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一匹目!

39・モフモフわんこは植物魔法のスキル『MP譲渡』を習得した!

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 MAXMPが100なのに、1000MP譲渡されたらどうなるんだろう。
 と思っていたら、

卯月うづき はる/20歳/女性/人間LV1/ダンジョンマスターLV3】

【HP:50】
【MP:100(+910)】
【状態:健康】
【DP:1068000】

【攻撃:F】
【防御:F】
【魔法攻撃:F】
【魔法防御:F】
【集中:F】
【敏捷:F】
【魅力:F】
【精神:F】

【光属性:F】
【闇属性:F】
【炎属性:F】
【大地属性:F】
【風属性:F】
【水属性:F】

【魔法スキル:*(習得していません)】
【特殊スキル:転移(ホームとダンジョン限定)】
【      アイテムコア作成】

 こんな結果になりました。
 MPがないと言っていたけど、今日はまだダンジョンに行ってないから『転移』用の10MPは残していたので、こういう数値になったのだ。
 後、魔法属性のレベルアップバーが少し伸びてた。陶器の腕輪の付与効果を発動したり、アイテムコアの作成に勤しんだりしてたからかな。

「吾のMPはまだまだあるからな。好きなだけアイテムコアを改良すると良いのだ」

 タロ君はドヤ顔です。
 譲渡するMPの倍のMPが消費されるのはもったいない気もするものの、タロ君のMPってシャドウ作成くらいにしか使わないもんね。
 わたしは思いっきりタロ君をなでなでした。

「ありがとう、タロ君。さすがボスモンスターだね」
「んふー♪」
「ボスモンスターのタロ君にお似合いのマントを作るから、わたしの洗濯物はしまっちゃおうね」
「んふ……う?」

 文句を言う暇を与えず、わたしは速やかに洗濯物を収納ケースに片付けた。

「さーて、どんな風にMPを注入しようかな。これだけあったら大地属性を削除しなくても風属性を上げられそう」
「……」
「あ、お話ししてたら勝手に進んでたから、ドラマ巻き戻しておくね。ジャーキー食べながら観る?」
「ん!」

 モフモフのお手手でジャーキーを掴んで食べているうちのわんこ、超尊い。
 ウメ子達もノートパソコンに群がる。
 わたしダンマスのモンスターだからか、ゴーストである彼女達がいても通信障害はまるで発生しない。むしろ以前より通信状況が良くなった気がする。

「じゃあタロ君のマント作ろうっと」

 わたしはドロップ品リストに突っ込んであるタロ君のシャドウコアを取り出した。
 ミドルポーションがダメで、これは登録できるのってホント謎。
 フロアモンスター倒してボスモンスターのシャドウコアがドロップしたら、すっごく驚くだろうなあ。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「完成!」

シャドウのマント】

【攻撃:*】
【防御:S】
【魔法攻撃:*】
【魔法防御:*】
【集中:*】
【敏捷:C】
【魅力:*】
【精神:*】

【光属性:*】
【闇属性:C】
【炎属性:*】
【大地属性:C】
【風属性:C】
【水属性:*】

【特徴:使用者に合わせて大きさが変わる】
【   使用者の防御の値が基本の二倍になる】
【   使用者の敏捷の値が基本の十パーセント上昇する】
【   百度攻撃を受けると壊れる】
【付与効果:隠密(MPを消費することで魔法スキルが発動する)】

 どうだね、この素晴らしいアイテムコアは!
 名前が中二病っぽいのはわたしのせいじゃありません。
 本当は壊れないアイテムコアにしたかったんだけど、これ以上防御を上げるのにはとてつもないMPが必要なんだよね。レベルアップバーが伸びない伸びない。

 ちなみに防御AからSまでにはMPが600必要でした。
 タロ君に再度『MP譲渡』してもらったよー。
 結局……闇属性D→Cで60、大地属性もD→Cで60、風属性は*→F→E→D→Cで200(大地属性と相性悪いからか必要量が多かった)、防御*→F→E→D→C→B→A→Sで1101(さらに1000MP注入したらSSになりそう)、敏捷*→F→E→D→Cも風属性と同じで200……しめて1621MP(レベルアップバーを少し伸ばすだけだった無駄MPは計算に入れてない)の消費です。防御Cのときは二十五パーセントの上昇だったんだけど、敏捷Cで十パーセントしか上昇しないのはほかの数値との相性が関係してるのかな?

 陶器の腕輪の植物魔法と違って、『隠密』の使用は制限なし。いくら使ってもマントは壊れません。
 コアの大元であるタロ君が習得していた魔法スキルだからかな。
 このマントがなくてもタロ君は『隠密』使えるしね。

「あれ? 吾のマントじゃなかったのか? なんでマスターが着てるのだ?」

 使用者に応じて大きさが変わるので、わたしにも着ることができます。

「たまに貸してもらおうと思って、着心地を確認してたの」
「えー。まあいいけど」

 昨日ミドルポーションを放出していたとき、わたしはボス部屋の結界を解いた上で入り口に張りついて様子を窺っていた。
 スライムの光は消していたとはいえ、夜目の効く自衛隊員がいたら目撃されていたかもしれない。
 今さらだけど、身を隠す手段が必要だなあ、と思ったのだ。これからもダンジョンを運営していかなくちゃいけないんだしね。

「『隠密』!……どう? 消えた?」
「吾は匂いでわかるから……」
「「「……オォ……」」」

 見てもらう相手を間違えた。
 タロ君もウメ子達も『隠密』のプロだもんね。
 わたしはスマホを出して自撮りする。『隠密』発動状態で一枚、『隠密』解除状態で一枚。

「『隠密』状態のときは灰色の霧がかかってるみたいになるのか」

 透明になるわけではないようだ。
 『隠密』を発動しているときはウメ子達が消えているような気がしていたが、実際は見えにくくなっていて存在を意識しなくなってる感じなのかな?
 でも全体的にぼんやりしてるから個人特定は無理だし、ダンジョンでは記録機器を使えないから大丈夫だろう。というか、心霊写真製造できるな、これ。

「解除すると……うーん。二十歳の女子大生が着るには可愛過ぎるかな?」

 そんなつもりは全然なかった、いやできるって知ってたらしたけど、シャドウのマントはフード付きで、フードには三角形のケモ耳が生えている。マントの裾にはフサフサの尻尾もあった。
 色は黒で、揺れると深い紫や緑の光沢が出る。
 肌触りも良く、魔法属性のせいかほんのりと涼を感じる一品だった。

「お耳と尻尾……マスター、吾とお揃いなのだ!」
「そうだね!」
「「「……オオォオオ……」」」

 ウメ子達も絶賛してくれているようなので、これはこれで良しとする。
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