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二匹目!+一羽目
43・モフモフわんこはお腹の上で寝る。
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目が覚めると、タロ君とニコちゃんはわたしのお腹の上で眠っていた。
胸の間では一匹しか眠れないからだ。お腹が大きいからではないよ?
サンゴとダンジョン運営の話をした後、わたしは昼寝をしていたのだが、フリスビーを楽しんでいた二匹も疲れて眠り始めたらしい。
サンゴはダンジョンの様子を見に行くと言っていたので、ここにはいない。
ところどころにスライムはいるけれど、アジサイは第一層に行っているのか見当たらない。
ボタンには神社で待機してもらっている。帰るとき転移のための目印が必要だからね。
このダンジョン第一層の階段結界はレベル結界ではなかった。サンゴが認めたものにだけ鍵となる魔力が与える形式である。
アジサイは、サンゴに魔力を与えられている自分が結界を行き来するのを見た自衛隊員が、レベルの高いスライムなのか? と驚くのを見るのが楽しいそうだ。
ほかのダンジョンではレベル結界が一般的らしい。うちもそうだしね。
「……ぐー……」
「……くー……」
眠る二匹を起こさないよう、そうっと撫でる。
昨日は、ニコちゃんを動物病院へ連れて行った。アパートの人間には懐いたニコちゃんだが、動物病院では歯茎を剥き出して唸り続けたんだよなあ。
まあ、それは想定内。サクラもそうだった。
しかし想定外のラッキーがあった。
お兄ちゃんになったタロ君が一気に成長していたのだ。
どうやら威圧を制御してくれたらしい。二匹に距離は置いていたものの、漏らす動物はいなかった。良かった良かった。
ぴらりらりーん♪
タロ君とニコちゃんを撫でていたら、スマホの着信音が響いた。
しまった。まだ着信音を変えていなかった。
ニコちゃんも来たことだし、二匹の声を録音しなくちゃね。
「……んふー……」
「……くふふふふ……」
二匹は眠ったままだ。
美味しいものを食べている夢でも見ているのか、口元が緩んで幸せそう。
「おっと」
発信者は鷹秋さんでした。
『こんにちは、晴さん。お時間いいですか?』
「大丈夫ですよー。鷹秋さん、お仕事は休憩時間ですか?」
『はい。ところで晴さん、次の日曜日はおヒマでしょうか?』
「あ」
『どうかしましたか?』
「いえ、なんでもないです。次の日曜日は用事ないですよ」
いろいろあってすっかり忘れていたけれど、この前玲奈ちゃんにタロ君も行けそうなイベントについて聞いたとき教えてもらっていた。
次の日曜日は隣町、港のある大きな町で花火大会がある。
砂浜から見ることができるので、近所の人が犬の散歩ついでに鑑賞していたりするそうだ。
『そうですか? それじゃあ、その……花火大会に行きませんか?』
「あ」
『晴さん?』
「ごめんなさい。わたしもその話を友達に教えてもらってたんです。砂浜から見れるから犬の散歩ついでに見に来る人もいるんですよね?」
『はい。夜になりますがよろしいでしょうか?』
「わたしはいいですよ。ハル君とふー君は大丈夫ですか?」
『兄夫婦も同行してくれると言うので、問題ありません』
わたしはお腹の上で健やかな寝息を立てている二匹を見た。
どうかな? 花火は音が大きいから怯えちゃうかな?
……花火の音に怯えるボスモンスターってどうなんだろう?
『どうでしょう? 花火は音が大きいから、タロ君嫌がりますかね?』
「ふふ」
『晴さん?』
「ごめんなさい。実はさっき日曜日に用事がないかって聞かれたとき、友達に花火大会について聞いたこと思い出してたんです。そしたら鷹秋さんが花火大会の話をするし。今もわたしがタロ君達怯えちゃうかなって思ってたら、同じこと言われたのでなんだか面白くなっちゃって」
『はは。俺達、気が合うのかもしれませんね』
「そうですね」
スマホの向こうから響いてくる鷹秋さんの低い声が、なんだか心地いい。
「わふ(花火大会行きたいのだ。音が大きくても平気だぞ。ニコはどうだ)?」
「きゃう(タロ兄様と一緒なら平気ですの)!」
『あ、今の声! 女の子が増えたんですよね?』
いきなり口を挟んできた犬達の声を聞いて、鷹秋さんの口調が弾む。
本当に犬が好きな人だ。
彼に尻尾があったなら、きっと今千切れそうなほど振ってるんだろうな。
「はい、ニコちゃんです。白くてフワフワなんですよ」
「きゃふ(フワフワですわ)!」
「わふ(フワフワなのだ)!」
『可愛いんでしょうね』
「ふふふ。鷹秋さんにニコちゃんを紹介したいので、花火大会へ行ってもいいですか?」
『え? ええ、もちろんです! 当日の夕方迎えに行きますね』
「お昼はお仕事なんですか?」
『野暮用ですよ。友達の手伝いをするんです』
鷹秋さんは力持ちそうだからお引越しの手伝いでも頼まれてるのかな、と思ったが深くは聞かなかった。
仕事でないのなら昼夜と用事が詰まっていても大丈夫だろう。
少し世間話をして、わたし達はスマホを切った。
「花火なのだ!」
「花火なのですわ!」
タロ君とニコちゃんはすごく楽しみなようで、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。
胸の間では一匹しか眠れないからだ。お腹が大きいからではないよ?
サンゴとダンジョン運営の話をした後、わたしは昼寝をしていたのだが、フリスビーを楽しんでいた二匹も疲れて眠り始めたらしい。
サンゴはダンジョンの様子を見に行くと言っていたので、ここにはいない。
ところどころにスライムはいるけれど、アジサイは第一層に行っているのか見当たらない。
ボタンには神社で待機してもらっている。帰るとき転移のための目印が必要だからね。
このダンジョン第一層の階段結界はレベル結界ではなかった。サンゴが認めたものにだけ鍵となる魔力が与える形式である。
アジサイは、サンゴに魔力を与えられている自分が結界を行き来するのを見た自衛隊員が、レベルの高いスライムなのか? と驚くのを見るのが楽しいそうだ。
ほかのダンジョンではレベル結界が一般的らしい。うちもそうだしね。
「……ぐー……」
「……くー……」
眠る二匹を起こさないよう、そうっと撫でる。
昨日は、ニコちゃんを動物病院へ連れて行った。アパートの人間には懐いたニコちゃんだが、動物病院では歯茎を剥き出して唸り続けたんだよなあ。
まあ、それは想定内。サクラもそうだった。
しかし想定外のラッキーがあった。
お兄ちゃんになったタロ君が一気に成長していたのだ。
どうやら威圧を制御してくれたらしい。二匹に距離は置いていたものの、漏らす動物はいなかった。良かった良かった。
ぴらりらりーん♪
タロ君とニコちゃんを撫でていたら、スマホの着信音が響いた。
しまった。まだ着信音を変えていなかった。
ニコちゃんも来たことだし、二匹の声を録音しなくちゃね。
「……んふー……」
「……くふふふふ……」
二匹は眠ったままだ。
美味しいものを食べている夢でも見ているのか、口元が緩んで幸せそう。
「おっと」
発信者は鷹秋さんでした。
『こんにちは、晴さん。お時間いいですか?』
「大丈夫ですよー。鷹秋さん、お仕事は休憩時間ですか?」
『はい。ところで晴さん、次の日曜日はおヒマでしょうか?』
「あ」
『どうかしましたか?』
「いえ、なんでもないです。次の日曜日は用事ないですよ」
いろいろあってすっかり忘れていたけれど、この前玲奈ちゃんにタロ君も行けそうなイベントについて聞いたとき教えてもらっていた。
次の日曜日は隣町、港のある大きな町で花火大会がある。
砂浜から見ることができるので、近所の人が犬の散歩ついでに鑑賞していたりするそうだ。
『そうですか? それじゃあ、その……花火大会に行きませんか?』
「あ」
『晴さん?』
「ごめんなさい。わたしもその話を友達に教えてもらってたんです。砂浜から見れるから犬の散歩ついでに見に来る人もいるんですよね?」
『はい。夜になりますがよろしいでしょうか?』
「わたしはいいですよ。ハル君とふー君は大丈夫ですか?」
『兄夫婦も同行してくれると言うので、問題ありません』
わたしはお腹の上で健やかな寝息を立てている二匹を見た。
どうかな? 花火は音が大きいから怯えちゃうかな?
……花火の音に怯えるボスモンスターってどうなんだろう?
『どうでしょう? 花火は音が大きいから、タロ君嫌がりますかね?』
「ふふ」
『晴さん?』
「ごめんなさい。実はさっき日曜日に用事がないかって聞かれたとき、友達に花火大会について聞いたこと思い出してたんです。そしたら鷹秋さんが花火大会の話をするし。今もわたしがタロ君達怯えちゃうかなって思ってたら、同じこと言われたのでなんだか面白くなっちゃって」
『はは。俺達、気が合うのかもしれませんね』
「そうですね」
スマホの向こうから響いてくる鷹秋さんの低い声が、なんだか心地いい。
「わふ(花火大会行きたいのだ。音が大きくても平気だぞ。ニコはどうだ)?」
「きゃう(タロ兄様と一緒なら平気ですの)!」
『あ、今の声! 女の子が増えたんですよね?』
いきなり口を挟んできた犬達の声を聞いて、鷹秋さんの口調が弾む。
本当に犬が好きな人だ。
彼に尻尾があったなら、きっと今千切れそうなほど振ってるんだろうな。
「はい、ニコちゃんです。白くてフワフワなんですよ」
「きゃふ(フワフワですわ)!」
「わふ(フワフワなのだ)!」
『可愛いんでしょうね』
「ふふふ。鷹秋さんにニコちゃんを紹介したいので、花火大会へ行ってもいいですか?」
『え? ええ、もちろんです! 当日の夕方迎えに行きますね』
「お昼はお仕事なんですか?」
『野暮用ですよ。友達の手伝いをするんです』
鷹秋さんは力持ちそうだからお引越しの手伝いでも頼まれてるのかな、と思ったが深くは聞かなかった。
仕事でないのなら昼夜と用事が詰まっていても大丈夫だろう。
少し世間話をして、わたし達はスマホを切った。
「花火なのだ!」
「花火なのですわ!」
タロ君とニコちゃんはすごく楽しみなようで、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。
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