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一匹目!
47・モフモフわんこにお土産を
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有言実行、ということで、買い物へ行ってきました。
近くのコンビニに欲しいお菓子(甘いポップコーン)がなかったので、少し足を伸ばしてスーパーまで。
結構時間がかかったせいか、実家に帰るとタロ君と歌音は居間に布団を敷いて眠っていた。
わたしがダンジョンへ行ったり帰ったりしていたときは居間でドラマを観ていた母が、うっとりした表情でひとりと一匹の寝顔を見つめている。
お父さんと兄夫婦はお仕事だ。
仕事……ダンジョン運営と両立できるかなあ。
「ただいまー」
「お帰り」
二十歳過ぎの娘より孫と犬のほうが可愛いのはわかるけど、ちょっとくらい振り向いてくれてもいいと思う。
「アイス買って来たけど食べる?」
「あら、珍しく気が利くのね」
「わたしもひとり暮らしを始めて成長したからね」
「はいはい」
六本入りのソーダアイスの箱を開けて、お母さんに差し出す。
「ありがとう」
「残りは冷凍庫に入れとくね。お父さんとお兄ちゃん達の分」
「……うーん……」
歌音が小さな体を起こし、細い腕を伸ばした。
「カノも食べるー」
「今食べると夕食の後で食べられないよ?」
「夕食の後はパパにもらう」
「そっか。お腹壊さないようにね」
わたしは夕食の後に食べよう。
サクラ子を家に残して歩いて往復したんだけど、そんなに暑くなかったんだよね。今年は冷夏かな?
歌音にひとつ渡して、台所へ向かう。
「わ……わふう?」
寝ぼけててもちゃんと犬しゃべりをするタロ君は偉い。
「台所行くだけだよ。すぐ帰ってくるからねー」
「わふ」
重そうに体を引きずってわたしを追いかけようとしていたタロ君は、安堵した表情でコテンと動きを止めて転がった。
「タロ君は本当に晴が好きなんだねえ」
「むー」
「拗ねないでアイス食べなよ、歌音」
お母さんと歌音は、何度かタロ君と寝ようとしたことがある。
賢いタロ君は暴れたり抵抗したりはしなかったのだが、ふたりが眠ると部屋の入り口に移動してひゅんひゅん鳴いていたらしい。
お母さんと同室のお父さん、歌音と同室の兄夫婦が哀れに思って、わたしの部屋に連れてきてくれたっけ。……すでに寝ていたわたしは叩き起こされたんだよね。
そんなこともあり、大型犬派のお父さんも猫派のお兄ちゃんもタロ君にメロメロだ。
可愛くて賢い(お母さんや歌音に気を遣って、ふたりが眠るまで帰ろうとしない)タロ君だから当然かな。
お母さんと歌音には、ちょっと憎まれている。
「ところで晴」
「なぁに?」
「あんた、その姿で買い物に行ったの?」
「その姿?……あ!」
影のマント着たままだった! それで涼しかったのか。
うわー、どうしよ? 地元だから間違いなくどこかで知り合いに見られてる。
大学生にもなって中二病になったって思われちゃうよー!……とほほ。
ずっとタロ君(闇の魔気を放つボスモンスター)やサクラ子(ゴースト)の側にいた歌音も涼しかったんじゃないかとも思ったけど、きっと追いかけっこして走り回ってたんだろうし、子どもは体温が高いから暑くなっちゃったんだろう。
お母さんは歌音の近くにいたから暑かったのかな。
「ハルちゃん」
「なぁに?」
「それ、可愛いねえ」
「ありがと、歌音」
「でもカノが着たら、もっと可愛いと思うの」
「……そうだね」
わたしの半径一メートル以内はダンジョン扱いだから、自作アイテムコアを脱いで渡せば歌音サイズになるけれど、そういうわけにはいかない。
「カノが大きくなったら貸してね」
うっ……可愛い。
ちょっと生意気なところも含めて、姪の歌音は可愛くて仕方がない。
ダンジョン運営でドタバタしてたから、今回の帰省では大したお土産なかったしなあ。……あれ? お土産?
「……アイス冷凍庫に入れてくる」
「あら、そうね。早くしないと溶けちゃうわよ」
「ハルちゃん、ダメよー」
慌てて台所へ行って冷凍庫に仕舞ったアイスは、影のマントの効果かさほど溶けてはいなかった。
夕食の後、自室でタロ君と食べよーっと。
近くのコンビニに欲しいお菓子(甘いポップコーン)がなかったので、少し足を伸ばしてスーパーまで。
結構時間がかかったせいか、実家に帰るとタロ君と歌音は居間に布団を敷いて眠っていた。
わたしがダンジョンへ行ったり帰ったりしていたときは居間でドラマを観ていた母が、うっとりした表情でひとりと一匹の寝顔を見つめている。
お父さんと兄夫婦はお仕事だ。
仕事……ダンジョン運営と両立できるかなあ。
「ただいまー」
「お帰り」
二十歳過ぎの娘より孫と犬のほうが可愛いのはわかるけど、ちょっとくらい振り向いてくれてもいいと思う。
「アイス買って来たけど食べる?」
「あら、珍しく気が利くのね」
「わたしもひとり暮らしを始めて成長したからね」
「はいはい」
六本入りのソーダアイスの箱を開けて、お母さんに差し出す。
「ありがとう」
「残りは冷凍庫に入れとくね。お父さんとお兄ちゃん達の分」
「……うーん……」
歌音が小さな体を起こし、細い腕を伸ばした。
「カノも食べるー」
「今食べると夕食の後で食べられないよ?」
「夕食の後はパパにもらう」
「そっか。お腹壊さないようにね」
わたしは夕食の後に食べよう。
サクラ子を家に残して歩いて往復したんだけど、そんなに暑くなかったんだよね。今年は冷夏かな?
歌音にひとつ渡して、台所へ向かう。
「わ……わふう?」
寝ぼけててもちゃんと犬しゃべりをするタロ君は偉い。
「台所行くだけだよ。すぐ帰ってくるからねー」
「わふ」
重そうに体を引きずってわたしを追いかけようとしていたタロ君は、安堵した表情でコテンと動きを止めて転がった。
「タロ君は本当に晴が好きなんだねえ」
「むー」
「拗ねないでアイス食べなよ、歌音」
お母さんと歌音は、何度かタロ君と寝ようとしたことがある。
賢いタロ君は暴れたり抵抗したりはしなかったのだが、ふたりが眠ると部屋の入り口に移動してひゅんひゅん鳴いていたらしい。
お母さんと同室のお父さん、歌音と同室の兄夫婦が哀れに思って、わたしの部屋に連れてきてくれたっけ。……すでに寝ていたわたしは叩き起こされたんだよね。
そんなこともあり、大型犬派のお父さんも猫派のお兄ちゃんもタロ君にメロメロだ。
可愛くて賢い(お母さんや歌音に気を遣って、ふたりが眠るまで帰ろうとしない)タロ君だから当然かな。
お母さんと歌音には、ちょっと憎まれている。
「ところで晴」
「なぁに?」
「あんた、その姿で買い物に行ったの?」
「その姿?……あ!」
影のマント着たままだった! それで涼しかったのか。
うわー、どうしよ? 地元だから間違いなくどこかで知り合いに見られてる。
大学生にもなって中二病になったって思われちゃうよー!……とほほ。
ずっとタロ君(闇の魔気を放つボスモンスター)やサクラ子(ゴースト)の側にいた歌音も涼しかったんじゃないかとも思ったけど、きっと追いかけっこして走り回ってたんだろうし、子どもは体温が高いから暑くなっちゃったんだろう。
お母さんは歌音の近くにいたから暑かったのかな。
「ハルちゃん」
「なぁに?」
「それ、可愛いねえ」
「ありがと、歌音」
「でもカノが着たら、もっと可愛いと思うの」
「……そうだね」
わたしの半径一メートル以内はダンジョン扱いだから、自作アイテムコアを脱いで渡せば歌音サイズになるけれど、そういうわけにはいかない。
「カノが大きくなったら貸してね」
うっ……可愛い。
ちょっと生意気なところも含めて、姪の歌音は可愛くて仕方がない。
ダンジョン運営でドタバタしてたから、今回の帰省では大したお土産なかったしなあ。……あれ? お土産?
「……アイス冷凍庫に入れてくる」
「あら、そうね。早くしないと溶けちゃうわよ」
「ハルちゃん、ダメよー」
慌てて台所へ行って冷凍庫に仕舞ったアイスは、影のマントの効果かさほど溶けてはいなかった。
夕食の後、自室でタロ君と食べよーっと。
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