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一匹目!
※ダンジョンわんこ日記 一日目
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今日、吾は生まれた。
ダンジョンコアに選ばれたマスターのナビゲーターとなるため、ダンジョンマザーツリーに創られたのだ。
最初からレベル2になっているのは、そうでないとマスターと会話できないからである。
吾のマスターは卯月晴という。
ん。良い名前なのだ。
魔力は流れているが魔法は存在しない世界の人間だ。
マスターは吾にも名前を付けてくれた。
タロ、というのが吾の名前だ。
とっても良い名前である。
名前をもらえたのは嬉しかったけど、レベルが上がって吾の消費DPが増えてしまったのには困ってしまった。
DPがなくなってしまったら、吾もマスターも死んでしまうのだから。
でもマスターは、そんなことで怒ったりはしなかった。頑張ってDPを稼ごうと言ってくれたのだ。
吾はマスターが大好きだ!
それから、吾とマスターは一緒にダンジョンのモンスターを作った。
大地属性のマッドゴーレムだ。
ブラックドッグじゃなかったのは、犬が人間に倒されたら悲しいからだと言っていた。吾はだれにも倒されないでマスターを守り続けるのだ!
マッドゴーレムを作ったらマスターのレベルが上がったぞ。
マスターはレベルが上がっても消費DPが増えなくて良かったのだ。
人間を倒したらDPが増えるのなら楽なのに、人間をダンジョンに呼び寄せなくてはDPが増えないのだから難しい。吾、強いのにな。
『転移』で帰ったマスターの家は、どこもマスターの匂いでいっぱいだった。
ただアパートは狭すぎて、オルトロスモードになったら壊れそうなのが残念だ。マスターのソファ兼ベッドになりたかったのだ。
挨拶に行った大家という人間はマスターを大切に思っている匂いがしたので、吾も好きになったぞ。
夕飯はポトフだった。
ベーコンとニンジンとキャベツが美味しかったのだ。
吾は普通の犬じゃなくてモンスターだから玉ネギも大丈夫なのに、マスターは心配してくれなかった。でもマスターが食べてるところ見てると美味しそうだから、いつか絶対食べてやるのだ、くふふ。
そして──
吾は永遠の好敵手サクラに紹介された。
サクラはマスターマザーのパートナーだ。赤ちゃんのマスターと一緒にいる写真を見せてもらった。
むむむ。吾はサクラには負けないのだー!
夕飯の後でマスターは吾の写真をたくさん撮った。
最初はサクラの写真より小さいと思って悲しくなったが、単に表示している媒体が違うだけだった。
マスターはちゃんと吾の写真も大きくして見せてくれたのだ。
明日は首輪やジャーキーを買ってくれるという。
首輪は飼い犬の証で、ジャーキーは保存用に日干しした肉だ。
ダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスしたときに覚えたぞ。吾の権限には限界があるけれど、今のところ必要なことは確認できているのだ。
ふう、明日が楽しみなのだ。
吾はマスターとお風呂に入った後、一緒のお布団で寝た。
マスターがトイレのとき以外はいつも一緒だ!……マスターなんでトイレ行くのかな? 一匹にされて、吾寂しいのだ。
マスターの胸の上でぐるぐる回って、ベストポジションを見つけたつもりで眠りかけたところで、マスターにお尻を向けていたことに気づいた。
慌てて体勢を変えていたら、
「タロ君の尻尾はくるんとしてて可愛いから、さっきの体勢でもいいよ。ベストポジションだったんじゃない?」
って言われたけど、
「起きたときにマスターの顔がすぐ見えないと嫌なのだ」
って答えたら、マスターは嬉しそうな顔をして吾をなでなでしてくれた。
なでなでされてると眠くなるのだ。
ボスモンスターは眠らなくても食べなくても死なないが、不眠絶食を続けていると狂暴になる。混乱してマスターにがうってやったら嫌だから、ちゃんと寝たり食べたりするのだ。
おやすみなさい、マスター。大好きなのだ……
ダンジョンコアに選ばれたマスターのナビゲーターとなるため、ダンジョンマザーツリーに創られたのだ。
最初からレベル2になっているのは、そうでないとマスターと会話できないからである。
吾のマスターは卯月晴という。
ん。良い名前なのだ。
魔力は流れているが魔法は存在しない世界の人間だ。
マスターは吾にも名前を付けてくれた。
タロ、というのが吾の名前だ。
とっても良い名前である。
名前をもらえたのは嬉しかったけど、レベルが上がって吾の消費DPが増えてしまったのには困ってしまった。
DPがなくなってしまったら、吾もマスターも死んでしまうのだから。
でもマスターは、そんなことで怒ったりはしなかった。頑張ってDPを稼ごうと言ってくれたのだ。
吾はマスターが大好きだ!
それから、吾とマスターは一緒にダンジョンのモンスターを作った。
大地属性のマッドゴーレムだ。
ブラックドッグじゃなかったのは、犬が人間に倒されたら悲しいからだと言っていた。吾はだれにも倒されないでマスターを守り続けるのだ!
マッドゴーレムを作ったらマスターのレベルが上がったぞ。
マスターはレベルが上がっても消費DPが増えなくて良かったのだ。
人間を倒したらDPが増えるのなら楽なのに、人間をダンジョンに呼び寄せなくてはDPが増えないのだから難しい。吾、強いのにな。
『転移』で帰ったマスターの家は、どこもマスターの匂いでいっぱいだった。
ただアパートは狭すぎて、オルトロスモードになったら壊れそうなのが残念だ。マスターのソファ兼ベッドになりたかったのだ。
挨拶に行った大家という人間はマスターを大切に思っている匂いがしたので、吾も好きになったぞ。
夕飯はポトフだった。
ベーコンとニンジンとキャベツが美味しかったのだ。
吾は普通の犬じゃなくてモンスターだから玉ネギも大丈夫なのに、マスターは心配してくれなかった。でもマスターが食べてるところ見てると美味しそうだから、いつか絶対食べてやるのだ、くふふ。
そして──
吾は永遠の好敵手サクラに紹介された。
サクラはマスターマザーのパートナーだ。赤ちゃんのマスターと一緒にいる写真を見せてもらった。
むむむ。吾はサクラには負けないのだー!
夕飯の後でマスターは吾の写真をたくさん撮った。
最初はサクラの写真より小さいと思って悲しくなったが、単に表示している媒体が違うだけだった。
マスターはちゃんと吾の写真も大きくして見せてくれたのだ。
明日は首輪やジャーキーを買ってくれるという。
首輪は飼い犬の証で、ジャーキーは保存用に日干しした肉だ。
ダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスしたときに覚えたぞ。吾の権限には限界があるけれど、今のところ必要なことは確認できているのだ。
ふう、明日が楽しみなのだ。
吾はマスターとお風呂に入った後、一緒のお布団で寝た。
マスターがトイレのとき以外はいつも一緒だ!……マスターなんでトイレ行くのかな? 一匹にされて、吾寂しいのだ。
マスターの胸の上でぐるぐる回って、ベストポジションを見つけたつもりで眠りかけたところで、マスターにお尻を向けていたことに気づいた。
慌てて体勢を変えていたら、
「タロ君の尻尾はくるんとしてて可愛いから、さっきの体勢でもいいよ。ベストポジションだったんじゃない?」
って言われたけど、
「起きたときにマスターの顔がすぐ見えないと嫌なのだ」
って答えたら、マスターは嬉しそうな顔をして吾をなでなでしてくれた。
なでなでされてると眠くなるのだ。
ボスモンスターは眠らなくても食べなくても死なないが、不眠絶食を続けていると狂暴になる。混乱してマスターにがうってやったら嫌だから、ちゃんと寝たり食べたりするのだ。
おやすみなさい、マスター。大好きなのだ……
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