここに居る」 
 ウルペースはその白い塔を指さした。
「白い塔、人間の塔とも呼ばれている」
「人間の塔?」絢音が繰り返す。

「あなたたちの塔です。
 樹でもない、虫でもない、動物でもないものたちの塔です。
 この塔は、あなたたちが作り上げてきたもの全てが収集され管理されています。
 道具や絵や本、音楽。機械や・・・・・・武器までも管理されています。
 後で、案内しましようね」

「なぜ、収集しているのですか?」
 絢音は、知りたくてしょうがない。

「あなたたちを知るため。爺様の命令なのよ。
 私たちは、その管理するのが仕事」

「あの……、子どもも?」
 ウルペースは、わからなかったのねというように目を絢音に向けた。

「あの容姿だから、分からなかったのね。
 あのお方は、グベルナと言ってここの最高権利者よ。
 全て、あのお方が判断するの」

「……判断って?」
 ウルペースは、首を伸ばしキョロキョロと周りを見回すと、肩をすぼませ唇に人差し指をあてた。
 思わず真琴たちはウルペースに頭を近づけた。

 ウルペースは、静かな声で話始めた。
「存続させるかどうかってこと。
 この白い塔の周りに同じような塔があったでしょ」

「あの廃墟みたいな塔ですか?」
 真琴が眼がしらにシワを寄せる。

「そう、すべてあの方によって、廃棄された塔よ。
 あの方が、いらないとか、邪魔だか判断したら、なぜか、勝手に滅びるの。
 大体は、他の世界を侵害しすぎたからだと私は思っているの。
 これ以上は、ダメってところまで進んじゃったのよ」

「この塔も廃棄されちゃう?」

「そうなっちゃうかも。
 そうならないように、あなたたちが呼ばれたのかもね」
 真琴たちはお互いに顔を見回す。

「横に銀色の塔も出来てきたみたいだし」
「銀色の塔?」
「そう銀色の塔。人間が進化すると自然に出来るの。
 そうすると、決まってやり過ぎちゃうのよ。
 そうならないように、頑張って」
 そういわれてもと真琴たちは顔を見渡す。

「さてと、外でも見てみる?」
 ウルペースは、重厚な扉の前で何か唱えると、ゆっくりと扉が開いた。
 そこは、庭園になっていた。
 真琴たちは、自然と庭園に惹きつけられた。
 庭園に踏み出し振り返ると、扉の両側には大きな門番の石像が立っていた。
 その後ろには、今まで居た塔があり、青い空に真っすぐ伸びていた。
 真琴たちはその塔を見上げる。

「この塔は、”エスピラール”と呼ばれ、再生の塔です」

「あなた方二人は、いずれこの塔の先端から生まれ変わるの」
 ウルペースは、絢音と響介を手を握った。

「今日はこれまでにしましょう。好きな部屋で休んでください。では、明日」
 ウルペースが会釈をして塔の中に消えて行った。

「爺さんがこの世界の出口は白い塔の天辺って言ってたよな」
 真琴が二人の顔を見た。二人とも何か浮かない顔をしている。

「あっ、ゴメン。自分のことばかり考えて」
「大丈夫だよ。すぐ、生まれ変わるさ。なぁ、絢音」
「うん」と絢音は響介を見上げた。
 自分の事ばかり考えているのは、自分の方かと真琴は、そんな二人を見守る。

 心が落ち着いた真琴たちは、庭園を見て回ることにした。
 庭園の端まで行き、この世界を見渡す。

 大自然の中の古城のようだ。
 鮮やかな蒼い空だ。
 何処までも上空に広がっている。
 絢音は、空に白い微かな陰影の丸が浮かんでいるのに気付いた。
 夜から取り残された月だろうか。

「月かしら」
「そうだな、月だ。中で休もう」と、真琴が歩き始めた。

 絢音が振り向いて月を観る。
 違和感があった。
 いや、月じゃない……。ち、地球?
 そんなはずない。じゃ、ここはどこ?

 絢音の頭に月のイメージの単語が浮かんだが、口には出さなかった。
 言ってはいけない事に思えたからだった。
 絢音は、真琴たちの後を追って塔の中の戻って行った。 


 次に日、真琴たちは、ウルペースに連れられて白い塔の一階に来ていた。
 昨日は、ウルペースに塔の説明を受けた後、客室に案内されてからの記憶がない。
 真琴たちともまた頭がいっぱいになり、深い眠りにお落ちてしまったのだろう。
 眠りよりは、気を失ってしまったという方に近い。

 今朝、ウルペースより使いの者が来て、この場所に連れて来られた。
 昨日と同じように球体の乗り物で一階に降り立った。
 既にウルペースが待っていた。

 ウルペースのオーラと言うのか、存在感が強いせいですぐに分かった。
 真琴たちは、速足で近づいていった。
「よく眠れたかしら?」
「ええ、ぐっすり」
「まだ、こちらの環境に慣れていないからです。
 前の世界の感覚が身体に残っていて、眠たくなってしまうそうです。
 早く慣れるといいですね。
 さて、お話したかったのは、この池のことです」
 ウルペースは、直径二十メートルくらいの池を指さした。

 池は、透明度の高い水で満たされていたが、底が見えなかった。
 何やら無数に動いているモノが見える。

「何か居るわね」絢音が池を覗き込む。
 ウルペースは、絢音の肩に手をかけ引き戻した。

「注意したかったのは、そういところ。
 決して、この池には面白半分に近づいてはいけません。
 池と言うよりは、水の世界の入口なのです。
 水の世界は、とても広いのです。
 この世界と同じくらいの大きさがあるのです。
 あなたたちも、この水の世界から生まれた生き物のひとつ。
 ここには、数えきれないほどの生き物が生息しています。
 グベルナを始め、私たちが一生懸命考えたから。
 あなた方が学校で習った化石になった生き物もいるの。
 危ないと言ったのは、そんな大型の生物も居るということ。
 襲われて引きずり込まれたら、助けようがないのです。
 水の世界は、あまりにも広いので居場所がわからない。
 浅瀬でもあり深海でもあるこの水の世界は、
 あまりにも広すぎるので、中に入ったら居場所なんか分からないわ」
 真琴たちは、一斉にこの池から離れた。

「この水の力は、この塔の源なのです。
 生まれ出たあらゆる素材、エネルギーはこの漏斗型の塔を登って行き、
 先端にある螺旋塔エスピラールへ運ばれ、あなたたちの元となります」

 ウルペースは、分かりましたかと真琴たちの顔を見渡した。
 
「この水を大切にしてくださいね。注意は、これだけです。
 後は、好きなようにここの世界を見物してください。
 帰りたくなったら、帰って結構です。
 あっ、帰れるのはあなただけね」
 真琴の肩を叩く。

「二人は、生まれ変わるまで待ってください。
 時期に身体が消えてしまうけどその時は慌てないで、エスピラールに導かれるから」
 ウルペースは、絢音と響介の間に入り、二人の肩に手を添えた。

「ここの塔には、人間が創ったものは何でもあるの。
 本や写真、映像、音楽も何でも揃っているわ。
 ただ、あなたたちの世界にあるものと異なるのは、いじられていない事。
 原物があるの。すごいでしょう。
 あなたたちの世界には、嘘もいっぱいあるでしょ。
 私たちが管理しているから、本当の事かと嘘の事かも教えてあげる」

 ウルベースは、思い出したと真琴の肩に手を置いた。
「あっ、そうだ。生きている君。
 爺さんから頼まれているだけど、君は前の世界に戻らなくちゃだめよ。
 探検しすぎると迷子になってしまう子も居るの。
 ここを気に入って帰らない子もいるわ。
 ちゃんと、帰らなくちゃだめよ」
 ウルペースは、そういうと行ってしまった。

 真琴たちが、球体の乗り物に入ると勝手に上昇し、ある階で降ろされた。
 そこは、西洋の古い城下町のような所だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

凶幻獣戦域ラージャーラ

幾橋テツミ
ファンタジー
ラージャーラ…それは天響神エグメドなる絶対者が支配する異空間であり、現在は諸勢力が入り乱れる戦乱状態にあった。目下の最強陣営は「天響神の意思の執行者」を自認する『鏡の教聖』を名乗る仮面の魔人が率いる【神牙教軍】なる武装教団であるが、その覇権を覆すかのように、当のエグメドによって【絆獣聖団】なる反対勢力が準備された──しかもその主体となったのは啓示を受けた三次元人たちであったのだ!彼らのために用意された「武器」は、ラージャーラに生息する魔獣たちがより戦闘力を増強され、特殊な訓練を施された<操獣師>なる地上人と意志を通わせる能力を得た『絆獣』というモンスターの群れと、『錬装磁甲』という恐るべき破壊力を秘めた鎧を自在に装着できる超戦士<錬装者>たちである。彼らは<絆獣聖団>と名乗り、全世界に散在する約ニ百名の人々は居住するエリアによって支部を形成していた。    かくてラージャーラにおける神牙教軍と絆獣聖団の戦いは日々熾烈を極め、遂にある臨界点に到達しつつあったのである!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

護国の鳥

凪子
ファンタジー
異世界×士官学校×サスペンス!! サイクロイド士官学校はエスペラント帝国北西にある、国内最高峰の名門校である。 周囲を海に囲われた孤島を学び舎とするのは、十五歳の選りすぐりの少年達だった。 首席の問題児と呼ばれる美貌の少年ルート、天真爛漫で無邪気な子供フィン、軽薄で余裕綽々のレッド、大貴族の令息ユリシス。 同じ班に編成された彼らは、教官のルベリエや医務官のラグランジュ達と共に、士官候補生としての苛酷な訓練生活を送っていた。 外の世界から厳重に隔離され、治外法権下に置かれているサイクロイドでは、生徒の死すら明るみに出ることはない。 ある日同級生の突然死を目の当たりにし、ユリシスは不審を抱く。 校内に潜む闇と秘められた事実に近づいた四人は、否応なしに事件に巻き込まれていく……!

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

練習船で異世界に来ちゃったんだが?! ~異世界海洋探訪記~

さみぃぐらぁど
ファンタジー
航海訓練所の練習船「海鵜丸」はハワイへ向けた長期練習航海中、突然嵐に巻き込まれ、落雷を受ける。 衝撃に気を失った主人公たち当直実習生。彼らが目を覚まして目撃したものは、自分たち以外教官も実習生も居ない船、無線も電子海図も繋がらない海、そして大洋を往く見たこともない戦列艦の艦隊だった。 そして実習生たちは、自分たちがどこか地球とは違う星_異世界とでも呼ぶべき空間にやって来たことを悟る。 燃料も食料も補給の目途が立たない異世界。 果たして彼らは、自分たちの力で、船とともに現代日本の海へ帰れるのか⁈ ※この作品は「カクヨム」においても投稿しています。https://kakuyomu.jp/works/16818023213965695770

投擲魔導士 ~杖より投げる方が強い~

カタナヅキ
ファンタジー
魔物に襲われた時に助けてくれた祖父に憧れ、魔術師になろうと決意した主人公の「レノ」祖父は自分の孫には魔術師になってほしくないために反対したが、彼の熱意に負けて魔法の技術を授ける。しかし、魔術師になれたのにレノは自分の杖をもっていなかった。そこで彼は自分が得意とする「投石」の技術を生かして魔法を投げる。 「あれ?投げる方が杖で撃つよりも早いし、威力も大きい気がする」 魔法学園に入学した後も主人公は魔法を投げ続け、いつしか彼は「投擲魔術師」という渾名を名付けられた――

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...