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二匹目!+一羽目
48・モフモフわんことBBQ
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ダンジョンマスター生活五十一日目。
BBQと花火大会の日だ。
まずはアパートの駐車場でBBQなので、デニムとTシャツです。ちゃんと下着も着けてるよ!
「うーぐるるっ!」
「ニコちゃん、いかりをおさえるの。ふーがいるの」
「……きゃうん」
ニコちゃんは、鷹秋さんには懐きませんでした。
念話で聞いたところ、アパートの住人は群れの仲間だけれど、そうでない人間は敵なのだとか。五年間の暴走生活のせいか、ニコちゃんは攻撃的なんだよね。犬……じゃなかった、狼だから仕方ない。
ニコちゃんはふー君に抱っこされ、鷹秋さんに対して歯茎を剥き出して威嚇している。
「鷹秋さん、ごめんなさい」
「いいえ。……漏らしたり、いきなり駆け出したりしないでいてくれるだけで嬉しいです」
「そうですかー」
「がふがふっ!」
タロ君の声が荒々しいのは、肉の塊を引き千切って食べている途中だからだ。
もちろん以前よりは小さくて、タロ君の体に合わせたサイズだ。
まあ本当は巨大なボスモンスターのオルトロスなので、いくらでも食べられるんだけどね!
しかし鷹秋さんは、どれだけこれまで会った犬に嫌われていたんだろう。
塩対応のニコちゃんでさえ笑顔で見つめている。
「ふー、あーん」
「あーんなの。にいちゃん、ニコちゃんにもあげてー」
「きゃふー」
「ニコちゃんは割り箸であげるから、ちょっと待ってな」
「ふー君、ニコちゃんを降ろしてくれても大丈夫だよ。タロ君が止めるから、鷹秋さんに噛みついたりしないよ?」
というか、近寄りもしないと思う。
ふー君はニコちゃんを抱っこして、ハル君に口の周りに着いた肉汁を拭かれながら首を横に振る。
葉山家兄弟(小さいほう)はどっちも器用だな。
「んーん。ふーはニコちゃんがかわいいから、だっこしてるの」
「きゃふー」
「ふーは良い子なんだよ、ハルちゃん」
「そっかー」
ふー君がお兄ちゃん大好き弟なのは事実なのだが、ハル君も弟大好き溺愛お兄ちゃんなんだなー、と気づき始めた今日この頃。
「晴さん、お肉のお代わりはいかがですか? トウモロコシもありますよ」
「あ、じゃあトウモロコシいただきます」
「はい」
なにかお願いすると、鷹秋さんはすごく嬉しそうな顔でやってくれる。
葉山家には過保護の血が流れているのかもしれない。
わたしは弟じゃないけれど、妹みたいに思ってくれてるのかな?
「トウモロコシですよ、晴さん」
「ありがとうございます」
「……ニコちゃん、花火大会へ行く車の中でも俺がいたら興奮しちゃいますかね」
いや、タロ君ニコちゃん目当てで飼い主のわたしに優しいだけだね。
「キャリーバッグに二匹入るので大丈夫です。ニコちゃんは、タロ君といれば幸せみたいなので」
「可愛いですね。二匹は、その……仔犬を作らせたりするんですか?」
「あー……」
二匹ともモンスターなので、子どもが作れるかどうかわからないんだよね。
異世界でもダンジョンモンスターが繁殖したという話はないみたい。
口籠るわたしを見て、鷹秋さんは頬を染めた。
「す、すいません、晴さん。俺は年ごろの女性になんて質問を」
「大丈夫ですよ。今は考えてないだけです。来年の春に発情期になったら考えます」
「発情期……」
鷹秋さんは顔を真っ赤にして俯いた。
しまった。セクハラをしてしまったよ。向こうから話題を振られたからセーフ?
動物飼ってると避けて通れない話題だから、深く考えず口に出しちゃったよ。
──多少気まずいときもあったものの、わたし達は楽しくBBQをして美味しくお肉を食べたのだった。
さーて、浴衣に着替えたら花火大会だ。
BBQと花火大会の日だ。
まずはアパートの駐車場でBBQなので、デニムとTシャツです。ちゃんと下着も着けてるよ!
「うーぐるるっ!」
「ニコちゃん、いかりをおさえるの。ふーがいるの」
「……きゃうん」
ニコちゃんは、鷹秋さんには懐きませんでした。
念話で聞いたところ、アパートの住人は群れの仲間だけれど、そうでない人間は敵なのだとか。五年間の暴走生活のせいか、ニコちゃんは攻撃的なんだよね。犬……じゃなかった、狼だから仕方ない。
ニコちゃんはふー君に抱っこされ、鷹秋さんに対して歯茎を剥き出して威嚇している。
「鷹秋さん、ごめんなさい」
「いいえ。……漏らしたり、いきなり駆け出したりしないでいてくれるだけで嬉しいです」
「そうですかー」
「がふがふっ!」
タロ君の声が荒々しいのは、肉の塊を引き千切って食べている途中だからだ。
もちろん以前よりは小さくて、タロ君の体に合わせたサイズだ。
まあ本当は巨大なボスモンスターのオルトロスなので、いくらでも食べられるんだけどね!
しかし鷹秋さんは、どれだけこれまで会った犬に嫌われていたんだろう。
塩対応のニコちゃんでさえ笑顔で見つめている。
「ふー、あーん」
「あーんなの。にいちゃん、ニコちゃんにもあげてー」
「きゃふー」
「ニコちゃんは割り箸であげるから、ちょっと待ってな」
「ふー君、ニコちゃんを降ろしてくれても大丈夫だよ。タロ君が止めるから、鷹秋さんに噛みついたりしないよ?」
というか、近寄りもしないと思う。
ふー君はニコちゃんを抱っこして、ハル君に口の周りに着いた肉汁を拭かれながら首を横に振る。
葉山家兄弟(小さいほう)はどっちも器用だな。
「んーん。ふーはニコちゃんがかわいいから、だっこしてるの」
「きゃふー」
「ふーは良い子なんだよ、ハルちゃん」
「そっかー」
ふー君がお兄ちゃん大好き弟なのは事実なのだが、ハル君も弟大好き溺愛お兄ちゃんなんだなー、と気づき始めた今日この頃。
「晴さん、お肉のお代わりはいかがですか? トウモロコシもありますよ」
「あ、じゃあトウモロコシいただきます」
「はい」
なにかお願いすると、鷹秋さんはすごく嬉しそうな顔でやってくれる。
葉山家には過保護の血が流れているのかもしれない。
わたしは弟じゃないけれど、妹みたいに思ってくれてるのかな?
「トウモロコシですよ、晴さん」
「ありがとうございます」
「……ニコちゃん、花火大会へ行く車の中でも俺がいたら興奮しちゃいますかね」
いや、タロ君ニコちゃん目当てで飼い主のわたしに優しいだけだね。
「キャリーバッグに二匹入るので大丈夫です。ニコちゃんは、タロ君といれば幸せみたいなので」
「可愛いですね。二匹は、その……仔犬を作らせたりするんですか?」
「あー……」
二匹ともモンスターなので、子どもが作れるかどうかわからないんだよね。
異世界でもダンジョンモンスターが繁殖したという話はないみたい。
口籠るわたしを見て、鷹秋さんは頬を染めた。
「す、すいません、晴さん。俺は年ごろの女性になんて質問を」
「大丈夫ですよ。今は考えてないだけです。来年の春に発情期になったら考えます」
「発情期……」
鷹秋さんは顔を真っ赤にして俯いた。
しまった。セクハラをしてしまったよ。向こうから話題を振られたからセーフ?
動物飼ってると避けて通れない話題だから、深く考えず口に出しちゃったよ。
──多少気まずいときもあったものの、わたし達は楽しくBBQをして美味しくお肉を食べたのだった。
さーて、浴衣に着替えたら花火大会だ。
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