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一匹目!
32・モフモフわんことマッドゴーレムキング
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……どうしよう、これ。
合体したアジサイ達スライムは、わたしが渡したタロ君影のコアでポーションを作ってくれた。
しかも薬草が花まで咲かせていたので、ただのポーションではない。軽い状態異常まで治療できるミドルポーションだ。
「千瓶あるのかな?」
(((タロ様のシャドウコアに含まれた魔力が潤沢でしたので千五百瓶です!)))
「影とはいえ、吾の魔力から作り出したものだからな」
タロ君はドヤ顔です。
いやいいんだけど、可愛いんだけど、千五百瓶ってどうしたらいいの?
そのままエントランスに放り込むわけにもいかない。新しいモンスターを作成してドロップ品に設定するしかないのかな?
とりあえずお試しでタロ君に設定してみようとしたが、それ以前にミドルポーションはドロップ品リストに登録できなかった。
本来は熟成によって完成するものだかららしい。
って、ボス部屋に千五百瓶のミドルポーションを並べておくのもなあ。
わたしはボス部屋の入り口に近寄って、エントランスの様子を窺った。
もうマッドゴーレムがリポップする時間だったらしく、自衛隊員がマッドゴーレムと戦っている。
現代式の防具をつけて異世界式のアイテムコアで戦う姿は、何度見てもゲームっぽい。
「え? あのマッドゴーレム、なんであんなに大きいの? マッドゴーレムも合体するのかな?」
見覚えのある景色の中に、初めて目にする存在があった。
赤黒い泥でできた蠢くモンスター、基本は人間だがところどころが泥に戻って形が崩れているマッドゴーレム──だけど大きさがあまりに違う。
基本のマッドゴーレムは成人男性よりひと回り大きいくらいなのに、それは自衛隊が張っているテントよりも大きく見えた。
「変異種なのだ。あれはキング、マッドゴーレムキングだな」
「キングってすべてが基本種よりも進化しているっていう?」
「ん。それだけでなく、変異種は周囲の基本種のステータスを底上げする支援効果も持っている。エースは攻撃、ナイトは防御、クイーンは自然回復率、ジョーカーはランダム、キングはすべて、だ」
確かに基本のマッドゴーレムに対してもいつもより苦戦しているようだ。
どど、どうしよう。自分のダンジョンで人死にが出るのは勘弁してほしい。
それはそうと、変異種ができてもダンジョンマスターレベルは上がらないのかな。
「あ、そっか」
わたしはマッドゴーレムキングのドロップ品設定を始めた。
思った通り、マッドゴーレムキングの動きが止まる。
これまでもそうだった。ドロップ品設定中はモンスターの動きが止まるのだ。
とはいえ、なにを設定しよう。
タロ君が用意してくれたモンスターコアは、まだアイテムコアにしていない。
マッドゴーレムキングを倒して影のコアがドロップしたら変だしね。
ミドルポーションはドロップ品リストにさえ登録できてない。
ドロップ品として複製? できなくても、今ある千五百瓶がなくなるまではドロップするようにできたらいいのに。
変異種のせいか、ポーションだったら基本のマッドゴーレムよりも高い七十五パーセントのドロップ率で設定できるんだけど……
「そういえば、このダンジョンが明るいのってスライムがいるからなんだよね」
初めてダンジョンで目覚めたとき、天井を覆っていたスライムの姿を思い出す。
今目の前にいるアジサイ達(ミドルポーション作成後に分裂した)の中でも白いスライムは光を放っている。
(((はい、マスター。私どもはタロ様の放つ闇属性の魔気を吸って反転し、光属性の魔気を放っております。風属性のものはタロ様の大地属性の魔気を反転しているのです)))
「あなた達って、エントランスのスライムと話せたりする?」
(((結界が張られる前にタロ様の魔気を吸って発生しましたので、離れていても感覚は共有しております)))
わたしはスライム達に、あるお願いをすることにした。
「それじゃあ……っとその前に確認したいんだけど、アジサイ達スライムはミドルポーションを運ぶことってできる?」
(((できますとも!)))
「そうそう、これも聞いておかなくちゃ。自分の意思で光を消すことはできる?」
(((できますとも!)))
スライム達に質問していたら、タロ君が拗ねた顔になる。
「なんなのだ、マスター。なにかするのか? 吾もマスターのためになにかしたいのだ」
基本のマッドゴーレムを倒した自衛隊員達が、止まったマッドゴーレムキングの元へ集まっていく。
ゲームや少年漫画なら熱い展開だ。
わたしはマッドゴーレムキングのドロップ品は設定しないことに決めた。
合体したアジサイ達スライムは、わたしが渡したタロ君影のコアでポーションを作ってくれた。
しかも薬草が花まで咲かせていたので、ただのポーションではない。軽い状態異常まで治療できるミドルポーションだ。
「千瓶あるのかな?」
(((タロ様のシャドウコアに含まれた魔力が潤沢でしたので千五百瓶です!)))
「影とはいえ、吾の魔力から作り出したものだからな」
タロ君はドヤ顔です。
いやいいんだけど、可愛いんだけど、千五百瓶ってどうしたらいいの?
そのままエントランスに放り込むわけにもいかない。新しいモンスターを作成してドロップ品に設定するしかないのかな?
とりあえずお試しでタロ君に設定してみようとしたが、それ以前にミドルポーションはドロップ品リストに登録できなかった。
本来は熟成によって完成するものだかららしい。
って、ボス部屋に千五百瓶のミドルポーションを並べておくのもなあ。
わたしはボス部屋の入り口に近寄って、エントランスの様子を窺った。
もうマッドゴーレムがリポップする時間だったらしく、自衛隊員がマッドゴーレムと戦っている。
現代式の防具をつけて異世界式のアイテムコアで戦う姿は、何度見てもゲームっぽい。
「え? あのマッドゴーレム、なんであんなに大きいの? マッドゴーレムも合体するのかな?」
見覚えのある景色の中に、初めて目にする存在があった。
赤黒い泥でできた蠢くモンスター、基本は人間だがところどころが泥に戻って形が崩れているマッドゴーレム──だけど大きさがあまりに違う。
基本のマッドゴーレムは成人男性よりひと回り大きいくらいなのに、それは自衛隊が張っているテントよりも大きく見えた。
「変異種なのだ。あれはキング、マッドゴーレムキングだな」
「キングってすべてが基本種よりも進化しているっていう?」
「ん。それだけでなく、変異種は周囲の基本種のステータスを底上げする支援効果も持っている。エースは攻撃、ナイトは防御、クイーンは自然回復率、ジョーカーはランダム、キングはすべて、だ」
確かに基本のマッドゴーレムに対してもいつもより苦戦しているようだ。
どど、どうしよう。自分のダンジョンで人死にが出るのは勘弁してほしい。
それはそうと、変異種ができてもダンジョンマスターレベルは上がらないのかな。
「あ、そっか」
わたしはマッドゴーレムキングのドロップ品設定を始めた。
思った通り、マッドゴーレムキングの動きが止まる。
これまでもそうだった。ドロップ品設定中はモンスターの動きが止まるのだ。
とはいえ、なにを設定しよう。
タロ君が用意してくれたモンスターコアは、まだアイテムコアにしていない。
マッドゴーレムキングを倒して影のコアがドロップしたら変だしね。
ミドルポーションはドロップ品リストにさえ登録できてない。
ドロップ品として複製? できなくても、今ある千五百瓶がなくなるまではドロップするようにできたらいいのに。
変異種のせいか、ポーションだったら基本のマッドゴーレムよりも高い七十五パーセントのドロップ率で設定できるんだけど……
「そういえば、このダンジョンが明るいのってスライムがいるからなんだよね」
初めてダンジョンで目覚めたとき、天井を覆っていたスライムの姿を思い出す。
今目の前にいるアジサイ達(ミドルポーション作成後に分裂した)の中でも白いスライムは光を放っている。
(((はい、マスター。私どもはタロ様の放つ闇属性の魔気を吸って反転し、光属性の魔気を放っております。風属性のものはタロ様の大地属性の魔気を反転しているのです)))
「あなた達って、エントランスのスライムと話せたりする?」
(((結界が張られる前にタロ様の魔気を吸って発生しましたので、離れていても感覚は共有しております)))
わたしはスライム達に、あるお願いをすることにした。
「それじゃあ……っとその前に確認したいんだけど、アジサイ達スライムはミドルポーションを運ぶことってできる?」
(((できますとも!)))
「そうそう、これも聞いておかなくちゃ。自分の意思で光を消すことはできる?」
(((できますとも!)))
スライム達に質問していたら、タロ君が拗ねた顔になる。
「なんなのだ、マスター。なにかするのか? 吾もマスターのためになにかしたいのだ」
基本のマッドゴーレムを倒した自衛隊員達が、止まったマッドゴーレムキングの元へ集まっていく。
ゲームや少年漫画なら熱い展開だ。
わたしはマッドゴーレムキングのドロップ品は設定しないことに決めた。
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